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斎藤警部さん
平均点: 6.68点 書評数: 1242件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.162 7点 生けるパスカル- 松本清張 2015/07/03 00:01
最後のところ、うっかり夫を応援してしまった。。
清張さんにしては軽いタッチですが、純文学仕込みの文章で書かれた容赦無いサスペンスは格別のエンタテインメント。
心の病持ちとは言え酷い妻だが、夫だって酷い事をする。出口の見えない夫婦のいがみ合い。夫は浮気性の画家だ。。

同じく中篇の併録「六畳の生涯」も老人の暗い心の炎を強烈に描いて秀逸。

No.161 8点 危険な童話- 土屋隆夫 2015/07/02 11:44
鮮烈な読後感を残します。 暗く重苦しい話ですが、哀しくも邪悪な閃光を一瞬放って終わる。

お手軽な(?)心理の盲点トリック、ちょっと実行難しそうな物理トリック、手間が掛かる上に道義的に躊躇される総大な心理トリック、いろいろ出て来るよ。。。そしてその組み合わせはね。。 子供はこれからどうするのだろう。。。。。。。。

かなり若い頃に読んだ事もあり、折を見て再読したいですね。

No.160 8点 七歳の告白- 土屋隆夫 2015/07/02 11:30
つらい内容の短編集。文学性高い氏の作品だけに、辛さを愉しむエンタテインメントであると同時に、本当に辛くていたたまれなくなって来る、それがまた良い。
「いじめられた女」のさりげなく残酷極まりないラストシーン。 「小さな鬼たち」のあまりにも皮肉で酷い勘違いの悲劇。
中には軽妙な味の小品や、ちょっと幻想的雰囲気が混じるものも少し挿入されており、それが救い。
表題作は泣けます。

七歳の告白/夢の足跡/二枚の百円札/白樺タクシーの男/奇妙な招待状/いじめられた女/小さな鬼たち/狂った季節/暗い部屋/マリアの丘 
(角川文庫)

No.159 7点 孤独な殺人者- 土屋隆夫 2015/07/02 11:13
測量ボーイさんも言及されていますが、鮎川哲也ファンにもアピールしそうな、充実の作品集。
また、土屋さんにしては、佐野洋の短編的な艶っぽい題材の扱いが目立ちます。
(「加えて、消した」はそのタイトル付けからして佐野氏の作品としばらく記憶違いしておりました)        

淫らな骨/加えて、消した/情事の背景/淫らな証人/正当防衛/孤独な殺人者/ゆがんだ絵/肌の告白
(光文社文庫)

No.158 7点 Yの構図- 島田荘司 2015/07/01 18:39
最後の「           」に唖然愕然騒然!! しかしどちらかと言うと肩透かしに近い、バカ結末の一種と言っても過言では無い。。のではなかろうかあ。。

アリバイ崩しのハード本格にハード社会派を継ぎ足し損ねた感はある。 作者の意気は買う。 言い遅れましたが、かなり面白い。

No.157 7点 火刑都市- 島田荘司 2015/07/01 17:58
何を措いても動機にびっくりの一品。決してバカ動機ではありません(たぶん)。スケールで圧倒する物理的大動機(??)とでも呼びたくなっちまう。
無理を感じる所もあるが、ミステリ小説として充分アリでしょう。
「ブラタモリ」と「宮部みゆき」が一緒になったような趣も。 こういう勉強させてもらう本はいいね。

No.156 8点 - 北方謙三 2015/07/01 17:31
終盤近くまでハードボイルド・ミステリと勘違いして読んでしまったが、それでも大満足の出来!
スーパーマーケット乗っ取り攻防の中で、堅気になりきった主人公が徐々に野獣へと戻って行く展開かと思いきや、最初っからブッ飛ばしててびっくり! そうそう、この小説は書き出しが最高に引きずり込む。そのままいつまでも引っ張り続ける。清張さんと同じ匂いが結構した。敵役の中年刑事、味方(たぶん)の探偵、旧い友、妻、愛人の父親(ダメな奴!)、雇った店長x2、ヤクザや不良たち、程度の差はあれ造形のくっきりした魅力的な準主役~脇役~端役がそれぞれの持ち場で躍動。そいや中年刑事のキャリア上司が、チョイ役だが妙に魅力ある奴だった。

北方さんはこの本出した時まだ三十台半ばだったんですね、驚きです!

No.155 7点 告白- 湊かなえ 2015/06/30 14:33
章に依って語り手が変わりますが、やはり第一章、最も主役感のある女性教師の語る怖るべき告白が秀逸。元々この一章だけの短篇作品だったと言うのも頷けます。しかしながら、多少密度濃度は下がるとは言え第二章以降様々な登場人物の口から語られる、当事者の立場に立ってみなければ分からないそれぞれの事情、それぞれの苦悩や落ち度や悲惨さが長篇小説全体の中でもつれ合って互いを押し潰そうとするからこそ醸造される一種の暗黒感が、わざわざこの小説を長篇に仕立て上げた甲斐だと思います。最高に救いの無い内容と結末だが、何故か爽やかだ! すっごい短時間で読み切りました。

No.154 8点 火車- 宮部みゆき 2015/06/30 14:25
定番コースで「理由」の次に手に取った作品。 かの作の様なワン&オンリーの圧倒感は無かったが、やたらな読みやすさと快い怖さで一気に最後まで。 その最後がまた、予想外の不思議な終わり方! 思わず「宮部みゆきの火車も、俺達の夏も、まだまだ終わっちゃいないぜ!!」って海に向かって叫んでしまいそうになるね! それにしても、この作品における犯人像の不思議な描かれ方は格別だ。

No.153 6点 ウッドストック行最終バス- コリン・デクスター 2015/06/26 20:12
結末近くまでは(例の爆笑計算シーンを除いて)なかなかに退屈、まさかのバカアンチミステリじゃねえだろなあと案じながらチョィとあくびを噛み殺してたんだけど、モースの切れ味鋭い"最後の"論理展開で目が醒めました、一気にプラス1点半! ロジック<トリック<意外性の私も、こういうワクワクするロジックなら歓迎です。 何故某氏はわざわざまだるっこしい連絡手段を取ったのか、とかね。 真相が明かされてみると、漠然と思ってたのと随分違う人間関係、そして各人の実際の行動だったんだなあ、と感心。 実は某女子はモースの事を何とも思ってませんでした、ってサブオチなのかと一瞬思ったら、、違った! 犯人の殺人動機描写を巧みにぼかす優しさには読後気付きました。 まあでも、絵が浮かぶいい文章書きますよね。。

No.152 5点 六枚のとんかつ- 蘇部健一 2015/06/26 19:30
島田一男に「ふざけるな」という本がありますが、この著者に是非プレゼントしてあげたいですねWW おふざけは好きだけど、ちょっくら緩いぜ。 T-BOLAN風に言うと「詰まらなくはない」。

No.151 4点 マダム・タッソーがお待ちかね- ピーター・ラヴゼイ 2015/06/24 18:42
歴史的背景はまず興味深く勉強させていただきましたが、物語そのものはどうにも掴みどころが無く、終始ワクワク出来ませんでした。 肌が会わないのだと思います。。

No.150 7点 時間の習俗- 松本清張 2015/06/24 17:01
清張中庸の美を放つ良作。 「点と線」の流れを汲む(担当刑事も同じ)社会派興味はほど薄い鮎川哲也風アリバイ崩し本格推理。 トリック自体もさる事ながら、手掛かりが晒されトリックが崩されて行く過程が実に滋味溢れるもの。 程よい旅情あり、或る性風俗(当時の言い方)への言及あり、物語背景のイメージは豊か。昭和30年代の日本がありありと眼前に浮かび上がって来ます。

No.149 6点 卒業−雪月花殺人ゲーム- 東野圭吾 2015/06/24 06:38
副題の通り、ゲーム的トリックが数学的愉悦を運んで来る~
茶道の複雑な作法に基づいた一連のナニは、まさか「黒いトランク」への遠回しなオマージュじゃないでしょうね?

No.148 7点 同級生- 東野圭吾 2015/06/24 06:33
東野さんが書くと学生モンも素敵。眼が醒めるほどのサムシング・ショッキングは無いけど、やっぱり確実に何か仕掛けて来る。悪くないぜ。 たしかいつかのフジロックフェスに持ってって読んだ筈。 

No.147 6点 暁の死線- ウィリアム・アイリッシュ 2015/06/24 06:24
いくら創元さんアイリッシュの主役とは言え「幻の女」の対抗馬と見るにはあまりに無理が。こちらはぐっと軽い「青春サスペンス」ですね。 悪くはないですよ、もちろん。 若くてどこか余裕があるからこそ真夜中の緊張をちょっとは愉しむような、だけど、同じ若さゆえ必要以上にジリジリ焦ってもしまう感覚がよく描かれており、もう無意識下に沈んでる自分の様々な記憶がうっすらと浮かび上がり掛かります。匂いだけでも振り返ると悪くないものです。
邦題で「死線」なんて謳ってるからっておどろおどろしいものを期待してはアカんですな。「DEADLINE(締め切り)」を物々しく訳しただけですから。
ところで真犯人って誰なんだっけ??

No.146 4点 殺意- フランシス・アイルズ 2015/06/24 06:08
バカ主人公にアホプロット。 読んでる間はそれなりだったが、これを名作と呼んで良いものか。 中途半端に白っぽいブラックユーモアのオブラートに包まれてるのが良くないのか? うむ、締まらんな! でも読んでる間は確かにそれなりだったんだ。 だから4点さ。

No.145 8点 自宅にて急逝- クリスチアナ・ブランド 2015/06/24 06:05
詳細はなんだかさっぱり忘れてんだけど、ごちゃごちゃした話で相当面白かったのは確かなんだよ。いつか再読したいよ。

No.144 3点 愛国殺人- アガサ・クリスティー 2015/06/24 06:02
数年前のこと、評判がいいので勇んで読んでみましたが、う~~ん、いったい何処が合わないんだろう、不思議だ! トリックもミスディレクシションも何だかなあ、悔しい事にさっぱり面白くなかった! 時を置いて再読したい。

No.143 5点 さらば愛しき女よ- レイモンド・チャンドラー 2015/06/24 00:02
最初、英語の勉強にと本作がラジオドラマ化された音源(カセット!)で聴いて、途中から何だかよく分からなくなったけど何だかざわざわしてて雰囲気いいぞ、と何だか好きでよく聴いてたんだけど、結局どういうお話なんだかよく分かりませんでした。

で、ある時ハヤカワ文庫の翻訳を読んでみて、なるほどそういう事だったのか、と。 まぁミステリ興味がそんなに濃い作品ではないと思うけど、だからと言って小説としてそんなに面白いわけでもないんだけど、フィリー・マーの台詞回しというか比喩表現がいちいち面白かったり格好良かったりで、そこだけはかなり好きなんだ。

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斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
鮎川 清張 島荘 東野 クリスチアナ 京太郎 風太郎 連城
採点傾向
平均点: 6.68点   採点数: 1242件
採点の多い作家(TOP10)
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松本清張(52)
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佐野洋(38)
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