皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリ初心者さん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 404件 |
No.144 | 6点 | 館という名の楽園で- 歌野晶午 | 2018/12/28 19:23 |
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150ページ前後ながら、楽しめました。個人的には、推理小説としてでなく、通常の小説としての面白さも感じました。 メイントリック自体はすぐに思いつきましたが、いかに大広間が円形で模様など方角を混乱させる仕組みであろうと、簡単に騙せるものではないと思ってしまいました。つぎに、大広間が回転するのでは?とか考えましたが、動いたら揺れなどで簡単にわかってしまいますね。 役の人数を増やし、殺人数も増やし、こてこての密室(作中の昔話にはありましたが)なんかあったら、さらに私好みの館ものだったんですがw |
No.143 | 6点 | 續・日本殺人事件- 山口雅也 | 2018/12/28 00:37 |
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前作に引き続き、独特な世界観が大好きな作品でした。 巨人の国のガリヴァーは、リューゾーの人力車がバイクに変形するところがお気に入りですw 実在の船は、わたしの頭が悪いのか、あまり理解が出来ませんでした。ただ、非常に面白かったのでアリでした。しかし、あのメタっぽい結末は好きではありません。なんだか寂しい気分になるし、あれのせいでシリーズが終了(この続編はありませんよね?)してしまうぐらいなら、全てサムの妄想でよかったと思います。 エクボさんも出てこなかったし、前作より大分暗い印象でした。もっとたくさん、カンノンシティーの物語を見たかった・・・残念。 |
No.142 | 7点 | 五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉- 鮎川哲也 | 2018/12/24 19:52 |
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非常に濃厚な短編集でした。すべての感想を書くと、無駄に長くなってしまうので、特に面白いと感じたものだけ書きます。道化師の檻は大好きなのですが、過去に読んだ短編集にも収録されていたので、端折ります。 ・五つの時計 この小説で一番でした。蕎麦屋の問題は、あれこれ悩みましたがわかりませんでした。解決まで読み、あっ そーーか!と言ってしまいました。答えを聞いて、むしろ単純に思えるようなトリックは好みです。 ・白い密室 意外な結末で楽しめました。作中作?によるトリックや、被害者が作る密室など、面白い要素がてんこ盛りでした。犯人にとっての偶然や、多人数の嘘や思惑が絡みまくっていて、真相の推理がほぼ不可能なことが、ややマイナス。 ・薔薇荘殺人事件 第一の殺人が人間違いだったと推理するのは難しいと思いました。また、色覚異常関連は推理小説でやったら出てきますが、あんまり魅力を感じません。 ロープがあるのにサンダルを使わざるを得ない人物が犯人というのは、納得度がたかったです。ただ、犯人は自分に不利な証拠を隠したり、捜査を撹乱するような行為をしているため、"あえてロープを使わずにサンダルを使った"ことも撹乱として考えても問題は無い気はしますが・・・? 第二の殺人は突発的な感じはしますが、他にチャンスは無かったのでしょうか? 文句ばっかり書きましたが、かなり楽しめました。 ・悪魔はここに おとの面を逆さにしたのは被害者→ローマ字論者→OTOを逆から読んでもOTO…回文…? と、馬鹿なことを考えていましたw なぜ、OKAMEが思いつかなかったのか…。 クローズドサークルで、連続殺人。短編にもかかわらず、かなり盛沢山でした。作中の"私"の、絵馬子さんは天使だから殺人するわけない発言は、ヘイスティングズを思い出しましたw 私は少々、鉄道トリックや時刻表トリックの類が苦手です。しかし、この作品は満足できました。 |
No.141 | 6点 | 魔術師- ジェフリー・ディーヴァー | 2018/12/24 12:44 |
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かなり昔に読んでいた本で、大掃除をしているときに出てきました。どうやら書評をつけていなかったようです。 推理小説というよりも、テレビドラマのような感じで、とても読みやすかったです。 犯人の真の狙いも予想外でした。 はっきりとは覚えていませんが、たしか銃の暴発による死亡を装ったシーンがあったような気がします。ちょっと無理がある気もします。 |
No.140 | 5点 | ぼくらの時代- 栗本薫 | 2018/12/13 19:53 |
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自分にとっての栗本薫といえば、グインサーガです。120数巻は読んでいました(関係ない話ですいません)。 かなり文が読みやすく、すぐに読み終わりました。かなり意外な結末で、予想ができませんでした。 ただ、共犯者がかなり多く、自殺とその幇助?が結末だったため、そのためトリック的なものはなく(何でもできる)、あまり本格推理小説といった感じではありませんでした。 事件の中心人物の記述による、重要な部分を伏せて謎に見せるトリック(叙述トリック?)は、他にもたくさんあり、いまさら感があります。 この小説での一番の魅力は、自殺者たちの理由と、"ぼくら"の狙いだと思います。が、自分にはあまりハマりませんでした…。 あと、第一の自殺は自分で刺したんですよね? しかも一撃死ですよね? あれって、できるものなのでしょうか? 普通に考えると、あまりにも難易度が高い殺人だったため、"もしや自殺?"と一瞬頭をよぎったものの、"自分で背中をさせるわけがない"と思い、すぐ却下してしまいましたw こてこての本格が好きな私としては、密室が一番面白かったです。ただ、それも、犯人の意図しない密室でしたが。 |
No.139 | 7点 | そして誰もいなくなる- 今邑彩 | 2018/12/10 17:12 |
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すさまじい量の伏線とミスリードがあり、ページを戻して読み返すのが楽しい力作だと思いました。クリスティー作品顔負けのどんでん返しでした(詳しいわけではありませんが)。 なんで、孤島でも無いのに、こんなに簡単に殺されまくるんだ、警察は無能か?と思っていた自分はもう騙されていたわけですね! どんでん返しに次ぐどんでん返しですが、問題の形式(?)はなく、真相の推理自体は不可能かと思われます。ただ、こだわらなければ、非常に楽しめる作品でした。このへんもクリスティー作品顔負けでした(詳しいわけではありませんが)。 難癖をつけるようですが、最初の殺人で、演劇をめちゃくちゃにしたいだけなら、死ぬ可能性のある毒は入れないのではと思いました。洗剤をまぜるとか、炭酸コーラとかどうですかね? それでも、飲み込んで続行する可能性はありますが・・・ 皆川は、少女を自分の手では殺さないが、殺しを裏で幇助する? 防げた犯罪をあえて見逃す心情は良くわかりませんでした。 |
No.138 | 6点 | ジェリーフィッシュは凍らない- 市川憂人 | 2018/12/07 01:37 |
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ネタバレをしています。
また、だまされてしまいましたw 非常に読みやすかったです。ジェリーフィッシュ内の話、事件を追うマリア達の話、インタールードと、場面や時間や人物や真空気嚢式なんたらかんたらの説明の話が飛びながら少しずつ明かされていきますが、とても理解しやすかったです。 大掛かりなトリックも面白かったです。最初から2機あったとは思いませんでした・・・。 いくつかの解決を妄想しました。 エドワードが、全ての犯行を終えた後、あらかじめ止めてある2機目のジェリーフィッシュか気球かなにかの移動する乗り物がある地点へ、乗っているジェリーフィッシュを動かしたのかと思いました。バラバラ死体はあらかじめつんで置くか、その地点においてあるものを使ったと思いました。 また、マリアのバカ推理(ジェリーフィッシュの中にジェリーフィッシュ)ではないですが、気球的な、小型の移動手段を仕込んでいるとも妄想しました。 いずれにしても、一人だけで完遂することが難しい点と、ウィリアムがバラバラ死体(サイモンだった)をエドワードと認識した点がわかりませんでした。 以下、難癖や好みでは無かった点。 犯人以外に隠し事をしている人物が多すぎ、また亡命組はレベッカの件とは別に壮大な嘘があります。亡命を示唆する伏線はありますが、ちょっと難易度は高かったと思います。 ウィリアムがサイモンの死体をエドワードと認識した点は少々苦しいと思います。たしかに、死体を発見したときはパニックになっていたし、ややあいまいに書かれていましたが・・・ 犯人の計画が成功するかは、結構、運がいる・・・かもしれない・・・ 全体的に、大トリックを実現するために、それにあわせて少々強引な所もあったと思います。そのへんに目を瞑れば、面白かったです。 |
No.137 | 6点 | ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 | 2018/12/03 03:06 |
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ネタバレをしています。 ちなみに、最後のトリックの方を買いました。
犯人は・・・俺だ俺だ俺だーッッ この作品の前に読んだ本が読み辛い海外作品だったためか、この作品はとても読みやすく感じました。"読者が犯人"がテーマの作品ですが、それを成立させるためには何が問題か? というのがわかりやすく説明されていて、考えながら読むのが楽しかったです。 また、作中にでてくる、テレパシー姉妹のイカサマは盲点でした。前に読んだ、乱歩の作品を思い出しました。ぶっちゃはなし、これが一番アッとさせられましたw 歌詞を使うとは・・・すばらしいトリックです(実際のマジックであるんでしょうか?)。 以下、好みでは無かった部分。 "犯人"は殺意があってほしい。仮に、この結末で、読者が犯人としても、事故死だと思います。 作中で解説があった"死体が犯人"の話は、あれも死体犯人というよりは、死体が凶器なのでは?と思ってしまいました。ただ、すごい魅力的な話ですが。 被害者役は、全力で死を回避する行動をとってほしい。 読者全てに共通する点は、文字を読むことと、ページをめくることなので、それをしたときに被害者役が死ぬことが"読者が犯人"になりえることは予想しました。 極端な話、"このページをめくると物語の被害者が死ぬ"という文章があるのと同じな気はします。そんな被害者役を、現実世界にいるような人間で登場させられるか期待しましたが、やはりあまり現実的ではありませんでした。 読者が犯人のトリックがあるんだ! ではなく、読まれると死ぬ人間の話なんだ!という印象があるのですが、まったく見当違いの意見でしたら申し訳ありませんw やや話が暗い。香坂の性格の暗さがちょっとでていて、切ない感じです。 評価点をつけるのを迷いました。推理小説としてみなければ、なかなか満足な作品でした。逃げの6点・・・。 |
No.136 | 6点 | ギリシャ棺の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/11/30 19:39 |
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ネタバレをしています。※無駄に長い書評をしてしまったため、大幅に短くしました(笑)。
後半までは、容疑者一人一人を除外していく行為をを楽しめる最高のフーダニットでした。私は何度も読み返し、容疑者がいなくなってしまう事態になり、困りました(笑)。 解決編を読んだ時は、悪い意味で衝撃でした(笑)。いや、そりゃこの犯人ならば出来るだろう・・・と思ってしまいました。警察まで犯人に含めると、作中全ての登場人物のアリバイ検証をしなくてはならず、本能で犯人候補からはずしていましたね。ただ、この犯人ただ一人にしか犯行ができなかった点は非常にフェアだと思います。好みの話になってしまいますが、フーダニットにおける意外な犯人やどんでん返しは相性が悪いなぁと再認識しました。 |
No.135 | 7点 | 夜よ鼠たちのために- 連城三紀彦 | 2018/11/21 11:41 |
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ネタバレをしています。
どの話も、長編でもおかしくないレベルのどんでん返しやミスリードを含んだ短編集でした。非常に面白かったです。 ただ、1冊の本としてみた場合、推理小説としての質が似ている話が多かったです。 また、すこしだけ暗い話が多いですね。これはただの好みの問題ですが。 |
No.134 | 5点 | 死びとの座- 鮎川哲也 | 2018/11/18 06:37 |
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ネタバレをしています。
メイントリックと、プロローグによるミスリード部分がよかったです。 不要に思える登場人物や、話、場面がコロコロかわる・・・など物語の核心に迫るまでが長く、非常に読みづらかったです。読了まで時間がかかりました。何が謎なのが終盤まではっきり見えず、考えながら読むことができませんでした。 ちょっと好みではありませんでした。 |
No.133 | 6点 | 99%の誘拐- 岡嶋二人 | 2018/11/16 00:16 |
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ネタバレをしています。
今読んでもまったく古さを感じず、一気に読み終えました。 今日では、キーボードで打った文字などを合成音声でしゃべらすことは、ゲーム実況動画などでよく目にします。"アスカ"の音声が、私の頭の中では、例の声で再生されました。これを80年代後半?で書いていたとは・・・。(私はパソコンについてド素人のため、もしかしたら全くの別物かもしれませんが) 生駒慎吾の、ダイヤを回収する手段は天才的で、ハッとさせられました。 慎吾誘拐事件の動機や意外さにかけていたことは、やや不満でした。あとは、どんでん返し的要素に乏しく、その意味では地味でした。 |
No.132 | 7点 | 朱の絶筆- 鮎川哲也 | 2018/11/13 01:11 |
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ネタバレを含みます。
良いトリックでした。暗闇祝言の朱の印のトリックは何度も考え、わかったときは快感でした。また園田を毒殺したトリックもなかなか面白かったです(無目的殺人も起こる可能性がありますが)。本全体として、共犯が無いというところが取っても気に入っています。 ○以下、好みでは無い部分。 ・第一部が長いわりに、本編とはあまりかかわりが無いように思えた。最初、A~Gの主観に名前が無いため、そこに大きなトリックがある期待した。 ・めぐみ殺しが成功するとは思えない。 他にもこのようなトリックを知ってますが、犯行現場と思われる部屋に突入するときは犯人が残っていないか注意して見るもんじゃないですか? ・千恵子殺しは難易度が高い。なんとなく想像は出来たものの、絶対に殺せるものですかね? ・警察が無能すぎる。 いる意味がないレベル・・・ッッ あと、毒がどこについていたかぐらいは言えやw フーダニットとしてではなく、アリバイ崩しものとして満足です。 |
No.131 | 7点 | 名探偵はもういない- 霧舎巧 | 2018/11/07 19:28 |
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ネタバレをしています。
いろいろな仕掛けと、問題点をわかりやすくしている書き方が好ましい作品でした。いい伏線やミスリードがありつつ、時間をかけて謎を検証するのも楽しめると思います。 自分は、ある程度は真相に近いものを推理しましたが、福永が殺人(事故に近い?)を犯せたと思えず、完全には推理できませんでした。狂人という言葉が作品で使われていましたが、あるところでは下僕のようで、あるところでは殺人し、あるところでは敬虔なクリスチャンで、やや作者に都合がよいキャラクターだと思いました。 偽エラリー・クイーンを出すために登場人物紹介をだせなかったのでしょうが、わざわざそれを書いたことで別の何かを期待してしまった感じがありました。偽探偵要素はなかなか面白いですが、登場人物紹介のくだりは不要かもしれません。 ちょっと点数に困っていますw また変更するかもしれません… |
No.130 | 4点 | リアル鬼ごっこ- 山田悠介 | 2018/11/04 14:38 |
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ネタバレをしています。
文庫版です。さきほど押入れを整理していたら、この作品が出てきました。映画などで有名?で、聞いたことのあるタイトル名だったのですが、読んだことはありませんでした。数時間で読み終えるほど読みやすかったです。 だれもが知っている"鬼ごっこ"とサスペンス要素が合わさり、独特な世界観に惹かれました。またテンポが良く、すいすい読めました。 以下、好みでは無かった部分 ・王様があっけなく死ぬ。なぜああなったのかとか、もうちょい知りたかった。 ・五百万人を殺すのはさすがに現実的じゃない。死体はどうするのか? ・本筋をあまりかかわらない話が多い。伏線ともミスリードともに薄かったです。どんでん返しがほしかったです。 じいは、捕まえた佐藤さんを裏で改姓し、王様を欺き、クーデターをする・・・という結末の妄想をしました。じいにはがっかりです。教育役がじいならば、じいが一番の元凶ですね。 また、王様は佐藤姓であるが名前や年齢(最後に出る)が伏せられていて、ここにトリックがあると期待しました。が、特にそういうことも無い・・・。王が佐藤である必要も無かったと感じます。 設定がよかったけど、うまく広げた風呂敷をたためなかった印象。出落ち感がつよく、どちらかというと短編に向きだと思いました。 |
No.129 | 6点 | スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001- アンソロジー(国内編集者) | 2018/11/04 11:46 |
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押入れを整理していたら出てきて、書評をしていないことに気づきました。いろいろなタイプの短編があり、枠にとらわれない選出が東野さん的な感じがします(それほど知っているわけではないけど)。
サボテンの花と双子の家が、特に頭に残っていました。 |
No.128 | 6点 | 碆霊の如き祀るもの- 三津田信三 | 2018/11/03 18:04 |
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ネタバレをしています。
このシリーズは好きです。雰囲気がとても良く、すいすいページが進みます。また、今回は密室4連発であり、豪華です! いつもの多重解決→どんでん返しもあり、いままでの流れが踏襲されています。 竹林宮の密室による餓死は好きです。偲との会話でヒント(もはや答え?)で気づきましたが、面白いですね。しかし、腕に縛り後など残らないものでしょうか? 物見櫓のトリックも、自分は好きでした。人形的なものを使ったとばかり思っていたのですが、死後硬直は盲点でした。過去に、死後硬直を利用した作品を見ていたのに・・・ 死体が無いのもミスリードですかね。 以下、好みで無かった部分 ・結局、四つの怪談に、何かしらの解決がなかったのは少し残念。竹林は途中会話にあった狼か何かかと思いましたw ・リレーの様な殺人で、笹舟の理由も納得ですが、一人による犯行のほうが好み。 ・絶海洞のトリックはいまいち・・・。 ・他殺に見せかけた自殺→密室は嫌い。 ・ラストのお決まりのホラー要素は、なぜか怖さを感じなかった。ラストの展開によって、ゲンヤの推理が破綻するようなものを期待していた。過去作品のように。 同シリーズの過去作品に比べ、ホラー要素や意外な犯人や大どんでん返しの面でスケールダウン感は否めません。ただ、大掛かりな仕掛けがないため、逆に本格度が上がっている気もします。 |
No.127 | 6点 | インシテミル- 米澤穂信 | 2018/10/31 16:26 |
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ネタバレをしています。
この本を読む前に、テレビで映画をみてしまいました。しかも、ラストシーンだけを中途半端に見てしまった。かなり残念なことをしました。なので、中途半端にネタが割れた状態で読みました。 設定がよく、引き込まれました。だれがどの凶器を持っているのか?を考えるのがたのしい。クローズドサークルはやはり楽しい。 自殺の使い方がうまい。うまくミスリードされました。 関水の自分の凶器の偽装が天才的。日数がたたないうちにあれだけのことが出来るとは。結城がメモランダムを見つけたとき、"タイプライターで打ったような"という記載があり、それを見逃してしまって悔しい。主人側が、凶器の偽装をさせるためにあえてワープロを用意させているのだと思うと、漫画のライアーゲームを思い出します。思えば、毒殺と薬殺は被っていて怪しいかったです。 より多くの利益を出したいときは自分で殺し自分で暴くのが効率が良い、というのは盲点でした。ルールの裏をついていて、これまたライアーゲーム的です。 以下、好みでは無かった部分。 実験的にも、小説的にも、最初の自殺はどうか? 関水のように、殺人してでも金が必要な参加者を募ったほうがよかったのでは。それとも、あまり殺人する必要が無い人のクローズドサークルでの行動を実験しているのか? さらに、自殺者が主人側の意図しない自殺の仕方をしてしまっている。これを推理するのは難しい。 なぜはじめに全員の凶器を金庫に入れようとしないのか?(これは、護身用に取っておくということも考えられるが) 急にIQが下がってしまう安東w 続きがあったら買いますが、結城は次回の実験に絶対に出ないでしょうね・・・ ごめんなさい岩井。僧正読んでいません・・・海外古典作品は翻訳が古くて読みづらくて(自分の読解力不足)。 |
No.126 | 6点 | そして扉が閉ざされた- 岡嶋二人 | 2018/10/28 23:41 |
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ネタバレをしています。
ほぼ事故のようですが、主観犯人に近い?タイプで、犯人が犯行に気づいていないパターンは面白かったです。誰一人、完全に真相を知る人物がいないのがミソで、それによってあれこれ考えて話し合う構図が成立するところは今まで見たことが無く、読了後2週目をみても面白いです。 勘違いしている共犯者が2人いて、偶然に偶然が重なっているため、やや強引な印象がありますが、話として良かったです。 |
No.125 | 6点 | パノラマ島奇談- 江戸川乱歩 | 2018/10/27 11:19 |
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ネタバレをしています。
角川ホラー文庫の、江戸川乱歩ベストセレクション⑥のパノラマ島綺譚です。石榴も収録されていました。 ○パノラマ島綺譚 人見の作った人工楽園の描写が、なにかすごく不気味に感じられました。最後、人見の爆散自殺を前にしても、あまり騒がなかった楽園の人たちにも、妙に恐怖を感じました。 その一方で、過去に見た江戸川乱歩の短編よりかは狂っている度合いが低く、割かし主人公もまとも(?)に思えました。また、私の読解力が低く、人工楽園の世界もどの程度頭の中で映像化できたかわかりません;; ○石榴 個人的には、こちらのほうが好みでした。話の展開的には、旅館で知り合った猪股という紳士は"谷村"か"琴野"だと予想しましたが、結局はっきりとはわかりませんでした。自分の存在を消すために用意したトリックは面白かったです。実は途中、絹代が2人を殺した展開もあるのかとも思いましたw |