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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1667件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1667 6点 ベスト本格ミステリ2018- アンソロジー(出版社編) 2025/01/03 17:16
「ベスト本格ミステリTOP5(004)」(「同2018」の5冊のみ掲載)にて拝読。
①夜半のちぎり(岡崎琢磨) 9点 シンガポールへ新婚旅行中で新妻が殺害された。耳の一部が食いちぎられていた…最後の一行。著者による最初の殺人事件の旨
②透明人間は密室に潜む(阿津川辰海) 7点 透明人間(人妻)が殺人を犯した。その部屋に探偵と夫が入って来て施錠した。どうやって脱出するかの攻防…動機
③顔のない死体はなぜ顔がないのか(大山誠一郎) 7点 顔を潰され、指を焼かれた女性の死体。警察は身元確認のため、元夫の連れ子のDNAを依頼するが…動機の新機軸
④首無館の殺人(白井智之) 2点 雪密室。グロで気色悪いだけ、これはダメだった
⑤袋小路の猫探偵(松尾由美) 5点 髑髏のTシャツを着た男が女性用バックを持って走り去った。その後に警官がやってきて袋小路へ入って行った。目を離した瞬間、警官の姿が消えた…猫探偵のほほえましい推理、テニスボールは不要だったなあ。

No.1666 7点 刺絡・死の舞踏- シュトローブル 2024/12/29 05:16
1899~1914年の作品。著者は画家ブリューゲルやボッシュが好きとのことで拝読。彼らの絵画と同様、異次元の世界。
①首 7点 ギロチンで首を落とされた男。しかし意識は残っていた。そばにある女の首を民衆は槍に差し屈辱する。やがて男の首は女の胴体と合体する…生前の悪行、サディスティック、SF的
②ヨーナス・バルクとの冒険 6点 「無鉄砲クラブ」のバルクは、人生とは怪物の屁のようなものと言い、人生を否定し仲間二人を死に追いやった。そして会員全員を古城に招待した…バルクの正体、哲学的な皮肉
③ペール・ラシェーズの墓地 8点 一年間、大理石の部屋(亡き夫人の墓)で過ごせば大金が入る。贅沢な食事が用意され男は肥えてゆく。亡き夫人が自分の血を欲していると考える。男の恋人は中止するよう忠告するが…敵の裏をかく
④死の舞踏 5点 恋人を亡くした医学生。仮面舞踏会で骸骨姿の女に声をかけられ意気投合、喫茶店に誘うが…コーヒー一杯
⑤刺絡 6点 医師に成りすました悪魔が修道院で刺絡(悪い血を排出させる医術)を行なう…肖像画のキリストの口、地獄図
⑥レアティーズ 6点 以前、ハムレットを演じ、舞台でレアティーズ役を誤って刺殺してしまった。今度のレアティーズ役の言動がおかしい…亡霊?
⑦メカニズムの勝利 7点 玩具を開発する天才技師は独立を希望。ところが邪魔をされる。技師は街に十億の玩具のウサギを放つと宣言…ユーモア、SF。発想がぶっ飛んでいる(笑)

No.1665 6点 火神被殺- 松本清張 2024/12/23 07:31
①火神被殺 7点 昭和41年、出雲湯村温泉の山林でバラバラの白骨死体が発見された。腰部の骨がなく、そこに麦が生えていた。古事記になぞらえたものなのか?…DNA鑑定のない時代、妹の証言
②奇妙な被告 7点 金貸しの老人が殺害され、犯人はあっけなく逮捕された。凶器のことも素直に自白したが…裁判では無罪を主張
③葡萄草文様の刺繍 7点 海外でテーブルクロスを購入し、愛人にプレゼント。愛人が殺され、テーブルクロスだけが無くなっていた…妻には内緒のはずが
④神の里事件 5点 「宝物殿」内で見学者が殺害された。案内人は逃げ出したが森の中で殺害されてしまう。犯人は目撃されていない…教祖は槍が空を飛んだという
⑤恩誼の紐 4点 子供の頃、祖母が女中をしている家へ泊まることがあった。ある日、金のない父親が現れ、中の様子を窺っていた…祖母の言葉「お前を守ってやるけんのう」、子供の視点である「潜在光景」「天城越え」には遠く及ばず残念。

No.1664 7点 ウナギの罠- ヤーン・エクストレム 2024/12/16 20:06
登場人物が多いし、名前が覚えにくい。何回も表を見直した(苦笑)。前半は、誰もが動機を持ち、怪しいように描こうとしているのは分かるが、もう少しコンパクトにしても良かった。そして、最も怪しい人物を設定しても良かったような。やはり、クリスティ氏は、そういうミスリードがうまいと改めて感じる次第。後半の推理・展開は急ぎ過ぎかな?。2件の電話は好きな真相なので、あっさりし過ぎて勿体ないと思った。結婚の真相と、密室の動機は高評価。

No.1663 5点 蝶のいた庭- ドット・ハチソン 2024/12/08 16:59
蝶と監禁となれば、名作「コレクター」(ジョン・ファウルズ・1963)が頭に浮かぶ。オマージュ作品と言えるのかも?。ストーリーに謎があるわけではないので、時系列はオーソドックスな展開にした方がサスペンスフルになったと思う。つまり、主人公は生き残っているわけだから、スリル感がないのである。時系列を逆にした効果はそれほどでもなかった。著者はYA向け作品がデビューとのことで、内容はかなりグロテスクではあるも、直接的な描写は少なかった。訳者は「おぞましくてグロテスクで美しい」と言っているが、さて美しいかどうか?。

No.1662 7点 黄金の十二- アンソロジー(海外編集者) 2024/12/03 19:47
エラリー・クイーンが企画し、J・D・カー他12名が選出した短篇。未読は2編。
獲得票 8票
①オッターモール氏の手(トマス・バーグ)8点
6票 
②ぬすまれた手紙(エドガー・アラン・ポオ)8点 
③赤毛組合(アーサー・コナン・ドイル)6点 
④偶然は審く(アントニイ・バークリー)9点 
5票 
⑤健忘症連盟(ロバート・バー)5点 
⑥13号独房の問題(ジャック・フットレル)9点 
3票 
⑦犬のお告げ(G・K・チェスタトン)5点 
⑧ナボテの葡萄園(メルヴィル・D・ポースト)8点 
⑨ジョコンダの微笑(オルダス・ハックスレイ) 6点 
 病気もちの妻が死亡。夫は愛人の若い娘と内緒で結婚。ところが夫に妻殺しの噂が出始めた…女性心理を扱った、いかにも古典らしい一作
⑩黄色いなめくじ(H・C・ベイリー)5点 
⑪ほんものの陣羽織(E・C・ベントリー)4点 
 旅の途中、僧院を発見。墓石は1700年代のもの。中には古式豊かな陣羽織が飾られていた。蒐集家はどうしても手に入れたい…はたして本物? 
⑫疑惑(ドロシー・L・セイヤーズ)5点

No.1661 6点 彼は彼女の顔が見えない- アリス・フィーニー 2024/11/30 11:11
「彼と彼女の衝撃の瞬間」より、サスペンス感や謎がかなり落ちる。途中で挿入される「妻」の日記が、ちょっとダレ気味。メイントリックは7点、サブトリックの2つは6点くらいかな。400頁が300頁程度であったら7点献上といった感じです。

No.1660 9点 彼と彼女の衝撃の瞬間- アリス・フィーニー 2024/11/20 15:23
折原一、リチャード・ニーリィの両氏の大ファンとしては、たまらんサスペンス作品でした(笑)。「信頼できない語り手」と合間に挿入される「犯人の独白」。冒頭の「視点はふたつ、真実はひとつ。あなたはどちらを信じるのか?」に翻弄されてしまいました。また、過去の事件や、人物の繋がりを小出しにするテクニックや、妖しい(怪しい)女性警察官の絡ませ方など巧い。

No.1659 5点 ロンドン・アイの謎- シヴォーン・ダウド 2024/11/14 06:14
YA向け作品。トリックはこれしかないと、思いながらの読書。ところが、謎解きの9つの仮定が提示され、その一つに私の予想に近いものがあった。まあ、その応用が正解だろうと思ったが…。実はハズレ(笑)。ハズレたから言いたくはないが、完全なる後出しジャンケン(苦笑)。最重要な事項(主人公は最初から知っていた)が、9つの仮定で語られていないのだ。よって私の推理や、最も可能性のある仮定の一つはあり得なくなる。「手がかりはすべて出揃った。」とは言えず、辛めの採点となりました。悪しからず。

No.1658 6点 天涯の砦- 小川一水 2024/11/07 21:48
宇宙ステーションの平面図等はあるが、構造がなかなか理解できなかった(苦笑)。前半はやや冗長であったが、後半は、ほろりとする場面や活劇もあり楽しめた。真空状態の様子は、良く描かれていると思います。また、単なる脱出ものではなく、異質な登場人物が複雑に絡みあっている物語性は評価したい。

No.1657 8点 真夜中のマリオネット- 知念実希人 2024/10/27 17:44
いかに落とし前をつけるかが勝負のストーリー。最後の一行、サイコ系、アリバイ、フェイクなどプロットはよく練られている。新宿の裏びれたビルに住む住人。薬漬けの家出少女、DV被害者、店から逃げ出した風俗嬢など。美貌の少年は自分の身体を売った金で、彼女らを援助している。成程。うまい!。

No.1656 5点 バニー・レークは行方不明- イヴリン・パイパー 2024/10/24 20:58
娘が保育園から消えた。事故?誘拐?。話が進むにつれ、主人公の母親の妄想ではないかと思われるようなことが多く描かれる。猫が出てきたので、娘ではなく猫が行方不明という叙述もの?なんて思ったり(笑)。1956年の作品なので、まだ叙述はないか…。母親が精神的に追い詰められていく様子はうまく描かれています。ラストで超有名作の短篇をなぞり「決断しろ」には、思わずニヤリ。

No.1655 5点 四元館の殺人―探偵AIのリアル・ディープラーニング- 早坂吝 2024/10/18 06:50
SFミステリーとしての新感覚さはあると思いますが、犯人の設定、館の構造など、ここまでくると何でもありになってしまう。肯定派が多いのかな?。私は受け付けない派タイプ。残念。

No.1654 7点 ギャルトン事件- ロス・マクドナルド 2024/10/11 08:11
首無しの白骨体発見(何故、首無し)と孫息子への疑惑(根拠の乏しい感?)が気になってしまいました。まあ、ハード・ボイルドなので軽く読み流せばよかったなと後悔(笑)。プロットはよく練られていると思います。ただ、ギャング仲間の関係は省略した方が、物語はわかりやすいとは思いました。

No.1653 6点 ロールスロイスに銀の銃- チェスター・ハイムズ 2024/09/24 20:42
「墓掘り」「棺桶」と呼ばれる二人の黒人刑事。上司の命令には従わないし、勝手に逮捕者を泳がしたりと好き放題。白人が黒人を殺害しても罪にならないとの文があり、「えっ?」と思ったがそんな時代を描かいた作品なのか?(発表は1965年)。アメリカンジョークがちりばめられていますが、イマイチ理解できない(苦笑)。だが、ラストは笑えます。

No.1652 5点 切断島の殺戮理論- 森晶麿 2024/09/09 15:09
(ネタバレしています)



今、流行りの特殊設定もの。高評価の皆さま申し訳ございません。私には体質的に受けつけない作品でした。アレルギー源(3点セット)の揃い踏み(苦笑)。読み終わって3作品を思い出しました。「ダレカガナカニイル」井上夢人(人格もの~評価3点)「毒入りチョコレート事件」アントニイ・バークリー(多重解決もの~5点)「火刑法廷」ジョン・ディクスン・カー(オカルトの可否~5点)。本サイトのジャンルは「本格/新本格」(投票は1票のみ)です。もし「ホラー」「SF/ファンタジー」であれば、その心づもりで読むので、主人公の当初の人格への違和感は許容できたはず。しかし、本格ものと思っているので、どうやって説明するのか気になって気になって仕方ない(笑)。途中で「ああ、これは完全にSFもの」と判明。それはいいとして、ラストがなんとも?!。これを受け付けつけられない私は少数派だとは思うのですが・・・。

No.1651 5点 ずっとお城で暮らしてる- シャーリイ・ジャクスン 2024/09/02 17:18
「くじ」の書評は、「オチのない短篇集」。本編も同様な印象。よって、結論。ミステリーとして読んではいけない作家さんですね。少女の病んだ心を延々と読まされ、それで?・・・。一番、驚いたのは姉の年齢(苦笑)。肌に合わず残念。

No.1650 7点 血の咆哮- ウィリアム・ケント・クルーガー 2024/08/29 22:21
三部構成のハードボイルドタッチの小説。2007年の作品なので、主題の息子捜し(第一部)はインターネットの検索で、呆気ないほど簡単に見つかってしまう(苦笑)。第二部が青春、恋愛、冒険小説。愛し合った二人(メルーとマリア)はある事件で離ればなれとなる。その後、事件が起きるのだが、その情報を教えたのがマリアでは?と疑心暗鬼になるメルー。第三部はエンタメ系となるが、切ない大人の物語も挿入されている。

No.1649 7点 地雷グリコ- 青崎有吾 2024/08/21 11:23
①地雷グリコ 5点 「すごろく」で考え付いたら10点ですけど、まあ無理か。これは単に3の倍数だからね
②坊主衰弱 5点 昔からある〇〇〇〇ネタ。〇が好きな人はすぐわかる
③自由律ジャンケン 7点 3種プラス2種でのジャンケン。2種類の形を間違えると「空手」となり負ける。ルールをうまく使ったアイデアは想定外で楽しめた。また本作全体の意図が見え始める点が良い。ということは①②は小手調べと言う位置づけで、各短編としての評価ではなく、長編での評価としなければならないのかな?
④だるまさんがかぞえた 6点 早口、早歩き禁止。鬼(標的)は50文字以内、子(暗殺者)は40歩程度で5セット行なう。各回、文字数と歩数を記入する。同じ数の場合、次の賭け金は10倍。主人公は不利な子(暗殺者)を選んだ。スカッとしたオチではない
⑤フォールーム・ポーカー 9点 短篇のオチとしては本作がベストでしょう。緊迫感もあったし。ただ、一人称は1人だけにして欲しかった。「私」が3人も出てきて、ルールより、こっちの方がこんがらがったりして(笑)

No.1648 5点 血染めの鍵- エドガー・ウォーレス 2024/08/18 18:22
古典の物理的密室の嚆矢?。ロマンスもあり、決して面白くないわけではない。ただ、重要人物が知っていた重要事項を、どんでん返しにもってくれば、全然違った評価となった。あゝ、何とも勿体ない!!と思う次第。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1667件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
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松本清張(28)
アンソロジー(国内編集者)(22)
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