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[ 本格/新本格 ]
雷龍楼の殺人
新名智 出版月: 2024年08月 平均: 5.57点 書評数: 7件

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KADOKAWA
2024年08月

No.7 8点 虫暮部 2025/03/28 11:25
 私は高く評価する。多重死事件の細かな伏線が非常に上手い。その上で、二つの謎のこういう配置と連携はグッド・アイデア。
 メタでない “読者への挑戦” と言うのも珍しいが、これは挑戦と言うより “フェアネス宣言” みたいなものだろう。そしてその公約をあろうことか剥がしてしまう。ところがそのアンフェアネスがもう一つの謎を解く決め手になっているのである。
 “読者への挑戦” すら聖域にせず、或る意味土足で汚しちゃっている暴挙だけど、結構痛快に感じた。まぁあんな大仕掛けを行う動機が確かに強引ではある。
 ところでこうして考えると、これは “読者=犯人” の変形と言えるかも。

No.6 5点 nukkam 2025/03/11 09:06
(ネタバレなしです) ホラー小説家として2021年にデビューした新名智(にいなさとし)(1991年生まれ)が2024年に発表した本格派推理小説です。何とプロローグに「読者への挑戦状」が置かれ、「これより油夜島で起きる連続殺人事件の犯人は、外狩詩子ただひとりである」と宣言されているのがユニークです。しかしsophiaさんのご講評で指摘されているように何を読者へ挑戦しているのかが明確でありません。エラリー・クイーンの「Xの悲劇」(1932年)のように「読者への公開状」にした方がよかったのでは。犯人視点の描写はないので倒叙本格派ではなく、それどころか詩子の登場場面も極めて少なくて微妙にとらえどころのないプロットです。並行して誘拐監禁されたヒロイン(?)と誘拐犯との不思議な謎解き議論が挿入され、2年前の四重死亡事件(殺人か事故か曖昧)の謎解きも追加されるなど話は複雑化していきます。1980年代に国内作家によって書かれた「読者への挑戦状」付きの某本格派推理小説を連想させる、好き嫌いが大きく分かれそうな仕掛けがありました。唯一人が満たしていた条件の伏線の張り方は巧妙なものがあって感心しましたが、この条件は一般知識レベルの読者では気づきにくいかと思います。締めくくりはホラー小説家らしさを発揮しています。

No.5 5点 文生 2025/03/08 08:22
冒頭で犯人の名前を堂々とばらし、孤島にある館での連続密室殺人でさんざん期待をもたせておいてのちゃぶ台返し。個人的に嫌いではありません。すべてが反転する仕掛けは大好物ですし。しかし、惜しむらくはトリックの使い方が悪すぎます。大掛かりなトリックに対して得るものが圧倒的に少ない、というか、そんな方法で目的が達成できるとはとても思えない。頭がよさそうに振舞っている犯人がバカにしか思えず、その点が大きな減点対象です。

No.4 7点 sophia 2025/02/24 17:55
ネタバレあり

これは久しぶりに物凄く評価に苦しむ作品ですねえ。ええ、小説家が出てきた時点でアレは疑いましたが、まさかまさか。このギミックを成立させるために主人公の人格は完全に破綻してしまっていますし(それが後の因果応報の悲劇につながりはしますが)、このような強引なことをやられると私の今後の読書人生に支障を来すのではないかと戦々恐々としてしまうのですよね。それから流儀なのか何なのか知りませんがこの作品において「読者への挑戦」は必要なかったでしょう。挟まれている位置も序盤の妙なところですし、そもそも何を挑戦しているのか分かりません。オチも読めましたし4,5点を付けることも可能なのですが、読んでいる最中は面白かった(本格というよりもサスペンスとして)のは確かですし、冒頭の電話のシーンが犯人の特定につながるところなどは上手かったのでこの点数にしておきます。なお枝葉の部分になりますが、穂継と真子が戦わせるミステリ談義が結構面白かったです。

No.3 6点 みりん 2024/12/20 00:23
「犯人は外狩詩子ただひとりである」という堂々たる読者への挑戦状から始まる意欲作。Amazonレビューにも憤慨コメが多数散見され(笑)、カベホンという前評判で読み進めたので結構楽しんだ。
2つの大きな仕掛けがありますが、1つ目は前例多数のよくある奴。2つ目も前例はありそうですが、効果的な使い方がされているとは思います。真相ではないオチの方はクライマックスに引っ張るまでもなく分かってしまいますよね。まあ「完全密室」は結構好き。ところで、毒殺とかって完全密室に定義されるのでは?

No.2 6点 まさむね 2024/11/03 16:28
 富山県の沖合の島に建つ「雷龍楼」。ここでは2年前、密室で4人が亡くなる事件が起きていた。そして2年後、再び「雷龍楼」で密室事件が…。その裏では誘拐事件も起きていた…。
 むむむ…。「完全なる密室」ですか。確実に賛否両論あるでしょうねぇ。違和感満載な流れだっただけに、様々想定はしていたし、そういった着地も決して否定はしないのだけれども、「肩透かし」だけでは言い表せない何かを感じたのも事実。
 まぁ、そういった点も含めて個人的には楽しめたとは言えるのかな。でも、読んで怒りたくなる人もいるかもしれないので、あしからず。

No.1 2点 Arca 2024/10/20 02:14
私自身は割と懐が広い方だと思うのですが、これはダメでした。壁本です。
ただ、趣向は悪くない気がします…魅せ方や、ミステリとしての骨子が弱すぎるだけで。
もっとミステリ部分を練って作れる人ならば、良作になったかも?そんな可能性も感じますが、この本はつまらなかったです。


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新名智
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雷龍楼の殺人
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