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空さん
平均点: 6.12点 書評数: 1490件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.290 6点 邪悪の家- アガサ・クリスティー 2010/05/13 21:45
本作と次作『エッジウェア卿の死』については、ポアロにいつもの冴えがなかなか見られません。他の作品ではいつの間にか推測をつけてしまっているのですが。途中でポアロが容疑者の一覧と注釈・疑問点を書いて見せてくれるのも、クリスティーよりクロフツとかを思わせるぐらいです。
犯行計画そのものの出来は、悪くないという程度だと思いますが、結局使い方がうまいんでしょうね。くどいところから予想はつくのですが、殺人犯以外の登場人物たちのごまかしもあり、惑わされます。ポアロが18章で真相に気づく2つの手がかりの組み合わせは、シンプルで説得力があります。
冒頭部分でくじかれたポアロの自尊心が結局最後には妙な形で満足させられるのは愉快でした。

No.289 7点 ひとりで歩く女- ヘレン・マクロイ 2010/05/11 22:46
解説によれば「アメリカ女流サスペンス御三家のひとり」と呼ばれていたマクロイですが、本作は書き出し2ページぐらいはそれらしい感じがあるものの、その後全体の2/3ぐらいまでは不可解な謎が錯綜するいかにもパズラーらしい話です。手記の部分が終わった後の意外な展開も、知的な興味を引くようになっています。
その後、一気にサスペンス調になる構成もおもしろいところです。このサスペンス部分に入って、作者の基本的な企みにはほぼ確信が持ててしまいました。とは言え、事件の全貌に説明をつけることができたわけではないので、文句はありません。最終章の推理は、若干決め手に欠けるところはありますが、きれいに事件を解明してくれます。
解説の最後で天地逆に印刷してある〈謎〉(疑問点)と〈解決案〉については、少なくとも私が読んだ初版では〈解決案〉は示されていないのですが。ただしこの〈謎〉は簡単に説明がつくと思います。書き出しにこだわる必要はないのですから。

No.288 6点 人喰い- 笹沢左保 2010/05/09 09:09
1961年の日本推理作家協会賞受賞作。全体的にメロドラマチックな謎解きになっているのはこの作者らしいところです。
最初の姉の遺書の章は、無理やり遺書の中で状況説明をまとめてしまったような感じがして、あまり好きになれなかったのですが、その後は快調に読んでいけました。ただ、妹の視点から描かれた部分と、より第三者的な描き方の部分とのバランスが、多少まとまりを欠いているようにも感じられます。
犯人の計画の根本はクリスティーも使った手ですが、書かれた当時の社会状況などもうまく利用していて、なかなか巧妙な使い方です。ただし社長殺害については、殺害トリック自体は悪くないのですが、そのようなトリックを使う理由がないのが難点です。また、犯人指摘の決め手のひとつになる犯人のある行為にも意味が全くないので、この行為ははぶいてしまった方がよかったと思います。

No.287 7点 メグレのバカンス- ジョルジュ・シムノン 2010/05/05 15:18
8月、港町にバカンスにやってきたメグレ夫妻でしたが、メグレ夫人は虫垂炎で入院という破目に。
修道院がやっているクリニックに夫人を見舞うシーンから本作は始まります。シスターたちが行きかうその独特な雰囲気に、聖歌隊の少年だった頃を思い出すメグレ。あまりミステリらしくない書き出しですが、事件が起こってメグレが独自の捜査を始めると、このシリーズ中でもかなりサスペンスのある話になってきます。
容疑者はほとんど最初から1人に絞られているのですが、動機がわからず事件の全体像がなかなか見えてきません。その上、さらに殺人が起こり、しかも事件はまだ続きそうだという展開は、アイリッシュ等に比べるとのんびりしているようでいて、妙に緊迫感があります。

No.286 8点 ガラスの鍵- ダシール・ハメット 2010/04/30 11:41
高校の頃のことですが、最初に読んだハードボイルド小説が本作でした。その時も傑作だとは思ったのですが、それでもなぜだか、当時はあまり他のハードボイルドを読む気にはなりませんでした。このジャンルにも手を出すようになったのは、その数年後たまたまロス・マクに接してからになります。
ハメットが自作の中で最も気に入っているのがこれだそうです。その理由は知りませんが、私が読んだ4長編中、完成度は最も高いと思います(『影なき男』は未読)。また、主役の賭博師ネド・ボーモンは、コンチネンタル・オプやサム・スペードよりも孤高の正義派という印象を受けました。その点では、後のマーロウ等につながっていく人物造形ではないでしょうか。
ところで、本作ではなぜ被害者の帽子がなかったのかという疑問が、はっきり謎として提示されます。ひょっとして少しはクイーンを意識したのかもしれません。

No.285 4点 幸運の脚- E・S・ガードナー 2010/04/26 21:39
ペリー・メイスンのシリーズ第3作は、毎度お馴染みの法廷シーンがありません。裁判にまで至らず、事件は解決してしまいます。レギュラーになるバーガー検事もまだ登場していない時期です。
事件そのものは、メイスンが今回もかなり強引に法律的にすれすれのことをやってくれたりして、なかなか楽しめましたが、解決には不満がありました。
メイスンがその人物が怪しいと考えた理由は納得できますし、犯人の殺人実行経緯も偶然が過ぎるとは思いますが、まあ可能でしょう。しかし、犯人のさまざまな行動の理由がさっぱり理解できませんし、説明もまともにつけられていません。なにしろ殺人動機自体あいまいで、いつ殺意を固めたのかも不明なままです。最後になってどうにもすっきりできない作品でした。

No.284 5点 化人幻戯- 江戸川乱歩 2010/04/23 23:42
ミステリー三昧さんの言われるように最後はさすがに乱歩らしさ炸裂ですが、以前の通俗長編の八方破れなおもしろさに比べると、全体的に見てずいぶんおとなしくまとまっています。なにしろ地味派代表のクロフツの名前が挙げられたりしているくらいです。
密室についてはトリックがどうというより、ただ密室状況の概略が説明されただけの段階で、明智の解説が始まってしまうのが物足りません。それこそクロフツのように綿密な部屋の調査と、発見された事実からの推理、検証を書いていけば、それなりのものになると思うのですが。まあ、それでは明智ものにはならないでしょうね。明智にあっさり解かせるための密室という感じもします。
その明智と大河原夫妻とは面識があるのかどうかという点で、これは伏線かなと思ったところがあるのですが、どうやら作者の単なるうっかりミスだったようで。

No.283 7点 ウッドストック行最終バス- コリン・デクスター 2010/04/19 21:38
推理というか仮説をしつこく組み立てては壊していくことを繰り返すのが有名なモース警部シリーズですが、まだ第1作ということだからでしょう、本作ではそれほどではありません。実際にモース警部らしい仮説が始まるのは、全体の1/3を過ぎて彼が脚立から落ちる事故で2、3日動けなくなってしまってからです。要するに事故によるアームチェア・ディテクティヴ強制で、デクスター流が開始されたわけですね。
全体的には捜査側からの視点だけでなく、重要な事件関係者だと最初からわかる書き方で別の登場人物の視点をところどころに挿入する思わせぶりな構成になっています。
最終的な解決も、本作ではクリスティーなどにつながる案外オーソドックスな意外性が用意されています。モース警部の恋愛まで取り入れられるストーリーは、次作よりは一般向けと言えると思います。

No.282 5点 メグレ再出馬- ジョルジュ・シムノン 2010/04/17 12:24
メグレ・シリーズの中でも、ちょうど転換期にあたる作品です。本作発表後、シムノンは一時メグレものを中断し、『倫敦からきた男』や『仕立て屋の恋』等犯罪を絡めた純文学を書くようになります。
内容的にも、シリーズ中断作(終了のつもりだった?)らしく、メグレ退職後の事件となっています。刑事になったものの、悪賢い悪党どもの罠にかかって殺人の罪を着せられそうになった甥のために、田舎暮らしをしていたメグレが再出馬することになります。
最初から事件の黒幕はわかっていて、その人物をどうやって追い詰めていくかということでは、『男の首』にも似たところがあると言えるでしょうが、悪役は犯罪のプロ、一方のメグレは警察を引退してしまっているというところが、大きな違いを生んでいます。悪役の人物像を最後の対決で見せていくところが、うーん、採点としてはこんなものかなというところ。

No.281 8点 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 2010/04/14 22:10
最初の『DL2号機事件』の無茶なロジック(現実には意図的行為と偶然とを混同したこんな発想あり得ません)には、よくもこんなバカなこと考えるものだなと思いました。次の空中密室『右腕山上空』も既に書き上げていたそうですが、変てこな方をデビュー作に選ぶのですから、作者のひねくれぶりはたいしたものです。事件解決後の締めくくりがまたこの人らしい目のつけどころです。
第2作からは、もっとまともなミステリが続きます。どれもおもしろいのですが、強いて言えば『G線上の鼬』がトリックと推理がきれいにつながっていて、私的ベストでしょうか。『掘出された童話』の暗号作成の困難さも、こんな面倒なことを実行するのはこの作者だけだろうという感じです。
▽の老婦人は、作者が作者だけに、単なるひょうたんつぎ(手塚治虫の)的存在とは思えないですよね。

No.280 4点 鳩のなかの猫- アガサ・クリスティー 2010/04/12 21:37
プロローグの後、最初のうちは中東の某国国王の死と彼の所持する宝石の数々の行方にまつわる話で、冒険スパイもの的な感じです。そこから一転、イギリスの名門女子校での殺人事件という古典的なミステリになってきて、後半ポアロがついに登場すると、後はもう解決に向かってまっしぐらです。
途中で校長が「この学校は型どおりの学校ではなかったけれど、そうかと言って、型破りを誇りにしてきた学校でもなかったのよ」と言うところがありますが、これはクリスティーの目指すところでもあったと思えます。まあ、今回は伝統と革新の二要素の融合がそれほどうまくいっているとは思えません。真犯人隠匿方法などずうずうしい手ですが、意外性のすっきり度は低めです。ポアロの謎解き段階に入ってからの展開のご都合主義もちょっと甘すぎる感じがしました。

No.279 5点 通り魔- エド・マクベイン 2010/04/10 12:43
フレデリック・ダネイは来日した時、マクベインの小説作法に対して、1つの長編の中でいくつかの話を並行して書いて、各々別の結末をつける安易な構成だと批判的な意見だったそうですが、本作を読むとなるほどと思えます。
たとえば別の分署で起こった猫の連続盗難事件の話のオチは、バカミスと言うかボケミスと言うか、個人的には笑えました。しかしその事件をなぜ本作の中で語るのかと言えば、大都会ではそんな事件も起こるから付け加えたのだ、というだけでしょう。メイン・ストーリーにからんでこないのです。訳者あとがきでは寄せ鍋という言葉が使われていましたが、むしろさまざまな小料理の取り合わせという感じがします。その中で気に入ったのはクリング巡査の恋愛話でした。
文章はところどころでしゃれた表現を連ねているのですが、チャンドラーやアイリッシュのように文章が雰囲気を決定づけるという感じではなく、ただ気取っているだけに思えるのが難点です。

No.278 6点 アムステルダム運河殺人事件- 松本清張 2010/04/05 22:17
外国を舞台にして日本人が殺される中編2編が収められています。
『アムステルダム運河殺人事件』は現実のバラバラ殺人事件に取材したものだそうです。首無し死体テーマですが、首と手首を切り落とした理由がなかなか意外で、松本清張には珍しく純粋な謎解きが楽しめます。途中で、やはり現実の事件をモデルにしたポーの『マリー・ロジェの謎』をかなり長々と解説までしているところからしても、作者がこの推理の着眼点には自信があったことがうかがえます。
『セント・アンドリュースの事件』はゴルフ発祥の地と言われるスコットランドの町での事件。これも謎解き中心の作品ですが、その地への旅行計画から話は始まり、なかなか事件が起こりません。トリックは悪くないのですが、もっと短くてもよかったかなと思えました。

No.277 7点 可愛い悪魔- ジョルジュ・シムノン 2010/04/02 21:37
本作もハヤカワ・ミステリのシリーズから出ていたので評価対象にしていますが、ミステリ度は非常に希薄です。それでもあえて評価対象とした以上、ミステリ度がどうであれひとつの作品そのもの(エンタテインメントあるいは芸術)として評価すれば、この点数になります。
主人公悪徳辣腕弁護士(ペリー・メイスンのような意味で)の一人称覚書スタイルで書かれた作品です。しかし裁判でのスリリングなかけひきもありませんし、最後に起こる殺人にしても、その結末に向かっての伏線を張った収束感はありません。それでも、弁護士の独白の味わいには、何とも言えないうまみがあるのです。
発表2年後の1958年に映画化され、本のタイトルも映画邦題のままです。原題は「もしもの場合」「緊急時のために」といったような意味合い。
映画版は見ていないのですが、可愛い悪魔という言葉が似合うブリジット・バルドーとは、原作から受けるイヴェットの印象はかなり違い、むしろみすぼらしい感じがします。弁護士も自分でガマガエルみたいだと言うのですから、ジャン・ギャバンのかっこよさはありません。しかし、そこが味なんですねぇ。

No.276 8点 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2010/03/30 21:32
「本格派」的な観点からすれば、確かに厳しい評価もあるでしょう。
まあ「僧正」には意味がありましたが、マザー・グースの詩にあわせた見立て殺人に、明確な理由はないのですから。結局最後にヴァンスに解説されて、ああそうだったのかと感心するようなところは全くないとさえ言えます。さらに各殺人の犯行過程も、それほど巧妙とは思えません。
それにもかかわらず、個人的にはこの犯人の思考経路、納得できるのです。第21章での犯人の心理分析は、ヴァン・ダインの薀蓄披露の中でも、ミステリ要素との融合が特にうまくいっているものではないでしょうか。ヴァンスがある人物を容疑圏外に置く理由もうなずけます。
なお、事件解明後の最後数ページはクイーンの某有名作との類似を指摘できるでしょう。クイーンは本作のこの部分に不満があったのかどうか、暗示的できれいな形にまとめていますが。

No.275 7点 狼は天使の匂い- デイヴィッド・グーディス 2010/03/26 21:51
フランス映画界で人気のグーディス。原尞の解説で、映画は本作を元にジャプリゾが脚本を書いたものだと知ったのですが、グーディスとジャプリゾが私の頭の中でごっちゃになっていたところがあったということは、以前にそのことをどこかで読んでいたのかもしれません。クレマン監督による映画は見ていないのですが、映画粗筋を読むと、登場人物設定を除き全く別物になっています。
小説は、完全に主役の青年ハートの視点から書かれていて、彼の心理描写がたっぷりあるのが特徴です。彼の目から見られた犯罪者一味のボス、チャーリーがなかなか魅力的に描かれています。ハートが警察に追われることになった殺人の顛末が最後近くになって回想の形で明かされますが、ちょっとした意外性がありました。
原題"Black Friday"(13日の金曜日)からもうかがわれるなんとも暗い結末が余韻を残します。ただ犬の問題だけは、説明を安易に放棄してしまっているとしか思えませんでした。

No.274 8点 陰獣- 江戸川乱歩 2010/03/23 22:13
本作に登場する謎の男の名前は平田一郎、一方乱歩の本名は平井太郎ですから、そこからしてもね。
『屋根裏の遊戯』を中心に、最後には『パノラマ国』だの『一銭銅貨』だの、大江春泥作とされる小説のタイトルが挙げられていて、自己パロディ色が強い作品です。もちろんユーモア・ミステリではないのですが。乱歩自身は、その春泥と作中の「私」こと寒川の理知的な両面を持った作家と言えるでしょうから、そのあたりの自己分析も興味深いところです。
リドル・ストーリーといっても、まず筋道の通った解決をつけた後、本当にそれがすべての真相だったのかどうか、不安を感じたまま終わるというだけですから、ちょっと中途半端な気がしなくもありません。ただ、小山田氏の死因についての説明は筋は通っていても根拠薄弱なので、それをカバーしているとも言えそうです。

No.273 7点 ヘラクレスの冒険- アガサ・クリスティー 2010/03/19 21:45
ポアロのファースト・ネームはHercules、フランス語ではHを発音しないので、エルキュールになるわけです(たとえば『レ・ミゼラブル』のユーゴーの綴りはHugo)。
ヘラクレスの12の難業になぞらえた事件をそろえた連作短編集で、ギリシャ神話との結びつけのほとんどは無理やりなこじつけですが、内容的にはバラエティに富んでいて、なかなか充実しています。特に気に入ったのを挙げると…
『ステュムバロスの鳥』は1ヶ所いくらなんでも無茶なところはありますが、非常に巧妙に組み立てられています。『クレタ島の雄牛』は発端がポアロに依頼するような事件と思えない点を除けば、すべての要素が最後にきれいに収束していきます。『アウゲイアス王の大牛舎』でのポアロの大胆な策略もなかなか見事。たいしたことのない謎解きよりその後の幕切れが印象的な『ヘスペリスたちのりんご』も意外に好きですね。

No.272 5点 メグレと優雅な泥棒- ジョルジュ・シムノン 2010/03/17 21:52
パリ郊外、ブローニュの森で発見された優雅な泥棒(原題によれば怠惰な泥棒ですが)キュアンデの死体。メグレは連続強盗事件の捜査指揮を執っている最中だった、という導入部です。
こういう書き出しだと、普通その2つの事件がどうつながってくるかというところが興味の中心になりますが、そのような展開を期待していると肩すかしを食います。本作では結局2つの事件は交わることなく、それぞれの決着を見ることになるのです。
一方は殺人者が司法の手間をはぶいてくれたと言われんばかりの扱いをされる泥棒殺し、もう片方はマスコミで大きく取り上げられる強盗事件、その両極とも言える2つの事件を対比させ、泥棒殺しにおける被害者の風変わりな性格や人情味の方により興味を引かれるメグレ警視の視点を描くのが、作者の狙いです。
その狙いはわかりますし、地味(滋味)と派手の描き分けもさすがの手際ではありますが、後は好みの問題で、この点数ということで…

No.271 7点 出口のない部屋- 岸田るり子 2010/03/14 20:37
前作が鮎川哲也賞を受賞した密室ものだというので、オーソドックスな謎解きミステリを想像していたのですが、これは…
構成がまず、プロローグのレベル、作中作の出口のない部屋のレベル、そしてその部屋に集められた3人の人物の過去の事件のレベル、と3段階に分かれ、中盤まではミステリらしくなく、むしろじっくり型サイコホラー系を思わせます。
3人の人物の話がどうまとめられてくるのか。そしてプロローグとどうつながるか。3人目の話からそれが見え始め、2/3を過ぎるあたりからは話の展開も一気にミステリになります。まあ、個々の殺人トリックはどうということもありませんし、推理で謎が解かれるわけでもありません。構成の妙と人間心理の描き方で読ませる作品です。しかしエピローグはやっぱりホラーっぽいところがあるなあ。
プロローグを過ぎた後、すぐにある奇妙な点に気づいたのですが、読み終わって考えてみるとやはりそれが意味を持っていましたね。

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空さん
ひとこと
ハンドルネームの読みはとりあえず「くう」です。
好きな作家
E・クイーン、G・シムノン
採点傾向
平均点: 6.12点   採点数: 1490件
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