皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
[ 本格 ] 黒い蘭―ネロ・ウルフの事件簿 ネロ・ウルフ、中編集 |
|||
|---|---|---|---|
| レックス・スタウト | 出版月: 2014年10月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 論創社 2014年10月 |
| No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2026/07/03 16:16 |
|---|---|---|---|
| その昔「EQ」みたいな海外ミステリ雑誌だと、巻末ビッグボーナスと銘打って、ネロ・ウルフの中編がよく載っていたものだよ。適当な長さと貫目があって、お馴染みキャラでクオリティも一定しているわけだから、編集者はホント重宝したろうなあ。評者とかはネロ・ウルフ中編って親しみがあるよ。
だからネロ・ウルフ長編は未訳が山のようにあっても、実は中編の未訳はそんなになかったわけだ。ここにきて論創社で中編集が立て続けに出たことで、ほぼ未訳はなくなってきているんじゃないのかな。でその論創社の中編集第一弾である。 「黒い蘭」。フラワーショーに出展されたライバル蘭栽培家が出展した「黒い蘭」を、そのフラワーショーの余興舞台で起きた殺人事件解決にからめて、ウルフがせしめる話(苦笑)。どうしても「黒い蘭」が見たいウルフは、重い腰をあげてフラワーショーにまで光臨するのがギミック。150ページほどでやや長め。 「献花無用」。ウルフの親友でシェフのマルコの恩人にかかった殺人容疑を晴らすために、「友情の還付」としてマルコの依頼を受ける。チェーンレストランの未亡人経営者の夫に居座った男と家族の対立が、この事件の背景にあった... 「ニセモノは殺人のはじまり」。役者たちのために気前よく下宿を運営するハッティーが巻き込まれたニセ札事件は殺人に発展。ニセ札を追う財務省秘密検察局・クレイマー警部との三つ巴に介入するウルフ。 というあたりで、ウルフ&アーチ―の活躍を存分に楽しめる3作。長編だとさらに二波瀾くらいあるのだけど、中編はシンプルに事件に集中できる良さがある。ウルフものの良さはやはり中編に凝縮されているようにも感じるな。事件はシンプルでも、ウルフがやる駆け引きの妙が主眼になるから、その分「らしさ」はじっくり楽しめるというものだ。 今回どうかな、ハッティ―のキャラの楽しさが一番印象に残るから「ニセモノは殺人のはじまり」が一番いいかな。出来不出来の少ないシリーズではあるし、中編は特にそう。ならば、当時の読者が歓迎したのも当然というものだよ。 |
|||
| No.1 | 6点 | nukkam | 2014/10/20 09:06 |
|---|---|---|---|
| (ネタバレなしです) スタウトのネロ・ウルフシリーズは長編33作が書かれていますが中短編も結構あり、生前に13もの中短編集が出版されています。収められた作品は最少で2作、最多でも4作ですからほとんどが中編かと思われます。1942年発表の第一中編集「黒い蘭」は表題作と「ようこそ、死のパーティーへ」の2作品を収めたのが米国オリジナル版ですが、論創社版は後者を除外して代わりに第4中編集(1950年)から1作、第12中編集(1961年)から1作を選んで独自編集したものです。国内初の単行本化は読者として大いに感謝しますし独自編集を否定するつもりもありませんが、本書のアーチー・グッドウインによる作品紹介を読むと「ようこそ、死のパーティーへ」も黒い蘭絡みの事件のようで、米国オリジナル版をそのまま翻訳してもよかったのではという気もします。とはいえ論創社版に収められた3作品はどれも面白く、特にウルフやアーチーに臆することのない(容疑者でもあるのですが)依頼人が痛快な「ニセモノは殺人のはじまり」は私の1番のお気に入りです。 | |||