皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 第三の男 |
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グレアム・グリーン | 出版月: 1951年01月 | 平均: 5.67点 | 書評数: 3件 |
早川書房 1951年01月 |
早川書房 1955年01月 |
早川書房 1979年09月 |
早川書房 2001年05月 |
No.3 | 5点 | クリスティ再読 | 2020/12/07 21:32 |
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評者がこういうことを言うと何なんだけど、映画「第三の男」って名作と思ったことがないんだよ。いや、スチルは凄くカッコイイんだ。だからスチルのカッコよさに期待して映画を見ると、確かにスチルで見た場面は、ある。けどね、脳内で夢見られた「映画」には程遠い出来のようにいつも思ってしまう...要するに、映画的な面白さというよりも、スチル写真的な面白さでこの作品は出来ているんだ。あと言うと、この作品の「名場面」って、コトバで説明しやすい。まあだから、論評で褒めるのがやたらと易しい映画なんだと思う。
でその原作、というか映画を作るためにグリーンが書いた「小説」。けど意外にヘンテコな小説。キャロウェイ少佐の視点で書いているはずだけど、マーティンズの心理描写になったり、視点が動揺していて??となったりもするし、描写も説明不足でわかりづらい。マーティンズのハリー・ライムへの執着は、映画以上に同性愛的な感情のように見える。映画ではアメリカ人の単純さ・鈍感さという風に流れていくけどね。けどさ、イギリス人(小説)の西部劇作家というのも、フェイクなニセモノのわけだし、西部劇に同性愛のニュアンスを感じる、というのもあるんだよ。 まあ、映画もそうだけど、小説も妙に突き放したクールさがあって、そこがこの作品の場合、「良い」というよりも、「??」という方の印象になっているようにも感じる。ハリー・ライムって何なんだろう。大人コドモの部類なんだろうか。オーソン・ウェルズの個性からみると、そんな風にしか思えないなあ。悪党にしては、単に無責任なだけみたいだし。 というわけで、映画・小説共に「褒めない」のが評者の選択。アリダ・ヴァリは「かくも長き不在」あたりが一番キレイに思う。 |
No.2 | 6点 | 斎藤警部 | 2016/09/27 06:50 |
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文章がいいんですよ。硬くて暗くて冷たい情感。適当なページを捲ってたまたま目に入った文を少し読んで悦に入ったり気を引き締めるのに最適でした。物語としては特にどうと思いません。先に観た映画も似たような印象。でも本作のちょっとした「歴史の証人」感は素敵です。 |
No.1 | 6点 | 臣 | 2010/11/16 09:37 |
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著者自身の序文によれば、本書は読んでもらうためではなく、見てもらうために書いたとあります。いきなり脚本を書くのではなく、あくまでも原作小説を書くところがグリーン流なのでしょう。
主人公のロロ・マーティンズは友人のハリー・ライムに招かれて第2次大戦終結後のウィーンにやってきたが、そのときすでにハリーは死んでいた。 この衝撃的な冒頭シーンから始まるスリラーは映画と同様、終始、謎とサスペンスに満ち満ちています。映画向けなせいか、余分な贅肉はついておらず、映画そのものといった感じです。 脚本みたいなものだから当然、原作にも映画で有名な大観覧車の中の再会シーンや、下水道の中の追跡シーンがあります。でも名場面であるラストは映画とはまるで違っていて、グリーン本人も認めるように映画のほうが断然決まっています。原作では綺麗にまとめようとしすぎたみたいです。 映画との合わせ技なら7,8点ですが、原作だけなら点数はこんなところです。 |