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[ パスティーシュ/パロディ/ユーモア ]
負けた者がみな貰う
グレアム・グリーン 出版月: 1956年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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筑摩書房
1956年01月

早川書房
1979年09月

早川書房
2004年12月

No.1 6点 クリスティ再読 2020/03/30 20:57
グリーンやらなきゃ、と思っても、意外に古本が転がってないんだね。もうちょっとリキ入れて探そうとは思ってるんだが....「密使」とか「おとなしいアメリカ人」とか「ハバナの男」とか、早くやりたいよ。で、転がっていた本作を手に取った。
まあこれ、グリーンでも純文じゃなくてエンタメで、コミカルでシニカルな恋愛喜劇。こんなのも書けるんだなあ。中年会計係の「ぼく」はケアリーとの結婚を控えていたが、勤め先の「大物」の気マグレに付き合わされて、モンテカルロで結婚式を挙げるハメになった...その「大物」はなかなか二人のもとに来ない。豪華リゾートでお金に困りだした二人は、一発逆転を狙ってカジノに赴くが、「ぼく」の意外な数理の才?が発揮された「システム」によって、大儲けをしてしまう。しかしそれが「ぼく」と新妻ケアリ―のスレ違いの始まりだった!金持ちになった「ぼく」なんて、ケアリーにとっては魅力ゼロなのだ....二人ともアテつけるように別な男女を寄せ付ける。そのころようやく「大物」がモンテカルロに到着し、年の功で「ぼく」にあるアイデアを授ける...
という話。まあセンチメンタルで陽気な上出来なオハナシ。「大物」の策はなかなか気が利いている。「カトリック作家」というのを意識しすぎるのも何かもしれないんだが、やはり賭博というものには形而上学的な味わいがあるものだ。賭博狂のパスカルの話がよく引き合いにだされるわけだけど、「神の存在を賭けによって問う」護神論を連想するのは仕方のないことだ。神なしに自身の才知で「システム」を作り儲けた「ぼく」は、それを通じて「本来のぼく」=ケアリ―からずっと離れてしまい、帰ってきた「神」=「大物」が授けた「賭け」を逆用した「策」によって自分と和解する話、とか読んでもおかしくなんだろうね。賭博にハマる、こんなバカな「ぼく」に可愛げがあるしねえ。
まあ、それにしても、気が利いた話には違いない。「大物」の策がなかなか秀逸だから、それでもトンチの効いた最広義の「ミステリ」に入るかな。


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グレアム・グリーン
1981年05月
ジュネーヴのドクター・フィッシャー あるいは爆弾パーティ
平均:6.00 / 書評数:1
1979年12月
ハバナの男
平均:7.00 / 書評数:2
1979年07月
ヒューマン・ファクター
平均:8.50 / 書評数:4
1978年06月
もうひとりの自分
平均:7.00 / 書評数:1
1959年01月
事件の核心
平均:6.00 / 書評数:1
恐怖省
平均:6.00 / 書評数:2
1956年01月
おとなしいアメリカ人
平均:6.00 / 書評数:1
負けた者がみな貰う
平均:6.00 / 書評数:1
1953年01月
スタンブール特急
平均:6.00 / 書評数:1
1952年01月
拳銃売ります
平均:8.00 / 書評数:1
ブライトン・ロック
平均:7.00 / 書評数:1
情事の終り
平均:6.00 / 書評数:1
1951年01月
第三の男
平均:5.67 / 書評数:3
密使
平均:6.50 / 書評数:2