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[ 本格/新本格 ]
鏡の中は日曜日
石動戯作シリーズ
殊能将之 出版月: 2001年12月 平均: 6.71点 書評数: 35件

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講談社
2001年12月

講談社
2005年06月

No.35 8点 猫サーカス 2021/06/26 18:38
一九八七年、鎌倉に住む仏文学者の邸で訪問客の一人が殺害された。居合わせた名探偵・水城優臣の推理によって、事件は解決されたかに見えた。しかし二〇〇一年、探偵の石動戯作のもとに、事件の再調査をしてほしいという依頼が持ち込まれる。犯人は誰か、トリックは何かといった謎解きのパーツを個々に取り出せば案外月並みだが、本書において解かれるべき謎の核は、そもそもこの作品の中では一体何が起こったのかという点にある。推理の前提となるべき条件が次々と覆され、それに伴って事件の全容そのものが絶えず微妙な変貌を遂げてゆくのである。屈折したユーモアのセンスも含め、尋常ならざる才気に裏打ちされた小説である。

No.34 6点 ミステリ初心者 2021/05/22 18:52
ネタバレをしています。新書版を読みました。

 一度書評を書いたのですが、ミスで消えてしまいました(涙)。なので、簡単に書きます。
 
 非常に多くの叙述トリックが盛り込まれており、厚みを感じる作品でした。14年前の事件を、作中作で追っていく内容なのですが、その作中作の疑問点が、水城の性別の認識をずらしたり、第一章の人物の認識をずらす叙述トリックの伏線やヒントになっているところが良かったです。
 彼女と男が接近するたびに嫉妬と警戒をする田嶋が、なぜか水城には無警戒な点は私も訝しく思っていたのですが、水城が女性というところまでは気づけませんでした。これだけ性別詐称トリックを読んでいて、また騙されて悔しいです(笑)。

 以下不満点。
 多くの叙述トリックが盛り込まれていて良いのですが、ひとつひとつは既視感があります。この本ならではの要素があるともっと高得点でした。特に性別詐称トリックは、もう10冊は読んだ気がします(笑)。

No.33 9点 Kingscorss 2020/08/28 23:27
殊能将之さんの大ファンです。点数も超甘めです。必ず文庫本の方で読んで下さい!

石動戯作シリーズ第三段の本格ミステリー。前作の黒い仏はバカミスだったので、そこで殊能将之さんを読むのやめた人結構いると思うと残念なんですが、今作はめちゃくちゃ切れてます!

ファンとして、氏の最高傑作はハサミ男でなくこの作品だと断言できます!ただ、ただね。。。条件付きなんです。。。それは、石動戯作シリーズをちゃんと前二作読了してて今作を読んでること。既に手垢のついているあの叙述を許せるかどうか。殊能将之さんの洗練されすぎた文章(洗練されすぎて逆に読みにくいところが多々ある)に耐えれるか。

(´ε`;)ウーン… 条件たくさんあるなぁ。。。

内容は、帯とかにも書いてあるんですが、冒頭でいきなり石動戯作は殺されます。衝撃的です。そこからどうしてそうなったかの話になり、そして二人目の名探偵、水城優臣が登場します。この探偵、最初はあまり好感持てないんですが、真相まで行くとめちゃくちゃ魅力的になるんです!一方、今作も石動はかなりマイペースなユルいキャラです。対して水城はキレキレです。過去に水城が解決した事件を現在の石動が再調査という形で話は同時進行します。このへんの構成がまためちゃくちゃうまいんです。そして石動戯作殺害の真相がまた衝撃的なんです!これ以上語れないのがつらい。

とにかく最後の真相(元名探偵の水城)がかっこいい!やられた感半端ない。そして少しホロリとする。最高の読後感。

前作黒い仏で本を投げてしまい、脱・殊能将之になった人も是非読んでほしい。この本読まないのはもったいなさすぎる。。。評価の低い方の理由もわかるです。”アレ”が許せないんですよね?わかります。でもアレ抜きでも面白いと思うんです。未読の人、必ず美濃牛と黒い仏読んでから読んで下さい!!

ここまで絶賛してしまいましたが、作名はもっと内容が推測しやすいもののほうがよかったんじゃないかなぁと思いました。未だにあのタイトルの意味わからない。。。
梵貝荘殺人事件とか梵貝荘の秘密とかシンプルなやつでよかったと思う。。。

No.32 7点 ぷちレコード 2020/07/22 20:13
ミステリへの「逆説的な視点」を内包しつつ、ミステリを熟知した「仕掛け」が詰まっている。作者の企みが見抜けなかったのが悔しかった。
読み終わってから、伏線やミスディレクションを探し、読み返すのが楽しかった。

No.31 7点 sophia 2019/06/05 23:08
綾辻行人の館シリーズへのオマージュのようですが、特に水車館と迷路館の影響が濃く感じられます。構成が非常に凝っており、一気に読ませる力があります。殺人事件の方は何てことないんですが、メインテーマは別のところにあり、そこをどう評価するかといったところでしょうか。私が新本格に傾倒していた十数年前にこの作品を読んでいればもう少し高い評価をしたかもしれません。お寺の場所を尋ねられるくだりの漢字表記がちょっと引っかかりますかね。タイトルの由来は何となく分かるような気もしますが、作中で言及が欲しかったところです。

No.30 6点 パメル 2019/02/25 12:46
14年前の鎌倉の梵貝荘で起きた殺人事件を再調査してほしいという依頼が石動戯作に入る。石動戯作シリーズ第3弾で、綾辻行人氏の館シリーズのオマージュ的要素がある作品。
第1章は、正体不明の「ぼく」の視点から描かれ、その世界は何もかもが曖昧なまま。しかもそこに、回想シーンのように意味ありげな文章が挿入され、ますます混沌としていく。第2章に入ると、小説としての「梵貝荘事件」と現実の「梵貝荘事件」が交互に描かれ、徐々に何となくぼやけていたものが輪郭を見せることになる。
読み難かったというのが正直な感想。本格ミステリに対する愛を感じる作品ではある。しかし、ここまで構成やトリックを複雑にする必要があったかは疑問が残る。(ひねくれた愛?)
また、騙された感はあるが、この驚きを引き出すための設定が狡猾に感じる。

No.29 8点 tider-tiger 2017/10/18 07:56
仕掛けが多くてわけがわからなくなる。凝りすぎにして(ミステリを)愛しすぎな作品。
ミステリを破壊しつつミステリの形式美を再確認するといういささかの矛盾を孕んだ作品です。
キモは作中の以下のセリフだと考えています。長いので一部を抜粋します。
「形式によって生じる美や意味というものがあるんじゃないでしょうか。まったく自由奔放に書くことが、はたして想像力の発露といえるかどうか、わたしには疑問ですね」
「孤高の詩人とファッション好き、この二つは対立するものじゃなくて、その総体がマラルメという人物だったんじゃないか……」

言葉の意味は不明だが形式には忠実、こういう詩は美しいといえるのでしょうか。
さて、では、リアリティはなくて、ミステリの遊戯性、論理性には忠実な本作の動機をどう評価しましょうか。
一般的な見地では、本作の動機は無茶苦茶だと思います。
「そんなことで人を殺す奴なんかいるか!」作中のとある人物も言ってます。
ですが、ミステリの形式美に背いてはいないように思えるのです。ミステリとしては美しい。
本作の各所に見られるリアリティのなさ、ご都合主義は問題にしません。
(問題にするという御意見も至極当然だとは思います)
本作はミステリについて考察するためのミステリともいえるからです。
むしろ、動機にリアリティがないほうが合目的性があるとさえ自分は考えます。
本書について惜しむらくは、ケレン味のなさ。いまいちインパクトが弱い。
ついでに、『鏡の中は日曜日』このタイトルは素晴らしい。

No.28 6点 いいちこ 2016/06/14 17:13
本格ミステリへの深い愛情や、その愛情故にミステリの破壊に向かうスタンスには好感。
もはや作家の立場を超え、評論家の立場から著された作品とさえ感じる。
トリックの二番煎じに対する指摘も散見されるが、作品の性格やプロットにおける位置付けを考えれば、有名すぎる代表作よりは高く評価したいところ。
トリックの副作用であるご都合主義があまりにも強すぎるため、大きく減点してこの評価とするが、上記性格から本格ミステリとしての評価に相応しい作品とは言えない

No.27 8点 ニックネーム 2015/12/28 18:40
こんな奥さんがいたらいいですね。

No.26 7点 メルカトル 2014/07/10 22:20
錯誤トリックを多用し、そちらに重点を置いているのに対して、肝心の殺人事件のほうがいかにもショボい。さらに、その動機にいたってはどう考えても無理があるとしか思えない。そんな理由で殺人を犯しますか?って感じでね。確かにそのための伏線は張られているが、正直そのくだりは退屈だったし。
石動は一応主役だと思うけど、なんか水城のほうが格好良くて、探偵としての格の違いを感じてしまう。まあ今回は狂言回し的な役どころに敢えてされているので、致し方ないのかもしれないが。
と、どうでもいいような、個人的に気になる点をあげつらったわけだけど、作風は私好みだ。最後まで読み終わったら、第一章をもう一度読み直すと、最初は霞がかかったように見えてこなかった部分が、スッキリとして納得できるので、試してみると面白い。
それにしてもエピローグに当たるエンドロール的な結末は、凄くいい味わいだと思う。年月を経ることの残酷さが、悲哀となって身に染みてくる。ある人物の言動がやけに痛々しくもあり、またいたいけにも感じる。
本作は本格でありながら、異色のミステリであり、また二人の探偵物語とでもいった趣がある。面白かったし、心に残る逸品じゃないだろうか。

No.25 6点 E-BANKER 2013/04/05 15:43
2001年に発表された作者の第四長編。
シリーズ探偵である石動戯作の探偵譚だが、謎の名(?)探偵・水城優臣がストーリーを彩る異色&ある意味“実に作者らしい”作品。
ノベルズ刊行時に読了していたので、10何年か振りに再読。

~梵貝荘(ぼんばいそう)と呼ばれる法螺貝様の異形の館。フランス文学の異端児・マラルメを研究する館の当主・瑞門龍司郎が主催する「火曜会」の夜、奇妙な殺人事件が発生する。事件は、名探偵の活躍により解決するが、十数年を経た後、再調査の依頼が現代の名探偵・石動戯作に持ち込まれる。時間を超え交錯する謎また謎。まさに完璧な(?)本格ミステリー~

殊能将之が「館もの」を書くとこんなふうになるんだなぁー、っていう感想。
巻末の「参考文献」として、綾辻氏の「館シリーズ」諸作が堂々と掲げられているなど、本作は「館シリーズ」プラス、氏の代表作「ハサミ男」と表現するのがしっくりくる。
大きく三章に分かれる筋立て。謎の第一章を過ぎると、ようやく本筋の殺人事件が現れる。
過去と現代のパートがそれぞれの視点人物によって交互に語られる第二章に作者の企みがタップリと詰め込まれている。
(この辺は、まさにこの頃の「新本格」という味わいで、鼻に付く人には鼻に付くんだろうなぁ・・・)

そして、タネあかしとも言うべき第三章で、超弩級の「叙述トリック」が炸裂する・・・
って、多くのミステリーファンなら「今さらこのネタ!」って思うに違いない。
なにせ、「作者といえば」という例のネタなのだから・・・
確かにこれは賛否両論になるというのはよく分かる。

でも、まぁ個人的にはそれほど悪い気はしなかった・・・
(これは、作者の作品を久し振りに読んだという理由が大きいのだろうけど)
他の方の書評を見てると、かなり極端な評価になっているようだが、ミステリーの「遊戯性」にフォーカスを当てるのなら、まずまず面白いのではないか、というのが正直な評価。
ただ、やっぱり二番煎じという指摘には首肯せざるを得ないだろうし、あまり高評価は無理かな。

ところで、先ごろ殊能氏死去のニュースをネットで見かけ、返す返すも残念な気がしてならない。
本名も死因も公表されないというのが、覆面作家として活動していた作者らしいが、著作が途絶えていたのはやっぱり健康面の問題だったということかなぁ。
合掌。

No.24 6点 TON2 2012/12/10 16:56
講談社NOVELS
 石動戯作は狂言回しで、真の名探偵として水城優臣が登場します。てっきり男と思っていたら女性でした。
 題名は食指をそそるものではありませんが、面白かったです。

No.23 7点 蟷螂の斧 2011/10/12 18:27
「ハサミ男」より本作品の方が好きです。(ネタバレあり)叙述トリックが5つ?も用意されています。前記作品のメイントリックも使用されていますが、その他のトリック(誤認)の方がメインだと思いました。

No.22 8点 seiryuu 2010/07/16 18:14
見事にだまされました。
でもこれはだまされても気持ちいい。

No.21 4点 touko 2009/01/23 01:57
介護はそこに愛があったとしても、こんなロマンティックなもんじゃないって! こういうヒロイン(女の面倒臭さがまったくなくて、合理的思考の持ち主で、しかも美人で母性的で献身的)って、男にとって都合よすぎて鼻につきました。せめてニューハーフにでもしておいてくれればなあ(笑)。
とにかく、個人的に色々な意味で後味が悪かった(ぶっちゃけキモかった)です。

No.20 7点 VOLKS 2008/07/11 10:06
正直、残念な種明かしではあった。氏の作品は好きなのだが今回に限って言えば「ヤラレタ感」は薄かった。
石動のキャラが定着してきて安心する。今後はまたアントニオがもっと活躍してくれることを望む。

No.19 2点 sasami 2008/07/05 07:36
読者にはわかるはずもないことを作者が勝手にやってるだけ。しかもつまらない。
結局ほんとありえない動機のふざけた殺人事件だったって話だし
「だから何?」って感想。

No.18 7点 dei 2008/05/07 21:37
昔はこーゆーの大好きだったんだけどなぁ・・・
慣れてしまったのか昔ほどは楽しめず

No.17 6点 nishi 2007/11/03 18:15
面白い…けどこれはなしかな…

No.16 3点 yoshi 2007/10/26 12:29
性別誤認トリックを二度も使うとは、この人はよっぽど才能がないんだろうなと思った。3点はマラルメの話にあげたもので、ミステリとしては0点。


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