皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ ハードボイルド ] 狼花 新宿鮫IX 新宿鮫シリーズ |
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大沢在昌 | 出版月: 2006年09月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 7件 |
光文社 2006年09月 |
光文社 2008年10月 |
光文社 2010年01月 |
No.7 | 7点 | クリスティ再読 | 2022/01/02 14:40 |
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本線の鮫島ストーリー。宿敵の仙田の意外な正体もあり。
要するにこの作品、2つの三角関係が読みどころなんだと思うんだ。 1つは、香田・鮫島・仙田 2つは、仙田・呉明蘭・石崎 この2つの三角関係が、仙田によって繋がっていることで、物語の軸ができてきているわけだ。2つめのダーティ・ヒロイン明蘭を巡る男ふたりの張り合いとか、「壁の花」を嫌うヒロインの像など、萌える要素はあるから、これを突っ込むと面白いと思う。再登場をお願いしたいなあ。 だから最後の殴り込みには仙田の自爆的な愛情が漂うあたりに佳い点があるのだが、それが仙田にとって第一の三角関係側でも「鮫島、俺と香田とどっちを選ぶ!」と二者択一を迫ることが重なるのが話の妙。 まあだから、ラストの殴り込みがすべての小説。 事実上、本作でおおまかには新宿鮫、決着ついたようなもののようにも感じるんだ。でもごめん、評者昔読んだのここまで。「絆回廊」どういう話になるのか、まだ知らない。楽しみにしよう。 いやでも新宿鮫が明白に下敷きにしているマルティン・ベックも9作目の「警官殺し」が事実上の「結末」で、最終作「テロリスト」はカーテンコールみたいな側面があるからね....どうなんだろうか |
No.6 | 7点 | TON2 | 2012/12/28 18:46 |
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光文社
鮫島の宿敵ともいえるロベルト村上こと仙田と鮫島の同期のキャリア香田警視正が登場します。 鮫島はアウトローですが、普通アウトローは性格や行動の特異性ゆえに組織からはじき出されるのですが、彼は正常すぎるぐらいの警官意識の持ち主ゆえに危険視され異端視されています。 新宿鮫という作品は、新宿というなんでも欲望を飲み込んでしまう街を舞台に、警察内部の腐敗などを取り上げていますが、作品が重なるにつれ、内容が定型化し、当初感じた鮫島の破天荒なパワーが感じられなくなってきたように思います。 |
No.5 | 9点 | itokin | 2012/11/05 21:08 |
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警察と巨大暴力団との関係、それぞれの善悪を超えた立場によって貫こうとする行動が、心に伝わってきます。今まで読んだシリーズ(1から9)の中ではベストです。 |
No.4 | 9点 | E-BANKER | 2009/12/21 22:52 |
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新宿鮫シリーズ第9作。
ハードカバー版の帯どおり「桁違いの濃度と感動、一気に炸裂するクライマックス」という言葉がまさにピッタリです。 本作では、パートⅤ「炎蛹」以降、鮫島の好敵手となっていた仙田勝と、キャリア組同期入庁でありながら常に対立していた香田警視という重要なキャラクター2人について、一定の決着が図られます。 今回の鮫島もピンチの連続、緊張感のある展開が続きますが、刑事として人間として、鮫島の心は決して揺らぐことなく自身の任務・正義を遂行しようとします。 シリーズも9作目を数えますが、面白さは全く色褪せません。ただ、鮫島がどんどん孤独になっていくような気がして、今後の展開が何となく心配です。せめて、桃井警部と藪だけは殺さないでください。 |
No.3 | 8点 | あびびび | 2009/11/06 21:33 |
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新宿鮫もついにここまで来たか…という感慨。
鮫島の対極にいた香田と仙田が本当は同一線上にいたのではないかと錯覚するラスト。 作者はこの二人を愛情を持って書きあげている。 |
No.2 | 7点 | ZAto | 2009/10/19 00:03 |
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レギュラーである上司の桃井、鑑識の藪が健在だっただけに、
このシリーズの魅力の一翼を担っていた晶の存在が意図的に消されていくのは寂しい限りだ。 帯のコピーにある“シリーズの分岐点”という文字がややもすると“曲がり角”と読めるのではないかと杞憂しつつも 何年先になるのかわからない次回作を静かに待ちたい。 |
No.1 | 9点 | Tetchy | 2009/03/12 22:39 |
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第5作の『炎蛹』以降、シリーズの通低音ともいうべき存在感で物語の影の部分で暗躍していたロベルト・村上こと仙田勝が今回鮫島の標的となり、とうとうこの時が来たかと一言一句噛み締めるように読んだ。
そして今回の泥棒市場の撲滅に関わってくるのが鮫島のライバルで同期のキャリア香田。しかし今回香田は今までと違い、公安の立場ではなく組対部の理事官として鮫島と対峙する。 仙田、そして香田。このシリーズを通して常に鮫島に立ちはだかった2人のライバルが本書ではクローズアップされる事で、警察が歩んできた歴史の闇と光、功罪を浮かび上がらせる。しばしば何が正義なのかを読者にも問いかける。 練達の筆捌きで同時進行する複数のストーリーを一点に見事収斂させる。毎度の事だが、本当に見事と云うしかない。 そして本シリーズの大転換ともなりうる結末。 まだまだ新宿鮫は終わらない。 |