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[ サスペンス ]
まるで天使のような
マーガレット・ミラー 出版月: 1983年04月 平均: 6.62点 書評数: 8件

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早川書房
1983年04月

東京創元社
2015年08月

No.8 6点 ボナンザ 2022/06/04 20:57
途中ややだれるが、それも作者の仕掛けのうちか。創元もハヤカワも禍々しい表紙でいいですな。

No.7 7点 ◇・・ 2020/11/14 19:13
ギャンブルですっからかんになった探偵が偶然訪れた新興宗教団体で、とある人物の身の上調査を依頼されることから始まる。
出だしは極めてオーソドックスだが、ここからこの作者特有の超絶的な心理スリラー劇が展開される。
結末の衝撃と余韻は圧倒的な印象で心に残る。

No.6 7点 HORNET 2020/08/16 09:40
 サスペンスというより私立探偵もの。
 とあるきっかけから小さな町で5年前に起きた事件の真相を探ることになった私立探偵クイン。そこでは、パトリック・オゴーマンという男の失踪と、地味な女性による銀行での横領事件という2つの事件が立て続けに起こっていた。クインは調べを進めるうちに、2件の事件は関連しているのではないかと推察をはじめる。

 新興宗教団体の修道士やシスターたちの名前が仰々しくて少し煩わしいが、クインが奔走して少しずつ様相が解き明かされていく過程は退屈せず、読み応えがあった。
 幸い自分は、「最後の〇〇」というような本作の宣伝文句を見ずに読んでいたので、ラストは純粋に驚くことができた(笑)

No.5 5点 ことは 2020/03/07 02:17
形式は私立探偵小説である。
私立探偵小説は、やっぱり「主人公に共感できるか」にかかっていると再認識した。主人公に共感できないのだ。ちょっと風変わりな主人公を眺めながら物語をおっていく感じ。微妙に物語にのれない。
ラストのサプライズは、どうかなぁ。狙いは嫌いじゃないけど、ガツンとこなかった。

No.4 7点 斎藤警部 2016/12/21 01:48
「裸で転がる鮎川哲也」とか「まるで天使のようなマーガレット・ミラー」とか「マラッカの海に消えた山村美紗」とか「人を動かすデール・カーネギー」とか。

ピリッと締まらない探偵役がちょっとした偶然の経緯で、失踪でも殺人でも無い(若しくは無さそうな)一見フニャラモコ然とした事件、でさえもない「ある人物の現況調査」を依頼される。その報酬がまた何とも中途半端。せぁっけどな、コレがあんさん滅法オモロい推理小説と来とるんよ、退屈はさせんとよ。涼しく暖かく滑り出しから最高ですとよ。ハードボイルド流儀に繋がる面白い言葉遣いがコロコロいっばいで思わずキョロキョ愉しんじゃいましたよ。不思議と不在の長い或る重要人物の行く末ないし企みが気になったり、現実逃避とは言いますがその逃避先だって現実に存在するには変わり無いんだしねえって思ったり、そこでその登場人物に早くもその仕打ちが!?ってビクッとしたりするんですよ。

「昔からあるからと言って油断は出来ない。(中略) そういうのは余計に危険なんだ。」

いよいよ物語がミステリフレイヴァ濃厚地域へキッパリ足を踏み入れる頃は、華麗な言葉遣いのフラーティングも抑え目に、終結への痛いような推進力こそがいつしか優雅に主導権を握っていました。

最後のストロークは、確認または再確認の作業促しではあるが、、襲撃の一発クラッカーが湿った代わりに穏やかな諦めの感動がミストシャワーを浴びせてくれた。そして物語の裏の真相に、読者はじんわりと包み込まれるのさ。。。。

No.3 7点 あびびび 2016/10/15 23:28
先入観はダメだ!と改めて思った。物語の進行と、最後のサプライズが、夫のロスマクと似ているような気がしたのは、おそらく自分だけだろうが(笑)。

怪しげな宗教施設と、怪しげな街、そして怪しげな失踪事件。それぞれは宙に浮いている感じで、最後に一体となり、地上に降りて事件は解決する…。

ラストページの元妻の一言がサプライズぽいが、自分的には話の途中から了解済みであり、決して驚くような結末ではなかった。が、主人公の博打うちクインが立ち直っていく姿は好みだった。自分が博打うちだったせいかも知れない。

No.2 7点 mini 2015/08/28 09:05
本日28日に創元文庫から、ホック「怪盗ニック(2)」などと同時にマーガレット・ミラー「まるで天使のような」新訳版が刊行される
昔はミラー作品は早川と創元とで競っていて、創元にも「見知らぬ者の墓」といった名作は有ったが、「鉄の門」「狙った獣」などを持つ早川の方が優勢な感がしていた、中でもミラーに於ける早川の看板作品がこの「まる天」だった、中古市場でもそこそこの値が付いていた時期も有ったようだ
しかし以前に創元文庫で「狙った獣」が刊行され、そして今回の「まる天」、今後はミラーも創元にシフトしていくのだろうか

* 私的読書テーマ”生誕100周年作家を漁る” 、第8弾マーガレット・ミラーの3冊目
ロス・マクドナルド夫人がマーガレット・ミラーで、たしかにロスマクの神経症的な作風はミラーを思わせるものがある
ミラー作品を大雑把に時期で区分すると、「眼の壁」「鉄の門」あたりの初期、代表作の1つ「狙った獣」以降の中期、そして「耳をすます壁」以降の後期となると思う
後期作品は現在では一般的評価が高いが、その中に私立探偵3部作とでも呼べそうな3作が有る、「耳をすます壁」「見知らぬ者の墓」「まるで天使のような」である
ミラーの他作品にはMC役として警察官が登場するものもあるが、私立探偵が登場するとなると上記の3作になる
注目すべきは発表年で、「耳をすます壁」は1959年、他の2作は60年代初頭の作だ
そう、この時期は夫君のロスマクが作風の転換を計り代表作を次々に発表していた時期に近いのである
特にこの「まるで天使のような」ははっきり私立探偵が主役を務めている
「耳をすます壁」「見知らぬ者の墓」の2作にも一応私立探偵は登場する、しかし既読の「見知らぬ者の墓」を見る限り私立探偵自体は決して主役じゃない、どちらかと言えば司会進行役の役割しかもっていない、たしかに私立探偵の調査で話は進むがこの内容では主役とは言えない、事実上の主役は夢に悩む女性である
ところがだ、「まる天」ではMCではなくはっきり私立探偵が主役だと言い切れるような存在感が有る、最後の最後まで登場するし
つまりミラー作品の中では最もハードボイルド小説の形態に近い
仕掛けの面では「狙った獣」や「見知らぬ者の墓」のような大掛かりな仕掛けは無いし、周辺の登場人物とあの内部の登場人物との関連性は読者の誰でもが疑うところで読者の予想を大きく上回るものでもない
しかしこの最も私立探偵色が強い作では、真相が全体の雰囲気と調和してバランスが良い、ミラーの中ではやや異色なので代表作とは言い難いが、最高傑作の1つではあるだろう

No.1 7点 蟷螂の斧 2014/08/01 13:01
裏表紙より~『オゥゴーマンは五年前に死にました ― ある宗教団体の尼僧から、オゥゴーマンという男の身辺調査を頼まれた私立探偵クインは、意外な答にぶつかった。事務員だった故人は、嵐の晩に車で出かけたまま戻らず、川に落ちた車だけが見つかったという。妙なのは事件だけではなかった。どうやら過去を暴かれたくない者がいるらしいのだ……多くの謎をはらむ事件の真相とは? 心理サスペンスと私立探偵小説を融合させた代表作!』~                                       探偵は、尼僧からある人物を見つけるのではなく、その身にどんなことが起きたかだけを調べてほしいと言われる。それ自体も謎であるが、その依頼により波紋が広がってゆく。やがて殺人事件が起きてしまう。「天国の塔」(宗教団体~異質な世界)に住む人々の狂気?や、小さな町の住人(オゥゴーマンの妻、横領犯の女(服役中)、その兄と共同経営の女、母親の生き様がうまく描かれていて物語に引き込まれてしまいました。エンディング・サプライズも用意されていますが、それ以上に独特の雰囲気を味わう小説であると思いました。                                            


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マーガレット・ミラー
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