皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 狙った獣 |
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マーガレット・ミラー | 出版月: 1956年01月 | 平均: 7.29点 | 書評数: 7件 |
早川書房 1956年01月 |
早川書房 1977年03月 |
東京創元社 1994年12月 |
No.7 | 7点 | 斎藤警部 | 2020/07/31 11:52 |
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読み終わって、すぐ冒頭に返ってみましたよ。 そしたら、まあ、堂々と書いてあるじゃないの。。!! 何がって? そ、それは、何でしょうねえ。。 不思議な旅をさせられました。。 一気に読めて、スカッと爽快イヤサスペンスでした。 人によっては、気分最悪になるかも知れませんが。。 記憶に鮮やかなチョイ役、ベラ。 脳内映画(日本版)では天地真理さんが堂々演じてくれました。。。 ラストシーンが衝撃的で、哀れで、だけど鮮やかで。。。。 |
No.6 | 8点 | HORNET | 2020/03/29 10:53 |
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遺産を受け継いだヘレン・クラーヴォーのもとに、「エヴリン」と名乗る女から謎めいた電話がかかってきた。身の危険を感じたヘレンは、亡き父の相談役だった投資コンサルタント、ブラックシアに助けを求める。依頼を受けて調査を進めるうち、クラーヴォー家の暗部が次第に明らかになっていく。
こういうオチだったのか、と純粋に驚かされた。出版された時代を鑑みると、非常に先駆的な仕掛けだったのではないかと想像させる。もちろん今読んでも十分に面白い。 仕掛けだけでなく、病んだ一家や主人公の様相を非常に巧みに描いている。ヘレンが病んだ女性になってしまった経緯、その原因を作った母親の姿、次第に壊れていった家庭。 時代を超えたサイコスリラーの傑作に出会えた。 |
No.5 | 7点 | ことは | 2020/03/07 01:56 |
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最初に誰がつけたのか、タイトルがいい。「狙った」という言葉の選択がよい。
ミステリをたくさん読んでから読むと、「このパターンか」と思う部分があるが、それは逆に先駆者として評価すべきと思う。 「どこが……」と指摘しづらいけれど、不安がかきたてられる描写もよし。 サスペンスの定番の良策だと思います。 |
No.4 | 6点 | mini | 2015/10/06 09:58 |
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先日に論創社からマーガレット・ミラー「雪の墓標」とロジャー・スカーレット「白魔」が刊行された
「雪の墓標」は長編の順番で言うと「狙った獣」の1つ前1952年の作で、昨年夏に創元文庫から刊行された「悪意の糸」が1950年の作だから、どちらもミラー作品翻訳上での空白地帯になっていた時期の作で、初期から中期への作風の変化を知るのに適切かも知れない * 私的読書テーマ”生誕100周年作家を漁る”、第8弾マーガレット・ミラーの5冊目 ロス・マクドナルド夫人がマーガレット・ミラーで、たしかにロスマクの神経症的な作風はミラーを思わせるものがある さて初期には一部で注目はされていたもののもう一つ人気作家とまではいかなかったミラーを一躍メジャー作家に押し上げた中期の代表作がMWA賞受賞作「狙った獣」だ たしかにこれは受けそうだな、題名通り”狙ったな(笑)”って感じで、大胆な仕掛けが優先された作だしねえ 仕掛けの有るサスペンス小説の典型例みたいな感じで、実際にこの作が出た1955年前後の時期には、フランス産も含むこの手のタイプの作品が次々に登場している ミラーは後期にもエンディングサプライズにこだわっているので、「狙った獣」だけが異色作というわけでは決してなく、ある意味ミラーらしさが横溢した中期だけじゃない全作品中での代表作の1つと言ってもいい ただ「狙った獣」はねえ、あまりにも仕掛け一発狙いに頼り過ぎてる感も有って、途中経過こそがサスペンス小説の魅力として見るなら後期の諸作の方に魅力を感じる面も有る 実を言えば、私は結構序盤の描き方で、これはこういう仕掛けを狙っているんじゃないのかなと気付いちゃったのだよね 私の評価での比較で言うと、あまり面白いとは思わなかった「殺す風」などよりはこの「狙った獣」の方が好きだが、「鉄の門」との比較では私は「鉄の門」の方が好きだ でね、何故サスペンス小説としては「殺す風」よりこの「狙った獣」の方が上だと思うかと言うと、「殺す風」って犯人らしい犯人が居て犯罪らしい犯罪が行われる、要するに本格派こそが王道だみたいな狭い視野の読者が喜びそうな真相なんだ、でも「狙った獣」の場合はサスペンス小説として書かなければ意味を成さない真相だからね |
No.3 | 7点 | 空 | 2014/07/22 23:07 |
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今まで読んだミラーの3作の中では、最もシンプルで、いかにも心理サスペンスといった趣の作品です。最初に読むミラー作としてはこれがいいでしょうか。
人間性をまるで理解していない駆出し作家ならともかく、これだけ登場人物の心理が克明に描かれている小説としては明らかに納得できないところがあることには、途中で当然気づくでしょう。実際のところ、クライマックスは説得力のあるもので、まあ当然こうならなければならないだろうと思わせられました。最終章の開始部分に起こった出来事が、その結末を急がせる要因になったのだろうなとも推測できます。また最初の方に非常に大胆な伏線があるのですが、すっかり忘れていたところ、最後にそれを指摘されて感心してしまいました。 ただ、第6章の終わりの方と第9章の最初の方に書かれたあることの符合は気になり、そちらの可能性も考えてはいたのですがね… |
No.2 | 8点 | 蟷螂の斧 | 2013/09/11 12:19 |
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英米ベストランクイン作品。1956年MWA最優秀長編賞受賞作。著者は、ロス・マクと結婚後、ノイローゼで入院の経験があるとのこと。その経験があるためか、崩れかけた精神状態を非常にうまく描いています。単なるサイコ・サスペンス系と思って読んでいたので、まさかエンディング・サプライズが用意されていたとは!!。 |
No.1 | 8点 | kanamori | 2010/06/16 20:52 |
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米国の三大女流サスペンス作家のひとりマーガレット・ミラーの代表作といわれる作品。
巨額の遺産を相続した女性宛に架かってきた死を予言する電話で物語の幕が開きます。 マクロイやアームストロングのサスペンスとの一番の相違点だと思うのは、心理描写が執拗で重厚な点で、単にミステリの道具となっていないと思わせるところです。そのため結末のサプライズに欠ける作品もありますが、本書は文学性とミステリ趣向のバランスがとれた名作だと思います。 |