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[ ハードボイルド ]
長いお別れ
フィリップ・マーロウ/別邦題『ロング・グッドバイ』『長い別れ』『ザ・ロング・グッドバイ』
レイモンド・チャンドラー 出版月: 1958年10月 平均: 7.69点 書評数: 26件

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早川書房
1958年10月

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No.6 9点 okutetsu 2010/02/13 19:32
ミステリーとしてもそれなりにおもしろくそれ以上に文学として素晴らしいですね。
何よりセリフがかっこいい。
印象的な言葉も多くありました。
まぁマーロウは人間的にはあんまり好きにはなれないけどそれでもラストには感動させてもらいました。

No.5 7点 isurrender 2010/02/12 03:04
純粋に文学としてほんとカッコいい作品
外国人がこういう作品書くとカッコいいって思うけど
日本人がやるとなんかカッコつけって思っちゃうのはなんでだろう

No.4 9点 あびびび 2010/01/20 14:24
主人公であるフィリップ・マーロウのなんと頑固なこと。しかし人間を見る目はある。アメリカ探偵小説の見本的探偵である。
けっこう長い物語だが、途中で投げ出すことは絶対ない。場面が変わるごとに先の展開が楽しみになる。そして終盤はそこそこのどんでん返しあり…とさすが古典的名作。

No.3 9点 2009/08/11 13:59
久々の再読は、村上春樹による新訳『ロング・グッドバイ』です。今回の翻訳は原文に忠実な完訳だそうで、確かに清水氏訳と比べると少し量が増えています。例によって、ストーリーはさっぱり覚えていませんでしたが。
ミステリとして論理的に考察すれば、本作にも相当大きな疑問点があります。シルヴィア殺し時の関係者たちの具体的行動が結局不明確なままなのは、通常では考えられないことですし、ウェイドの死ではボートの偶然性についての説明も不足です。しかし、そういった考察が重箱の隅をつつくあらさがしにしか思えないのが、チャンドラーならではといったところです。
やはりハードボイルドというより少なくともチャンドラーが文章、雰囲気を味わう文学であるのは間違いないでしょう。ジンとローズ社のライム・ジュースを半分ずつ混ぜ合わせた本当のギムレットをゆっくり味わうように…
『罪と罰』がそうであるように、本作もまたミステリとしても読める純文学と考えた方がいいような気がします。

No.2 8点 2009/05/15 13:03
探偵マーロウは酒場で知り合った友人、レノックスの周辺で起きた殺人事件と、謎の自殺を調査する。当然ミステリ仕立てで、物語は後半に大きく動き、真相が判明する。そのときあのあまりにも有名なセリフが飛び出す。
全編を通してマーロウの仕草とセリフは、かっこよすぎるが、それもこの小説の持ち味のひとつだ。しかし、マーロウの本当のすごさは、レノックスのことを初対面で見抜き、親友として信じてしまうことだ。

本作は、殺人事件、謎の自殺など、ミステリ要素はたっぷりあるし、ボリュームも十分にあって立派な長編推理小説なのだが、ただ謎解き要素はあまりなく(記憶がないだけかもしれないが)、やはりこの小説、Tetchyさんの言われるように雰囲気を楽しむ小説なのだと思う。
その雰囲気っていうのは、マーロウのかっこよさだけではなく、全編に漂う何か得体の知れないものなのだろう。
ストーリーの詳細は忘れてしまったが、よほどその雰囲気に波長が合ったのか、しびれるほどの読後感があったことだけは覚えている。

本作は評価が分かれると聞くが、どこが問題なのだろうか。何か欠点があるのか、それとも、あまりにも男の友情に焦点をしぼりすぎて、ミステリの醍醐味が味わえないからだろうか。

No.1 10点 Tetchy 2009/03/23 23:03
『かわいい女』から4年後、チャンドラーは畢生の傑作を物にする。それはミステリのみならずその後の文学界でも多大なる影響を今なお与え、チャンドラーの名声を不朽の物にしたほどの傑作だ。それがこの『長いお別れ』だ。

テリー・レノックスという世を儚んだような酔っ払いとの邂逅から物語は始まる。自分から人と関わる事をしないマーロウがなぜか放っておけない男だった。
この物語はこのテリーとマーロウの奇妙な友情物語と云っていい。

相変わらずストーリーは寄り道をしながら進むが、各場面に散りばめられたワイズクラックや独り言にはチャンドラーの人生観が他の作品にも増して散りばめられているような気がする。

「ギムレットにはまだ早すぎるね」
「さよならを言うことはわずかのあいだ死ぬ事だ」
「私は未だに警察と上手く付き合う方法を知らない」

心に残るフレーズの応酬に読書中は美酒を飲むが如く、いい酩酊感を齎してくれた。

本作は彼ら2人の友情物語に加え、マーロウの恋愛にも言及されている。本作でマーロウは初めて女性に惑わされる。今までどんな美女がベッドに誘っても断固として受け入れなかったマーロウが、思い惑うのだ。
恐らくマーロウも齢を取り、孤独を感じるようになったのだろう。そして本作では後に妻となるリンダ・ローリングも登場する。

本書を読むと更に増してハードボイルドというのが雰囲気の文学だというのが解る。論理よりも情感に訴える人々の生き様が頭よりも心に響いてくる。

酒に関するマーロウの独白もあり、人生における様々なことがここでは述べられている。読む年齢でまた本書から受取る感慨も様々だろう。

ミステリと期待して読むよりも、文学として読むことを期待する。そうすれば必ず何かが、貴方のマーロウが心に刻まれるはずだ。


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