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[ 日常の謎 ]
螢坂
『香菜里屋』シリーズ3
北森鴻 出版月: 2004年09月 平均: 6.25点 書評数: 8件

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講談社
2004年09月

講談社
2007年09月

No.8 5点 ボナンザ 2022/01/24 19:49
ひねった話の展開もさることながらそう来たかというような仕掛けもあって中々楽しめる。

No.7 6点 八二一 2021/04/12 20:13
ビア・バーに出入りする客を描いたシリーズ作の一つ。人情味あふれるエピソードのひねりが絶妙だし、マスターの作るつきだしにもよだれが出る。

No.6 5点 ボンボン 2017/05/28 17:25
この作者特有の凝り過ぎ、ひねり過ぎが目立つが、雰囲気作りが巧いので、しんみりと落ち着いて読める。しかし、『双貌』は、やり過ぎではないか。作中作と外枠のバランスが極端で、一読で構成がつかめないほど分かりにくい。どの話も面白いのだが、謎を持っている人たちの言動がやたら遠まわしで、普通そうはしないだろうということばかりするからしっくり共感できない。それでも、レギュラーメンバーがお馴染みのノリを見せてくれると安心してスラスラ読めてしまうのだが。
ああ、次でシリーズ完結だ。どんなふうに終わってしまうのか。今からもう寂しくなっている。

No.5 6点 まさむね 2015/07/25 23:35
 連作短編集「香菜里屋」シリーズ第3弾。
 「雪待人」を初めとして、まずは美しい。表題作「蛍坂」は、現実的にソコまでする女性がいるかはともかくとして、とにかく哀しい。その哀しさを、個人的には決して美しいとは表現できないけれども、人によってはそう感じる方もいらっしゃるであろうし、その感覚も否定はできますまい。
 本格度という面では何らコメントできない弱さもありますが、既にそういう視点で読ませていないところがこのシリーズの真髄。マスター・工藤の過去の秘密も気になりますし(醸し出し具合も絶妙なんだよなぁ…)、早速続編(シリーズ最終短編集)も手にすることになりそうです。

No.4 7点 E-BANKER 2010/09/25 22:06
三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」シリーズの第3弾。
相変わらず流麗な文体、余韻の残るラストで読者を楽しませます。
①「蛍坂」=何となしに、福山の「桜坂」を思い起こさせる内容じゃないかと・・・ 戦場カメラマンというと、どうしても例の「渡部さん」の顔としゃべり方を思い出してしまうのが難・・・
②「猫に恩返し」=ちょっと現実離れしすぎてる感じがします。そこまでするか?
③「雪待人」=個人的は本作中ベスト。何より、香月の最後のセリフ「あいつ(工藤)も待ってるんですよ・・・」がかなり気になる。
④「双貌」=作中作を使った変わった構成。どこが「地の文」かちょっと分かりにくい。ラストも今ひとつピンとこなかった。
⑤「孤拳」=焼酎って寝かせるとそんなにうまくなるなんて知らなかった! いいこと聞いた!
以上5編。
トータルで見れば、前作「桜宵」より明らかに落ちる。それでもレベルの高い作品集なのは確かです。
それにしても、「香菜里屋」みたいなバーあったらいいなぁ、『2番目に度数の高いビールちょうだい!』(言ってみたい)

No.3 5点 simo10 2010/05/18 23:35
香菜里屋シリーズ第3弾。5つの短編で構成されています。

①「蛍坂」:蛍に込められた切ないメッセージ。ロマンチックなんですがマスターに解読してもらわない限り伝わらないような難しいメッセージというのも困るだろうに。
②「猫に恩返し」:作中作が良かった。しかしそううまく事が運ぶのかなと思ってしまう。
③「雪待人」:託された絵に雪が降るのを待ち続ける。ロマンチックですが周囲の迷惑を考えたほうが良いのでは、と無感動に思ってしまった。
④「双貌」:作中作による叙述トリック(?)によって構成されており、正直混乱した。時系列も分かり辛かった。
⑤「孤拳」:孤拳に託されたメッセージ。切ないですが、そんな難しい真意を汲み取るマスターの推理がちょっと強引な感じが‥。

今作の登場人物達は何だか婉曲的な表現を好むのが多いようで、メッセージを紐解く事に重点が置かれているような作品群でした。
シリーズ中、これまで以上に詩的で綺麗な文章だったのですが、今作の趣向は個人的にはイマイチでした。

No.2 8点 makomako 2010/01/17 10:22
 香菜里屋シリーズはきれいな表題名が多いが、「蛍坂」とはまたきれいな表題で内容もそれに劣らず美しい。「雪待人」もとても素敵だ。このシリーズのなかで最も美しい作品と思う。残念ながらその他の作品がやや落ちるので採点はこのぐらい。

No.1 8点 こもと 2008/05/02 01:17
 シリーズ3作目ですから、今やすっかり、私も『香菜里屋』の常連気取り。 私の為の空きのスツールが用意されているような、そんな気分になっています。 「マスター、あの席いつも空いてるけど、誰のため?」っていうような、常連さんとマスターの謎を提起する会話が聞こえてきたら素敵です(←オイ)
 さて今作ですが、特に表題作・・・いいですね、これ。 何がいいって、やはりラストのオチが利いています。
 ミステリというジャンルは、基本的にトリックに気を取られてしまいがちで、ともすれば、作家の文章力や、「小説」であるという部分が二の次になってしまう一面があると思うんですね。 だからこそ、作品自体に幅を持たせ、余韻に浸れる「ミステリ『小説』」って、なかなか出合えるもんじゃないって、私としては喜んでしまうワケです。
 馥郁たる香り漂う、極上のミステリだと思います。


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