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[ 短編集(分類不能) ]
歌うダイアモンド
ベイジル・ウィリングもの ほか
ヘレン・マクロイ 出版月: 2003年01月 平均: 6.25点 書評数: 4件

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晶文社
2003年01月

東京創元社
2015年02月

No.4 4点 ボナンザ 2019/12/28 02:33
ミステリとSFの混じった多彩な短編集。ミステリ作品は流石だが、SF作品はちょっと微妙。

No.3 8点 E-BANKER 2016/05/23 23:06
ベイジル・ウィリング博士が登場する二編を含めた作者の傑作集。
SFなど本格ミステリーの範疇に収まらない作品をはじめ、実にヴァラエティに富んだ構成。
(原書にはない中編を併録。やるね、東京創元社!)

①「東洋趣味(シノワズリ)」=「EQMM」誌でも高い評価を得た短篇。世界大戦前の中国というキナ臭い舞台設定がまずは嵌っているし、何となく小粋な作品に仕上がっている。
②「Q通り十番地」=SF分類の一作目。人工的な食物で覆われた時代に、本物の「食物」を超高値で提供するモグリの店・・・。その店で繰り広げられる会話がテーマなのだが、なかなか面白いよ。
③「八月の黄昏に」=SFのテーマ&プロットとしては“ありがち”なタイムトラベルもの。でもまずは旨いよね・・・。オチもきれいに付いている。
④「カーテンの向こう側」=これも短篇らしい切れ味を感じる一編。他の作品にも言えることだけど、終盤までの盛り上げ方とラストの落としどころがとにかく旨い。
⑤「ところかわれば」=これは・・・とにかく“ニヤニヤ”させられるというか、何ともいえない感覚の作品。分類としては勿論SFになるんだろうけど、個人的には全盛期(?)の「アンジャッシュ」のコントを思い出してしまった。
⑥「鏡もて見るごとく」=これは代表作「暗い鏡の中に」の原型となった短篇。確かに短編の方がエッセンスが凝縮されていて、純粋な謎解きとしては上のように感じる。(まっ、これは好みの問題でしょうけど)
⑦「歌うダイアモンド」=⑥とこれはウィリング博士が登場する本格ミステリーなのだが、まさかあの有名なトリック&プロットが使われているとは思わなかった! 時代的にはク○○ス○ィの方が古いよな・・・
⑧「風のない場所」=これは・・・実に味わい深い作品。いらないものをできる限り削ぎ落としました・・・って感じか。それだけに読者は考えさせられることになる。
⑨「人生はいつも残酷」=本作がボーナストラック。過去に罪を被った曰くつきの町に帰ってきた主人公を巡る愛憎劇がテーマ。なのだが、ラストは見事な反転というか、これが動機(!?)っていう感じにさせられる。

以上9編。
これはもう「さすが!」というべき作品だろう。
文庫版あとがきで千街晶之氏も作者の短篇巧者ぶりに触れているけど、まさにその通り。
特にSFは意外だったけれど、意外や意外、むしろ本格物よりもよくできている感じすらする。

いずれにしても、これは「傑作短篇集」という評価がピッタリ!
作者の才能&力量に脱帽・・・という評価でよいのではないか。
(個人的にはやっぱり⑤がダントツ。他も粒ぞろいの作品が並んでいる)

No.2 7点 mini 2015/02/27 09:56
本日27日に創元文庫からヘレン・マクロイ『歌うダイアモンド』が刊行される、以前に晶文社版ハードカバーで出ていたものを殆どそのまま文庫化したものらしい
マクロイの翻訳作品としては唯一の短編集で、”このミス”でもベスト10入りしている
原著はあの”クイーンの定員”にも選ばれていて、翻訳版は原著未収録の中編をボーナストラックとして追加したものだ
その原著は実は作者自選の短編集で配列もおそらく作者が並べたのだろう、まえがきは元夫のハードボイルド作家ブレット・ハリディ

冒頭に置かれた作者の短編代表作「東洋趣味(シノワズリ)」」と、長編「暗い鏡の中に」の原型となった「鏡もて見るごとく」は特に有名だ
ただ「鏡もて見るごとく」はネット上では短編版の方がキレがあって好きみたいな異見もあるが、私には長編版「暗い鏡の中に」の方が面白かった
マクロイらしく工夫は凝らされてはいるものの、短編版はやはりパズルだけな印象なんだよなぁ、まぁパズル要素にしか興味の無い読者には受けるのかも知れないが
集中にはSF作品が4編含まれているのを意外に思う読者も居られるかも知れないが、戦後のアメリカミステリーはジャンルが多様化していた時代なので、マクロイだけが特殊ではないのだろう
そのSF作品が意外と面白く、「Q通り十番地」などはマクロイがやはり根はミステリー作家だなと思わせる
中でも「風のない場所」はかなり短い分量ながら情感溢れる傑作だ
一方でUFOの目撃というSFっぽい事件性なのに強引に謎解きミステリーとして決着させる表題作「歌うダイアモンド」も作者らしいと言えばらしい

No.1 6点 kanamori 2010/05/08 00:56
ミステリ&SF短編集。
バラエテイに富んだ作品が収録されています。長編のミステリでも超常現象を取り入れているので、ホラー風の作品は予想の範囲内でしたが、SFまで書いていたのは意外でした。
ミステリ作品では、清朝末期の中国を舞台にロシア女性の失踪を描いた「東洋趣味」が当時の雰囲気を醸し出していて読み心地が抜群によかった。SF作品では、人類の終末がテーマの「風のない場所」が非常に印象に残りました。


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