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[ 本格 ]
古い骨
スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ
アーロン・エルキンズ 出版月: 1989年01月 平均: 6.83点 書評数: 12件

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ミステリアス・プレス
1989年01月

早川書房
2005年01月

No.12 6点 ミステリ初心者 2023/08/10 22:55
ネタバレをしております。

 スケルトン探偵と呼ばれる人類学の博士が探偵で、遺骨から推理するユニークさに惹かれて購入しましたw よく調べていなかったため、シリーズ初作ではなかったのがちょっと惜しかったですw 

 読み初めは、なかなかページが進まずに苦戦しましたw 横溝正史的な名家骨肉の争い系…とまでいかなくても、登場人物も多くてその立場も複雑でした…。なんだか名前も似ている人が多いように思えました(私がフランス人の名前に慣れていないのか?)。家系図が欲しいところですね!
 ギデオンが登場し、骨を調べだしてから少しずつページが進むようになりました。流石スケルトン探偵だけあり、骨から事件の全容がすこしずつわかっていきます。専門的な話もでますが、ちゃんと説明があるし、しつこくもなくていい感じです。

 推理小説的な要素について。
 論理的な犯人当てや、アリバイトリックはないのですが(小規模なものはありましたが)、地下から出てきた骨の正体が明らかになると事件全体が一変するようなどんでん返しが見事でした。クリスティーが一番近いような感じがします。
 私は、骨の正体がギヨームであることがわかりませんでした。それが明かされた時、やっと事件の全容がすこしわかりましたw ジュールの発言から、怪しい人物は大体はわかりましたが…。思えば、アラン←→ギヨームの入れ替わりは推理小説では割とよく見る類であり、ヒントもあったのに、なぜわからなかったのか悔しい思いをしましたw

 総じて、アメリカ探偵作家クラブ賞にふさわしい、本格度の高い推理小説でした! ギデオン・ジョンらのキャラクターも明るく気に入りました。買えるならば、1作品から買いそろえてみようかなと思いました。

No.11 6点 nukkam 2016/09/10 05:50
(ネタバレなしです) 北フランスの有名な観光地、モン・サン・ミッシェルを舞台にした1987年発表のギデオン・オリヴァーシリーズ第4作である本書は1988年度MWA(米国探偵作家クラブ)の最優秀長編賞を獲得した本格派推理小説です。明快で歯切れのいい文章とスムーズなストーリー展開は過去作品と共通していますが謎解きがしっかりしたのは本書からではないでしょうか。犯人指摘場面はやや唐突感がありますが風変わりで巧妙な殺害トリックが印象に残ります。

No.10 6点 りゅうぐうのつかい 2016/07/31 19:26
冒頭でロシュボン館の当主がモン・サン・ミッシェルを望む干潟で溺死する描写から始まり、当主によって招集された近親者に遺言の内容が伝えられる場面、ロシュボン館の地下工事で発掘された白骨の謎、第二次世界大戦中に起きた出来事、スケルトン探偵ギデオンによる白骨の分析とそれに基づく考察、近親者一人の毒殺事件の発生、ギデオンに送られた手紙爆弾、ギデオンら4人のモン・サン・ミッシェル干潟での洪水脱出劇等、ストーリー展開が巧みで、翻訳作品にしては読みやすい作品だ。
白骨が2回に分けて掘り出されたり、主治医ロティ先生の証言を2回に分けるなど、手掛かりの出し方が上手い。
時系列に起きた出来事の順番が事件の鍵であり、犯人の特定にもそのことが活かされているが、ちょっと気付きにくい。
非常にまとまりのある作品だが、それ以上の何かを感じ取ることはできなかった。

No.9 7点 E-BANKER 2015/01/25 15:45
1987年発表の長編作品。
本作が長らく続いているスケルトン探偵(=ギデオン・オリヴァー)シリーズの邦訳第一作目ということになる。

~レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に事故死した。数日後、館では第二次大戦中のものと思われる切断された人骨が見つかり、さらに親族のひとりが毒で・・・。現在と過去の殺人を解き明かすスケルトン探偵ギデオン・オリヴァー教授の本格的推理! アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞作~

なぜか最新刊から順に読んでしまった「スケルトン探偵」シリーズ。
もちろん新しい作品も相応の面白さがあったけれど、初っ端に本作を読んでいれば、今以上本シリーズにのめり込んでいたかもしれない・・・
それほど本作でのギデオンの推理は見事だった。

肝心の「骨鑑定」からの結論は、本シリーズに頻出する代表的なプロット。
ギデオンの鑑定が事件の“骨格”そのものを根底から覆す・・・という奴だ。
本作ではある富豪一族が登場し、遺産争いを背景に過去と現在双方で一族内に殺人事件が起こるなど、まるで黄金時代の本格ミステリーのような舞台設定。
メイントリックはまぁ分かりやすいと言えば分かりやすいのだが、それを差し引いてもミステリーの面白さを十二分に体現した作品に仕上がっている。

愛妻ジュリーや友人でFBI捜査官のジョンなど、シリーズキャラクターはすでに登場。
また、本シリーズは作品ごとに世界の有名観光地が紹介され、「ワールドワイド・トラベルミステリー」的趣があるのだが、本作でもフランスの景勝地モン・サン・ミシェルが事件の主な舞台として描かれているなど、作者はすでに長期シリーズ化を見据えていたかのよう。

とにかく、シリーズファンならば決して読み飛ばしてはならない作品ということ。
もちろん、それ以外の方にもお勧めできる佳作。
(「モン・サン・ミシェル」かぁ・・・行ってみたい!)

No.8 7点 itokin 2014/12/01 18:40
それほど多くない登場人物だが人間関係と名前を覚えるのに手間取った。それにしても数十年たった骨からでも確信に近い真実が判るのにはびっくり、骨の分析という地味な題材からこれほどふくらみを持たせ物語が書けること、丁寧な書き方で疑問点はすべてつぶしていき読者を納得させる、又、人物のキャラの描き方がユーモアと温かみもあって好感が持てた。大きな山は見られないが、謎ときの好きな人、古典の名作ということで読んでみる価値あり思う。

No.7 6点 ボナンザ 2014/10/21 00:31
スケルトン探偵の代表作。
クリスティのような作風で、決してそれに劣らぬ内容だと思う。

No.6 7点 蟷螂の斧 2014/03/24 13:59
裏表紙より・・・『レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。数日後、館の地下室から、第二次大戦中のものと思われる人骨の一部が発見される。フランスを訪問中だった人類学教授ギデオン・オリヴァーは、警察に依頼され人骨を調べ始めるが、今度は親族の一人が毒殺された!骨を手がかりに謎を解く、スケルトン探偵オリヴァーの名推理。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。』・・・        不慮の水死は地文では、事故にしか思えない。どこに仕掛けがあるのか興味を惹かれます。そして骨から過去の事件を推理することに、最初は登場する警部と同様に疑問であったのですが、読むうちに段々と納得させられてしまいました(笑)。このような物語をよく思いついたものと感心します。モンサンミッシェルは美しい風景しか想像していなかったのですが、結構荒々しいことがわかりました。そしてル・ムートン・ブランでの食事風景を読んで訪れてみたい気分になりましたね。海岸の塩分の多い牧草で育った子羊は、風味豊かな微妙な味わいが評判とあります(笑)。

No.5 7点 isurrender 2011/06/19 16:32
海外ミステリとしては異例といって良いほど読みやすかった
ユーモアに溢れる登場人物たちの会話が抜群でした

ミステリとしても、予想外のところに伏線があったりして、満足ですね

No.4 6点 kanamori 2010/07/26 18:21
「このミス’89年版」海外部門の3位にランクインしたのはスケルトン探偵シリーズの邦訳第1作。
探偵役が、発見した白骨から生前の容貌はもとより性癖まで推理してしまうというのがユニーク。探偵の特異な設定によりプロットもパターン化されるから、シリーズがこれほど続くとは思わなかった。

No.3 7点 ロビン 2008/09/19 07:40
スケルトン探偵、面白いです。骨から真相を導いていくキャラクターも斬新。主人公たちの危機的な場面の描写も緊迫感があり、引き込まれます。
しかし、あの証拠が発見されたときに、探偵は一旦間違った説を導き出してしまうが、多くの人は「真相」のほうを思いついてしまうのではないかと(おそらくそれは、読者が推理小説という物語を前提として読んでいるからだろうけど)。
それに、解説の文章を先に読んで、もっとガチガチのロジックで攻めてくる古典本格かと期待してしまったので、ちょっと拍子抜け。

No.2 8点 Tetchy 2008/07/13 21:20
海外ミステリが苦手という人もこの作家の作品は読めるのでは?と思うくらい読みやすい作品です。
特に代表作とされる本書はフランスのモン・サン・ミッシェルを舞台に見つかる古い骨の正体を探るスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの骨に関する含蓄溢れた推理と、あるトリックを使った事件の真相にあっと驚かされる、佳作となってます。
私はこの1作を読んで以来、このシリーズの虜です。

No.1 9点 こもと 2008/03/05 14:24
 「ミステリ・ファン」を自称する身ですから、「小さな手がかりを積み重ねて謎を解く」という王道を行くスタイルには、やはり痺れます。 
 今作は、人類学教授ギデオン・オリヴァーを主人公に据えるという、その設定が上手いですね。 古い人骨が時代背景や人物を語り、ギデオンがその声を聞き、事件を解決する・・・これを「推理」小説と呼ばない人がいるであろうか、否、いない。(特に意味はないが、使ってみたかった反語/笑)
 「スケルトン探偵シリーズ」の名を世に知らしめた一冊です。 ロジックに酔いたい方は、ぜひ。


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