皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 骨の島 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ |
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アーロン・エルキンズ | 出版月: 2005年10月 | 平均: 5.25点 | 書評数: 4件 |
早川書房 2005年10月 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | 2019/07/05 22:13 |
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大人気“スケルトン探偵”シリーズの長編第十一作目。
今回もギデオンによる骨の鑑定がイタリアの名家にまつわる殺人事件の謎を解き明かす! 2003年の発表。 ~イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じがたい言葉をかけた。「私の子を産んで欲しい」と。時は流れ、産まれた子は実業家として財を増やそうとする。だがその矢先、一族の人間が誘拐され、さらに前当主のドメニコの白骨死体が地中から発見された。調査を始めた人類学教授ギデオンは、骨に隠された一族の数々の秘密を知ることになるが・・・。円熟味を増したスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの推理が冴える本格ミステリー~ 海外版トラベル・ミステリー的な見方もできる本シリーズ。 今回の舞台は紹介文のとおりイタリア。風光明媚なマッジョーレ湖を望むストレーゼ村。 全く知らない地名だったけど、北イタリア地方に属し、ミラノに割と近い町・・・らしい。 とにかく、またもや観光旅行に来たはずのギデオン夫妻が骨にまつわる事件に巻き込まれることに。 (これはもうお約束) 冒頭からいかにも「伏線ですよ」とでも言わんばかりの場面が描かれ、これが事件解決の大きなヒントとなる。 他の方の書評を読むと、この辺りの分かりやすさが不評のようだが、私個人としては特に気にならなかった。 そもそも本シリーズの良さはこの「分かりやすさ」なのだ。 「骨」さえ出てくれば、ギデオンの卓越した鑑定能力が古の事件までも解決に導く。 そして、必ず事件背景にあるのが複雑な人間関係。 今回は「貴族の血」とでも言うべき伝統と因習が動機につながっていく。 日本ならさしずめ“犬神家の一族”的なドロドロした雰囲気になりそうだけど、そこはアメリカン!(いやイタリアン?) 暗さの微塵もなし。読者も安心して読み進めることができる。 ということで、楽しい読書を求めている方にはうってつけ! ラストもハッピーエンド。 そして、今回もギデオンは妻のジュリーが大好き・・・(ミステリーの書評とは思えん) |
No.3 | 4点 | nukkam | 2016/08/01 00:08 |
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(ネタバレなしです) 2003年発表のギデオン・オリヴァーシリーズ第11作は残念ながらやや精彩を欠いた作品です。ならず者を雇っての誘拐というのが本格派推理小説にはそぐわない感がありますし、ギデオン襲撃事件の理由が例えば「呪い!」(1989年)に比べると弱いです。骨に関する知識を謎解きに活かしているのはいいのですが(それがシリーズの持ち味ですし)、本書のように最後の謎解き場面で使われると一般的読者としては「専門知識を最後の決め手にしないでくれ」と負け惜しみを言いたくなります。ユーモアに富んだ会話や観光ミステリーとしての風俗描写(美味しそうな料理が登場します)は健在で、気軽に読める作品です。なおハヤカワ文庫版の巻末解説はストレートなネタバレではないものの大きなヒントになりかねない記述があるので先には読まないほうがいいと思います。 |
No.2 | 6点 | 臣 | 2012/04/13 10:30 |
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お手軽な海外旅情本格ミステリーです。ギデオン・オリヴァーが北イタリア滞在中に現地の事件を取り扱うという設定です。
拳銃ドンパチの派手な誘拐事件という、いかにもギデオンの出番がなさそうな事件を発端にもってくるあたりは上手いというか、映像的というか、安っぽいというか、でもそういうのが好みだったりもします。ただ、あの真相は、序盤のあの事象からすれば当たりまえすぎるでしょう。あの事象の記述は伏線という類のものではなく、「要注意」という看板を掲げているようなものです。まあ、それも楽しからずや、なのですが。 本シリーズ作品は主人公の職業柄、骨の専門知識が謎解きに使われるのは当然なのでしょう。本書も例に洩れませんが、その薀蓄の開示は丁寧でわかりやすく、真相解明の鍵に使われても嫌味に感じることはありませんでした。 本シリーズを読むのは2冊目。前回が第2作の「暗い森」、今回は第11作。読み比べると、前回は硬さがあったように思いましたが、今作はとにかく読みやすく、登場人物も肩の力が抜けているような感じで、会話や行動、食事などすべてが自然な印象を受けました。 どうやら心を和ませてくれるシリーズのようです。 |
No.1 | 5点 | Tetchy | 2008/07/21 20:52 |
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本作からミステリアス・プレス文庫からハヤカワ・ミステリ文庫へ引越しして訳出再開された。
やっぱ、待ってた読者がいたんだね~。 今回の舞台はイタリア。ギデオン夫婦は純粋にバカンスで来ていたのだが、やはり事件に巻き込まれる。 誘拐事件というショッキングな幕開けで、他の作品と一味違うなと思い、また久々に出たこともあって期待が高まったのだが、ちょっと今回は質が落ちたかなぁ。 お得意の骨の鑑定と事件があまり密接に響いていないような気がした。 そして今回のサプライズはオイラが想定した真相の方が、驚きが大きかったように思う。 あのサプライズは(ネタバレ注意!)、専属医の日記と身体的特徴からも判るように思われ、必ずしも必要であるとは感じなかった。だから骨を盗みに入る話、ギデオンが襲われる話などがどうも宙に浮いているような印象があった。 むしろ、オイラの考えた展開、「実はドメニコは無精子症だった」とか「先天的に生殖遺伝子が弱く、Y遺伝子を持っていなかった」などがカルテから判明する方がインパクトが強かったと思う。 ま、でもやっぱりキャラクターが面白いね、このシリーズ。 読んで、損はありません。 |