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[ 本格 ]
ナイン・テイラーズ
ピーター卿シリーズ
ドロシー・L・セイヤーズ 出版月: 1958年01月 平均: 6.82点 書評数: 22件

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東京創元社
1958年01月

東京創元社
1998年02月

集英社
1999年04月

No.2 7点 Tetchy 2009/03/01 19:49
事件は相変わらずシンプルで、偶々葬式の時に掘り起こした墓の中から身元不明の死体が発見される。
死体は顔を潰され、両手首は切断されて、ない。さてこれは一体誰だろうか?どうやって殺されたのか?一体犯人はどうしてこのような事をしたのか?これだけである。
この犯人の背景を探る旅がこの物語では私にとっては特に面白かった。

それでもしかし世評高い本作は私の中ではセイヤーズのベストではない。
大きくトリックに絡む日本人に全然馴染みのない転座鳴鐘術の件、これが非常に読書に苦痛を強いるものであった。
浅羽莢子の訳は読者にどうにか理解させようと苦心しているのでこの原因にはならない。
元々が難解すぎるのだ。

しかしそれでも殺害方法は物語半ばにして解った。

(以下、少しネタバレ)


最後に今回の最も大きなアイロニーはピーター卿が初めて人を殺めたという点ではなかろうか?間接的とは云え、彼は共犯者の1人だ。
この物語の締め方が私をして本作を手放しに賞賛することを拒ませているようだ。

No.1 7点 ElderMizuho 2008/05/21 23:11
不屈の名作小説にしてこれ以上ない良睡眠剤でもある一作
ボリューム充分の精緻なプロットは探偵小説の王道中の王道でありながら文学、読み物としても読み応え充分。
一方で異常に多い薀蓄、それも日本人には非常に馴染みの薄そうな・・が初めから盛り沢山なため読みにくい訳と相まって引き込みの悪さは最悪。
が、無理やりにでも、170Pくらいまではある程度読み飛ばしてもらっても、この作品は完読する価値がある。170Pぐらいから探偵小説としてもグイグイ来ますよ。
普通ラストの犯人当ては泥々しさがあるのだがこの作品の"犯人当て"は美しい。読後感の爽やかさではこの作品を超える作品は今だありません。


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