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[ クライム/倒叙 ]
そしてミランダを殺す
ピーター・スワンソン 出版月: 2018年02月 平均: 6.57点 書評数: 7件

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東京創元社
2018年02月

No.7 5点 ミステリ初心者 2021/11/22 20:09
ネタバレをしています。

 4人程度の主観の人物の文章からなる、倒叙形式のようなミステリです。個人的には非常に非常に読みづらく、申し訳ないですが退屈でした。
 はじめは、妻の浮気を目撃したテッドが、偶然であった女性と殺人計画をする話でした。ここまではなかなか面白みがある展開だったのですが、その後は大きなイベントが起きず、平坦な物語が続きます。私は、こういう2時間ドラマ的で本格度が低い作品の大抵は叙述トリックドンデン返し系統と思い込んでおり、本来なら注意深く文章を読み、伏線とミスリードを予想する必要があると思っているのですが、あまりの文章との相性の悪さに、斜め読みをしてしまいました…。まあ、それほど大きな伏線もなかった気がしますので逆に良かったです(涙)。
 200pもの退屈さに耐えると、テッドがやっと殺されて物語が大きく動きます。ここでやっと面白くなってきたのですが、頭がよさそうなミランダが考えた?計画は杜撰で面白くないし、そのミランダもすぐに死んでしまいました…リリーとの頭脳戦の展開ならわくわくしたのですが(笑)。
 リリーと警察のキンボールが主観の物語になってから、また退屈な文章になっていき、最後の驚きの展開を期待して、気合で読んでいきました(笑)。ラストは2点程度面白い展開もありましたが、買ったときについてきた帯に書かれた文章の"最低でも3回の驚愕を保証!"はあまりにも大げさに書かれ過ぎています。

 総じて、キャラクターたちの心情や背景を楽しめる人にはお勧めかもしれませんが、本格推理小説好きからしたらあまり良いところごない…という感想です。ファンの方には申し訳ないのですが、前評判から期待値を上げ過ぎた私も悪かったかもしれません。

No.6 7点 八二一 2021/11/15 20:52
特異な心理を組み込みつつ、スリリングなせめぎ合いと巧みな語りで先を読ませない。

No.5 6点 ひなめ 2019/12/14 22:50
ミステリー的には、各章のラストや特に第2章の始まりなど、何度か驚く仕掛けや急展開があったのが良かったです。交互に語り口を変えることにより、双方の思惑を徐々に明かしつつ、物語の核心に迫っていくプロットも面白かったです。
犯罪小説的には、盛り上がりに欠けるかなと思いました。スリル感が持続せず、読む手が止まらないといった感覚には至らなかったです。細かい描写が多くて物語の進みが遅いのと、主人公のサイコパス感の薄さが原因かなと感じました。冷酷だけど頭脳明晰とは思わなかったです。サイコパス特有のブッ飛んだ思考から来る派手な展開とかもなかったです。

No.4 7点 HORNET 2018/12/23 20:02
 これまでの諸表の点数に流されてしまった面は否めないが、面白いことは保証できる。それは、筆者のリーダビリティの高い文章力によるところが大きい。
 仕掛けとしてはさほど目新しさはないかもしれないが、ブッ飛んだ女の性根、偶然も相まって(犯罪が)上手くいってしまいそうな展開など、面白さが持続して読み進めてしまう力がある。特に最後のほうの、追い続けていた男の癖による救われ(かけ)かたは面白かったし、結局すべてが瓦解するラストも妙だった。
 女としてどっちが上手(うわて)か?みたいな後半は、多くの読者は心情的にリリーに味方する感じ?
 面白かった。

No.3 7点 makomako 2018/08/13 20:13
お話としてはとんでもない性格の女が次々と殺人をしていく。相手の女もとんでもない性格。主人公の女は二人ともサイコパスのようです。通常は理解不能と思われるのですが、この二人の女性が魅力的に描かれており、馬鹿な男どもは見事に引っかかり、殺しの道具とされたりさっさと殺されたり。よく考えるとひどい話なのですが、読んでいるときはあまり嫌な感じがしません。どちらかというとサイコパス的女性の考えが何となく理解できるような感じになってしまいます。
 しかも主人公は最終的にうまく切り抜けてしまうと思わせるのですが、何とな陽がいっぱい」風の終わり方をしてしまいました。いくら何でもこれで幸せに暮らしたらいかんでしょう。
 主人公に共感ができるということには決してならないと思いますが、嫌悪感を抱かずに読めてしまう不思議な小説でした。

No.2 7点 猫サーカス 2018/07/13 15:12
先の読めない展開で読ませるサスペンス。妻ミランダの浮気を知って彼女に殺意を抱くテッドと、彼に助力を申し出る謎の美女リリー。2人が計画を進める様子と並行して、リリーの秘められた過去が語られる。殺人を犯す人物の造形と、巧妙な叙述で読者を引っ張っていく。物語のところどころに仕掛けが施され、最後の1ページまで読者を翻弄する。緻密に組み立てられた、殺しと欺瞞の物語。惑わされる快楽を満喫できる。

No.1 7点 蟷螂の斧 2018/06/05 12:23
裏表紙より~『空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。』~

出だしは「見知らぬ乗客」(パトリシア・ハイスミス氏)に似ています。でも交換殺人ではありません。著者はハイスミス氏の大ファンとのことでした。帯で「この展開、予想できるはずがない!」と煽っています(笑)。一点は物語自体の展開ですね。これは二度ほど「えっ!?」と正直思いました。もう一点は背景ですが、こちらはフランスミステリー(2011年)で強烈な先例がありますので免疫済みでした(苦笑)。男女4人のモノローグ形式でなので、心理状況は良く描かれていると思います。


ピーター・スワンソン
2019年07月
ケイトが恐れるすべて
平均:6.00 / 書評数:2
2018年02月
そしてミランダを殺す
平均:6.57 / 書評数:7