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[ ホラー ]
ずうのめ人形
比嘉姉妹シリーズ
澤村伊智 出版月: 2016年07月 平均: 7.43点 書評数: 7件

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KADOKAWA / 角川書店
2016年07月

KADOKAWA
2018年07月

No.7 8点 まさむね 2023/03/26 20:20
 ホラーながらミステリとしても面白いという、巷の評判どおり。やられたなぁ。前作「ぼぎわんが、来る」もよかったのですが、ミステリとしての側面では本作の方が上位。どんどん近づいてくる怖さもあります。個人的にホラーは得意ではないのだけれど、この作家さんの作品はもう少し読んでみようかな。

No.6 8点 パンやん 2019/07/24 20:32
こ、これは確かにホラーだがっ、というよりバリッバリのミステリーではないか。ホラー大賞の次編ではあるが、前作がアクションエンタメ化したラストを、驚きの連続、逆転のカタルシスで紡いだのが実にうれしい。見事に騙される、二度読みの面白さに溢れている、それがホラーとしての味わいの中に自然に溶け込んでいるのである、オススメ!

No.5 7点 ボンボン 2019/02/10 20:06
本当に抜群のネーミングセンスだ。内容も『ぼぎわんが、来る』からさらにパワーアップして重量級。たっぷりと楽しむことができた。
一部に動機の弱さや都合がよすぎる人間関係など、普通ならちょっと引っかかるところがあるのだが、それすら怖さ不気味さ薄ら寒さに取り紛れて気にならない。
なぜ関連の見えない人まで次々に犠牲になるのかという謎の答えが衝撃だった。こういうところがホラーなんだな。容赦がない。

No.4 7点 パメル 2018/09/30 01:17
不審死を遂げたオカルト雑誌ライターが遺した原稿。この原稿を読んだ人が、次々と呪い殺されてしまう。都市伝説をめぐる怪異に巻き込まれながらも、それに挑む登場人物の葛藤を描いたタイムリミットホラーサスペンス。
じわじわと迫りくる恐怖を味わえるホラーとしても素晴らしい出来だと思うが、ホワイダニットに対する疑問や驚きのどんでん返しなど、本格もの好きな方にも楽しめる要素もある。
少し気になる部分もありますが、リーダビリティも高く幅広い層の方が楽しめる上質なエンタメ小説といえるでしょう。

No.3 7点 メルカトル 2017/10/28 22:05
随分と仰々しいタイトルに、ドロドロとしたイメージを抱いていましたが、意外と纏まりのある現代的なホラーでした。しかし、あまりに綺麗に纏まり過ぎていて、衝撃度という点では物足りなさを感じました。ただしじわじわと迫ってくるタイムリミットなサスペンスは、読んでいて独特の世界観に引き込まれます。さらに、ミステリ的な謎解き要素も盛り込まれており、そうした側面でも楽しめます。
これは仕方ないのかもしれませんが、人間関係の絡み方に不自然さというか、偶然に頼りすぎな面があるのが気にならないでもありませんでしたね。しかし予測不能のラストは想像外の展開に、おっとそう来たかと思わずニヤリとさせられました。まさかのトリックを駆使して意外性を押し出してきたのも、この作者は只者ではないと思わせます。
全体的によくできたホラーだと思います。ですが、肝心のホワイの部分にやや弱さを感じたというか、恨みを向ける方向性が間違っているのではないかと思わないでもありませんでした。

No.2 8点 HORNET 2017/10/09 10:39
 人並由真さんによれば、「ホラーながらミステリとしても面白い」と評判ということらしい。その通りだと思った。前作「ぼぎわんが、来る」もよかったが、これもまたよかった。同じ登場人物が出ていてシリーズ化される様相なので、楽しみ。

 「ずうのめ」という語感や、赤い糸で顔をぐるぐる巻きにされている日本人形など、「気味悪さ」の作り方が絶妙で、作者のセンスに脱帽してしまう。オカルト雑誌の出版社が舞台となり、都市伝説が書かれた原稿が人の手に渡っていくことで呪いが拡散していく、というスタイル自体はありがち(作中にも多用される「リング」同様)だが、主人公が原稿を読み進めていくのと、現実世界とが交互に描かれていく構成により、少しずつ謎が深まり、そして解明へと向かっていく様が上手く描かれている。
 この都市伝説の出所はどこなのか?描かれている話は実話なのか?だとすると、出てくる「りぃ」と「ゆかり」は実在するのか?それらの謎に対しての仕掛けも施されていて、「ミステリとしても面白い」というのも確かにうなずける。
 今後も楽しみなシリーズだ。

No.1 7点 人並由真 2017/05/16 14:22
(ネタバレなし)
 零細雑誌「月刊ブルシット」のバイト編集者・藤間洋介は編集長の戸波の指示で、学生バイトの岩田哲人とともに、連載ライター・湯水清志の自宅に向かう。目的は、締め切りが過ぎても原稿が届かず、連絡もない湯水が気になったからだが、そこで藤間と岩田が目にしたのは両目を抉られ、顔を切り刻まれた湯水の惨殺死体だった。岩田は現場から、湯水の遺稿と思える不審な原稿を独断で持ち帰り、その複写を半ば強引に藤間にも読ませる。だがそれこそが、藤間にとりつく怪異「ずうのめ人形」の呪いの始まりだった…。

 ホラーながらミステリとしても面白いという評判を聞いて初めて作者の著作を読んでみたが…しまった! 前作『ぼぎわんが、来る』の後を受けたシリーズもの(オカルトライターの野崎昆と、その恋人の霊能力者・比嘉真琴が活躍)だった! 
 まあたぶん単品で読んでも大きな問題はなかったと思うが、そっち(『ぼぎわん』)はそっちで面白そうだったので、シリーズの順番どおりに手に取ればよかったな、とも思う。
 超自然的な怪異そのものは厳然と存在する世界観だが、その上で過去の事態をめぐるホワットダニットや、錯綜した人間関係の謎がてんこ盛り。さらにはあの手の大技も出てきて、なるほどこれはミステリとしても十分に楽しめる。
 ちなみにJホラーはそんなに詳しくないのだが、終盤の「これはありか…」という展開も含めてそれらしい湿った怖さと不愉快さは感じた。
 あと本の厚みだけみるとハードカバーで300ページくらいかなと読み始める前は思ったが、実際には斤量の低い紙を使っていて400ページ近くあった。なんかその辺もこちらのスキを突いてくるようでコワかった。


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