home

ミステリの祭典

login
モトキングさんの登録情報
平均点:6.06点 書評数:78件

プロフィール| 書評

No.18 7点 ロシア幽霊軍艦事件
島田荘司
(2001/12/06 13:39登録)
御手洗シリーズを読めるというだけで結構満足ですね。
ワールドワイドな舞台を背景に、これだけ歴史的深みのあるプロットとくれば、この謎を解ける人間は御手洗くらいでしょう。島田先生以外の作家がこのプロットを思いついても(思いもつかないか?)、御手洗のようなキャラを持っていないから、作品には出来なかったでしょう。どうしてもっていうなら、そのために新しいキャラクター(ロシア、特にロマノフ王朝関係を研究している歴史学者とか何とか)を用意しなきゃね。
やはり、都合良すぎるくらい何でも知っている御手洗じゃなければ、ね。
内容としては、もちろん、これも御手洗シリーズとして十分に面白い。後期の「暗闇坂」から4作連続した例の大長編ほどの読み応えは勿論無いが、作品の量(枚数)と質が、見事にバランスしており、かなりの佳作。ただ、読者は御手洗ではないので、こんな壮大な謎に対しては、読んでて推理もクソもないのはご愛敬。いわゆる本格ミステリではなく、歴史大河的な物語ですね。御手洗外伝というか。
でも、面白いのでこの点数。(御手洗ファンなので+αしてます)


No.17 6点 密閉教室
法月綸太郎
(2001/12/03 16:46登録)
非常にデビュー作っぽい作品ですね。
デビュー定番の学園モノで、謎については、意気込みは高いんだけど、穴も多いという。
こういう作品の良さは、舞台となる「学校」に、読者が皆一様に馴染みがあり、登場人物も先生か生徒なので、読者周知の設定の中で、作品に入り込みやすいという点ですね。しかしながら、リアルに作品世界を感じられるからこそ、そこで展開される謎についても、しっかりと地に足が着いた論理展開が要求されます。
その点で、この作品は多少「詰め甘し」ですね。また、純粋に青春モノとしては、何か中途半端で、登場人物のセリフ等に違和感を感じました。これが、青春モノの構図を壊しているような気がします。
でもまあ、トリックとその論理的解決に主眼を置いた、ベーシックな本格モノを目指している姿勢に非常に好感が持てますので、こんな点数で。


No.16 7点 名探偵の掟
東野圭吾
(2001/11/30 11:20登録)
お決まりのミステリの型に載った設定で進みながら、今まで読者が突っ込みたかった全てのポイントを、登場人物自らの口で(これが凄い!)、ここまで見事にぶっ壊してぶっちゃけているこの作品を読むと、本当に心の底からニヤついてしまう。
非常に面白い。ミステリを熟知した作者のお遊びが、一流のエンターテイメント性を持ったアンチミステリに仕上がっている。
でもまあ、これを笑うには、同じく読者にもミステリに対するある程度の知識が求められますけど。
ただ、本家があってのパロディを、本家ミステリの超一級のラインナップと同点数というのはどうかと思うので、この点数です。


No.15 5点 人形はこたつで推理する
我孫子武丸
(2001/11/30 11:03登録)
おっ? 一番乗りだ。
この作品はとにかく主人公のキャラが非現実極まりない。この点にまず驚く。そして、そのキャラを許せるかどうかで、読者は皆、一様に悩むことだろう。
もしかしたら、その点において、これをミステリと認められず、最悪の場合、生理的嫌悪感すら抱いてこの作品を放り投げてしまう方も、中にはいるかもしれない。
しかしながら、私はこのキャラを許せた。コメディタッチな文章がそれを「有り」にさせたのだろう。しかし、コメディというヤツは、ミステリというジャンルの中では多少損をしている。我々の認識する現実世界における論理性云々を幾ら追求しても、その作品世界自体が何か嘘に見えてしまい、どうやっても地に足が着いていないような宙ぶらりんの印象を受けてしまう。
まあ、フィクションなんだから嘘世界は当然なのだが、それでも推理小説というものは、我々の生きる世界のルールをそのまま当てはめて、その規則の中で謎の論理展開を行うものであるから、例えば登場人物の一人が自由に空を飛べたり、目からレーザービームが飛び出るような設定であれば、それを真面目な推理小説として捉えることは出来ない。むしろファンタジーだ。
そこまで酷くはないが、そういう点で、この作品は損をしているような気がする。
短編なので、一つ一つ小さくまとまっているが、それぞれのしっかりとした論理的解決は、なかなか良くできている。肩肘張らないで読める作品だ。


No.14 4点 殺人鬼
綾辻行人
(2001/11/30 10:25登録)
まあ、作家が綾辻ってだけで、これを「ミステリの祭典」で採点するのもどうかと思いますが。
皆さんの書評を見てみると、やはりという感じで、「超A級スプラッタ!」みたいな評価を与えている人は評価が高く、ミステリとして捉えている人は、幾らホラー的に完成度が高いとしても評価は低くならざるを得ないと思います。
全体的にホラーであり、その中のアクセントに、何気なく叙述トリックをおひとつ、ってな感じでは、それはホラー小説の一種という以外の何者でもないでしょう。
究極的にいって、たとえ殺人鬼的な役回りの登場人物(人なのか?)が登場しても、最後に殺人鬼の正体が判明するのがミステリで、それが有耶無耶でも何でも良いのがホラーでしょう。ホラーってそういうもんだ、という意見は最もです。チャッピーだってジェイソンだって、その正体について、何か本当か嘘かわからないような、非現実な一応の解釈は付きますが、やっぱホラーといえば「続編」が付き物なので、最後は正体不明、生死不明(死ぬのか?)で何となくハッピーエンド(ハッピーか?)ですもんね。
しかし、それを許してくれないのが、ミステリのミステリたる所以であり、私はそんなミステリが好きです。
よって、この作品のミステリ的要素に着目すると、叙述トリック的にはごく普通。綾辻作品と思って読めば、他の作品を2編以上も読んだ方なら、このお遊び的トリックには、読み始めてすぐ気が付くでしょう。
だから、この点数です。まあ、やっぱり綾辻先生には、こういう作品に時間と労力を消費させたくないというのが一番ですね。だから厳しく。


No.13 6点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2001/11/29 18:09登録)
これは大多数の皆さんの意見に賛成です。つまり、綾辻の代表作として挙げられるほど、この作品は良くはない、と感じます。
幻想性と論理性とは相反する性質ですが、私の好きなミステリには、この2つの要素が必ず、それもたっぷりと盛り込まれています。
これは、非常に矛盾している表現ですが、単純にその構成を説明すると、解かれるべき謎が冒頭に登場した際、この謎が非現実的かつ非科学的であり、不可思議であればあるほど、その幻想性は大きく、言ってみれば霧がかかったような状態といえます。そんな五里霧中の中、物語が進んでいく過程で、探偵(役)が劇中に鏤められた証拠や証言を元に、その霧を徐々に晴らしていき、最後には、探偵の論理の刃が、非現実で理解不能な出来事を、現実に理解可能な出来事へと変えていくのです。この場合、最後に霧が晴れて明らかになる面積が、事件全体に占める割合が大きいほど、そしてその晴らし方(論理性)が鋭いほど、その作品の「転」と「結」は見事に締まり、推理小説として面白い作品と皆に評価されるのではないでしょうか。
もちろん好みもありますので、幻想性云々は関係なく、論理性自体が大事と考える、かのクイーン作品の某も、誰が何と言おうと間違いなく傑作だと思います。
前段が長くなりましたが、要はこの作品は、その結末での霧の晴らし方が中途半端なのです。例えば100ある謎の1だけを、探偵といえど解決できない残された謎として、余韻作りをすることは、手法としては効果的な場合もあります。この解釈としては、事件を構成する99ある人為的意図的事実の中に潜む、たった一つの偶然だったというものであれば、それはそれで論理性の延長にあると考えることも出来ます。
しかしながら、この作品は、偶然性に頼りすぎていて、ミステリにおける論理性の重要さというものを軽視している傾向が見て取れます。偶然にも必然性は必要です。つまり、偶然でなくてはならない必然性ということですね。この作品は、舞台設定や全体的なモチーフに、徹底的に本格ミステリ風な色づけをした、単に雰囲気だけの作品であり、それは私の考えるミステリではありません。
しかしながら、雰囲気は十分に楽しめましたし、作者のミステリに憧れる姿勢には好感が持てます。もしかしたら、アンチミステリとして、既存のミステリに対するアンチテーゼを唱えたのではと些か勘ぐりましたが、よくよく考えてみると、作者は叙述トリックの冴えだけが際だつ、作品しか描いていないですし、やはり単に「物理トリック」のキレで勝負してきた過去の本格の作品群への憧れを踏まえて、己の能力内で、出来る限り似せてみようと頑張った結果なのでしょうね。
よって採点は、あくまで「本格風なアンチミステリ」としての面白さに着眼して、こんなもんです。


No.12 8点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2001/11/28 17:43登録)
路線として、ひたすらにロジックを追求する有栖川作品だが、火村シリーズと比べても江神シリーズの方が、より論理性に重きを置く傾向が強いと感じる。
そして、その江神シリーズも3作目にしてようやく一人前の手応えを得たと感じる。
まず、シリーズ1作目が作者の処女作という点からも、文章や構成の熟度が格段に上がっている。
そして、構成という点では、2箇所の隔離された各舞台でそれぞれ別々に起こる殺人が、終盤でものの見事に解決へと結実するこの設定は秀逸である。また、論理的解決のカギを握る決定的根拠は、相変わらず作中に鏤められた描写のディテールを抉ってやっと手に入れられる伏線にあり、このクイーン的手法が気持ちよく決まっている。
さらに、作中で登場人物達が繰り広げる推理合戦もなかなかに興味深く、ミスリードを踏まえた彼らの言動が、読む物を飽きさせないアクセントとなって作中の舞台に読者を移入させている。
しかしながら、これらはあくまで論理的解決を主眼に置いた評価であり、トリック云々の話になれば、これは誠にお粗末という他はない。
まあ、方向性として有栖川作品は、目新しいトリックを目指しているわけではなく、私自身、無理矢理な物理トリックを持って作品の背骨とするより、こういった論理性を第一に考えた作品が元より好きなので、その中では、何と言っても前述の2段構成の結実が見事と言うほかないこの作品は、今のところ有栖川作品では?1である。
このように私の好みと作品の方向性が見事にマッチしていますが、さらにまだこの上を行く作品が出来ることを期待して、この評価です。


No.11 8点 奇想、天を動かす
島田荘司
(2001/11/28 17:00登録)
島田荘司は物理トリックが相変わらず凄い。
本作は、社会派と本格が真っ向から融合した傑作例として、よく挙げられているが、私自身の好みとしては、やはり社会派系の雰囲気は好かん。
確かに作品として、無理なく、というか、結構見事に成功していると思うが、私としては社会派部分を全て削ってしまっても問題ないと思う。っていうかむしろそっちの方が好きだったろう。
でも、これはある意味、社会派と本格派との垣根などによってミステリを分けたくないという、島田先生自身の意志も影響したんでしょうね。挑戦というか。
そもそも社会派じゃないとミステリじゃないなんて思想自体ナンセンスですもんね。
しかしながら、かくいう私は絶対本格派なんですが…。
とりあえず、社会派要素のあるなしに関係ないくらい融合の出来は自然で(っていうか、これに限らず吉敷シリーズは、概ね社会派の臭いがしつつも完成されてますけどね)、かつ本格部分の出来が良いのでこの点数。

PS でもやっぱ御手洗が最高です。


No.10 3点 人形館の殺人
綾辻行人
(2001/11/28 16:13登録)
下手な叙述トリックですね。
今まで散々大業叙述トリックを駆使しながら、4作目でこれが来ますか。大業と言えばこれも今までに勝るとも劣らない大業ですけど。
まあ、今までの作風を持って読者をミスリードさせるタイミングは良い。この大業自体の着想も良い。
しかし、はっきりいって面白くない。これは思うに、単純に小説としての出来が悪いのだ。見せ方、構成、文章力、そして特質すべきは、前述のミスリードが何も生かされないような見え見えの展開。この酷さには、作者の体調が悪かったのかなどと勘ぐってしまいたくなる。何故なら、その他の作品では、文章力でグイグイ引っ張られてきたのだから。
それと、ミスリード云々の話はあるが、これを館シリーズとして発表することにある意味凄さを感じる。何たってこれはシリーズレギュラーが誰一人登場せず(名前のみ)、実際にはそこら辺にある「○○ふるさと館」とか、単に少し大きめの屋敷みたいなのが舞台であり、館シリーズ設計者と何の関係もないのである。さらにこれが、シリーズに組み込む意図が思い切り外れてしまったのだから目も当てられない。
作者自身は何だか随分この作品に思い入れがあるらしいが、私としては、同じトリックでもこの作者ならもっと上手く作品化出来ると思うのだが…。


No.9 9点 十角館の殺人
綾辻行人
(2001/11/28 15:38登録)
言いたいことは山ほどあるが、絶対的に面白い。
1行で、本当に本当の1行で全てをひっくり返す。
この言葉、口で言うのは容易いし、新刊の帯広告でよくその手の言葉を見かけるが、こんなに見事に作品中で決めているのは、断筆先生の傑作「ロートレック荘事件」かこれぐらいではないだろうか。
叙述トリック自体、一昔前までは、卑怯でアンフェアな手法と罵られていたが、今では「叙述の怪物」折原一を筆頭に、数多く見かけるようになった。中には叙述トリックの方が、物理トリックより好きという人もいる。
読後感がかなり爽快なだけに、あまり文句は付けたくないのだが、「わざわざ島で殺人を犯す必要性」と「最後の殺人方法」については疑問が残る。
この2点は、この作品を作る上で、絶対的にネックとなるが絶対的に避けてはいけない部分だと思うが、大した根拠も説明もなく流されていた。
…だって、島に行ったって、犯人の殺人方法は島特有というわけでも何でもないわけで。逆に、犯人候補の輪が内地よりもの凄く狭まくなるし、困難なだけじゃん。被害者は読者じゃないし、当然、彼らにとって騙されるようなトリックは何一つないんだよ。
…それに、最後の2人になれば、犯人じゃない方は、絶対もう一人を疑うって。そこで殺すなんて至難の業よ。大業に加えてもう一つ、この点をクリアするトリックが必要だったんじゃないかな〜。いわゆる叙述トリックではなく、作中人物に向けたトリックを。
それにしても惜しむべきは、この作品が面白いということ。
この2点をクリアすれば、日本推理小説史に残る大傑作になったんじゃないかな。


No.8 7点 仮面山荘殺人事件
東野圭吾
(2001/11/28 15:08登録)
あの最後。あれははっきり言って反則です。ルール破りです。でも、叙述トリックの範疇としては有りなのかな〜。
しかし、なんだかんだ言っても面白い。エンターテイメント性は抜群だし、使っているモチーフというか舞台設定はしっかりミステリしてるしね。
ということで、何となくミステリを読んだ感じにはなれるので、採点は純粋にエンターテイメント性にマイナスなしで。


No.7 5点 レベル7
宮部みゆき
(2001/11/28 15:01登録)
宮部作品全体に言えることだが、ミステリとして読むには、あまりにその手の要素が薄い。
フーダニットなど望むべくもなく、ましてや探偵役などは必要ないと来ている。クイーンをミステリの至高と呼んだ場合、宮部作品はその参加資格すら有していないほど、遙か別の地点にいると感じる。
論理的解決などは期待できず、方向性でいえばシドニーシェルダン(私は大嫌い)あたりが思い浮かぶ。
でも、作品自体の出来は良いんじゃないでしょうか。手に汗握るスリルとサスペンス。思いもつかない展開。最後のどんでん返し。
エンターテイメントとして、しっかりと起承転結のツボを押さえているという感じでしょうか。
まあ、最後は好みなんだろうけど、私はこの作品をミステリとは呼びません。


No.6 6点 どちらかが彼女を殺した
東野圭吾
(2001/11/28 14:45登録)
この試みは好きだ。
ロジカルな推理物として、最後の1ページまでは、読みやすく、無駄が無く、かなりの高評価といえる。
しかし、推理小説の醍醐味は、解決編にある。痛快なまでに裏切られる驚くべき真相にある。それを超人的なまでの論理展開で皆に披露する探偵(役)にある。
従って、ミステリとしては、この作品を上位に置くつもりはない。作品の中身自体、トリックも何もなく、単に、もの凄く大げさなクイズの問題編を読まされた感は否めない。
あと、犯人当てがこの小説の唯一無二の存在意義であるのだが、その決定材料があまりにショボい。ましてや刑事があんな些細なことで、犯人を立証できるわけもない。(と、まあこれは物語世界では別にどうでもいい話ですが)
てな感じでこの点数です。


No.5 8点 マジックミラー
有栖川有栖
(2001/11/28 13:50登録)
解決に当たり、複数の回答が思いつく中、どれも決定打が思い浮かばない。そんな中、突然あらぬ方向から湧いてきて、小説全体を締める最終幕に、かなり感動した。凄いとすら思った。このプロットは既存ミステリと比べても相当な位置にあるのではないでしょうか。
しかしながら、イマイチ記憶に薄いの何故だろう。
普通に話をしている中で、「私のベスト10」みたいなものがあっても、この作品の名前は出てこないだろう。私も、今あらためて採点のために記憶を呼び返し、見つめ直した結果、やっと作品自体の出来に感心するに至った次第なのである。
うーん、何故だろう。その理由が定かではないため、とりあえずその点は無視して高評価にしました。


No.4 2点 ダリの繭
有栖川有栖
(2001/11/28 13:35登録)
本当に同じ作家が描いたのだろうかと疑いたくなるほどの作品。
有栖川作品全般に通じる、唯一だが絶対的に評価できる点である「論理性」が、全作品中最も希薄。それも、意欲はあるが失敗したという程度ではなく、その存在すら曖昧であった。
うーん。その後の作品を見ても、これほど酷いのはない。作者は、一体どういう心境でこれを世に送り出したのか。トリックや動機や犯人の意外性や舞台設定とか、その他の点に見るべきものが在れば、それなりに描く気も読む気も起きるだろうけど・・・。
私自身、本が好きなので比較的どんな作品でも愛してしまう傾向にあるが、これは酷い。既存の推理小説全体から見ても、かなりの駄作。趣味や好みを超えて言い切れてしまう。
しかし、悪意や嫌悪は感じないので1点は避けました。


No.3 6点 月光ゲーム
有栖川有栖
(2001/11/28 13:19登録)
江神シリーズの処女作(作者自体もデビュー作)として、後発物(双頭の悪魔)を先に読んでから手を取ったので、キャラクター云々については無理なく溶け込めた。
皆さん、やはりというような辛口批評が多いが、クイーンを彷彿とさせるようなディテールまで追求しなければ解けない謎と論理的解決、そしてそれを目指すべく構成される序盤からの伏線作りに、非常に好感が持てる。
人ぞれぞれ想いは異なるが、私にとってのミステリの理想型とは、こういう点こそが重要なんだとつくづく感じた。
しかしながら、作品自体の出来、成熟度云々を言わせれば、それは確かに熟されていない点が多々あることは、作者自身も認識している(かな?)とおりであるため、採点はこんなもんです。


No.2 10点 占星術殺人事件
島田荘司
(2001/11/28 11:46登録)
物理トリックの最高峰。このトリックを作品として結実させただけでも、島田荘司はミステリの神に愛されていると感じる。
また、トリックが、明かされればあまりに明快(これが凄い!)であるため、冒頭に大がかりな(もう作品全体の7割は越えるだろう)「手記」を持ってきて読者をミスリードさせるあたり、作品の構成としても随分感心する。
この後の作品にもこの構成手法が取り入れられているが、それらについては少し疑問符だが・・・。


No.1 9点 斜め屋敷の犯罪
島田荘司
(2001/11/28 11:36登録)
無茶しすぎ?いやいや、この圧倒的力業こそが、島荘の魅力。
せこせこした物理トリックが乱雑する中で、この単純明快さこそが、ミステリの醍醐味を、推理の面白みを与えてくれます。

78中の書評を表示しています 61 - 78