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ミステリの祭典

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shige-teeさんの登録情報
平均点:7.22点 書評数:36件

プロフィール| 書評

No.36 5点 探偵ガリレオ
東野圭吾
(2007/11/13 19:06登録)
物理トリックをメインに使った理系ミステリーなのですが、正直な印象として読んだ時はあまりピンときませんでした。というのも登場人物のキャラクターが頭の中でイメージできずトリックのみしか印象に残らなかった為だと思います。現在ドラマ化されており、主人公の福山雅治演じる湯川学を見てやっと人物像のイメージが固まり、作風がやっとわかりました。東野さん本人も文藝春秋のホームページの自著を語る(容疑者Xの献身)においてどうしても短編だと人物像まで描くことが難しいとおっしゃっており、その短所が顕れた作品といえると思います。正直映像のほうがイメージしやすく楽しめました。
逆に長編の容疑者Xの献身はそのあたりに力を入れられているようで、まだ未読なのですが近いうちに是非読んでみたいと思います。


No.35 8点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2007/10/17 18:23登録)
江神シリーズの醍醐味はなんといってもロジックだと思います。自分は意外な盲点からがちがちのロジックを積み重ねていき真相を浮き上がらせるというタイプのミステリが好きなので有栖川さんは好きなのですが、短編だとどうも薄味になってしまうので、江神シリーズのほうが合います。
設定や動機に無理があったとしても、ピアノのシーンやカレーの件などが堪能できたので満足です。
早く次作が読みたいです。


No.34 7点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2007/10/17 17:25登録)
読んでいる最中の印象としては映画なんかにしやすそうな話だなと思いました。トリックの関係でちょっと無理なのでしょうが純粋にエンターテインメントとして楽しめました。文章の構成もよく伏線も綺麗に張られています。
大きく四つの話に分けられると思うのですが(蓬莱倶楽部編、古屋節子編、安さん編、探偵時代編)気になったのは探偵時代編、本格物の要素が練りこんであるのですが謎、謎、謎と提示され、論理的な現場検証もあるのですが、いきなり謎を飛び越えて、真相が出されてしまった印象です。もう少し結論に至るステップがあったほうが全体のバランスがよくなったような感じがします。
でも全体としてはなかなかうまくまとまっていて、楽しんで読める作品でした。


No.33 9点 白夜行
東野圭吾
(2007/09/02 06:05登録)
率直な感想はこれだけ長い作品をよく書いたな、というもの。子供時代から青年時代までとにかく時間経過を細かく刻みながら書いているのですが無駄なく綺麗にまとまった印象です。第三者からの視点でのみ描くという作風もよかったのではないでしょうか。作中で二人の不気味さ神秘さがよく現れていたと思います。最後に近づくにつれ、二人の背負ってしまったものが明らかになるにつれてその不気味さや神秘さが悲しさに変わっていく筆力が秀逸であったと思います。


No.32 7点 夏の夜会
西澤保彦
(2007/08/31 13:28登録)
過去の記憶を題材とした作品。基本的には何人かで議論しながら進めていくのですが、昔の曖昧な記憶を頼りに進むので匠千暁シリーズのように論理的に事は進まず、また記憶のあやふやさもあって事実(と仮定していたもの)が二転三転するので読んでてもどかしいです。ただ話の中の記憶の曖昧さの描き方が、自分の感じている子供時代の記憶の朧げさとうまく共鳴しあったのでノスタルジックな感覚に浸れました。過去の記憶というものをうまく描けていると思います。


No.31 9点 戻り川心中
連城三紀彦
(2007/07/25 14:01登録)
『戻り川心中』
とにかく綺麗な作品です。文章も綺麗、作中の雰囲気も綺麗、おまけにミステリとして物語のまとまり方も綺麗といった、三拍子そろった作品です。幻想的な雰囲気が好きな人には大変お勧めです。


No.30 7点 狂骨の夢
京極夏彦
(2007/07/05 17:08登録)
宗教学や民族学には興味があるので楽しめました。
長い言う意見が多いようですが、自分としてはもっと長くても良かった。
実際一つ一つの場面は薀蓄が多く長いと思いますが全体としては場面数が少なく、謎が全部提示された途端に一気に収束して解決してしまった印象です。
もう少し解決までのステップがあっても良かったのではないでしょうか。


No.29 6点 重力ピエロ
伊坂幸太郎
(2007/06/26 18:48登録)
伊坂さんの作品は初めてだったのだが、こ洒落た文章が印象的ミステリーとしては最後にうまくまとまっているがきれいにまとまりすぎた印象です。結構いろいろ複雑に入り組んではいると思いますが展開は簡単に読めます。ちょっと伏線が張られすぎか?途中でストーリーがきれいに解けてしまいました。
とりあえず読み物としては楽しめたので他の作品も読んでみたいと思います。


No.28 8点 手紙
東野圭吾
(2007/05/26 19:02登録)
『手紙』

どこかの書評であまり良くなかったのだが、実際読んでみたら十分に読み応えがありました。主人公が様々な差別を受けながら自分の生き方を模索していく様や最終的な結論に至るまでの過程がよく描けていたと思います。そして最終的に主人公がたどり着いた結論も良かったと思うし社会に対してのメッセージ性も良かったと思います。東野さんが作中にこめる社会へのメッセージは良く感心させられるがこの作品にも感心させられました。


No.27 3点 吐きたいほど愛してる。
新堂冬樹
(2005/04/27 10:25登録)
 ちょっとグロ過ぎました。
 描写が強烈で、ストーリーを味わう余裕もなく、ほとんど内容消化できず。かといって再読する元気はなし。
 何も知らずに読んでみたらひどいことになりました。
グロテスクな描写が大丈夫な人意外は読まないほうが無難だと思います。


No.26 8点 暗いところで待ち合わせ
乙一
(2005/03/26 13:01登録)
 設定がしっくりこない。時系列が行ったり来たりなので読みにくい等は自分も感じましたが、それを差し引いても面白かった。
 やはり何と言っても描写がうまい。特にミチルがカズエの家へ向かうシーンなどは実にうまく表現されていた。
 文庫本で260ページ程度と短めですが、非常によみごたえがありました。
 この作品映像化とかしないのだろうか、難しいとは思うが、演出がうまく嵌れば良い作品になると思うのだが。


No.25 8点 動機
横山秀夫
(2004/08/14 11:57登録)
 一つ一つの短編に関しては、陰の季節の方が良かったように感じました。
 ただ、逆転の夏は読み応えがありました。本格物としてはそれほど評価できないかもしれないが、重いテーマを中心として、登場人物が実にうまく描かれており、ぐいぐいとストーリーに引き込まれました。
 今までは短編しか読んだことがありませんが今度は是非とも重厚なストーリーの長編が読んでみたいです。


No.24 7点 地球平面委員会
浦賀和宏
(2004/07/18 09:36登録)
 地球平面委員会の意味がわかった時の率直な感想としてはなるほどねといったところ。
 ただそれを題材とするならばもっと異様なカルトな集団を描けたような気もします。なんとなく地球平面委員会の行動が中途半端で、的を射た理由かと言ったらそうでもない気がします。
 個人的に7点(かなり楽しめた)としたのは異様な世界観。デビッドフィンチャーの映画は好きなので、日常に存在するなんとも言えない違和感といったあたりは楽しめました。


No.23 8点 青の炎
貴志祐介
(2004/02/08 12:09登録)
 結論からいうと結構楽しめました。
 最初主人公に対して持った感情は徹底的な不快感、安易に人を殺すと考える主人公に嫌悪感を覚えました。
 ただ実際に単なる個人的な憎しみだけでなく家族のことを考えた結果だとわかると次第に嫌悪感は薄れました。  正義感から、間違っているものはは消し去ってしまえばいいと考え、それを実行してしまうところや、不完全な作戦で徐々に深みにはまってしまうさまなどが、大人と子供の中間といえる、高校生という世代特有の強さや脆さをよくあらわしていると思います。
 最後も自分としては間違っていると思う。恐らくあれでは家族は救われない。でもいかにも若者らしい彼らしい、幕引きだったと思います。


No.22 8点 彼女が死んだ夜
西澤保彦
(2003/08/31 15:07登録)
 軽いタッチと重い真相は相変わらず。この作品の印象としては、最後の一ひねりはいらないかなと言った印象。なんか妙に造られた感じがでてしまいました。その前までで十分しっかりしたストーリーだったのでは?(某女性の証言の扱いが難しくなってしまいますが)
 この作品はとびきりの後味の悪さ。かなり参りましたが読み応えは十分にありました。


No.21 8点 仔羊たちの聖夜
西澤保彦
(2003/08/09 01:52登録)
 真相もしっかりしていて、読後感は少々良くありませんでしたが十分面白い作品でした。
 西澤氏の匠千暁シリーズは採点者も少なくあまり読まれていないようですがよくできていると思います。個人的にはお勧めです。


No.20 8点 魔法飛行
加納朋子
(2003/06/14 12:06登録)
 柔らかい世界観で、暖かいミステリー。
 基本的にミステリーというと負のエネルギーの塊みたいな話が多いから、たまにはこういう暖かみのある話を読むのもいいものだ。


No.19 5点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2003/06/14 11:57登録)
 全体的に今一つでした。
 ロジックの部分はすんなり納得できるものではなく、トリックもメインの部分を含めていまひとつ。文章もあまりうまいと感じず、描写もピンと来ませんでした。
 何かひとつでも突出していれば評価は変わったのかもしれませんが平凡な印象のみ。


No.18 9点 慟哭
貫井徳郎
(2003/04/06 11:44登録)
 この作品を読んだ時が、身近な人に子供ができて子供はかわいいなと思っている時に、ステップ・ファーザー・ステップを読んだ直後だったのでストーリーがかなりずしりときました。
 犯人が犯行へと走るさまや、なんとも切ないさびしいエンディングが強く印象に残りました。
 逆にストーリーにひきつけられていたせいかメインの叙述トリックは納得いかないということも、感嘆と言うこともなくごく自然に受け入れてしまいました。しかしストーリーを追うにしてもこの構成は良かったのではと思います。
 自分にとっては良いタイミングで読んだのでしょう。叙述トリックの部分には対した感動も受けませんでしたが、心に残る作品になったのでこの点数をつけました。 


No.17 7点 スコッチ・ゲーム
西澤保彦
(2003/03/20 14:35登録)
 匠千暁シリーズですが、タカチが主人公なので全体的にクールに仕上がっています。
 人物の行った行為に対する理由付けがやっぱり少しこじつけっぽいところがありますが。まぁありかなといった印象です。
 骨組みがしっかりした作品ですっきり読めました。

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