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ミステリの祭典

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地球平面委員会
flat earth project

作家 浦賀和宏
出版日2002年10月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 メルカトル
(2014/08/27 22:07登録)
アイディア自体はまあ悪くはないとは思うが、「平面世界」の正体には正直唖然とするばかりで、どうも真実味に欠けるというのが率直な意見。確かに世の中様々な人間が生きて生活しているわけで、こうした一種異様な思想というか、観念を信奉している人も中にはいると思うので、あり得ないとは言わないが。だが、個人的にはやはり共感しかねるのである。ここまで書いて未読の方には理解できないだろうが、これはそうした抽象的な側面を持った作品なので、ある意味やむを得ないと考える。
冒頭は、大学のキャンパスの雰囲気も良く伝わってくるし、地球平面委員会という得体の知れない同好会?にも興味を惹かれるようにうまく誘導しているため、それなりにストーリーに入り込めるのだが、途中ダレるのがよろしくない。
なぜ主人公の大三郎にここまでしつこく入会を勧めるのか、最大の謎の正体には正直拍子抜けした。何だそんな事だったのかって感じ。まあ、このジャンルに強い人にはピンとくるのかもしれないけれど。
全体像がなんとなくぼんやりして、強烈なシーンも見当たらないし、どこと言って見るべき点もないため、素材は面白いだけに損をしている気がする。やはりこの作家は自分には合わないのかもしれないし、客観的にみて文章がこなれているとは言い難い。

No.4 6点 深夜
(2008/03/19 13:22登録)
読み終った時、「なんじゃこりゃ」と声に出してしまった。でも個人的にはありです。ラストは意外と爽やか。難点を言えば、浦賀さん「らしさ」があまり感じられないと言ったところか。

No.3 7点 shige-tee
(2004/07/18 09:36登録)
 地球平面委員会の意味がわかった時の率直な感想としてはなるほどねといったところ。
 ただそれを題材とするならばもっと異様なカルトな集団を描けたような気もします。なんとなく地球平面委員会の行動が中途半端で、的を射た理由かと言ったらそうでもない気がします。
 個人的に7点(かなり楽しめた)としたのは異様な世界観。デビッドフィンチャーの映画は好きなので、日常に存在するなんとも言えない違和感といったあたりは楽しめました。

No.2 5点 テツロー
(2003/12/12 22:53登録)
 主人公のスタンスがふらふらし過ぎで、どうも訴えて来るものが弱い。エラリィ・クィーンの孫であることを負い目に感じること、しかし自分にも何か出来るのではと事件に立ち向かうことを決意すること。ここらをもう少し深く掘り下げて書くべきだと思う。このエピソードが白々しく思えて仕様がなかった。
 後、犯人像がともかく気色悪い。最後に明かされた謎も、それほど感心はしなかった。
 佐久間愛は、可愛らしいキャラクターですね。この作品はこの娘でもってるようなもの、と言ったら言い過ぎか・・・・・・しかし、主人公の駄目さ加減が、この娘との会話シーンで何とか持ち直してるという風にも感じるので。
 まあ、ラストは彼女も主人公も助かったみたいなので、よかったです。

No.1 6点 しゃん
(2003/01/25 22:40登録)
 前半はやや退屈。後半になるに連れて、異様な感覚に襲われる。本筋さえ見えない、異様な事件、そして明かされる真相には、インパクトこそないものの、微妙な気持ち悪さを感じた。そしてラスト……。少しだけれども愕然とした。こういう終わらせ方もあるのかと感心。
 しかし、初めの1ページ目はどういう意味があるのかよくわからない。
 この作品は初期作品よりも随分スマートで読みやすい。文章が上手くなっているのだろうと思う。また、最近の作品、例えば『こわれもの』では見られなくなったが、初期作品『時の鳥篭』では見られたような浦賀氏独特の毒もある。その毒は少し弱っているという気はするけども、中篇という長さでは十分かも知れないと思う。

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