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ミステリの祭典

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みりんさんの登録情報
平均点:6.66点 書評数:518件

プロフィール| 書評

No.318 6点 ねじれた家
アガサ・クリスティー
(2024/07/17 19:28登録)
クリスティ自選ベスト10に入るほど自信作とのこと。派手な展開はないものの、レオニデス一家の特殊な背景や人間模様を楽しむいぶし銀みたいな作品だったかな。もし発表年代順に読んでいくと、徐々にこういう類の作品に傾倒していく様が読み取れたりするんかな?と妄想。
あと某作が与えた影響は計り知れないなあと。実は私も事前情報でネタバレの如きものを喰らっていたが、読んでいるうちに「この作品じゃなかったのかなあ?」と徐々に自信をなくし、仕舞いには完全にミスリードされるという(笑) ネタバレまでも貫通してミスリードするこの手腕はさすが女王。というか自分がアホなだけか?


No.317 7点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2024/07/17 00:26登録)
評点が5点台で全く期待してなかったのだが、ふつうに面白い。この人もしかして代表作群が凄すぎて、他のパッとしない作品の評価が霞み&厳しくなりがち?なんとなくロジックを重視する方は合わないかなあと。ポアロが超人すぎて、作者の思いつきをそのまましゃべっているようにしか見えないほど(笑)
複雑な人間関係トリックによる入り組んだ真相が明かされた時の快感たるや。あとベッタベタのメロドラマも自分好みで、読後感も心地よい。


No.316 7点 黄色い部屋の謎
ガストン・ルルー
(2024/07/15 00:09登録)
映画『オペラ座の怪人』を見に行くので、ガストン・ルルーの予習。作中で『モルグ街の殺人』のネタバレがガッツリあったので注意です。最近読んだので少しゾッとした(笑)
本サイトの海外作品の中で書評数10位を誇る黄金期の金字塔的作品。
序盤から密室殺人かつ犯人消失というとびきりの不可能犯罪で引っ張ります。さすがに古色蒼然というか、色褪せを感じさせる真相ではあるものの、100年以上前の作品であることを考慮すると水準以上ですね。古典はやはり雰囲気が良いな。
しかし、何の元祖なんだこれ。てっきり心理密室の元祖なのかと思っていたらそうでもないらしい。単純に密室ものとしてよく出来ているから今も評価されてんのかな。


No.315 7点 地雷グリコ
青崎有吾
(2024/07/10 21:47登録)
その昔、ギャンブル漫画がエンターテイメントの頂点であると思い、読み漁っていた時があった。
まさか小説であの楽しみを味わえるとは。本サイトでのジャンル分けは「その他」になっているが、本作が皮切りとなって「ギャンブルミステリ」というジャンルを追加せざるを得ないほど、今後生み出されていくといいな(^^)

地雷グリコ 7点
心理戦の先に得るものは文化祭での屋上使用権。デスゲームでないのが新鮮です。まあ流石に鈍い私でも見え透いた仕掛けですね。掴みとして最高。

坊主衰弱 5点
これは特に工夫がなくて唯一イマイチだったかな。

自由律じゃんけん 7点 
自分で役を作るという斬新なジャンケン。1番タネがわからなくてマジックのようだった。

だるまさんがかぞえた 8点
ルールの盲点を突く。漫画でいうと『ジャンケットバンク』型のバトル。そんなのあり!?と反則一歩手前の勝ち方。こういうのがやっぱりたまらん。

フォールームポーカー 8点
ギャンブルものでポーカーが登場すると間違いなく傑作になるという私の法則(ただしワンポーカーは除く笑) 仕掛けの多彩さを考えると、流石にこれが1番かな。

全体的に高水準であるが、ギャンブルものとしては少し物足りない。決して、人が死なないからというわけではない。ではなぜか?短編集だからだ(←謎理論w)
優勢劣勢が何度も入れ替わるなかで、苦境に立たされながらも、初期から仕掛けられていた思いも寄らぬトリックでひっくり返す。このカタルシスを存分に味わうためには短編では物足りない。
ぜひ続編では『嘘喰い』のエアポーカー、『ライアーゲーム』の密輸ゲーム、『カイジ』のEカード、『エンバンメイズ』の皆月戦に匹敵するほど、緻密でかつ奇想天外、手に汗を握るような心理戦を長編で一発お願いしたい。そして、オリジナルギャンブル小説は本作の大ヒットを機にもっと流行ってほしい。


No.314 7点 白夜行
東野圭吾
(2024/07/08 23:12登録)
膨大な数の登場人物と多様な事件により、物語は複雑に展開していくが、芯となるプロットは一本道。まさに「白夜行」 物語は終始湿度が高く薄暗いノワールサスペンスであり、どちらかというと「極夜行」では?と疑問を抱く。とある人物から「白夜行」というタイトルの意味が語られたとき、突如東野圭吾に最近読んだ宮部みゆきが宿ったように感じた(笑)
あらゆるベクトルに無限散乱した物語は、十九年の時を経て、一つの物悲しい真実に収束する。
読了後の余韻が強烈であり、もう少し贅肉が削ぎ落とされていたらさらに高評価でした。やはり凄いな東野圭吾。


No.313 6点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2024/07/05 23:52登録)
エンタメですねぇ。個人的にはハードボイルドってこの作品のようなイメージだった。
伊坂幸太郎って会話文がやたら面白いな。ずっと読んでられる。


No.312 6点 魔術はささやく
宮部みゆき
(2024/07/02 21:56登録)
みゆき繋がりで宮部さんのほうを。
30年前ってドライブレコーダーは導入されておらず、サブリミナル効果がニセ科学なこともあまり広まっていなかったんですね。ここ30年で色々変わったんだなあと、しみじみ…
○○○が不評のようですが、主題はそこではないと思うので許容です。宮部みゆきさん、読みやすいのに安っぽさを感じない素敵な文章を綴る方ですね(ただ、うまく言ってやったぜ!みたいな喩え話がたまに引っかかります笑) サスペンスとしてスリリングな展開を少々犠牲にして、人物の描写に力を入れていますね。主人公だけでなく、従姉妹やバイトの同僚、同級生など血の通った魅力的なキャラクターばかりでした。


No.311 7点 闘う君の唄を
中山七里
(2024/07/01 00:42登録)
中島みゆきの名曲「ファイト!」の歌詞がタイトルと章題にそのまま引用されていますね!!
このサイトで見つけて、中島みゆきファンの私は即タイトル買いですよこんなん。中山先生には『銀の龍の背に乗って』や『六花』もぜひ執筆していただきたいですね(笑)


──私の敵は私です ── <ファイト! 歌詞より>
本作も歌の方もこれですよね。どれだけ過酷な運命を背負わされても、逃げるか闘うかは自分次第。闘え!と鼓舞してくれます。物語の半分は幼稚園教諭の苦悩。最近保育士が園児に暴行を加える事件もありましたし、想像するだけでストレスの溜まる大変なお仕事だなあと… 凛先生!ファイト!と心の中で叫んでいました。

【以下ネタバレ】

物語は急転
──あたし○○○の娘やからね…仕事を…もらわれへんのやと…書いた──

う、まさかの展開。その先のどんでん返しはもはやいつもので驚きはなかったけど、凛先生の<両手で持ち切れないもの>が加害者家族という烙印から園児に変わるのが温かくて、、ほろりと


※ところで、命の尊さを理解したり、親に内緒で動物を保護したり、白雪姫を演じたり、3歳ってこんなにすごいの?子供いねえからそこらへんわかんねぇな


No.310 8点 VR浮遊館の謎ー探偵AIのリアル・ディープラーニング
早坂吝
(2024/06/30 14:36登録)
今作はつまみぐいでなく、シリーズを通して読むことをおすすめします。込み入った特殊設定ミステリが好きな方は読むべきでしょうね。

【以下未読の方は読まない方がいいかな】


私はとあるヒントから、話の大オチについては頭のほんのほんの片隅にあったんですよ。しかし、ダミーが抜群によく出来ていて(フォースすごい!)、完全にその可能性が脳内から消え去っていたんです。もうここまでやってくれたらスタンディングオベーション。『四元館』『しおかぜ市』に続き、今年も優れた「超本格」を生み出した早坂先生に今後も注目です。何気に1番の衝撃は作者が文学部出身ということ。いやしかし偏見は良くないな。


No.309 8点 四元館の殺人―探偵AIのリアル・ディープラーニング
早坂吝
(2024/06/27 21:42登録)
ふぅ、あぶないあぶない…他の方の書評を読む前に、「ミステリ史に前例がなく、斬新にして奇抜、エポックメイキング的な作品だ!」的なことを書いてしまうところだったぜ。
とはいえ私はこれが初対面。久々に会心の館ミステリとの邂逅に心が踊った。
AI探偵シリーズ第三弾。話が続きになっている前作と違って、今作はつまみ食いしても大丈夫だと思う。が、シリーズを順に読むことで、世界観というか、作品内のファンタジーボーダー(造語です)のようなものを認識していないと、ありえねえだろ!と怒る方が大半だと思う。
前例作品を読んでみないことには、今作がどれほどの奇想であるかを正確には判断できないが、早坂先生のサービス精神・チャレンジ精神と脱出劇の面白さと相以の可愛いさに8点付けちゃう。


No.308 6点 犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー
早坂吝
(2024/06/27 07:49登録)
これは前作を読んでいないと、話の繋がりがよく分からないと思う。つまみぐいダメ。ゼッタイ。
前作ではAI犯人vsAI探偵という題材がオードブルだったのに対して、今作はメインもメインのメインディッシュ。首相やら外務省官僚、国家転覆を狙うテロリストなど、スケールの大きい話ゆえに安っぽさを感じる部分もありますが、ミステリーの根幹部分はとても良くできていると思います。特にトロッコ問題を絡めたトンデモ密室&アリバイトリック。こういうの好きやね。
知能増幅器(IA)というタイトルもうまく決まります。


No.307 6点 探偵AIのリアル・ディープラーニング
早坂吝
(2024/06/26 20:03登録)
○○○○○○○○○殺人事件で私の爆笑を掻っ攫っていった早坂吝。上木らいちシリーズの方ではなく評判の良いこちらを先に読んでいくことに。
デビュー作のチャラさは抑えて、推理小説オタクで憎めない主人公輔、美少女AI探偵相以、マザコン公安右龍さんなどの愛らしさが前面に押し出されているキャラ小説。それに加えて密室やAIの絡んだロジックなど本格成分やや高めで実に楽しい。
"共犯は謎(mystery)の純度を落とす" 格言・至言です。
いやしかしかわいいな相以。

※追記
レッドキングさんへ どうやら既に漫画化はされているそうですよ(^^)


No.306 7点 聖母
秋吉理香子
(2024/06/24 23:25登録)
トリックはありふれたもので、というか超有名なアレとかなり被っているし、気づく人は気づくでしょうね。え、私?当然全てに引っ掛かりましたよ、なにか?
この作品の素晴らしいところは一発驚かせるだけじゃなくて、母親(←大事)が子に注ぐ愛情という主題に帰着していることだろう。犯人のした行為は非難されるべきであるし、理解に苦しむ読者もいると思う。にもかかわらず、あえて危うさを孕んだあの結末を描き切った。タイトルは『聖母』 拍手を送りたい。


No.305 7点 キングを探せ
法月綸太郎
(2024/06/24 00:37登録)
突然ですが問題です。
Q:n人が「合理的な交換殺人」を企んだ際、その組み合わせは何通りあるでしょう?

これに10秒以内で答えられた方には本格検定10段を差し上げます。答えはこの作品をお読みになってくださいね。ちなみにこれが解けたからといって、本作のネタバレになることはないのでご安心を(笑)
四重交換殺人という奇想、ミスリードの巧さ、最後の犯人の奸計にも充分翻弄されっぱなしだったが、↑の話に1番感心しちゃったよ。冷静に考えるとそらそうなんだが、盲点だったので非常にスッキリした。308ページ3h43min読了。


No.304 5点 贖罪
湊かなえ
(2024/06/22 23:07登録)
摩擦力皆無でスルスルッと喉を通過するそうめんのようになめらかな独白体が持ち味ですねぇ(まだ3作しか読んでないが笑) 300ページ2h50min読了。
物語の舞台「日本一綺麗な街」はその実、湿り切っている。ここで育った少女達に悲劇が連鎖するのにも納得するほどに何か陰湿な雰囲気があった。『告白』と違ってスカッとしない。こちらこそが真のイヤミスか…


No.303 7点 カラスの親指
道尾秀介
(2024/06/21 01:35登録)
本格ばかり選り好んで読んでいると、こういう作品に出会った時に心がやられるんだな。
これはあざとい…非常にあざとい。そして滅法面白い。
にしても便利だな○○○。脱力系ミステリでよく使われるネタだが、作者の恐るべき器用さのおかげか、ささやかな感動をプレゼントしてくれます。売れっ子作家特有抜群リーダビリティ501ページ4h18min読了。


No.302 5点 ままならないから私とあなた
朝井リョウ
(2024/06/17 22:49登録)
読み始めはこれはミステリーじゃねーから書評せんとこって感じだったんだが、『レンタル世界』が思ったよりミステリーだったので一応登録。
『レンタル世界』は体育会系頭おめでた理想主義バカ男をレンタル彼女が1発打ちのめしてくれる短編。スカッとしたい方にオススメ。
これより『ままならないから私とあなた』の方が読み応えあり。
非合理を排除し、合理性を追求する薫の姿勢は理解できる。そんな薫でも、雪子との友情=非合理が原動力になっているという自家撞着が本質か。技術がもたらす人間らしさの損失。ただのITアンチテーゼではなく、歪な人間讃歌なのかなと受け取りました。
ミステリの祭典なのでこの点数です。


No.301 6点 いけない
道尾秀介
(2024/06/16 19:56登録)
小粒な密室トリック、手帳から導き出される推理、最後の写真の解明含めて「その絵の謎に気づいてはいけない」が1番でしたね。ほとんどの犯罪者が野放しになっているこの街に対して、「街の平和を〜」という終章のタイトルが効いてくるわけか。結構面白かった。
で、なんで評価が低いのか考えた。
私が期待していたのは「文章からではAという真相しか導き出せない」が、「最後の写真を見ることでBという隠された真相が仄めかされる」という趣向でした。でもこの作品はハナからAという真相しか用意されていなくて、「写真があることではじめてAが導き出せる」という答え合わせ的な役割しか持っていないと思うんです。これでは写真がなくても、叙述で丁寧に描写すれば同様の効果を得られた気がします。「章末の写真に隠された真相!」みたいなインパクトを生み出すためだけの道具になってしまっていることが、評価が微妙な要因の1つではないのかな、、、というただの考察です。
体験型ミステリーみたいな感じで、普通に楽しめましたよ笑


No.300 7点 魔都
久生十蘭
(2024/06/15 19:51登録)
駄文を書き連ねて遂に300作目の書評。いつまで経っても他の方のように物語の核心を突くような書評はできません(笑)
300作記念に選んだのは久生十蘭!「夢野久作 似てる作家」でいろいろ検索してたら、辿り着いたのがこの作家です。その中でもミステリ色が強いと思われる作品を選びました。夢Qみたいな幻想文学的愉悦はなかったですが、ジュラネスクを存分に楽しめました。
私が無知&十蘭の使う語彙が難解すぎて、1ページあたりに3つくらい知らない熟語が出てきます。聞いたことのない四字熟語を調べてみたら、『魔都』の記事しかヒットしないとかいうこともありました(笑) そこ以外は1937年の小説にしては読みやすく、滑らかな文体だと思います。

きっかけは安南国王の愛人の死から始まり、歌う鶴の謎、国王誘拐事件、国家を揺るがすほどの宝石の行方、地下の大迷宮の探索、ヤクザの闘争などなど、あらぬ方向へ無限拡散していきます。しかし、物語の主題は大日本帝国時代の首都・東京の怪しさと危うさを描く都市小説(たぶん)。
連載小説ゆえに探偵小説としての整合性はあまりなく、読了後もアレはなんだったんだの?と思うことも多数あります。あまり細かいことは気にせずに、作品のスケールの大きさとベクトルの多様さを楽しむ小説でしょう。エンターテイメントとして優れた作品ですし、独特の読み味をお届けしてくれること間違いなしです。


No.299 5点 透明人間は密室に潜む
阿津川辰海
(2024/06/12 00:05登録)
やはり表題作が素晴らしい出来ですね。透明人間ならもっといい完全犯罪方法がありそうなもんですが、具体的には思いつかない。私立探偵の種明かしについては読んでる途中でピーンときましたが、動機の方は思いも寄りませんでしたね。ラスト数行の余韻もなかなか…【参考文献4】の遊び心もイイネ!

『六人の熱狂する日本人』は悪ノリについていけなかった。アイドルオタクがアイドルを法廷で見るためだけに有罪にしようとするのが理解できない。オタクのノリも読んでてちょっとキツい。

『盗聴された殺人』に出てくる探偵役2人のキャラクターはかなり好き。メインとなるロジックには弱さを感じる。熊のぬいぐるみを○○○からといって、盗聴器の○○○○○○○○が犯人だという論理はやや牽強付会だと思う。

『第13号船室からの脱出』 体験型ミステリーゲーム!これ最近流行ってますよね。確かに作中のようなイベントがあったら参加してみたいと思いますねぇ。余談ですが、とある作家が「某体験型ミステリーの脚本は近年の本格ミステリの話題作からアイデアを盗用している」と怒りを表明しているのをXで見ましたよ。
作品に関係なかった。まあ面白かったが、やや凝りすぎの感あり。作中の体験型ミステリー自体はよく出来ていると思います。


今をときめく本格作家・阿津川辰海の出世作ということで読みましたが、表題作がずば抜けていましたね。厳しめに点数を付けましたが、『蒼海館の殺人』はこれの数倍は楽しませてくれるだろうという期待の裏返しです。

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