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ミステリの祭典

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押絵の奇蹟

作家 夢野久作
出版日2013年10月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 みりん
(2024/04/07 22:03登録)
『瓶詰の地獄』『ルルとミミ』に続く兄妹サーガ。
ピアニスト・トシ子の出生について、3つの解釈が提示されるリドルストーリーとなっており、謎解きが好きなら超おすすめですよ!! 夫婦児というのがすべて丸く収まる解釈ですが、私は頭メルヘン読者なので、3つの解釈の中で最もぶっ飛んでいる"押絵の奇蹟"とやらを信じたいところです。『ドグラ・マグラ』では人間は細胞単位でモノを考え、心理が遺伝するという「脳髄論」が大変衝撃的な内容でありましたが、こちらの『押絵の奇蹟』でもソチラに通ずるような新説があり(わざわざ論文調の書物まで載せて笑)、非常に楽しめました。「脳髄論」「胎児の夢」よりは説得力に欠ける内容でしたが、短編なので仕方がないでしょう。
テーマは「プラトニック・ラブは遺伝学を乗り越えられるのか」であり、夢野久作はその答えを読者に委ねている… ということにしておこう

『氷の涯』と『あやかしの鼓』は他の書評で書いたので割愛
とにかく、『押絵の奇蹟』を表題にした角川文庫グッジョブです!

No.1 7点 蟷螂の斧
(2015/12/04 13:53登録)
①氷の涯 7点 大戦前の満州。一兵卒が軍資金の横領事件の真相に挑むが・・・ロシア娘との逃避行
➁押絵の奇蹟 8点 歌舞伎役者が恋した女性からの手紙。そこには数奇な運命が綴られていた・・・
③あやかしの鼓 6点 100年前に作られたいわくある鼓。翻弄される子孫・・・

3作とも独白調で語られています。それが著者の特徴ともいえるのかも。直接的に読者に語られるので、結構頭に入ってきますね。「ドグラ・マグラ」が有名過ぎ、かつ、難解過ぎて、その他の作品が敬遠気味となってしまったのでしょうか?。まだ短編集2冊のみですけれど、難解でもなんでもなく、結構楽しめました。

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