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ミステリの祭典

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ミステリー・オーバードーズ

作家 白井智之
出版日2021年05月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 7点 まさむね
(2024/04/27 23:14登録)
 バラエティに富んだ短編集で、本格度も高いです。白井度は作品によって格差アリ。耐性が無くても意外にイケるかも(責任はとれないけど)。
①グルメ探偵が消えた
 舞台は英国。失踪したグルメ探偵の行方を追うお話。翻訳調の語り口が珍しいなぁ…と感じつつも、ラストはやはり白井智之。
②げろがげり、げりがげろ
 タイトルからして白井智之。でも読み進めるほど、内容に即した、秀逸なタイトルであると気付く。ちょっと笑える、作者らしい特殊設定ミステリ。
③隣の部屋の女
 心理サスペンス風。多くは書かないけれど、作者としては珍しい展開。
④ちびまんとジャンボ
 本格度の高さとハチャメチャな内容のコラボが雑妙な味を醸し出している。作者らしさ全開。
⑤ディティクティブ・オーバードーズ』
 これは斬新。複数の「信頼できない語り手」から犯人を絞り込むロジックが見事。

No.4 6点 虫暮部
(2024/04/11 13:22登録)
 「隣の部屋の女」。何を食べているのか、それこそ一行で判った。独特のニオイがあるんだよね(笑)。
 「ディティクティブ・オーバードーズ」。心理でも物理でもなく、ノートや名前と言った言葉そのものをこねくって真相を引っ張り出す流れが好み。ロジックも楽しい。

No.3 5点 レッドキング
(2024/04/03 21:27登録)
五編からなる短編集。
「げろがげり、げりがげろ」:平行世界SF設定・・これがまた感官にエゲツなくねじ込んでくるグロコミカルなトンデモ設定で・・の二重時間トリック(ま、錯覚やね)に、7点。
「隣の部屋の女」:マンション住まい妊婦の日常サスペンスが、叙述トリック転倒して女流イヤミス風エンドに。6点。 
「ディテクティブ・オーバードーズ」:4人の手記から2×2の事象を挙げての、あまりにもマニアックなロジック展開・・せっかくなので最後まで付き合った・・で、取りあえず感服<(_ _)>。(麻耶雄嵩「木製の王子」のあのアホみたいに精緻な時刻表も改めて追ってみるか(*_*; )・・。この人のロジック力、麻耶雄嵩夕木春央早坂吝等より凄いかもね。もっとも、この作に限ってみても、①犯人は一人 ②同じ幻覚は二人以上は見ない てな大前提が条件の、「穴」あるロジックだけどね・・オマケして8点付けちゃう。
その他、「グルメ探偵が消えた」「ちびまんとジャンボ」は各2点、で、平均で、5点。

No.2 6点 みりん
(2024/02/05 23:32登録)
「俺、普通にグロイのいけるんだよね」という厨二病的なイキリをしたくなるところだが、『ちびまんとジャンボ』がちょっと本当に読んでてキツい。トラウマレベルの気持ち悪さ。
虫が苦手な方はやめておいた方がいいでしょう。

【ネタバレあります】





『グルメ探偵が消えた』 6点
珍しく外国舞台 「目には目を 歯には歯を」の精神大事ですね。真相がややずるい気も。
『げろがげり、げりがげろ』 8点
中盤の衝撃のタイトル回収に爆笑。いやーさすがですねぇ、しっかり騙されましたよ。すこーしだけ(色んな意味で)感動するラスト。
『隣の部屋の女』 5点
なんか普通。いや騙されたけど。あまり白井作品らしくないサスペンス寄り(?)の作風。なんか似たような真相の作品を読んだことある気がするなあ。連城か?
『ちびまんとジャンボ』 5点
読むのキツかった。ふつうにフナムシ過剰摂取で死なないの?って思った。
『ディティクティブ・オーバードーズ』8点
「完全幻惑」「事実幻惑」「虚偽幻惑」を分類し、消去法で犯人を特定する発明的ロジック。難解すぎて一部諦めたが『東京結合人間』のドミノ倒しロジックと同じく、よく思いつくなと感心です。

No.1 7点 HORNET
(2022/07/11 19:46登録)
 奇才(鬼才)・白井智之の短編集。
 著者お得意のグロ全開。「グルメ探偵が逃げた:「げろがげり、げりがげろ」「隣の部屋の女」「ちびまんとジャンボ」「ディテクティブ・オーバードーズ」の5編。2作目なんて、タイトルだけで著者の作品だとわかりそう(笑)
 完全にそれぞれに書かれた作品と思われ、それぞれに色があって面白い。グロな上に特殊設定が敷かれる作品が多いが、推理・謎解きはいたってロジカル。そこがよい。
 そんな中で「隣の部屋の女」」は普通にサスペンス的なミステリに仕上がっていて、質もよい。オールラウンダーだなぁ…と改めて作者の才に感心。
 ラストの「ディテクティブ・オーバードーズ」は込み入りすぎでちょっとさじを投げたが、それ以外はいろんな味が楽しめる、良質の短編集。

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