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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:431件

プロフィール| 書評

No.51 5点 リバース
北國浩二
(2019/12/10 18:40登録)
予知というモチーフを活かした青春ミステリ。キャラクター造形に不満が残るものの、大掛かりなどんでん返しを作品全体に仕掛けた手際は見事。ラストで明らかになるタイトルの意味も巧い。


No.50 7点 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
倉阪鬼一郎
(2019/12/10 18:37登録)
あまりにも馬鹿馬鹿しいネタを濃密な文体で描き切っている。どのトリック、仕掛けも作者らしい力作。なのだがやはり、いつも通り人を選ぶ作品。非常に効率の悪いかたちで、これほどの労力をかけた作者に敬意を表すほかありません。


No.49 6点 ハーモニー
伊藤計劃
(2019/12/10 18:33登録)
才能の煌きを感じる未来小説で、プロットの骨格は一応ミステリ。日本SFを背負って立つはずだった若き鬼才の最後の長編。京極夏彦ルー=ガルーの未来像をSFの側から語り直した作品とも読める。


No.48 6点 ロマンス
柳広司
(2019/12/03 21:09登録)
瞠目するようなトリックではない、むしろ小粒だが、語り方・見せ方・創り方が巧い。昭和史を描いた歴史小説であり、切ない恋愛小説であり、ミステリ小説でもる。三つのどの側面から読んでも良い。絶妙な時代設定がうまく生かされている。華族ファン必読。


No.47 5点 私たちが星座を盗んだ理由
北山猛邦
(2019/12/03 21:02登録)
物理トリックからファンタジックな無想と冷徹さが同居した、本格ミステリならではの興味深いアプローチを施した切れ味鋭い短編集。


No.46 5点 柳生十兵衛秘剣考
高井忍
(2019/12/03 20:57登録)
史書に残る剣豪や必殺技のエピソードを使って、不可能犯罪を作るアイデアが秀逸。ジャンル的には剣豪小説だが秘剣の秘密は本格トリック。


No.45 7点 古書の来歴
ジェラルディン・ブルックス
(2019/11/28 14:29登録)
人類が歴史の中で犯してきた数多くの過ちと、故にこそ貴重な希望の灯を、一冊の古書に託して語った大河小説。ペダンチズムの嫌味なく、すんなり愉しめる知的ミステリ。


No.44 5点 風船を売る男
シャーロット・アームストロング
(2019/11/28 14:25登録)
非常にサスペンスフル、でも根っからの悪人が誰も出てこないので読後感が爽やか。サスペンスにほんのりコージー風味が効いている。フェアな脇役たちにも好感が持てる。


No.43 5点 機械探偵クリク・ロボット
カミ
(2019/11/28 14:22登録)
フランス語のダジャレを、片っ端から日本語のダジャレに変換した、この翻訳は神業。ほっこりする素敵なユーモアミステリ。


No.42 5点 水時計
ジム・ケリー
(2019/11/14 15:30登録)
石と水の相克を通じて、沼沢地に生きる人々の希望と絶望、欲望と懊悩を摘出する、英国ミステリの伝統に根差した本格もの。舞台の風土のせいか二十一世紀っぽさがなんとなく希薄なのも面白い。


No.41 5点 ミスター・ディアボロ
アントニー・レジューン
(2019/11/14 15:26登録)
カーのオカルト趣味の継承を目指して成功した?稚気あふれる小説。ホラーテイストが強い本格もので、幻想的な犯人像が印象深い。エスピオナージュ世界からスピンオフした、オーソドックスでユーモア溢れる本格ミステリ。


No.40 3点 メアリー‐ケイト
ドゥエイン・スウィアジンスキー
(2019/11/14 15:22登録)
ありそうもない設定に、予想不可能な展開。とあるSF的ガジェットが空前絶後の使われかたをした作品。
こんな馬鹿な使いかたを思いついた人はこれまでいなかったし、今後もこんな馬鹿なことを書く気になる人はいないでしょう。


No.39 5点 失踪家族
リンウッド・バークレイ
(2019/11/08 20:40登録)
平凡のなかに潜む狂気。家族の絆と正と負を描いた作品。ありえない設定が野心的でサスペンスの盛り上げ方もうまい。


No.38 6点 五番目の女
ヘニング・マンケル
(2019/11/08 20:38登録)
巨大なる主題を、等身大の視線で、真摯に描いている。社会批評と謎解きとが合体したプロットが見事。


No.37 7点 運命のボタン
リチャード・マシスン
(2019/11/08 20:33登録)
突然訪ねてきた見知らぬ男性に究極の選択を迫られてしまう夫婦の姿を描き、映画化された表題作をはじめ、13篇を厳選した日本独自編纂の短編集。
行ける伝説と化した異能作家による恐怖と戦慄の作品集。昔懐かしい「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」のワクワク、ドキドキ感が甦る。


No.36 9点 アンダー・ザ・ドーム
スティーヴン・キング
(2019/11/05 21:09登録)
前作「悪霊の島」とは対照的に、質量共に圧巻の群像劇。衰えることのないキングの筆力に驚嘆。あきれるほど荒唐無稽な設定で、長い作品でありながら、飽きさせず読ませ切ってしまう力技に脱帽。


No.35 6点 暗闇の蝶
マーティン・ブース
(2019/11/05 21:02登録)
回想録風の神学的田園スリラー。大きなストーリー展開はないが、皮肉な結末と主人公の生き方と語り口が魅力的。


No.34 5点 謝罪代行社
ゾラン・ドヴェンカー
(2019/11/05 20:59登録)
混乱の極みの構成。死体を巡る化かし合いはそこはかとなくユーモラス。しかし主題は常に重く横たわる。全篇を覆う暗鬱な空気感と独特の文体は、好みが分かれるでしょう。


No.33 7点 愛おしい骨
キャロル・オコンネル
(2019/10/25 15:35登録)
町の人々の秘められた顔が明らかになるたびに新たな謎が浮かび上がり、時の経つの忘れて読み耽ってしまう狂おしいまでの愛の物語。なによりも終章直前の二つのダンス。罪と罪悪感と愛と憎悪の坩堝が美しく踊る。呼吸が停まる。


No.32 7点 死は万病を癒す薬
レジナルド・ヒル
(2019/10/25 15:28登録)
J・オースティンの未完の小説を下敷きにした、コージーでいて陰惨な探偵おとぎ話。ヒルの前にヒルはなく、ヒルのあとにヒルはなし。現代本格の前衛派。

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