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ミステリの祭典

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リバース

作家 北國浩二
出版日2009年06月
平均点5.50点
書評数6人

No.6 5点 パンやん
(2023/07/26 02:16登録)
良くいえば、非常に若々しいライト感覚あふれる文体、逆にいえば、どうにも青臭い青春ミステリーである。評判の良さもあって、ハードルを上げ過ぎたためか、容易にわかる謎の構造に何の驚きもなく、エピローグも冗長に感じてしまった。良くいえば、ハードボイルド、逆にいえば、感情移入出来ない、苦手な作品。

No.5 5点 八二一
(2019/12/10 18:40登録)
予知というモチーフを活かした青春ミステリ。キャラクター造形に不満が残るものの、大掛かりなどんでん返しを作品全体に仕掛けた手際は見事。ラストで明らかになるタイトルの意味も巧い。

No.4 6点 E-BANKER
(2012/07/26 22:11登録)
作者はデビュー長編「ルドルフ・カイヨウの事情」で日本SF新人賞に佳作入選。本作は3作目の長編。
ミステリーにSFの要素を加えているのが作者らしさなのだろうか?

~プロを目指すバンドマン・柏原省吾はある日、恋人の美月から別れ話を切り出されてしまう。省吾の幼馴染みである妙子の交際相手のエリート医師・篠塚と付き合うというのだ。その直後、省吾は不思議な能力があるといわれれている少女とともに、篠塚が美月を殺しかけている光景を幻視する。嫉妬ゆえの妄想か、それとも・・・? 彼は美月を守り、彼女との幸せを取り戻せるのか? 二転三転の長編ミステリー~

マズマズうまくまとめてるとは思った。
巻頭の紹介文(千街氏の解説)に惹かれて購入したのが本作なのだが、中盤終わりに「表の事件」である『姫ちゃんフォロワー連続殺人事件』から二重構造である『裏(真)の殺人事件』への切り替えがきれいに決まっている。
青春ミステリーを思わせるラストも、作者の手際の良さを感じさせてくれて読後感も良い。
(「予知能力」を絡めてあるのはSF作家でもある作者の特徴か?)

ただ、他の方も言及しているとおり、仕掛けはかなり分かりやすい。
ある入院患者が登場し、彼女の背景が語られる段階で、大方の読者が「こういうカラクリが用意されているんじゃないか?」ということに気付いてしまう。
でも、まぁもう一段階「ヒネリ」があるんだろう・・・と期待していたが、そのまま終了してしまった。
プロットも伏線も実に丁寧で、リーダビリティーも水準以上だと思うのだが、これではミステリー作品としてはやっぱり「二流」という評価を下さざるを得ない。
「動機」についても、こういうプロットである以上、もはや「必然」といった流れで、既視感が強過ぎる。

キャリアを考えれば、これからに期待できる作家だとは思うので、他作品も手を取ってみたい。
(文庫版解説によれば、文庫化に当たって、単行本からかなり手を加えているとのことであり、単行本しか読んでない方は読み直す手もあるでしょう。)

No.3 5点 kanamori
(2010/07/07 18:26登録)
物語が中盤以降に別の様相を呈してくるプロット創りの巧みさは評価できますが、ミステリの仕掛けとしては、伏線が丁寧過ぎるため真相が透けて見えるのが残念です。
現在流行りのタイプのミステリ趣向では、他の秀作と比較すると、どうしても分が悪い感じを受けます。

No.2 6点 あるびれお
(2009/09/23 03:00登録)
先の方の評にあるとおり、確かに、二重構造の外側は容易に想像がつきます。(帯の言葉によって、この作品の傾向にアタリが付いてしまった、というところが大きな原因なのですが。)
また、作中にでてくるある種の超常現象については論理的な解明がなされませんが、それはこの作品のトーンからして仕方ないかな。
「夏の魔法」よりも"救い"を感じられました。

No.1 6点 江守森江
(2009/07/18 02:53登録)
うだつのあがらぬ主人公が暴走の果てに真相に到達し、再生する青春ハードボイルド。
第一章から「予知」というオカルトを絡めながら主人公の暴走が始まる。
途中、登場人物達に全く共感できないストーリー展開、そして結末での共鳴は、青春ハードボイルドとして素晴らしい。
散りばめられた(やや露骨な)伏線と二段構えの構図はしっかりしている。
一方で、ミステリ慣れしてると第一章で構図と真相を察せるのが弱みと思える。

※以下重要なネタバレ
脳死と移植、児童虐待等、現在の社会問題を上手く真相に繋げ青春物と侮れない。

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