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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:397件

プロフィール| 書評

No.37 7点 運命のボタン
リチャード・マシスン
(2019/11/08 20:33登録)
突然訪ねてきた見知らぬ男性に究極の選択を迫られてしまう夫婦の姿を描き、映画化された表題作をはじめ、13篇を厳選した日本独自編纂の短編集。
行ける伝説と化した異能作家による恐怖と戦慄の作品集。昔懐かしい「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」のワクワク、ドキドキ感が甦る。


No.36 9点 アンダー・ザ・ドーム
スティーヴン・キング
(2019/11/05 21:09登録)
前作「悪霊の島」とは対照的に、質量共に圧巻の群像劇。衰えることのないキングの筆力に驚嘆。あきれるほど荒唐無稽な設定で、長い作品でありながら、飽きさせず読ませ切ってしまう力技に脱帽。


No.35 6点 暗闇の蝶
マーティン・ブース
(2019/11/05 21:02登録)
回想録風の神学的田園スリラー。大きなストーリー展開はないが、皮肉な結末と主人公の生き方と語り口が魅力的。


No.34 5点 謝罪代行社
ゾラン・ドヴェンカー
(2019/11/05 20:59登録)
混乱の極みの構成。死体を巡る化かし合いはそこはかとなくユーモラス。しかし主題は常に重く横たわる。全篇を覆う暗鬱な空気感と独特の文体は、好みが分かれるでしょう。


No.33 7点 愛おしい骨
キャロル・オコンネル
(2019/10/25 15:35登録)
町の人々の秘められた顔が明らかになるたびに新たな謎が浮かび上がり、時の経つの忘れて読み耽ってしまう狂おしいまでの愛の物語。なによりも終章直前の二つのダンス。罪と罪悪感と愛と憎悪の坩堝が美しく踊る。呼吸が停まる。


No.32 7点 死は万病を癒す薬
レジナルド・ヒル
(2019/10/25 15:28登録)
J・オースティンの未完の小説を下敷きにした、コージーでいて陰惨な探偵おとぎ話。ヒルの前にヒルはなく、ヒルのあとにヒルはなし。現代本格の前衛派。


No.31 5点 占領都市ベルリン、生贄たちも夢を見る
ピエール・フライ
(2019/10/25 15:21登録)
ナチスから敗戦直後にかけてのドイツの世情を切り取っている。ミッシング・リンクの謎は平凡だが、被害女性5人の個性的な人生が興味深く描かれている。それにしても表紙はひどいな。


No.30 7点 川は静かに流れ
ジョン・ハート
(2019/10/16 21:09登録)
一度入った亀裂は、他人同士よりも身内の場合の方が深いもの。本作は、主人公の心の中の時が静かに流れてほしいと祈りたくなる家族小説である。
人間関係のジレンマを抱えた主人公の成長が感動的。お涙頂戴にとどまらない計算されたプロットは素晴らしい。


No.29 5点 忙しい死体
ドナルド・E・ウェストレイク
(2019/10/16 21:04登録)
ウェストレイクの作品には、時に笑わそうとするあまりの気負いがありがちですが、この作品は力を抜いて書いている感じがする。楽しいコミック・クライムなのだが硬い訳文で損している。ウェストレイク版「ハリーの災難」か。


No.28 9点 愚者(あほ)が出てくる、城塞(おしろ)が見える
ジャン=パトリック・マンシェット
(2019/10/16 21:01登録)
ロマン・ノワールの頂点。クールな狂気という作風がより鮮明になった新訳により傑作がよみがえった。中条氏の解説が丁寧。もっといい題名がありそう。これでもギリギリ許せるけど。


No.27 5点 TOKYO YEAR ZERO
デイヴィッド・ピース
(2019/10/11 19:54登録)
イメージを楽しむ作品。癖のある文体は読者を選ぶが、この文章が病みつきになる。史実とその背後で蠢く暗黒の世界を描ききった作品。


No.26 4点 15✖24
新城カズマ
(2019/10/11 19:52登録)
15人の視点から24時間の経過を追い、ツイッター的なスピード感で表現したスタイルが面白い。膨大な人物と物語が交差、交錯、衝突、並行の末に一つに収まる。最終章は知性と感情の双方を感動させる。


No.25 5点 庵堂三兄弟の聖職
真藤順丈
(2019/10/11 19:47登録)
第十五回日本ホラー小説大賞受賞作だが、いわゆるホラーを期待して読むと肩透かしを食らう。グロテスクに装飾された、兄弟の再生の物語。題材の選択、設定のふくらませかた、キャラクターなど、全てが奇跡的にうまく噛み合って生まれた、他に類のない作品。


No.24 6点 ルシアナ・Bの緩慢なる死
ギジェルモ・マルティネス
(2019/10/06 20:35登録)
ミステリのためのミステリをメタ方式で熟考する邪推する喜びの書。心理サスペンス調だが、一種のホラーとしても読める。南米は馬鹿にできないと思った作品。


No.23 4点 夢で殺した少女
ベネット・ダヴリン
(2019/10/06 20:31登録)
出だしからは予想もつかない着地点。薬の謎とトリップ中の映像がリンクし、疾走感に富むサスペンスに仕上がっている。ややオカルトがかった設定で、物語半ばで明かされるネタに思わず本を落としそうになる、衝撃のバカミス。人物造詣は今ひとつ。


No.22 5点 無伴奏
太田忠司
(2019/10/06 20:25登録)
ミステリの幅と奥行きを思い知る、しみじみと味わい深い作品。ハードボイルドだが、故郷へ帰った元警察官の感慨に情緒あり。


No.21 5点 死を騙る男
インガー・アッシュ・ウルフ
(2019/10/01 20:33登録)
小さな街の警察署が、広域殺人事件に巻き込まれる。心理描写、キャラ設定が秀逸。独創的な設定と圧倒的な迫力で物語に引き込まれる。主人公は六十代の女性警部補。痛む体に鞭打っての捜査は、つい応援したくなる。


No.20 5点 リトル・ブラザー
コリイ・ドクトロウ
(2019/10/01 20:30登録)
国家権力の横暴に若い力で対抗する、反骨精神あふれた青春小説。「自由」であることの意味を再確認させられる重いテーマでありながら、青春小説としてのライトな部分もしっかり残したエンターテインメント。


No.19 5点 冷血の彼方
マイケル・ジェネリン
(2019/10/01 20:27登録)
中年の女刑事ヤナと、ロシアのお坊ちゃん刑事の取り合わせの妙。「驚愕の」などという形容詞がつくような派手なストーリーではありませんが、地味なのに読ませる。スロヴァキアが身近に感じられるようになった。


No.18 4点 コンラッド・ハーストの正体
ケヴィン・ウィグノール
(2019/09/26 22:15登録)
あれよあれよという間に意外な方向に進む物語が、非常に皮肉で面白い。殺し屋の自分探しの旅。謀略・暗殺物語のみならず、純愛ものとして読めばまた一興。

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