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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:431件

プロフィール| 書評

No.71 5点 探偵術マニュアル
ジェデダイア・ベリー
(2020/02/13 20:08登録)
めくるめくイマジネーションの妙。愛すべきキャラクター、怪奇で幻想的な世界観。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のころの村上春樹が書いたようなミステリ。


No.70 6点 死をもちて赦されん
ピーター・トレメイン
(2020/02/13 20:05登録)
古代ケルト、カトリックの派閥、高位の修道女と修道士のやりとり。すべてが興味深い。憶断と偏見を排し、知性と理性に従い、真相にいたる手続きをゆるがせにしないフィデルマのありようは、名探偵の鏡。


No.69 7点 エステルハージ博士の事件簿
アヴラム・デイヴィッドスン
(2020/02/03 22:02登録)
強靭なユーモア精神に裏打ちされた、幻想味濃い探偵小説集。奇想天外とは、まさに本書のこと。とぼけた味わい、精巧なホラを堪能できる。


No.68 8点 ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利
ロバート・バー
(2020/02/03 21:57登録)
自信過剰な名(迷)探偵が、犯人に、してやられるところが、むしろ愉快。とぼけていながら洞察の利いた秀作が中盤に並ぶ。風刺と軽身で、歴史に残るユーモアあふれる作品。


No.67 5点 いたって明解な殺人
グラント・ジャーキンス
(2020/02/03 21:51登録)
B級臭漂うどんでん返しサスペンス。一見単純に見えてひねりをきかせたストーリー。悪人や病的な登場人物ばかりでいて読ませる。


No.66 3点 六つの手掛り
乾くるみ
(2020/01/23 20:14登録)
短篇集としての荒さがみられる。トリックだけにしては少々魅力が無い。ラスト一行のためにある一作。


No.65 6点 龍神の雨
道尾秀介
(2020/01/23 20:12登録)
真相が露になる時というのは、大抵のミステリでは犯人の企みの瓦解であるけれど、この作品では真相は被害者たちを崩壊させてしまう。そこが新しいし哀しい。


No.64 5点 乱反射
貫井徳郎
(2020/01/23 20:09登録)
誰でも、いつでも殺人者になりうるというリアルなイヤさ満載。私たちが生きることの世界そのものの実相を描いた作品。


No.63 5点 命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇’75
古野まほろ
(2020/01/10 19:41登録)
過激派の内ゲバをミステリにした勇気に敬意を表します。物的、状況証拠から犯行の動機のみを追う珍しい構成。文体に癖あり。


No.62 6点 生霊の如き重るもの
三津田信三
(2020/01/10 19:39登録)
ホラー要素は若干薄目なものの本格要素が充実で解決シーンの読み応えは抜群。冒頭の三篇が、足跡の謎という挑戦的なところも評価できる。


No.61 7点 引擎/ENGINE
矢作俊彦
(2020/01/10 19:36登録)
ファム・ファタルに魅入られた刑事の転落を描く作者の筆は、あまりにもヴィヴィッド。荒っぽく過激なハードボイルドだが洗練された語り口で読ませる。


No.60 4点 警官の証言
ルーパート・ペニー
(2020/01/01 09:14登録)
読者への挑戦状付きの密室殺人。二人の異なる視点によって登場人物それぞれの個性と人間関係が鮮やかに浮き彫りになっていく過程が読みどころ。トリックは今ひとつ。


No.59 6点 WORLD WAR Z
マックス・ブルックス
(2020/01/01 09:11登録)
ゾンビを荒唐無稽な怪物ではなく災害として扱いその顛末をドキュメンタリー・タッチでリアルに描いた娯楽小説。冒険小説・ホラーSF・ラノベ、あらゆる読み手を殺す作品。


No.58 8点 ブラッド・メリディアン
コーマック・マッカーシー
(2020/01/01 09:08登録)
映画「アラビアのロレンス」をも連想させる、アメリカ版、血みどろの砂漠の叙情詩、崇高なる暴力小説。途轍もなくブルータルな世界を畏るべき静寂で覆う語りが素晴らしい。


No.57 8点 白銀の墟 玄の月
小野不由美
(2019/12/25 20:40登録)
中国風異世界ファンタジーのシリーズで、18年ぶりの長編。舞台は独自の世界設定を持つ「十二国」。今回は行方不明の王を捜す話が主軸になる。シリーズを貫くのは、人のあり方から国のあり方まで、妥協せず理想を追い求める姿の力強さ。特に施政者と民の関係に焦点を合わせた本作からは、現実社会への問いかけが浮かび上がる。虚構だからこそ紡げるリアルがあると感じた。


No.56 7点 夢見る帝国図書館
中島京子
(2019/12/25 20:32登録)
明治に建てられた帝国図書館の歴史と、一人の女性の歴史を重ねて描いた小説。福沢諭吉によって設立が提唱されたものの、戦争のたびに予算が削られたり増築が止まったりという図書館史が興味深い。面白いのは図書館の視点でつづるという手法。訪れる文豪たちを図書館がいとおしく眺める描写が実にいい。図書館は何のためにあり人は何のために本を読むのか、読むうちに自分なりの答えが見つかるはず。


No.55 6点 リラと戦禍の風
上田早夕里
(2019/12/25 20:27登録)
第一次世界大戦で死にひんしたドイツ兵が魔物に助けられ、他者の中に入り込む能力を得る物語。さまざまな立場の人の中に入ることで、人はなぜ戦争を繰り返すのか、それにあらがうすべはないのかという重厚なテーマを描いている。不死の魔物を登場させたのは、繰り返される戦争を俯瞰するため。心にずしりと響く歴史ファンタジー。


No.54 8点 幽霊の2/3
ヘレン・マクロイ
(2019/12/16 18:06登録)
エイモスの莫大な印税に群がる人々の欲と駆け引きや複雑な人間関係、秘密が徐々に露呈していく過程が緊密に描かれ、いくつもの人生が鮮やかに浮かび上がる。古さを全く感じさせない作品を読み終え、人間性は時代を経ても不変なのだと、あらためて感じた。


No.53 5点 野望への階段
リチャード・ノース・パタースン
(2019/12/16 18:03登録)
選挙戦をめぐる丁々発止の駆け引きの面白さに加え、戦争と人生の傷をひきずるコーリーとレキシー恋愛が読みどころ。美人で頭の切れるレキシーが魅力的。


No.52 5点 ベルファストの12人の亡霊
スチュアート・ネヴィル
(2019/12/16 17:59登録)
アイリッシュ文学特有の怒りを秘めた慟哭に根差した幻想性に支えられた犯罪小説。主人公に憑いた亡霊が魅力的。まさかの感動も待っている。

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