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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:397件

プロフィール| 書評

No.197 5点 ハイラム氏の大冒険
ポール・ギャリコ
(2021/09/26 20:08登録)
暗雲たちこめる第二次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、緊迫した空気を伝えている冒険小説だが、格好良すぎない主人公がとても身近で魅力的。


No.196 6点 狂人の部屋
ポール・アルテ
(2021/09/11 20:23登録)
丁寧に描かれた伏線、幾重にも張り巡らされた謎、じわじわテンポの展開はアルテの作品の中でも一級。お馴染みのツイスト博士とハースト警部登場のタイミングも絶妙で、息詰まる中にもその茶目っ気ぶりに和まされる。
不倫ロマンスのエピソードを敢えて一つの謎を残しての幕切れはいかにもフランス的。


No.195 6点 災いの古書
ジョン・ダニング
(2021/09/11 20:19登録)
元警官の古書店主クリフの男っぷりは今回も健在。サイン本をめぐる一見シンプルな殺人事件の裏に見え隠れする根深い真実が明らかになっていく過程が、舞台である町や人々の得体の知れない不気味さと相まって恐怖感をさらに煽る。ラスト三十ページの緊迫感はさすが。


No.194 6点 ナポレオンの密書
セシル・スコット・フォレスター
(2021/09/11 20:15登録)
誠実、実直、そして愚直。古き良き日本人を思わせる人物造形が心に響く。帆船時代の海戦シーンなども多くの作品に影響を与えています。


No.193 5点 チャリオンの影
ロイス・マクマスター・ビジョルド
(2021/09/02 20:09登録)
拠所ない事情により、まるで若年寄のような主人公の面白い異世界物語。絶えず疲労感と無気力案が漂っているのが身につまされる。ファンタジーというだけでは物足りないファンタスティックミステリ。


No.192 6点 キルン・ピープル
デイヴィッド・ブリン
(2021/09/02 20:05登録)
ゴーレム仕様のクローンが、ご主人様に替わって事件を追うという近未来の私立探偵小説。涙腺緩む感動の幕切れまでを圧倒的な面白さで一気読み。


No.191 5点 ナンバー9ドリーム
デイヴィッド・ミッチェル
(2021/09/02 20:03登録)
ハードボイルドに通底する父親捜しの物語だけれど、章ごとにスタイルを変えて行く自在な小説作法が、ポップでオシャレ。


No.190 5点 蜘蛛の巣
ピーター・トレメイン
(2021/08/16 20:44登録)
七世紀のアイルランドが舞台。ほとんど知識が無いまま読み始めたが、裁判官兼弁護士の修道女フィデルマの価値観が現代的なこともあってすんなりと世界に入り込めた。
また、権威にしがみついた鼻持ちならない連中を、彼女が論破していくさまは爽快だった。


No.189 9点 長いお別れ
レイモンド・チャンドラー
(2021/08/16 20:41登録)
新訳ということで賛否両論があった作品。個人的には何の違和感もなく、孤独、死、愛、友情、そして何よりも私立探偵マーロウの生き様が良く描かれていると感じた。村上春樹訳を特別意識することなく探偵小説の新しい裾野を広げられたことの方が大切では。


No.188 5点 キューバ・コネクション
アルナルド・コレア
(2021/08/16 20:38登録)
読み行くほどに面白さが出てくる典型的な作品。
キューバという国で情報工作員をしているカルロスという男の非常なまでの誇りと真っ直ぐさ。ラストは身につまされました。


No.187 4点 ガラスのなかの少女
ジェフリー・フォード
(2021/07/30 20:22登録)
アメリカ的な徒弟制度成長ハードボイルドの系譜に連なる作品。冷静に考えるとドンデモ小説なのだが、語り口と人物造形が上手いので、ほとんど気にならない。


No.186 5点 異人館
レジナルド・ヒル
(2021/07/30 20:20登録)
自分のルーツを探る娘と、十六世紀のカトリック教徒迫害史を調べる青年が、それぞれ入り組んだ過去の頁を開いていくうちに、現実と過去が重なり合い、入り乱れ、錯綜する。不思議キャラと先の読めない展開が魅力。


No.185 7点 復讐はお好き?
カール・ハイアセン
(2021/07/30 20:17登録)
相変わらずとんでもないキャラクター達がドタバタ劇を繰り広げる。環境破壊への警告がブラックユーモアたっぷりに触れられるのだが、今回はまとまりが良かった。


No.184 5点 眼を閉じて
ジャンリーコ・カロフィーリオ
(2021/07/17 20:22登録)
中年の弁護士が主人公のイタリアの作品。ミステリの味は薄いが、文章として優れている。心の琴線にひたひたと触れてくる、不思議な魅力の作品。


No.183 5点 壁抜け男(早川書房版)
マルセル・エイメ
(2021/07/17 20:17登録)
この作品集ほど古き良き時代のパリをしみじみ味あわせてくれる読み物はない。パリはモンマルトルの庶民の喜怒哀楽がほのぼのと描かれている。


No.182 7点 デス・コレクターズ
ジャック・カーリイ
(2021/07/17 20:14登録)
快調な語り口で飽きさせない。食傷気味のサイコ・キラーものかと思ったら、眼から鱗の新機軸だった。テンポの良さと会話の楽しさで、凄惨な場面を描いても、妙にどこか爽やか。登場するいささか狂った方々の描写も面白い。意外な真相が明らかになるエンディングは、思わず感動してしまった。


No.181 5点 極東細菌テロを爆砕せよ
クライブ・カッスラー
(2021/07/05 20:19登録)
旧日本海軍の潜水艦に搭載されていた細菌兵器が作品の面白さを左右する重要な鍵となって登場する。 軽快さと重厚さが織りなす海洋冒険小説。


No.180 4点 名探偵のコーヒーのいれ方
クレオ・コイル
(2021/07/05 20:15登録)
ミステリの味わいは、物足りないと感じる人が多いと思うが、ロマンス、事件、老舗の舞台、そして何といっても味わい深いコーヒーが続編も楽しみにさせてくれる。


No.179 5点 強盗こそ、われらが宿命
チャック・ホーガン
(2021/07/05 20:13登録)
プロの銀行強盗とFBI捜査官との虚々実々の駆け引きを描いた犯罪小説であると同時に、ひりつくほど切ない恋愛小説でもある。


No.178 8点 路上の事件
ジョー・ゴアズ
(2021/06/21 20:28登録)
淡々とした筆致で五十年代アメリカの様々な顔を描き出す。出だしはヘミングウェイ的であり、途中はケッペル的であり、終盤はゴアズならではの世界。
才人の意欲的な作品に出会う喜びを満喫した。

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