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ミステリの祭典

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蝶のいた庭

作家 ドット・ハチソン
出版日2017年12月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 八二一
(2021/11/15 20:50登録)
誘拐された少女たちの暮らしていた美しい地獄を凄絶に描いている。救出後の少女と捜査官との関係性もよい。

No.1 8点 HORNET
(2019/06/16 18:33登録)
 ある屋敷に監禁されていた10名以上の女性が保護された。女性たちは〈庭師〉と呼ばれる男に囚われ、背中に蝶のタトゥーを入れられて囲われた庭園に住まわされたうえ、日々凌辱されていた。そのうちの一人、「マヤ」と呼ばれる女性は、地獄のような環境から救い出されたにもかかわらず、泰然とした態度で聴取に応じる。聴取を担当したFBI捜査官・ヴィクターは、彼女に好きにしゃべらせることで真相を引き出そうと試みるが、その口から語られれるのは想像を絶する恐怖の毎日だった―

 「マヤ」は被害者なのか?それとも〈庭師〉に加担する共犯者なのか?捜査陣のそんな疑いと逸る姿勢を制しながら、ヴィクターは根気強くマヤからの聞き取りを進める。取調室と、マヤの口から語られる事件の様相とが交互に描かれる形式で、〈ガーデン〉の悲惨な様相が明らかにされ、その完全に征服された環境からどのようにマヤたちが救われたのかが最後に詳らかになる。
 初めから〈ガーデン〉のみを舞台にして時系列で描いてもよいのでは?と思って読み進めていたが、ラストに至ってその構成の意味を知る。このような「マヤへの聴取」という形にすることで、マヤという女性の人間像を明らかにしていくことが物語のもう一つの主眼で、その効果がラストに発揮されているの感じた。
 内容が内容だけに「ハッピー」エンドとは言えないが、少なくとも救いのある結末で、読後は満足感がもてる内容だった。

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