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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.30点 書評数:1017件

プロフィール| 書評

No.417 3点 恐怖の研究
エラリイ・クイーン
(2021/01/07 22:06登録)
切り裂きジャックとシャーロック・ホームズは、19世紀末倫敦の永遠の霧の神話だから、どんな現代的解釈も色褪せてしまう。島田荘司の合理的ホワイ解決小説はそれなりに面白く、「漱石と倫敦ミイラ~」も悪くはなかったが・・・
※「エラリイ・クイーン」、ミステリ史上の大作家であり、名探偵の一人でもあるが、「エドガー・アラン・ポー」「シャーロック・ホームズ」みたいな神話的名詞って程ではないんだよな。


No.416 7点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2021/01/06 23:32登録)
アガサ・クリスティー第三作にしてポワロ第二弾。探偵も巻き込んだ「顔無し死体殺人」事件企図が、もう一つ別の殺人企図と、更に別の偶然および誤解との複合によって、「変な」二重殺人を現象させてしまう。ポワロが現象を解き明かす丁寧な解釈が実に見事。この現象が「密室」「不可能現象」だったら、クリスティー最高作として、8~9点つけていた。女容疑者にのぼせてしまったワトソン役とのドタバタも大変に面白い。ただ、タイトルが頂けない。
※この人物トリック(顔無しなり損ねだが)、横溝「悪魔の手毬唄」の源流筋なんだろな。


No.415 3点 最後の一撃
エラリイ・クイーン
(2021/01/04 22:16登録)
今年「最初の一評」は「最後の一撃」。ホワイトクリスマスに集う12人の男女と突然現れた謎の刺殺死体。探偵を挑発するかのような、容疑者Aを指示する十二枚のカードとニ十個の贈り物。探偵は自分への操りと見限り、犯人の指示を拒否する。だが、そうした操りの拒否自体が犯人の目論んだ真の操りだったとしたら・・・露骨に双子ネタ振っといて○○○オチって、深夜ドラマ(「時効警察」だったか)で○○○オチってのあったが、あそこまで行くと大いに楽しめた。あの記号のオチは・・非アルファベット語国民としては・・あまり面白くなかった。


No.414 2点 運命の裏木戸
アガサ・クリスティー
(2020/12/29 19:52登録)
1922年出版の「秘密機関」では二十歳そこそこだった若き未婚男女が、1973年出版のこの最後のミステリでは七十を超えた老夫婦へ変貌を遂げ、それでも追い求める物は相も変わらずスパイ・フー?で・・ソシアリズム・ファシズム・コミュニズム・ナチズムの秘密結社で・・アガサ・クリスティーって左右の全体主義になんか拘り持ってたのかな。「秘密機関」「NかMか」「親指のうずき」と前三作では、必ず二人のうちどちらかが、背後から脳天を鈍器で殴られ失神させられ、いくらなんでも障害残るだろと余計な心配したが、ここでは銃弾がかすっただけ(?)ですんで良かった。
※矍鑠たる老大佐が七十過ぎの老人に向かって「なあ、マイボーイ」てのに大うけ。


No.413 3点 秘密機関
アガサ・クリスティー
(2020/12/26 19:16登録)
デビュー作「スタイルズ荘の怪事件」に続くアガサ・クリスティ第二弾。もう出版から百年近く経つのか。国家揺るがす機密文書を持った行方の分からない女。女の行方を追う若き探偵男女が、謎の指導者「ブラウン」率いる秘密結社相手に虚々実々のスパイサスペンスを展開。「どんな機密か知らないが、たかが文書一つが国家揺るがすはずないだろ」て突っ込み置いといて、少年向け冒険小説の面白さはあった。ミステリとしては・・ブラウン・フー?ってとこかな。※アガサ・クリスティーって、ナチよりも「左翼」のことが嫌いだったのかな。


No.412 4点 NかMか
アガサ・クリスティー
(2020/12/24 18:46登録)
対ドイツ戦時下の英国、海沿いの屋敷に集う老若男女の中から、NとMというナチの大物スパイ男女を探り出す為に、正体を偽装し潜入した探偵夫婦。「容疑者」のうち、4人の男の方はともかく、6人の女の設定が実に良い。
「あの3人の方は違うだろな、こっちの3人のうちの誰かがスパイだろなあ」てとこまでは当たったが、最後のフーまではとても。途中のサイドエピソードが、「犯人当て」の鮮烈にして隠された見事な伏線だった。
※興奮して政治国家を熱く語る軍人が、「があがあ、ガチョウさん」てちゃちゃ入れられ、「ぶ、ぶぁっかぁもおーん!」と怒る場面に爆笑。が、その怒りに合理的理由があることが暴露され、チト興ざめ。


No.411 4点 クイーン警視自身の事件
エラリイ・クイーン
(2020/12/21 19:42登録)
新生児の闇売買がテーマの本格ミステリていうよりハードボイルド風の話。売られた赤子、新生児ブローカー悪徳弁護士、出産実母が相次いで殺され、赤子の雇われ看護婦と退職警視(INSPECTORて警視とも警部とも訳すのか)がコンビを組み、事件の真相を追う。登場人物一覧からして容疑者顔ぶれチト乏しく、「犯人これしかないだろが、これじゃあなあ・・」てのがやはり犯人だった。
※「真鍮の家」先に読んでなきゃ「このヒロインが犯人だと面白いなあ」とか楽しめたんだろが、その代わり犯人当て外れて、あの二人の「老いらくの恋」のハッピーエンドを素直に喜べなかったかな。


No.410 3点 ハートの4
エラリイ・クイーン
(2020/12/20 19:11登録)
ハリウッドスター両家の父子と母娘、二代にわたる恋情と確執。引退した元スター富豪老人、付添の老医師、名物プロデューサー、酔いどれシナリオ書き、ゴシップ屋の謎美人、そして探偵兼作家で新人シナリオ書きエラリー・クイーン。配達されるトランプ占い殺人予告に翻弄されるハリウッド毒殺騒ぎ。「時間の三つの様相のうち、過去や現在が殺人の原因になる事はあるが、これは未来が原因の殺人・・」てな大仰なホワイ、要するに「遺産目当て」の事だった。


No.409 4点 悪魔の報酬
エラリイ・クイーン
(2020/12/17 20:00登録)
大富豪の娘と父親と恋人の男。父と男に殺人容疑がかかり、父親にはアリバイがあるが男には「反」アリバイが・・。だが、父親は将来の「義理の息子」を庇ってか己のアリバイ弁明を拒否する。父を助ける事が男を窮地に落し、男を庇うには父を犠牲にするしかない娘。そこに妖婦と悪徳弁護士の露骨に怪しすぎるコンビと、実直な使用人、新聞編集長、偽装探偵(エラリイ・クイーン=ヒラリイ・キング!)等が絡み、誰を犯人にすんだ?と訝っていたら、十八番のロジックで犯人を挙げた。そして確かに「意外な犯人」であった。
一瞬、ん?「カー島荘大技トリック」出んのか!と、トキメイたが・・そこはクイーン、単なる「飛び道具」だった。


No.408 5点 親指のうずき
アガサ・クリスティー
(2020/12/13 13:40登録)
老婦人たち・・賢婦、妖婦、頑婦、狂婦、活婦、怪婦、魔女そして初老ヒロイン・・の饗宴。老婦たちが老嬢の顔を晒し、ホラーでメルヘンなミステリが展開する。
※も少しオドロオドロしく描いてたら、鬼子母神譚やホラー映画「スウィートホーム」みたくなっていたかも。


No.407 4点 GOTH モリノヨル
乙一
(2020/12/11 18:23登録)
「GOTH」の追加譚+オマケ写真集。殺人犯倒叙による主役コンビ再登場・・少年は声のみだが・・が嬉しい。
が、あの写真集モデル、あれ、断じて「モリノヨル」のイメージではない!


No.406 7点 GOTH リストカット事件
乙一
(2020/12/11 18:12登録)
猟奇趣味で繋がれた二人の男女高校生が主役の短編集。
 *「暗黒系」 シュールな猟奇描写に目を眩まされるが、証拠と犯行のロジック展開はなかなかに本格。7点。
 *「リストカット事件」 ダダイズムなまでの残虐譚がサスペンス展開する。ミステリ要素はちと薄く、3点。
 *「犬」 陰惨な虐待話が、倒叙と叙述相互に展開し、最後は叙述トリックで収束する。6点。
 *「記憶」 少年によるヒロインのホワットダニット解明ロジックが、フーダニットへと転調し、8点。
 *「土」 犯人側描写の残酷な犯罪譚。解明ロジックもちょっと出てきて少しミステリして、4点。
 *「声」 犯人と殺された女の妹のサスペンスが、主役少年を大きく巻き込んでの叙述トリックにて展開する。8点。
「記憶」で少女の正体が解明され、「声」では、分身を透して少年の本性が暴き出される。少女が最後に少年に突きつけた言葉・・私は心の歪んだ人間だが、あなたには心が無い(=人非人)・・が印象的。短編集としての平均は6点だが、このラストのラスボスキャラ転換劇に追加点して7点。


No.405 4点 真鍮の家
エラリイ・クイーン
(2020/12/08 00:59登録)
朽ちかけた暗鬱な古豪邸。謎の招待を受けた客達。莫大な遺贈を申し出る怪鳥の如き盲主人とフランケンシュタインの様な従者・・おお何と堂々たる超本格ミステリの構え、屋敷連続殺人物の匂い・・でも、あまり評判聞かないタイトルだから、きっと「竜頭蛇尾」なんだろなと期待せずに読んだら・・・蛇は蛇でも「ツチノコのしっぽ」位の面白さはあった、かな。


No.404 4点 孤独の島
エラリイ・クイーン
(2020/12/03 21:48登録)
強盗殺人犯トリオ・・冷酷な小男ボス、狡猾な金髪情婦、巨漢の手下・・絵に描いた様な悪党三人組・・対するは、娘を人質にとられた貧しく不器用な警官とその妻。娘と金を巡る虚々実々の無駄のないサスペンス。最高によくできたサスペンスドラマの「ノベライズ」でも読んだような。でもここ、ミステリサイトなんだな、残念なことに。で、本来は採点なし。が、強盗の上前はねた「真犯人」フーダニットと、ラストのカットバック人物トリック描写をもってミステリと評価しよう・・さらにオマケ点も付けちゃう。


No.403 3点 ウインター殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2020/11/29 20:52登録)
ヴァン・ダインの記念すべき遺作。

これで全12作・・短編集除く・・採点したんで、わが私的ヴァン・ダインベスト5。
 第一位:「ベンスン殺人事件」
 第二位:「グリーン家殺人事件」
 同二位:「ケンネル殺人事件」
 第四位:「カブト虫殺人事件」
 第五位:「ドラゴン殺人事件」

なんだかんだ言ってもいつまでも記憶されるべき作家の偉大な業績に追悼!


No.402 2点 カシノ殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2020/11/29 20:46登録)
「ファイロ・ヴァンスが生涯で出会った、最も巧妙を極めた、最も凶悪な犯罪・・」なんてチンプな謳い文句で話が始まっちゃうと、「最もつまんねえ話なんでないの?」て危惧を抱かざるを得なくなり、ハードルは下がるが、結局・・「うーん」な話だった。犯人、「グリーン」「ガーデン」「誘拐」と同パターンの誤魔化し行為やらかして・・この作では容疑者二名出てきて若干賑やかだが・・そもそも「毒殺事件」ての好きでないのよ。


No.401 6点 地獄の道化師
江戸川乱歩
(2020/11/27 20:21登録)
書評見てて、あれ?自分もこれ採点しなかったっけ?と不思議な気がしたが、そうだ、二階堂黎人「地獄の奇術師」の方だった。犯人の哀れさをことさらに憐れまないドライさがよい。


No.400 3点 ドラゴンの歯
エラリイ・クイーン
(2020/11/27 20:05登録)
ヴァン・ダイン「ドラゴン殺人事件」の方は竜の足跡だったが、こっちは歯型。そっか、指紋なみとまで行かずとも血液型なんかより人物判定の決め手になるのか、歯型。「BはAと同一の人物である」と言う明白な証拠が証言で否定されれば、「BはAになりすましたと論理を立て直し・・」って、それ「論理」って程、たいそうなもんでもないような気が・・・


No.399 6点 マギンティ夫人は死んだ
アガサ・クリスティー
(2020/11/25 22:11登録)
金を奪われ殺された雑役婦の中年女。殺される前に女が切り抜いていた新聞記事には、数十年前の犯罪絡みの4人の若い女の写真が。時を経て名を変え身分を偽って暮らしているはずの、ある初老婦人。雑役婦は過去を持つ誰かの現在を発見し、殺されたのか。早いテンポで次々と容疑者達が紹介され、ちと消化不良のまま話が進み・・もう誰が犯人でもいいよってなったあげく・・え?っと驚く真犯人の告発が「血の轍」の物語と共に明かされる。人が古い写真を捨てられないのは「虚栄」「感傷」「憎悪」からってポアロの分析が良い。
※登場する女流作家オリヴァが、自作の主役探偵を語り・・「何か書くとするわね・・なかなか評判いいらしい・・いい気になってジャンジャン書き飛ばす・・気付いた時には、思っただけで不愉快になる奴(探偵)が、あたしに一生つきまとって離れなくなっちゃってんのよ・・(こんな探偵)実際に会ったら片付けてやるわよ、今まで書いてきた方法より、ずっと・・」「・・そりゃいい、グッドアイデアだ。殺しちゃって、死後出版するといい・・」アガサ・クリスティー、本当はポアロのことが嫌いだったのかな・・とりあえず「カーテン」の予告してたんだな。


No.398 4点 ひらいたトランプ
アガサ・クリスティー
(2020/11/23 21:02登録)
ブリッジゲームの傍らで刺殺された奇人。容疑者はゲームを行っていた男女4人。大胆な男、慎重な男、冷静かつ果断な女、臆病な女。殺害状況から「~のタイプの人間の犯行」と判断するポアロ。うーん、その判断ちょっとなあ・・・。せっかく部屋の見取り図あんだから、隣室の人物の動きとも絡めたの期待したが、隣室の4人は容疑者になりえない設定の人物だし。
登場する3人の女が良い。「火車」「白夜行」ヒロインの原型の様な若い美女、ブリッジ狂いの端整な老婦人、そして、どう見ても作者の自己パロディとしか思えない女流作家。あのミステリ作家・・オリヴァて言ったか・・が実に面白い。あれ主役にしたら、ヘンリー・メリヴェール卿並みに面白いキャラだと思うが。

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