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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.423 3点 青列車の秘密
アガサ・クリスティー
(2021/01/28 18:32登録)
列車内で顔を潰され殺された大富豪の娘。容疑者は二人の色男・・娘の愛人と婿。そこに婿の愛人の超絶いい女や富豪の秘書や娘のメイドや、さらに加えてもう一人の莫大遺産相続ラッキー女やら古物商父娘やら名探偵ポワロが絡み、伝説的なルビー盗難事件を巻き込んだ国際ミステリが・・・なんか20年代のクリスティー小説って、「秘密機関」だの「スパイ組織」だのが跋扈して鼻白むのだが、これも最後に「怪盗」「謎の怪女」みたいなの出しちゃったなあ。


No.422 7点 medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢沙呼
(2021/01/24 20:08登録)
殺人事件の短編三篇プラス真探偵による仮探偵の操りどんでん返し。
   第一話(+最終話):座位置とガラス片のロジックに、5点
   第二話(+最終話):指紋と本と血文字のロジックに、7点
   第三話(+最終話):カメラとスカーフのロジックに、5点
   最終話(+全編)の、探偵及びシリアルキラーフー?の仕掛けに、9.5点・・で、全体で7点。
「メディウム」って「メディア」の単数形なのね。ミステリとしては「マツリカ・マトリョシカ」に一歩譲るかなあ。あっちは殺人出てこないのに。※感情露出の表現は相変わらずクドい。


No.421 3点 茶色の服の男
アガサ・クリスティー
(2021/01/22 17:29登録)
アガサ・クリスティー第四作。1924年てことは日本で言えば大正時代か。わが国では「明治風厳めしさ」と「昭和軍国」の狭間の、儚い明るさのあった「浪漫ちっく」な時代(「孤島の鬼」もこの時代を舞台にしてた)。英国でも「禁欲ヴィクトリア朝」と「第二次欧戦」の間の、多分ロマンチックな時代だったんだろう。しかも舞台は南アフリカ・・労働争議こそあれ「アパルトヘイト」の概念すらなかった、白人植民地支配が当然だった世界で・・「美しい白人」男女が浪漫サスペンスを展開する。ミステリとしては・・被害者フー?、ラスボス「大佐」フー?、あと幾つかの人物入代りネタってとこか。※ 1/4~1/3アクロイド先行ネタのオマケも付く。


No.420 3点 四つの兇器
ジョン・ディクスン・カー
(2021/01/17 23:14登録)
バンコランシリーズ第五弾(にして最終弾) 。クリスティー「ゴルフ場殺人事件」とかと同じく、複数者の別の犯罪企図と偶然が、「不思議」を現象させるってやつだが、その「不思議」が「凶器が多すぎる」なんてレベルでは・・・
不思議のカラクリ公開は実に見事だが、カーには「密室」「不可能」レベルの不思議を期待しちゃうからねえ。


No.419 2点 ビッグ4
アガサ・クリスティー
(2021/01/14 15:00登録)
世界征服を企む秘密結社の四大幹部:ビッグ4・・米国大富豪のナンバー2、恐怖の女科学者のナンバー3、ナンバー4の「怪人二十面相」、そしてナンバー1の謎の中国人。対するは、変装、アクション、果ては飛び道具プレイまで行うアグレッシブ・ポワロ。ビッグ4フー?ネタを連載少年漫画の様につなぎ、ハラハラドキドキ感なかなかに良い。たーだ、ナンバー4、それ以上にナンバー1のラストが肩透かしで残念。ラスボスフー?に期待したのに・・・


No.418 5点 心地よく秘密めいた場所
エラリイ・クイーン
(2021/01/10 23:14登録)
エラリイ・クイーン最後のミステリ。見どころは二点。
一、殴打跡の証拠とニセ証拠を巡る左右のロジック。
二、犯人による探偵の操り。「葉を隠すには林の中」、犯行目的の象徴Xを隠すためには、多くの象徴Xを拵えてそこに紛らわせてしまえば良い。林を与えられれば、葉を探し出す衝動に駆られる探偵本能を操り、容疑者Aを指示させようとする真犯人。
元題、A fine and private place、「大変にプライベイトな場所」とでも訳すのかな。
で、クイーン全長編39作の採点修了したので、「大変にぷらいべいと」な我がクイーン長編ベスト10(11)

  第一位:「シャム 双生児の秘密」
  第二位:「Xの悲劇」
  第三位:「十日間の不思議」
  第四位:「Yの悲劇」
  第五位:「エジプト十字架の秘密」
  第六位:「ギリシャ棺の秘密」
  第七位:「フォックス家の殺人 」
  第八位:「ドルリイ・レーン最後の事件」
  第九位:「日本庭園の秘密」
  第十位:「災厄の町」
  同十位:「九尾の猫」


No.417 3点 恐怖の研究
エラリイ・クイーン
(2021/01/07 22:06登録)
切り裂きジャックとシャーロック・ホームズは、19世紀末倫敦の永遠の霧の神話だから、どんな現代的解釈も色褪せてしまう。島田荘司の合理的ホワイ解決小説はそれなりに面白く、「漱石と倫敦ミイラ~」も悪くはなかったが・・・
※「エラリイ・クイーン」、ミステリ史上の大作家であり、名探偵の一人でもあるが、「エドガー・アラン・ポー」「シャーロック・ホームズ」みたいな神話的名詞って程ではないんだよな。


No.416 7点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2021/01/06 23:32登録)
アガサ・クリスティー第三作にしてポワロ第二弾。探偵も巻き込んだ「顔無し死体殺人」事件企図が、もう一つ別の殺人企図と、更に別の偶然および誤解との複合によって、「変な」二重殺人を現象させてしまう。ポワロが現象を解き明かす丁寧な解釈が実に見事。この現象が「密室」「不可能現象」だったら、クリスティー最高作として、8~9点つけていた。女容疑者にのぼせてしまったワトソン役とのドタバタも大変に面白い。ただ、タイトルが頂けない。
※この人物トリック(顔無しなり損ねだが)、横溝「悪魔の手毬唄」の源流筋なんだろな。


No.415 3点 最後の一撃
エラリイ・クイーン
(2021/01/04 22:16登録)
今年「最初の一評」は「最後の一撃」。ホワイトクリスマスに集う12人の男女と突然現れた謎の刺殺死体。探偵を挑発するかのような、容疑者Aを指示する十二枚のカードとニ十個の贈り物。探偵は自分への操りと見限り、犯人の指示を拒否する。だが、そうした操りの拒否自体が犯人の目論んだ真の操りだったとしたら・・・露骨に双子ネタ振っといて○○○オチって、深夜ドラマ(「時効警察」だったか)で○○○オチってのあったが、あそこまで行くと大いに楽しめた。あの記号のオチは・・非アルファベット語国民としては・・あまり面白くなかった。


No.414 2点 運命の裏木戸
アガサ・クリスティー
(2020/12/29 19:52登録)
1922年出版の「秘密機関」では二十歳そこそこだった若き未婚男女が、1973年出版のこの最後のミステリでは七十を超えた老夫婦へ変貌を遂げ、それでも追い求める物は相も変わらずスパイ・フー?で・・ソシアリズム・ファシズム・コミュニズム・ナチズムの秘密結社で・・アガサ・クリスティーって左右の全体主義になんか拘り持ってたのかな。「秘密機関」「NかMか」「親指のうずき」と前三作では、必ず二人のうちどちらかが、背後から脳天を鈍器で殴られ失神させられ、いくらなんでも障害残るだろと余計な心配したが、ここでは銃弾がかすっただけ(?)ですんで良かった。
※矍鑠たる老大佐が七十過ぎの老人に向かって「なあ、マイボーイ」てのに大うけ。


No.413 3点 秘密機関
アガサ・クリスティー
(2020/12/26 19:16登録)
デビュー作「スタイルズ荘の怪事件」に続くアガサ・クリスティ第二弾。もう出版から百年近く経つのか。国家揺るがす機密文書を持った行方の分からない女。女の行方を追う若き探偵男女が、謎の指導者「ブラウン」率いる秘密結社相手に虚々実々のスパイサスペンスを展開。「どんな機密か知らないが、たかが文書一つが国家揺るがすはずないだろ」て突っ込み置いといて、少年向け冒険小説の面白さはあった。ミステリとしては・・ブラウン・フー?ってとこかな。※アガサ・クリスティーって、ナチよりも「左翼」のことが嫌いだったのかな。


No.412 4点 NかMか
アガサ・クリスティー
(2020/12/24 18:46登録)
対ドイツ戦時下の英国、海沿いの屋敷に集う老若男女の中から、NとMというナチの大物スパイ男女を探り出す為に、正体を偽装し潜入した探偵夫婦。「容疑者」のうち、4人の男の方はともかく、6人の女の設定が実に良い。
「あの3人の方は違うだろな、こっちの3人のうちの誰かがスパイだろなあ」てとこまでは当たったが、最後のフーまではとても。途中のサイドエピソードが、「犯人当て」の鮮烈にして隠された見事な伏線だった。
※興奮して政治国家を熱く語る軍人が、「があがあ、ガチョウさん」てちゃちゃ入れられ、「ぶ、ぶぁっかぁもおーん!」と怒る場面に爆笑。が、その怒りに合理的理由があることが暴露され、チト興ざめ。


No.411 4点 クイーン警視自身の事件
エラリイ・クイーン
(2020/12/21 19:42登録)
新生児の闇売買がテーマの本格ミステリていうよりハードボイルド風の話。売られた赤子、新生児ブローカー悪徳弁護士、出産実母が相次いで殺され、赤子の雇われ看護婦と退職警視(INSPECTORて警視とも警部とも訳すのか)がコンビを組み、事件の真相を追う。登場人物一覧からして容疑者顔ぶれチト乏しく、「犯人これしかないだろが、これじゃあなあ・・」てのがやはり犯人だった。
※「真鍮の家」先に読んでなきゃ「このヒロインが犯人だと面白いなあ」とか楽しめたんだろが、その代わり犯人当て外れて、あの二人の「老いらくの恋」のハッピーエンドを素直に喜べなかったかな。


No.410 3点 ハートの4
エラリイ・クイーン
(2020/12/20 19:11登録)
ハリウッドスター両家の父子と母娘、二代にわたる恋情と確執。引退した元スター富豪老人、付添の老医師、名物プロデューサー、酔いどれシナリオ書き、ゴシップ屋の謎美人、そして探偵兼作家で新人シナリオ書きエラリー・クイーン。配達されるトランプ占い殺人予告に翻弄されるハリウッド毒殺騒ぎ。「時間の三つの様相のうち、過去や現在が殺人の原因になる事はあるが、これは未来が原因の殺人・・」てな大仰なホワイ、要するに「遺産目当て」の事だった。


No.409 4点 悪魔の報酬
エラリイ・クイーン
(2020/12/17 20:00登録)
大富豪の娘と父親と恋人の男。父と男に殺人容疑がかかり、父親にはアリバイがあるが男には「反」アリバイが・・。だが、父親は将来の「義理の息子」を庇ってか己のアリバイ弁明を拒否する。父を助ける事が男を窮地に落し、男を庇うには父を犠牲にするしかない娘。そこに妖婦と悪徳弁護士の露骨に怪しすぎるコンビと、実直な使用人、新聞編集長、偽装探偵(エラリイ・クイーン=ヒラリイ・キング!)等が絡み、誰を犯人にすんだ?と訝っていたら、十八番のロジックで犯人を挙げた。そして確かに「意外な犯人」であった。
一瞬、ん?「カー島荘大技トリック」出んのか!と、トキメイたが・・そこはクイーン、単なる「飛び道具」だった。


No.408 5点 親指のうずき
アガサ・クリスティー
(2020/12/13 13:40登録)
老婦人たち・・賢婦、妖婦、頑婦、狂婦、活婦、怪婦、魔女そして初老ヒロイン・・の饗宴。老婦たちが老嬢の顔を晒し、ホラーでメルヘンなミステリが展開する。
※も少しオドロオドロしく描いてたら、鬼子母神譚やホラー映画「スウィートホーム」みたくなっていたかも。


No.407 4点 GOTH モリノヨル
乙一
(2020/12/11 18:23登録)
「GOTH」の追加譚+オマケ写真集。殺人犯倒叙による主役コンビ再登場・・少年は声のみだが・・が嬉しい。
が、あの写真集モデル、あれ、断じて「モリノヨル」のイメージではない!


No.406 7点 GOTH リストカット事件
乙一
(2020/12/11 18:12登録)
猟奇趣味で繋がれた二人の男女高校生が主役の短編集。
 *「暗黒系」 シュールな猟奇描写に目を眩まされるが、証拠と犯行のロジック展開はなかなかに本格。7点。
 *「リストカット事件」 ダダイズムなまでの残虐譚がサスペンス展開する。ミステリ要素はちと薄く、3点。
 *「犬」 陰惨な虐待話が、倒叙と叙述相互に展開し、最後は叙述トリックで収束する。6点。
 *「記憶」 少年によるヒロインのホワットダニット解明ロジックが、フーダニットへと転調し、8点。
 *「土」 犯人側描写の残酷な犯罪譚。解明ロジックもちょっと出てきて少しミステリして、4点。
 *「声」 犯人と殺された女の妹のサスペンスが、主役少年を大きく巻き込んでの叙述トリックにて展開する。8点。
「記憶」で少女の正体が解明され、「声」では、分身を透して少年の本性が暴き出される。少女が最後に少年に突きつけた言葉・・私は心の歪んだ人間だが、あなたには心が無い(=人非人)・・が印象的。短編集としての平均は6点だが、このラストのラスボスキャラ転換劇に追加点して7点。


No.405 4点 真鍮の家
エラリイ・クイーン
(2020/12/08 00:59登録)
朽ちかけた暗鬱な古豪邸。謎の招待を受けた客達。莫大な遺贈を申し出る怪鳥の如き盲主人とフランケンシュタインの様な従者・・おお何と堂々たる超本格ミステリの構え、屋敷連続殺人物の匂い・・でも、あまり評判聞かないタイトルだから、きっと「竜頭蛇尾」なんだろなと期待せずに読んだら・・・蛇は蛇でも「ツチノコのしっぽ」位の面白さはあった、かな。


No.404 4点 孤独の島
エラリイ・クイーン
(2020/12/03 21:48登録)
強盗殺人犯トリオ・・冷酷な小男ボス、狡猾な金髪情婦、巨漢の手下・・絵に描いた様な悪党三人組・・対するは、娘を人質にとられた貧しく不器用な警官とその妻。娘と金を巡る虚々実々の無駄のないサスペンス。最高によくできたサスペンスドラマの「ノベライズ」でも読んだような。でもここ、ミステリサイトなんだな、残念なことに。で、本来は採点なし。が、強盗の上前はねた「真犯人」フーダニットと、ラストのカットバック人物トリック描写をもってミステリと評価しよう・・さらにオマケ点も付けちゃう。

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