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ミステリの祭典

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親指のうずき
トミー&タペンス

作家 アガサ・クリスティー
出版日1970年12月
平均点5.67点
書評数6人

No.6 6点 虫暮部
(2024/10/10 12:01登録)
 トミー&タペンスは、何処まで本気か判別しがたいと言うか “探偵ごっこ” のイメージが抜けないので、つい緩い気分で読んでしまった。謎の絵・謎の記憶・謎の人形ってサイコ・スリラーかい、あっはっは。と思ったら本当にそうだった。強引なこじつけもそういうことならOK。エピグラフもサイコっぽいし。
 しかし作者の筆も若干緩んでないか。4分の3までは少々引き締めて、その分ラストのホラブルなパートをもう少し長く堪能出来たらベターなんだけど。

No.5 6点 ALFA
(2023/01/20 11:38登録)
いわくありげな題名よし、曖昧模糊としたストーリーよし、衝撃のエンディングよし。
しかしどうしてタペンスにするかなあ。明朗快活なキャラがチグハグ。
ノンシリーズにして、ほの昏いトーンで徹底すれば傑作サイコスリラーになっただろうに。

No.4 5点 レッドキング
(2020/12/13 13:40登録)
老婦人たち・・賢婦、妖婦、頑婦、狂婦、活婦、怪婦、魔女そして初老ヒロイン・・の饗宴。老婦たちが老嬢の顔を晒し、ホラーでメルヘンなミステリが展開する。
※も少しオドロオドロしく描いてたら、鬼子母神譚やホラー映画「スウィートホーム」みたくなっていたかも。

No.3 7点 クリスティ再読
(2015/09/06 17:41登録)
トミー&タペンス強化週間その2。
トミー&タペンスというとスパイ小説...ということになるかもしれないけども、本作は違うよ。これは「第三の女」とか「象は忘れない」とかと同様の「いったい何が謎なのか?」を探すクリスティ晩年の独自形態のミステリである。実際本作、ジャンル分けすればサイコ・スリラーである。

傑作「終りなき夜に生まれつく」でも出た主題の変奏で、タペンスが「夢の家」(まあ作中では偶然相続した絵の中の家だが)を追う中で、どうやらそれが現実の隠れた犯罪と何か関係が...という展開なので、いわゆる本格ミステリ的な「出題」はなくて、曖昧な噂話の中からいろいろな推測が浮かんでは消えていくような構成になる。

サイコスリラーな真相も結構インパクトが強いし、これって「もし●●●が認知症になったら?」というホラーコメディ調の話かもしれない(それは斬新だなぁ)。まあ一筋縄でいくような話ではないので、変化球好きの読者ならば楽しめると思う。主人公カップルの明朗さと事件の暗さが、薄明のような雰囲気を漂わせているあたり評者は好き。考えてみれば「蒼ざめた馬」あたりに近い内容かもしれないね。

No.2 5点 あびびび
(2012/10/01 10:11登録)
クリスティは大好きだが、トミー&タペンスシリーズはやや苦手。「ウサギを追いかけるテリアのように」妻のタペンスが暴走して、夫のトミーが軌道修正するパターンは冒険小説のようで、落ち着けない。

ただ、犯人は意外だった。過去、何十冊と読んでいるが、なかなか犯人が当たらない。今回もまさかの終盤で、唸るしかなかった。本当にクリスティ作品に外れは少ないと思う。

No.1 5点 江守森江
(2011/02/06 05:05登録)
トミー&タペンスの中年期以降の話で、「おしどり探偵」以降の消息を知りたい世界中のファンからの要望で書かれた作品。
中年になってもタペンスの好奇心は旺盛だし、中盤以降に登場のトミーも冴えているが、所詮ポアロやマープルとは違い本格ミステリと言うより冒険サスペンスではある。
それより映像化作品がマープルのシリーズに組み込まれたり、微妙なフランス版だったりと悲しい扱いしかされていないのでクリスティーも草葉の陰で嘆いているかもしれない。
因みに毎度のごとくAXNミステリーで放送されたフランス版を視聴してからのおさらいなのであしからず。

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