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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.29点 書評数:1015件

プロフィール| 書評

No.795 4点 ○○○○○○○○殺人事件
早坂吝
(2024/02/11 08:42登録)
この作家も、このサイトで教えてもらった。オっ、麻耶雄嵩の後輩・・いろんな意味で(^^)
     古典的孤島モノの意表を突く、純情描写を逆手に取った、トンデモ設定に、2点(3点満点)
     「ダイイングメッセージの為の針糸密室」てな趣に、1点。
     凶器隠し場所トリックと付随ネタ、えげつないが意味ある性的描写に、1点。
       (「アメリカ銃の秘密」読んだ時、自分も、この手のネタを考えた事あるゾ!)
     探偵設定(当然、ネタバレは承知だったが、「星降り山荘の殺人」よりよく)に、1点。
     肝心なタイトルの格言ことわざ伏字ネタは・・つまらん(-"-)! マイナス1点。・・・合計:4点。


No.794 7点 倫敦から来た男
ジョルジュ・シムノン
(2024/02/07 21:53登録)
江戸川乱歩は正しい。短気で横柄、気分屋で人好きしない主人公の鉄道員は、一見、ラスコーリニコフとは似ても似つかない・・あんな美形でも若くもなく、天使の如き恋人も男気溢れる友もいない・・。それでも、この作品は、何故に男が罪びとにならざるを得なかったのか、そして、それを告白せざるを得なかったのかを、解明としてではなく、小説として描いている。「罪と罰」同様にミステリとは言えんが、目をつぶってオマケしたく。


No.793 6点 金時計
ポール・アルテ
(2024/02/06 17:16登録)
二十世紀初頭と終盤、ほぼ一世紀隔てた二つの「事件」。相互描写とくれば、興味は何より時を超えた連関に向くが、そこについては・・うーむ(-"-)。ミステリとしては、過去事件の雪足跡密室・・なんちゅうテクニカル・・に3点(満点)。現代(今では四半世紀前だが)事件の方の不可能トリックは、なんちゅうカー=アルテ(^^)。クリスティー風の人間関係トリックと時を超えた「狂気のヒロイン」造形見事で、点数加点。


No.792 7点 残虐記
桐野夏生
(2024/02/03 18:16登録)
十歳の時に、町工場住込みの男に誘拐され、その部屋に一年(実際にあった元ネタ事件では9年)にわたり監禁された少女が、長じて女流作家となり、事件の手記を残し行方をくらませる。作品は、作家の夫と名乗る男から編集者に送られた原稿の体をなしている。女の出奔のきっかけは監禁犯人から送られた手紙で、それも作品の冒頭に付く。未熟に歪んだ情緒の男として描かれる犯人のみならず、元少女の作家、その母親、男の同僚、義手の検事それぞれが、己の空想・・現実崩壊に至る程の夢想・・の逃れられない罠に閉じ込められている。「甘い」までに「残虐」な幻想譚、どこまでが「真相」でどこから「虚構」なのか曖昧な、ハーフミステリ文学。面白い。


No.791 5点 緑の毒
桐野夏生
(2024/02/01 23:24登録)
とり澄ました所では川端康成「眠れる美女」、直接には映画「水のないプール」およびそのモデル実話「クロロホルム暴行事件」思わせる、39歳医師の麻酔薬連続凌辱事件。陰気で独りよがりな暴行魔の開業医、その妻の女医と妻の浮気相手の救命医、被害者の女達と看護師等病院関係者達。小サイズの長編に手際よく収められた群像劇が、偶然必然に犯人を追い詰めて行く、ブラックにしてコミカルなファルスで展開する。


No.790 6点 レイクサイド・ストーリー
サラ・パレツキー
(2024/01/30 18:10登録)
サラ・パレツキー第二作。自身の情念から、元アイスホッケー選手の従兄の不審死を捜査するヒロイン探偵。五大湖舞台に、穀物会社や運輸船会社の経営者関係者家族を巻き込んだ悪事が暴かれて行く。真相は実に「まっとう」で、捜査は愚直にして緻密。これにアリバイトリックの一つも付いてたら、まるでクロフツ・・と、最後の最後に一気にアクションアップしてエンド。北欧神話オーディンかバイキング王の如き客演キャラがよい。※点数オマケ(したくなる)


No.789 5点 女ともだち
真梨幸子
(2024/01/25 23:07登録)
桐野夏生「グロテスク」同様、これも「東電OL殺人事件」を元ネタにしている。映画「昼顔」「ミスターグッドバーを探して」はじめ、「堅気にして娼婦」パターンは、男の下世話好奇心のみならず、女のアイデンティティー深層にも刺さるのか。「グロテスク」以上に、元ネタ以外のキャラ立て役回りに重点が置かれ、ミステリらしく仕上がっている・・そもそも、元ネタや「グロテスク」は事件解決してないし・・にしても、胎児死体の蒐集埋葬って・・(*_*;


No.788 6点 グロテスク
桐野夏生
(2024/01/24 22:05登録)
昼は大企業管理職にして夜は街娼、二重生活を送ったアラフォーOL殺害事件。世に言う「東電OL殺人事件」実話をモデルに、同門のハーフ姉妹や同級生、密入国中国人等のフィクションを重ねた多重解決「ハーフ」ミステリ。第一人称叙述と第二人称描写の落差・・特に、中国人被告の上申書の迫力と、被害者日記の胸打つ絶望感を、どんでん返しさせる他者描写・・がコミカルなまでにグロテスク。


No.787 7点 時空旅行者の砂時計
方丈貴恵
(2024/01/18 22:45登録)
ミステリ風味のSFファンタジーかと思いきや、「夏への扉」「バックトゥザ~」設定の密室ミステリだった。三次元密室を四次元時間で突破したタイムワープアイデアより、二重バラバラ殺人の不可能トリックが良い・・「妖魔の森」「占星術」「翼ある闇」二階堂黎人にも匹敵し・・鍵と扉の人物消失トリックもなかなかに。8点つけよか迷ったが・・「純ミステリ」だったらなあ・・
※この作家も、相沢沙呼・白井智之・今村昌弘・夕木春央等と同様、このサイトで教えてもらった・・普段、「この○○がすごい」「○○ベストテン」等読まず、あまり若手作家に興味もないので・・いろいろ紹介下さる皆様に感謝 m(__)m


No.786 5点 キングとジョーカー
ピーター・ディキンスン
(2024/01/14 00:18登録)
「王」と「道化」、「史実」と「虚構」、「外づら」と「うちわ」、「犯罪」と「悪戯」・・・トランプ画と不思議の国アリスと王朝悲喜劇を裁断シャッフル振りかけた、ミステリアスにしてファンタスティックなコンパクト版「百年の孤独」。


No.785 6点 サマータイム・ブルース
サラ・パレツキー
(2024/01/04 06:52登録)
サラ・パレツキー処女作。薄汚れ私立探偵、皮肉たれ一人称、行方不明捜し依頼、殺人事件遭遇、怪しげな依頼者関係者と裏社会勢力、分かりやすーいミステリ、効果的にバイオレンス・・主役探偵とトビキリ情人の男女をチェンジした、絵に描いた様な、お手本ハードボイルドと思いきや、結末は如何にも米国好みハリウッド - ディズニー系ハッピーエンド。ヒロインの挑発、「おまえ、タタないから拳銃握ってんのよ」に激昂する殺し屋(^o^)。 女医・警部(補)はじめ「気のいい」保護者協力者に恵まれすぎで・・・ハードボイルドっちゅうのは、もっともっとハードでビターでダークでありたい・・・まあいいや、新年初採点なんで、点数大オマケ。


No.784 2点 見えない敵
F・W・クロフツ
(2023/12/31 01:54登録)
クロフツ第二十九作。第二次世界大戦下、武器庫から盗まれた手榴弾による遠隔爆破殺人。動機とアリバイ時間表と手段と・・これはもう確実に、"晩(末)期クロフツ"と言うべきであろう・・


No.783 4点 殺人は広告する
ドロシー・L・セイヤーズ
(2023/12/26 23:04登録)
ドロシー・セイヤーズ「貴族探偵」シリーズ第八弾。広告代理店で進行する秘密を探るべく秘匿捜査を行う「貴族探偵」。作者、広告代理店でコピーライターをやってたことがあるとかで、ネタが実にわらける。各章独立した短編としても楽しめて、章によっては「くたばれ健康法」やメリヴェール卿物なみの爆笑譚。が、長編ミステリとしては・・・(~_~;) ま、ユーモア小説として面白かったんで、点数オマケ。 ※ところで、あのオックスフォード出の女コピーライター、あれ、作者の自虐戯画なんだろなぁ・・
浅羽英子て訳者の、常套句慣用句や古典引用の簡潔な補助解説(「毛虫の長靴=最高」!)が分かりやすい。たーだ、ローティーン口調訳の「だもんで」「すんげぇ」「おらっち」は・・ゼッタイ違うなあ。


No.782 5点 ラッフルズ・ホーの奇蹟
アーサー・コナン・ドイル
(2023/12/22 08:18登録)
青年画家が出会った理想家の億万長者と招かれた夢の宮殿。宮殿描写はSFで、「浦島太郎の竜宮城」「パノラマ島奇譚」にも通じる趣があった・・が、その「錬金術」はまんま錬金術で、「理想」は唯の夢想に過ぎなかった。
タイトルの中編の他に、「電気椅子」「飛行機」「エレベーター」黎明期を舞台にした数編と、心霊入替物、陰惨な復讐譚、架空戦記の諸短編が付く。 ※「地下墓地」の話は傑作集恐怖篇に別訳載ってる。


No.781 8点 キャサリン・カーの終わりなき旅
トマス・H・クック
(2023/12/19 00:10登録)
詩と奇怪な小説を残し行方をくらました女、失語症の息子を殺人鬼に殺された男、終末を迎えつつある早老症の少女。あまりにも悍ましい残酷な運命と、気休め慰め全てを拒否する澄み切った水晶の様な冷厳さ。それでも、絶望の深さを止揚するが如きの結末。アガサ・クリスティーの素晴らしいがミステリとは言えない短編「海から来た男」や「翼の呼ぶ声」を、辛うじてミステリに繋ぎ留めた様なメルヘン。


No.780 7点 破果
ク・ビョンモ
(2023/12/15 23:01登録)
" 韓国のサラ・パレツキー、現る "・・ではなくて、反男根主義ニヒリズム(フェミニズムでなく)の作家てとこか。
著名な仏の歴史人類学者が、ドイツ人・ユダヤ人・日本人・朝鮮人を、「権威主義的家族」構造の社会を持つ民族に分類してた。権威への反作用か、日本のみならず韓国やドイツも少子化だしなあ、イスラエル・北朝鮮はどうなんだろう。
社会構造以前の生物レベルの雄-雌-生殖構造を、ペシミスティックに描いた女流SF作家ジェイムズ・ティプトリーJrを思い出した。でも、昆虫等の外骨格生物のみならず、魚類から犬猫に至るまで、この問題はなさそう(?)だが。「腰痛」の如く、種としての人類の宿命ではないのか、雄-雌-構造。人類には、環境問題以前に、遥かに悲観的な未来が待っている様に思う・・・関係のない話になってきた。※別に本格ミステリでもなんでもないが、点数大オマケ。


No.779 2点 木曜の男
G・K・チェスタトン
(2023/12/13 22:51登録)
破壊と秩序、テロルと詩、アナキスト結社のナンセンス活劇に始まり、冗談みたいな弁証法的な冒険が、夢幻的な戯画へと展開し、ヘーゲル言うところの「全てが全てと転倒し合う永遠の喜劇」に収束する・・が、そこはチェスタトン、ヘーゲル同様、耶蘇教カトリックへの肩入れは忘れない。ミステリとしては・・結社メンバーのドミノ的正体明かし。


No.778 7点 皮膚の下の頭蓋骨
P・D・ジェイムズ
(2023/12/10 23:00登録)
舞台は孤島の館。古典観劇会に集まる人々。猟色家の女優、夫の将官貴族、ピアニストの義理の息子、大富豪の館主、元女教師の従妹、付人の女、演劇評論家、館の執事夫妻、そしてヒロインの女探偵:コーデリア・グレイ。コーデリアシリーズ第二弾・ていっても2作のみだが。女優に送られ続ける「脅迫詩文」に備え、夫の老貴族に身辺警護に雇われた若き女探偵が出会う、孤島の館の殺人。絵に描いた様な本格設定だが、そこはドロシー・ジェイムズ、見どころは容疑者達の人間描写。普通の「島もの」なら、周りの人間が殺されて行き、己に迫る恐怖サスペンスを描くところ、「ここにいる誰かが殺人者であるという人間存在への絶望感そのもの」が濃密に語られる。「女には向かない職業」同様、ラストにハラハラ展開のサービスも付いてる。


No.777 6点 十戒
夕木春央
(2023/12/09 07:36登録)
これも面白かった。 「方舟」「十戒」ときて、次は、「原罪」「預言」あるいは 「黙示」ってあたりか・・・

※2日後追記。なんか「方舟」と同じ匂いが・・思ってたら・・おおサーガ!(ここの諸兄の評読んでナットク(^.^))


No.776 3点 名探偵水乃サトルの大冒険
二階堂黎人
(2023/12/05 23:06登録)
水乃サトル君シリーズ短編集。
  「ビール家の冒険」 空き家の如き一軒家に残された大量の缶ビールの謎。5点
  「ヘルマフロディトス」 女子高生マル文字日記に仕込まれた殺人Who手掛り。3点
  「『本陣殺人事件』の殺人」 本家イチャモン付けと新機軸の提示・・唯の「針糸トリック」だが・・4点
  「空より来る怪物」 天窓以外は密室だった山小屋での密室焼殺トリック。6点
※短編ミステリ集として平均5点。が、第四編キャラ・「宇宙神~」同様・のヘキエキ感と、余計な後書「~が許されるのは島田荘司先生(! °o°) だけ・・」云々にマイナス2点。

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