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ミステリの祭典

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誘拐犯の不思議
水乃サトルシリーズ

作家 二階堂黎人
出版日2010年07月
平均点4.00点
書評数3人

No.3 4点 レッドキング
(2023/08/09 17:08登録)
水乃サトル不思議シリーズ第五弾。アリバイ時間トリックに特化した長編。なかでも、内臓が掻き出された死体ネタ、島田荘司小島正樹以外にも、こんなWhy利用もあんだなあ、とカンプク・・「バカWhy」だけどね。

No.2 5点 E-BANKER
(2013/03/13 22:15登録)
水乃サトルの学生時代の活躍譚が「・・・の不思議」シリーズ。
ということで、本作は「智天使の不思議」に続くシリーズ第五作目。

~「心霊写真家」が取り出した三枚の写真。それを見た二之宮彩子は、十か月前に自らが誘拐された事件の顛末を語り始める。写真にうつる男が、犯人の一人だというのだ。彼女は無事救出されたが、身代金は消え失せ、事件は未解決のまま。捜査に乗り出した彩子の恋人で自称名探偵・水乃サトルの前に、完璧に構築されたアリバイが立ちはだかる。名探偵と誘拐犯の息詰まる対決!~

何かこう、バランスが悪いような・・・そんな気にさせらた。
紹介文にあるとおり、本作は徹底的に「アリバイトリック」に拘った作品。
アリバイトリックの王道といえば、「時間軸」または「空間軸」を如何にズラすのかということに収斂する。
(要は、X軸とY軸のどちらをいじるのかということだろう)
ということで、本作は徹底的に前者に工夫が成されることに・・・

まぁ、これは見方次第かもしれないが、「よく練られてる」とは到底言い難い。
ラストの真相解明の場面、サトルがさも「大いなる欺瞞」を解明したように語ってはいるが、伏線が相当あからさまなのは確か。
真犯人が弄するビデオにしても、新聞にしても、レシートにしても、これでは「見え見えの変化球」だし、これで「空振りしろ」という方が難しい。
もう一つ気になるのは、殺人事件との絡み方。
猟奇的死体を持ち出して、「切り裂きジャック」もどきを演出しているが、動機の弱さのせいもあるけど、本筋である誘拐事件との連携がなく、必要性がかなり疑問な気がする。
最後にDNA鑑定を持ち出して、稚拙なトリックをカバーしようとしているのもいただけない。

書評を書き出すと、こんなふうに次から次とアラが見えてきてしまうのだが、それもこれも本当は作者に期待したいからなんだよなぁ・・・
「悪霊の館」や「人狼城の恐怖」をワクワクしながら読んだ、あの頃の思い出をもう一度味あわせてもらいたい・・・
いち本格ミステリーファンとしての切なる願い(かな?)。
(文庫版巻末解説のタイトル「ガリレオを超えた・・・」というのが意味深だし、何だか悲しい・・・)

No.1 3点 kanamori
(2010/08/28 15:17登録)
水乃サトル・大学生編シリーズ。
叙述トリックの二大潮流は、人物(の特性)の誤認と視点の誤認だと思いますが、本書は誘拐事件に絡むアリバイ・トリックものということで、××の誤認を狙っています。残念ながら、トリックには新味がなく、策を弄しすぎたトリックのためのトリックという感じで面白味に欠けました。
ホームレスの死体を利用している所は、前作「智天使」に続いて、まだアノ作品を意識しているのかな。

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