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ミステリの祭典

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パメルさんの登録情報
平均点:6.13点 書評数:623件

プロフィール| 書評

No.143 6点 網走発遙かなり
島田荘司
(2017/04/18 01:03登録)
ある人物の半生が各編の所々から浮かび上がる仕組みになっている連作短編集
幻想的な雰囲気を漂わせながらそれぞれの章で繋がれてきた謎が最終章で収束し真相が明らかになる
ストーリー自体は面白いし上手くまとまっているがミステリとして起伏が少なく謎自体も小さいため物足りなさを感じてしまった


No.142 7点 爆殺予告
草野唯雄
(2017/04/13 01:03登録)
会社社長の息子が誘拐され身代金を渡さなければ爆殺するという脅迫電話が・・・
しかし身代金を手に入れた犯人は逃走中に交通事故で死亡してしまう
時限爆弾を仕掛けられた子供の運命はどうなるのか?
また予想外な方向へのスリリングな展開と惹きつけられていく
終盤に明かされる真相に驚かされることは間違いないでしょう
サスペンス調に物語は推移しながらも仕掛けられた伏線やミスディレクションも見事で本格ミステリの技巧が凝らされている


No.141 7点 求婚の密室
笹沢左保
(2017/04/08 01:02登録)
使い古されたトリックの焼き直しや安易な機械トリックに飽き飽きしていた作者が初めて密室トリックに挑戦した意欲作
策謀と駆け引きが張り巡らされて陰湿で悲劇的な人間模様が描かれている
ダイイングメッセージに今一つ納得出来ないがフーダニットとして意外性もあるしある人物が事件に関与していたという真相はこれぞ盲点といった感じで驚かされた
ここまで上手くいくかなという疑問もあるが密室トリックも独創的で良いアイデアだと思う


No.140 6点 北アルプス殺人組曲
長井彬
(2017/04/03 13:22登録)
世間一般にあまり知られていない(勝手な想像です)この作品はタイトルでかなり損していると思う
巷に溢れているお手軽なトラベルミステリではありません
作者の趣味を活かした山岳ミステリで神々しく美しい北アルプスを舞台に禍々しい殺人の意図が隠された推理とロマンが一体化した本格ミステリであり登山が好きな方はより楽しめると思います
ただある人物の行動が怪しすぎて犯人が予測出来てしまった点は残念


No.139 5点 鬼畜
松本清張
(2017/03/29 12:38登録)
七編からなる短編集
前半四編が凡作で後半三編が佳作という印象
「甲府在番」は左遷に等しい甲府勤務を自ら望んだ男がある計画が思惑通りにいかず罠に嵌っていく恐怖が描かれている
時代物ミステリで真相が明らかになるにつれてホラー風に変わっていくところは読み応え十分
表題作の「鬼畜」は良心に苦しみながらも徐々に深みにはまっていく心理を丁寧に描き人間の弱さと恐ろしさを思い知らせてくれる作品


No.138 7点 刺青殺人事件
高木彬光
(2017/03/25 01:01登録)
禁断の三すくみ「大蛇丸」「地雷也」「綱手姫」の刺青を彫られた三兄妹の運命は?
密室状態でのバラバラ死体が胴体だけが持ち去られたのは何故か?
事件の陰に暗躍する謎の女の正体は?
とミステリとしてワクワクさせてくれる要素が満載で惹きつけられる
密室殺人事件を隠れ蓑に使った「心理の密室」という二段構えの仕掛けはお見事
残念な点は犯人が早い段階で予測出来てしまい意外性も無いところ


No.137 9点 奇想、天を動かす
島田荘司
(2017/03/20 01:15登録)
消費税12円を請求された事に腹を立てナイフで殺人を犯したとされた老人
この裏には何かあると老人の過去を洗い出し数十年前の奇怪な殺人事件に辿り着く
・走行中の列車のトイレでピエロが拳銃自殺し30秒後に焼失
・列車飛び込み自殺した死体が歩き出す
・赤い目をした巨人による列車転覆事故
このような怪奇現象的なトリック(トリックでは無いものもあるが)も良く出来ていると思うしこれらの現象を一つ一つ解明しつつ犯人は変わりようが無い中動機の真相を追及していく吉敷刑事のカッコ良さが堪能出来る
また「冤罪」という問題も考えさせられる作品


No.136 5点 宿命
東野圭吾
(2017/03/15 12:23登録)
殺人事件は発生するがフーダニット・ハウダニットに関してはこれと言って面白みは感じられない
この作品のキモはホワイダニットと登場人物の関係性
過去の秘密を暴き利用しようとする者と頑なに守ろうとする者との闘い
ミステリ要素は少ないのでそれを期待していると肩透かしを食らうかもしれない
運命のイタズラとはこういう事を言うんだろうと読後には脱力感を覚える


No.135 4点 女相続人
草野唯雄
(2017/03/11 01:09登録)
多額の遺産相続を巡り金に目が眩んだ欲深い人間達があれこれと悪知恵を絞って横取りしようとするさまが楽しめる
半倒叙形式で語られるサスペンスでフーダニットとしては意外性があり驚かされる
ただ現場検証の杜撰さを含め刑事たちの無能さが酷く所々に粗さが目立つ
よくぞこの状況で●●と判断したものだと思わず笑ってしまった
またある人物の証言も呆れて物が言えない状態
これらのような点からも今一つ集中出来ずのめり込めなかった


No.134 6点 リア王密室に死す
梶龍雄
(2017/03/06 01:17登録)
分類的には青春ミステリに属すると思う
多少は男女の恋愛が描かれているが甘ったるさはなく全体的に硬派なイメージ
密室状態での殺人事件はトリックやプロットが充分に練られており本格ミステリとして楽しめる
ただフーダニットとしては真相が見えやすいし動機が釈然としないため読後感はどうもスッキリしない


No.133 9点 白昼の死角
高木彬光
(2017/02/27 01:07登録)
戦後の混乱期で不安定な日本経済の中スケールの大きな手形詐欺を行った天才的悪党の物語
詐欺の手口は鮮やかで舞台設定もよく考えられている
経済事犯では首謀者だったとまでは推定されるが証拠を掴ませない
捜査を進めてもどんな法律を適用しようと思っても巧みに逃げ切る
法律の抜け道・盲点を発見する点は天才的で魅力的
結局は逮捕されてしまうのだが主人公が刑事に最後に言い放った言葉も負けん気が溢れていてカッコ良ささえ感じた
悪い奴だとは思いながらも読後は爽快感さえ残る


No.132 6点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2017/02/22 13:22登録)
記憶喪失になった老人が「自分が何者かを調べてほしい」と冒頭から引き込まれる
読み進めていくうちに「おかしくないか?」と思う記述がいくつかあり違和感を覚えるがどういう事か解読出来ないでいた
ただこれはトリックの伏線になっており真相は壮大なスケールで衝撃度も高い
しかしこのメイントリック以外は今までの館シリーズに比べると館の雰囲気・登場人物の魅力度そして殺人事件の密室トリックも今一つといった感は否めない


No.131 7点 獄門島
横溝正史
(2017/02/15 01:00登録)
小学生か中学生の頃金田一耕助シリーズがテレビで放映しており見た記憶がある(もちろん金田一耕助は古谷一行)個人的には金田一耕助は古谷一行一択です
読み進めていくうちに先が見えてしまうのでは?と心配したが無用だった(記憶力の無さに愕然)
海賊や流刑者の末裔が暮らす瀬戸内海の孤島・陰惨な人間関係や因習・牢獄に閉じ込められた狂人とその三人娘など雰囲気と登場人物は魅力に溢れているし飽きさせない展開力と楽しめる要素が満載
ただ犯人は何故危険を冒してまでも俳句を見立てる殺人を犯したかが明確では無いしこの島の封建的な意識で起こるべき起こったとはいえ殺人動機は納得出来ない


No.130 8点 異人たちの館
折原一
(2017/02/09 11:57登録)
一人称・三人称・インタビュー・作中作・モノローグ等いくつものかたちで描き分けられている
最後の最後に世界がひっくり返るようなどんでん返しというような叙述トリックでは無い
小さな仕掛けがいくつもあり物語は二転三転し(いや四転五転ぐらい?)その度に一体どうなってるんだ?という感覚にさせられ捲るページが止まらない
騙される快感を味わいたいと思っている方は楽しめる作品だと思います


No.129 5点 猟人日記
戸川昌子
(2017/02/03 00:58登録)
主人公のプレイボーイ(死語?)はナンパした女性との性交渉の模様を赤裸々に日記につけている
主人公に恨みを持つ人物は主人公を●●の罪に着せようと企んでいく
後半に入ると逮捕された彼を救うべく弁護士が真相を追及し暴いていく展開
巧妙な罠に嵌り心理的にも追い詰められていく様は引き込まれるが犯人や動機に意外性は少ないし人工的トリックは今一つピンと来ない


No.128 8点 赤の組曲
土屋隆夫
(2017/01/28 11:46登録)
フーダニット・ハウダニットとも十分に楽しめる作品
特に錯覚の心理を巧みに利用したトリックはハウダニットとして完成度が高い
展開されるプロットのどれにも伏線やミスディレクションが仕掛けられている
哀愁漂うラストも素晴らしくロマンティシズムが色濃く出た文学性が高い作品


No.127 5点 交換殺人には向かない夜
東川篤哉
(2017/01/23 19:38登録)
登場人物それぞれが個性的でキャラが立っているユーモア溢れるミステリ
ただ個人的にはこのような軽いタッチはあまり好みでは無いですが
人物・時間・場所の錯誤が仕掛けられており交換殺人が起こることを予告されているにもかかわらず推理する事自体を難しくしている凝った作品
不満な点は●●●人間が●●●いると思う感覚に無理があるところ
真相はどうも釈然としない


No.126 6点 貴族探偵
麻耶雄嵩
(2017/01/19 11:52登録)
五編からなる短編集
貴族探偵と名乗る探偵は全く動かず捜査は使用人に任せ自分自身は女性にデートを申し込んだりしている
情報が集まり次第貴族探偵が事件を解決に導くかと思いきや解決自体も使用人に任せている
この設定自体は面白いし悪くはないのだがその使用人たちの謎解き披露が淡々としていて今一つ盛り上がらないのが難点
「こうもり」はこういう騙し方もあるのかと叙述トリックの新しいかたちを見せつけられた感がある傑作
「嘘は書いてないでしょ」と読者に笑いかけてる作者の顔が目に浮かぶ


No.125 3点 人形館の殺人
綾辻行人
(2017/01/14 11:56登録)
主人公の周囲で怪事件が発生し悪戯もエスカレートしていく
そして過去に自分が犯した罪を思い出せと迫る脅迫状とサスペンス調に描かれ引き込まれる
どうしてこんなに評価が低いのだろうと不思議に思いながら読み進めていった
しかしこれは犯人は誰だろうと推理しながら読んできた自分が馬鹿を見たという典型的な例であった
犯人の真相を●●●●者で片付けられてこれで良しとするならばミステリの定義って何?と言いたくなります


No.124 6点 招かれざる客
笹沢左保
(2017/01/09 16:10登録)
作者のデビュー作
密室での凶器消失トリック・誤認トリック・アリバイ崩し・不可解な暗号そして動機は?と本格推理小説の醍醐味が味わえる作品
殺人事件の有力容疑者が事故死した事により捜査を打ち切りにする雰囲気が漂っていく
そんな中釈然としない警部補が地道な捜査と推理で少しずつ真相を明らかにしていくところが読みどころ
ただあの暗号が読者で解る人はまずいないでしょう

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