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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1449件

プロフィール| 書評

No.49 8点 強き蟻
松本清張
(2015/05/27 10:39登録)
資産家の老夫とその死を願う年増妻(まだ若い)を中心に据え、何人もの男と女が暗躍し騙され復讐する、醜い事この上無い打算と愛欲のサスペンス。 意外と爽やかな読中感覚なのは年増妻の愛人である「若旦那」(若くもない)の飄々としたキャラクターが大きいか。 四つ巴、五つ巴の愛欲愛憎絵巻が際限無く膨れ続けるかと思えた所へ不意に投入される新しい登場人物(老夫の自叙伝速記者)の役割は如何。。 手に汗握るシーンも効果的に挿入され、最初から最後まで急転し通しのストーリー展開に翻弄される。
祖父の遺品で読みました。


No.48 4点 門番の飼猫
E・S・ガードナー
(2015/05/26 17:57登録)
この人の本は。。ずらりと並んだ書名を見るとどれも実に興味を唆られるんですが、いざ期待して読んでみるとこれがなかなかに面白くない。スリルとサスペンスが上滑りするというか、どうにも肌が合わないんです。
やはり題名に惹かれるものがあり懲りずに手にしたこの本は、そんな中でも比較的面白めに読み進められたかな。。 愛好するとまで行かずこの点数。


No.47 8点 自殺の部屋
島田一男
(2015/05/26 16:26登録)
夏と言えば島田一男の昭和ミステリー。短編が最高です。
何しろ多作な昭和の流行(うれ)っ子ですからブツは尽きません。安い古本も多い。 

推理小説好きなサザエさんもきっと島田チャンの本は十冊以上読んでた事でありましょう。
そして彼の本によく登場するハスッパな夜のお姐さんや活きのいいブン屋トップ屋連中の言葉を真似て舟さんに「何です、はしたない。」と窘(たしな)められていたのではないかしら。

さて本短篇集、タイトルも刺激的な『自殺の部屋』は島田サンならではの活きのいい会話の転がり具合も愉しいですがどちらかと言うとカッチリした本格推理小説として味わえるハードな小説群と言った色彩。中でも表題作がフーダニット&ハウダニットの意欲作かな。冷気が漂いそうなサスペンスもバッチリだぜ。他の作品も遜色無し。暑さボケした眼がシャッキリ醒めますよ!

蛍光灯 /自殺の部屋 /夜の牙 /たそがれ仁義 /十三号氏の死 /部長刑事(デカチョウ)物語 /南国の夢
(広済堂文庫)

「夜の牙」は裕次郎映画の原作だよな、たしか。


No.46 7点 オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー
(2015/05/26 12:13登録)
幸いにもネタバレ無しで、同じ中学の友達から借りて読んだものです。

(ここから微妙にネタバレ的)
ところが創元推理文庫さんの冒頭惹句の無神経な(?)言葉選びでピンと来てしまったのですね、もしやこれは。。と。 本当にそうなんだろうか。。と緊張感たっぷりに楽しく読めました。となると様々な伏線がいちいちいかにも怪しく見えて、面白かったなあ。でも開けっぴろげ過ぎる手掛かりと言いきめの粗い話の展開と言い、そんな大傑作とまでは思いません。 もう少し真犯人ミスディレクションや、それと直結する詰まったストーリーテリングに心を砕いたらもっと驚愕の、そして深みのある感動の結末になるだろうに、物語の終着駅までまっすぐ飛ばし過ぎなのでは。。 

でも、やっぱり代表作には違い無いですよね。んで子どもにミステリーを勧めるならとりあえずこれとかアレとかは後回しにするのが大人の責任でしょう。 あとこの大ネタは長編小説や映画の中だからこそ活きるんであって、安易に推理クイズに流用するのは大罪の上にアホの骨頂だと思いますよ。 それにしても、何か語らずには通り過ぎられない問題作。 流石、企画の女王アガサです。


No.45 9点 死のある風景
鮎川哲也
(2015/05/25 18:51登録)
第一の現場が阿蘇山頂という出だしの勢いも手伝い、えも言われぬ雄大な謎の雰囲気が魅力的な力作。
事件は三つ。容疑者二人。いくつもの手掛かり、複数のトリックが鮮やかに噛み合う風景を俯瞰する結末は圧巻だ。


No.44 8点 大いなる幻影
戸川昌子
(2015/05/25 16:42登録)
「老嬢館の殺人」。。なんて副題は付いちゃいませんが『館』を舞台とした雰囲気満点の力作です。 旧びた高級アパートメント(女子専用)で繰り広げられる、薄暗~~い、陰鬱としたサスペンスが実に魅力的。。 ですが結末はやや「チャンチャン」の感が。でもやっぱり名作と思う。 小説としては意外と浅い気がするも、ミステリとしてとても愉しく読めました。 表題の意味は、読後すぐに分かります。


No.43 7点 寝台車の殺人者
セバスチアン・ジャプリゾ
(2015/05/25 16:09登録)
昔の創元さんでは猫のマークでしたが、この本のスタイルはむしろ(新?)本格推理じゃないですかね。南仏を走る寝台急行コンパートメント内で若い女性の絞殺屍体が発見されます。警察は同乗者五人(男二女三)を目撃者ないし容疑者として追いますが、追った先から何者かに殺害されて行きます。さすれば、まだ生き残っている同乗者の中に犯人が。。と考えるのが人の常ですが、、となればまたその裏を突きたくなるのがミステリ読みの常ですが、、果たして。。 強力なサスペンスに目くらましされた真相はちょっとした驚き。


No.42 5点 赤後家の殺人
カーター・ディクスン
(2015/05/25 15:18登録)
舞台の雰囲気は素晴らしく良いですよね。。 謎は魅力少なし。 トリックは凡庸。 結末は忘れた。 だけどあの屋敷と部屋の本格ミステリにお誂え向きの華やいで不気味なムードは、今でも鮮やかな記憶として留まっています。


No.41 7点 テニスコートの謎
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/25 14:14登録)
(ネタバレ気味)

「消えた足跡」トリックですが、往路の足跡が無いのはほぼ心理トリック、復路の方は物理トリック、という組み合わせの妙ですよね。 ただちょっと推理クイズみたいな仕上がりです。 でも物語は面白い。

犯人は確かに意外ですが、創元推理文庫さんが冒頭句で「犯人が意外」と言い立てるので、トリックとの連関性も含めてピンと来てしまうかも知れないな。。


No.40 7点 赤の組曲
土屋隆夫
(2015/05/25 13:43登録)
タイトルから受ける印象に比べると地味な本ですが、私の好きな土屋さんらしい、佳い作品でした。 冒頭から連発する謎、手掛かり、伏線の数々。その一部はあっさり解決したり、一部は長いこと引きずったり宙に浮かせたり。最後に全てのもやもやが一点に集約するという作りではなく、題名にある「赤」という言葉に纏わる強烈なイメージで引っ張るわけでもなく、若干「あれっ」と思う終わり方でしたが、さほどの肩透かし感が無かったのはやはりストーリーと結末意外性の質実剛健さあればこそでしょうか。

ネタバレ的な事を書くと、あの人物入れ替わりトリックは結構な盲点に隠れてたもんで、ちょっと驚きました。、旅館での指紋捏造は、トリックそのものより捏造である事を目くらましするための行動が面白い。指紋トリックとして最初に考えたと言う「グロテスクな仮説」には笑いました。土屋さんもジョークのつもりで書いたのかしら。 中心となる殺人の「意外な動機」が最後まで迷彩張られて見えなかったのは立派。但し、その動機に大きく関わる「本当の父親」が、意外っちゃ意外なんだけど、文中であまり描かれてない人物だから肩透かしかな。(私はもっと驚きの人物を想定していましたが。。流石にそこまで暗黒小説じゃなかった)

エピローグ、ミステリ的な感動とは違うけど、泣けますよね。。


No.39 3点 ヒルダよ眠れ
アンドリュウ・ガーヴ
(2015/05/22 16:24登録)
このお話、東野圭吾さんが書いてくれてたら、どうだったでしょうかねえ。。
「あまり面白くなかった」がぴったり来ます。
「嗚呼、詰まらなかったな~」と記憶に残る所まで行きません。本サイトを覗いてて「ああ、そう言やぁ」と久しぶりに思い出したくらい。
サスペンスの薄いサスペンス小説。
もっと面白そうな未読の「メグストン」が家にあるから、早く読もうっと。


No.38 8点 水車館の殺人
綾辻行人
(2015/05/22 12:23登録)
二作目も面白かったですよ。館の雰囲気もよく描かれていてゾワッと来るし、色んな謎が積み重なってそうな雰囲気もたまりません。主人公を筆頭にいかにも曰くありげな登場人物の造形も豊か。文章が練れて来たためか奇妙なリアリティがありますよね、こんなお話なのに。 最後に明かされる真相には「十角館」ほどの革命力があるわけじゃないけれど充分に凄味があります。とにかく、読んでいて愉しかった。


No.37 10点 十角館の殺人
綾辻行人
(2015/05/21 15:57登録)
*いちばん最後にネタバレな事を書きますよ

騙されたんですよ、見事に。 こりゃ本当にびっくりだったなあ。
そのころ更新中だった「連続犯人当て記録」が本作で見事にぶった斬られましたよ。

嘘くさい設定、青くさい文章、余りに後付けくさい動機と好みじゃない要素ばかりなのに何故だか吸い込まれる様なハイスピードであれよあれよと読み進んでしまい、気が付きゃあこのザマですよ。

考えてみると、孤島だけではなく、本土というもう一つの舞台が順繰りに登場するという独特な形式が、もうそれだけで何とも言えないスリルとある種のフェロモンを放出していたのかなと思います。

アラはいくらでもあるけど、見えません。 嫌いな諸々も、四捨五入で9点まで落とせる程は差っ引けません。

ところでネタバレ風な冗談を言いますが、北アイルランド出身のヴァン・モリスンというソウルシンガーをご存知ですか?


No.36 2点 弓弦城殺人事件
カーター・ディクスン
(2015/05/21 14:20登録)
昔好きだった作家の未読の初期作って事で割と期待したんだけど、見事に詰まんなかったなぁ~ 何も心動くものが無い。わざわざ作ったおどろおどろしい舞台装置が無駄になっちゃいましたねぇ~ 


No.35 3点 ハイヒールの死
クリスチアナ・ブランド
(2015/05/21 13:33登録)
好きなブランドだがこりゃ酷いな。手掛かりやら人間関係やら物証やら心理描写やら、何もかもとっ散らかって最後までグズグズだった。風変わりなだけの純文学みたい。
若くて綺麗な女子ばかり出て来るから、一貫してカラフルなイメージが残るのは良かった。 
兎肉のカレーにはちょっとそそられた。


No.34 9点 はなれわざ
クリスチアナ・ブランド
(2015/05/21 12:21登録)
××××トリックもこれほどのスケール感でやってくれるとクラクラするほど感動的。
真相を知った瞬間、高~い空の上に解き放たれて漂い始めた様な感覚に襲われたものです。
きれいでユーモラスな物語の雰囲気、文章の肌触りがとても好き。


No.33 9点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/05/21 11:25登録)
純粋に謎解きで興奮させられた小説ではこれが一番。
意外性よりサスペンスより文章力より、推理による真相解明にやられた。あのロジック畳み掛けには参ったな。。
結末に至るまでの筋運びも、微妙に怖いゾゾッとするムードが漂っており魅力的。

子供向け翻訳で読んだ「Y」を除けば本作がエラリーQ初体験だったはず。いい本読ませてもらいました。


No.32 3点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2015/05/21 10:59登録)
それなりに期待して読み始めたんだけど、最後までずっとピリッとせず、あまり面白くなかった記憶しか無いなあ。


No.31 7点 歪んだ複写
松本清張
(2015/05/21 09:50登録)
税務官吏の不正に纏わる(と思われる)連続殺人事件の真相を追う。
「また例の」と言う設定だが、清張ならでは保証付きのじわじわ来るサスペンスは流石に強烈で、ありきたりな感じはまるで無い。終盤に近づくにつれ、結構エグい事やってる様が赤裸々に暴かれ、ゾッとする。
事件の背景として武蔵野が重要な位置を占めており、読んでいると深大寺の蕎麦屋に行きたくなる。
昭和30年代好きには見逃せない、氏がバリバリにブッ飛ばしていた30年代ど真ん中の作品です。


No.30 8点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2015/05/20 16:34登録)
日本の某古典名作を先に読んでいましたが .. それのヒントもあって真犯人は途中でピンと来ました。 それでも充分にエキサイティングで面白かったなあ。。 女史はデビューから既に「企画の女王」だったんだなと納得しましたよ。
もし彼女に文才が無かったとしても、きっと周りの作家に「これこれこういうアイディアがあるから、あんたふくらまして書いてみなさいよ。」ってやってたんじゃないかしら。 或いはクイーンみたいに誰かと組んで二人一役。

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