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ミステリの祭典

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歪んだ複写
税務署殺人事件

作家 松本清張
出版日1961年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2015/05/21 09:50登録)
税務官吏の不正に纏わる(と思われる)連続殺人事件の真相を追う。
「また例の」と言う設定だが、清張ならでは保証付きのじわじわ来るサスペンスは流石に強烈で、ありきたりな感じはまるで無い。終盤に近づくにつれ、結構エグい事やってる様が赤裸々に暴かれ、ゾッとする。
事件の背景として武蔵野が重要な位置を占めており、読んでいると深大寺の蕎麦屋に行きたくなる。
昭和30年代好きには見逃せない、氏がバリバリにブッ飛ばしていた30年代ど真ん中の作品です。

No.1 6点
(2009/05/10 09:14登録)
死体発見の後、最初に描かれる警察の捜査部分ではA刑事、B刑事などと書かれていて、警察官が主役の作品ではないことは明らかですが、そこまでそっけなくしなくても、と思ってしまいました。
内容的には税務署の汚職問題を正面から追及して他の要素を排した、正にがちがちの社会派と言える作品です。ただ、あまりにも真っ正直にそれだけ描きすぎていて、松本清張にしては『ゼロの焦点』や『砂の器』等有名作に見られるような叙情性が感じられないのが少々不満ではあります。
それでも、次々に殺人が起こっていく事件の展開と、その全体のつながりに対するまとめ方は、さすがに飽きさせません。

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