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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1422件

プロフィール| 書評

No.42 5点 赤後家の殺人
カーター・ディクスン
(2015/05/25 15:18登録)
舞台の雰囲気は素晴らしく良いですよね。。 謎は魅力少なし。 トリックは凡庸。 結末は忘れた。 だけどあの屋敷と部屋の本格ミステリにお誂え向きの華やいで不気味なムードは、今でも鮮やかな記憶として留まっています。


No.41 7点 テニスコートの謎
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/25 14:14登録)
(ネタバレ気味)

「消えた足跡」トリックですが、往路の足跡が無いのはほぼ心理トリック、復路の方は物理トリック、という組み合わせの妙ですよね。 ただちょっと推理クイズみたいな仕上がりです。 でも物語は面白い。

犯人は確かに意外ですが、創元推理文庫さんが冒頭句で「犯人が意外」と言い立てるので、トリックとの連関性も含めてピンと来てしまうかも知れないな。。


No.40 7点 赤の組曲
土屋隆夫
(2015/05/25 13:43登録)
タイトルから受ける印象に比べると地味な本ですが、私の好きな土屋さんらしい、佳い作品でした。 冒頭から連発する謎、手掛かり、伏線の数々。その一部はあっさり解決したり、一部は長いこと引きずったり宙に浮かせたり。最後に全てのもやもやが一点に集約するという作りではなく、題名にある「赤」という言葉に纏わる強烈なイメージで引っ張るわけでもなく、若干「あれっ」と思う終わり方でしたが、さほどの肩透かし感が無かったのはやはりストーリーと結末意外性の質実剛健さあればこそでしょうか。

ネタバレ的な事を書くと、あの人物入れ替わりトリックは結構な盲点に隠れてたもんで、ちょっと驚きました。、旅館での指紋捏造は、トリックそのものより捏造である事を目くらましするための行動が面白い。指紋トリックとして最初に考えたと言う「グロテスクな仮説」には笑いました。土屋さんもジョークのつもりで書いたのかしら。 中心となる殺人の「意外な動機」が最後まで迷彩張られて見えなかったのは立派。但し、その動機に大きく関わる「本当の父親」が、意外っちゃ意外なんだけど、文中であまり描かれてない人物だから肩透かしかな。(私はもっと驚きの人物を想定していましたが。。流石にそこまで暗黒小説じゃなかった)

エピローグ、ミステリ的な感動とは違うけど、泣けますよね。。


No.39 3点 ヒルダよ眠れ
アンドリュウ・ガーヴ
(2015/05/22 16:24登録)
このお話、東野圭吾さんが書いてくれてたら、どうだったでしょうかねえ。。
「あまり面白くなかった」がぴったり来ます。
「嗚呼、詰まらなかったな~」と記憶に残る所まで行きません。本サイトを覗いてて「ああ、そう言やぁ」と久しぶりに思い出したくらい。
サスペンスの薄いサスペンス小説。
もっと面白そうな未読の「メグストン」が家にあるから、早く読もうっと。


No.38 8点 水車館の殺人
綾辻行人
(2015/05/22 12:23登録)
二作目も面白かったですよ。館の雰囲気もよく描かれていてゾワッと来るし、色んな謎が積み重なってそうな雰囲気もたまりません。主人公を筆頭にいかにも曰くありげな登場人物の造形も豊か。文章が練れて来たためか奇妙なリアリティがありますよね、こんなお話なのに。 最後に明かされる真相には「十角館」ほどの革命力があるわけじゃないけれど充分に凄味があります。とにかく、読んでいて愉しかった。


No.37 10点 十角館の殺人
綾辻行人
(2015/05/21 15:57登録)
*いちばん最後にネタバレな事を書きますよ

騙されたんですよ、見事に。 こりゃ本当にびっくりだったなあ。
そのころ更新中だった「連続犯人当て記録」が本作で見事にぶった斬られましたよ。

嘘くさい設定、青くさい文章、余りに後付けくさい動機と好みじゃない要素ばかりなのに何故だか吸い込まれる様なハイスピードであれよあれよと読み進んでしまい、気が付きゃあこのザマですよ。

考えてみると、孤島だけではなく、本土というもう一つの舞台が順繰りに登場するという独特な形式が、もうそれだけで何とも言えないスリルとある種のフェロモンを放出していたのかなと思います。

アラはいくらでもあるけど、見えません。 嫌いな諸々も、四捨五入で9点まで落とせる程は差っ引けません。

ところでネタバレ風な冗談を言いますが、北アイルランド出身のヴァン・モリスンというソウルシンガーをご存知ですか?


No.36 2点 弓弦城殺人事件
カーター・ディクスン
(2015/05/21 14:20登録)
昔好きだった作家の未読の初期作って事で割と期待したんだけど、見事に詰まんなかったなぁ~ 何も心動くものが無い。わざわざ作ったおどろおどろしい舞台装置が無駄になっちゃいましたねぇ~ 


No.35 3点 ハイヒールの死
クリスチアナ・ブランド
(2015/05/21 13:33登録)
好きなブランドだがこりゃ酷いな。手掛かりやら人間関係やら物証やら心理描写やら、何もかもとっ散らかって最後までグズグズだった。風変わりなだけの純文学みたい。
若くて綺麗な女子ばかり出て来るから、一貫してカラフルなイメージが残るのは良かった。 
兎肉のカレーにはちょっとそそられた。


No.34 9点 はなれわざ
クリスチアナ・ブランド
(2015/05/21 12:21登録)
××××トリックもこれほどのスケール感でやってくれるとクラクラするほど感動的。
真相を知った瞬間、高~い空の上に解き放たれて漂い始めた様な感覚に襲われたものです。
きれいでユーモラスな物語の雰囲気、文章の肌触りがとても好き。


No.33 9点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/05/21 11:25登録)
純粋に謎解きで興奮させられた小説ではこれが一番。
意外性よりサスペンスより文章力より、推理による真相解明にやられた。あのロジック畳み掛けには参ったな。。
結末に至るまでの筋運びも、微妙に怖いゾゾッとするムードが漂っており魅力的。

子供向け翻訳で読んだ「Y」を除けば本作がエラリーQ初体験だったはず。いい本読ませてもらいました。


No.32 3点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2015/05/21 10:59登録)
それなりに期待して読み始めたんだけど、最後までずっとピリッとせず、あまり面白くなかった記憶しか無いなあ。


No.31 7点 歪んだ複写
松本清張
(2015/05/21 09:50登録)
税務官吏の不正に纏わる(と思われる)連続殺人事件の真相を追う。
「また例の」と言う設定だが、清張ならでは保証付きのじわじわ来るサスペンスは流石に強烈で、ありきたりな感じはまるで無い。終盤に近づくにつれ、結構エグい事やってる様が赤裸々に暴かれ、ゾッとする。
事件の背景として武蔵野が重要な位置を占めており、読んでいると深大寺の蕎麦屋に行きたくなる。
昭和30年代好きには見逃せない、氏がバリバリにブッ飛ばしていた30年代ど真ん中の作品です。


No.30 8点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2015/05/20 16:34登録)
日本の某古典名作を先に読んでいましたが .. それのヒントもあって真犯人は途中でピンと来ました。 それでも充分にエキサイティングで面白かったなあ。。 女史はデビューから既に「企画の女王」だったんだなと納得しましたよ。
もし彼女に文才が無かったとしても、きっと周りの作家に「これこれこういうアイディアがあるから、あんたふくらまして書いてみなさいよ。」ってやってたんじゃないかしら。 或いはクイーンみたいに誰かと組んで二人一役。


No.29 3点 フレンチ油田を掘りあてる
F・W・クロフツ
(2015/05/20 16:12登録)
うぅ~~ん、この本はちょっとね。 前半くらいはそれなりに読めたけど、目を引く謎解きも意外な犯人も何も無かった。アリバイも蚊帳の外。。 何より物語が琴線に触れませんでした。


No.28 9点 暗黒告知
小林久三
(2015/05/20 15:39登録)
本格と社会派の精妙な融合はここにも有る。足尾銅山と田中正造が最重要背景/人物として鎮座します。田中正造、熱いです!作中でも話題の新小説として触れられる島崎藤村「破戒」に登場する熱血政治家を思わせます。その熱血漢がまさか、殺人事件の犯人なのか、それとも。。。。 日本近代暗黒史をしっかりと描いた中に、本格ミステリーの矜持が、着実な伏線とイメージ豊かなトリックそして意外にして残酷な結末として顕出しています。
暗くて重くてエキサイティングなブツでキメたいあなたに強く薦めます。


No.27 7点 連続自殺事件
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/20 15:14登録)
幼き頃に読んだ作品。 いかにもジョン・ディクスンらしい舞台装置ギミックは控え目ですが、ドライなユーモアと適量のサスペンスに支えられて楽しく読めます。トリックも味のうちと言った所。ちょっと再読してみたい。


No.26 8点 準急ながら
鮎川哲也
(2015/05/20 12:34登録)
「ああ俺ってアユ好きだよなあ。。」と既に分かっている上で読んだ初めての作。鮎哲では既に五冊目でした。はじめて鮎川哲也を読んでから二十数年経っていた。好みも変わった事だろう。地味目に展開する話ですが一瞬たりとも退屈しなかった。徐々に徐々に、着実に解決に向かう捜査の描写が好きだ。古式ゆかしいアリバイトリックそのものより、アユさん独特のトリックを破る試行錯誤の雰囲気が好きなんだろうな、私は。 巧んでか巧まざるしてか、何ともトボケた味をチョィチョイ出して来るのもアユ師匠の大事な個性。本作のエンディングあたりは相当トボケてるなあ。 やはり、私には肌が合うんだと思います。
昭和40年前頃(’60年代中盤)の風俗がよく描かれているのも相当に素敵。


No.25 8点 告訴せず
松本清張
(2015/05/20 10:55登録)
持ち逃げされた黒い選挙資金は小豆相場で躍動。復讐の恐怖に震える男と、彼に近づく女の思惑は。。
横領、投機、ホテル経営、詐欺。 様々な経路を辿る金と男と女の行き着く先は何処?
時折旅情を織り交ぜながら、サスペンスが横溢。 強い悪女と小豆先物市場のヴィヴィッドな描写が怖い。
題名が秀逸。


No.24 5点 確率2/2の死
島田荘司
(2015/05/19 23:24登録)
スッパリ楽しいB級サスペンス。子を誘拐されたプロ野球選手が犯人の指示でいっぱい走らされます。 読んだそばからストーリー蒸発しちゃいそな軽さですが、本当に忘れちゃって途中まで初読のつもりで再読しちゃった事があったもんで、ある程度憶えてしまいました。 悪くない。


No.23 9点 宿命
東野圭吾
(2015/05/19 19:55登録)
現代の巨匠東野圭吾がキャリア初期に早くも打ち立てた金字塔ではないでしょうか。
彼ならではの軽くて深い文体で、深くて重い主題(さて、それは果たして何か?)に取り組んでいますが、最後にとても爽快な気分で〆る粋な計らいが眩しく、又そのラストシーンまで質感たっぷりに持って行ける文章の安定感に心から感服します。

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