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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1472件

プロフィール| 書評

No.432 9点 或る「小倉日記」伝
松本清張
(2015/12/09 06:51登録)
新潮文庫が誇る文化遺産「松本清張 傑作短編集」現代小説篇の第一巻。
二巻の推理小説篇とは別箇に編まれた作品集だが、作家の性質を反映し、結果としてどれも否応なしに息詰まるサスペンスを(時に謎追い/謎解き要素をも)湛えた重厚な社会告発小説として仕上がっており、ミステリファンへの潜在訴求力は極めて強い。「火の記憶」「赤いくじ」を始めとして「推理小説篇」に入れておかしくない様な作品も多い。

表題作は芥川賞受賞作。坂口安吾選者の「小倉日記の追跡だからこのように静寂で感傷的だけれども、この文章は実は殺人犯人をも追跡しうる自在な力があり、その時はまたこれと趣きが変りながらも同じように達意巧者に行き届いた仕上げのできる作者であると思った。」は後年の清張を予知する名言として有名だが、佐藤春夫選者の「描写式でなくこの叙述の間に情景のあざやかなこの作の真価を知ることも少しは手間がとれるものがあろう。母子の愛情もあまり縷説しないところがいい。こ奴なかなか心得ているわいという感じがした。」も無駄口を嫌う清張文体の真髄を言い当て痛快。川端康成選者の「私は終始これを推した」も忘れ難い一言。

或る「小倉日記」伝/菊枕/火の記憶/断碑/笛壷/赤いくじ/父系の指/石の骨/青のある断層/喪失/弱味/箱根心中
(新潮文庫)


No.431 7点 共犯者(新潮文庫版)
松本清張
(2015/12/09 01:44登録)
清張にしちゃあチャラいちゃチャラい小品集。。とうっかり記憶してたんだがよく考えると表題作が際立って通俗的なだけで別に全体がチャラいわけじゃない、ちょっと小粒な短篇集と言ったところ。っつっても世間標準で見たら相当重い大粒群。捨て作品は無いねえ。

共犯者/恐喝者/愛と空白の共謀/発作/青春の彷徨/点/潜在光景/剥製/典雅な姉弟/距離の女囚
(新潮文庫)

色んなアンソロジーで見掛ける気がする「洗剤口径」は水鉄砲に詰めた強力な洗剤を相手に向けて撃ち溶かし殺してしまう話、ではなく色んなアンソロジーで見掛ける気がする「潜在光景」は相当の筆力が無いとただの結末見え見え怖い話で終わりそうな際どさ爆発の素材を丁寧に扱い、キリキリ音がしそうな緊張バランスの細い絹糸の上に斜めに立たせた酒枡の様な作品。他に、どことなく安部公房を思わす残酷喜劇「発作」、悪者ではなく哀れ者の奇妙にして暗ぁい話「点」(題名付けの妙!)、奇妙と言うより不気味な味の「剥製」、ロスマク的(?)本格推理「典雅な姉弟」、女の半生の雄大な哀しみが拡がる「距離の女囚」、どうしようもねえ人間の醜さに吐き気がする「恐喝者」等、見逃すわけに行かない清張渾身の熱い小品が並ぶ。


No.430 6点 失踪の果て
松本清張
(2015/12/09 00:43登録)
失踪の果て/額と歯/やさしい地方/繁昌するメス/春田氏の講演/速記録
(角川文庫)

清張にしては軽やかな作品集。時の流れの重さが迫る「額と歯」がちょっと異質で噛み応え有り。他の軽いのも悪くない、が内容は忘れる。そういう清張もいいじゃないか。


No.429 8点 霧の旗
松本清張
(2015/12/08 19:34登録)
終始押しの強い冷気が吹き荒びました。終わってみれば、書き切ったな清張、ってな心象風景です。上流の人間が必ずしも悪どかったり非情だったりするわけじゃないんだと大いなる理解の温風を吹き込ませつつ、この結末。清張氏が本篇を最愛作と公言したことを合わせ思えば氏の脳髄に刻まれた怨嗟執着の底知れぬ深みに思い至らずにはいられません。主人公女子が、自らに甚大な犠牲を強いる事を通すまでして復讐対象を致命的弱みで永久に縛り付ける、その地獄の覚悟振りに戦慄鳴り止まず。最後まで言及されずに終わった題名の意味探りにも心は動きます。ピンポイントで光る本格推理要素もよく溶けている。8.48点。


No.428 7点 伯母殺人事件
リチャード・ハル
(2015/12/08 11:55登録)
粋な小品、私ァ好きだ。 三大の中では飛び抜けて締まった作品。 “倒叙”と単純に呼ぶのもナニですが。
味わいは長編というより中篇。珍重すべき古典。


No.427 7点 白昼の悪魔
鮎川哲也
(2015/12/08 09:07登録)
白昼の悪魔/誰の屍体か/五つの時計/愛に朽ちなん/古銭/金貨の首飾りをした女/首/創作ノート
(光文社文庫)

測量ボーイさん言及の通り「五つの時計」の存在が本短篇集の価値を押し上げていますね。他の作も、多少緩めのもありますが、全般的に悪かぁないです。突飛で猟奇的な設定の「誰の屍体か」が見せる”鮎川、時折静かな暴走”も素敵。「創作ノート」は嬉しいおまけ。巻末の想い出エッセイ(山沢晴雄氏)もね。


No.426 6点 わるい風
鮎川哲也
(2015/12/07 16:17登録)
青いエチュード/わるい風/夜の訪問者/いたい風/殺意の餌/MF計画/まだらの犬/楡の木荘の殺人/悪魔が笑う/付録エッセイ
(光文社文庫)

全篇鬼貫。創元推理文庫の短篇選集x2の如き破壊力はありませんが、ゆめゆめ落穂拾いとは呼ばせない光を放つ、傑作集とは行かずとも充分読ませる内容の作品集です。作品ノートや満州時代を綴った付録のエッセイもちょっとした贈り物。


No.425 5点 三幕の殺人
アガサ・クリスティー
(2015/12/07 13:48登録)
ジュブナイル版以外で初めて読んだ「大人の推理小説」は、クリスティファンの母親から譲り受けた古~い創元推理文庫(白帯)の本作でした。何しろ小学生が無理して読んだものでなかなかに理解しきれず、高校か大学の頃再読して内容はひとまず理解、しかし、詰まらなくは無くも、特筆したくなる面白味は感じませんでしたなあ。とは言えクリスティらしい企画性豊かな長篇ですよね、なかなかにあざといけど(HORNETさん仰る通り「ABC」と通ずる着想が匂ってます)。俯瞰を気取るのもいいけど俯瞰方向を間違えると何も見えませんよ、的なね。やっぱり明るい雰囲気が良いですね。点数は辛目だけど、自分にとって節目というか思い出の一冊です。

ネタバレを言えば、この犯人って無差別テロリストみたいなもんじゃないですか。部分的にではあるけれど。ひどいなあ。


No.424 8点 人形はなぜ殺される
高木彬光
(2015/12/04 17:11登録)
ムード満点のアーリー昭和本格推理。例によって大天才の筈の神津探偵が妙に右往左往がちなのは作家が好い人過ぎる故と思うが、それでも彬光ミステリ脳の方がなんとか寄り切ってまんまと大の傑作に仕立て上げた力作巨篇。時刻表物とはまた違う、列車を使った、内なる躍動を感じさせるトリックのダイナミクスが嬉しい。奇術愛好家達の存在っぷりもいい。何より訴求力無双の題名がいい。間違っても「ニンコロ」なんて略したくない、言わせたくない、今夜は君を帰したくない。最初期アキミツでは「刺青」派の私だが本作も大いに人に薦めたい。


No.423 8点 北帰行殺人事件
西村京太郎
(2015/12/04 03:13登録)
数多有る氏のトラベル本でも、その悲劇性故か名作と名指される機会の多い本作。突如辞意を申し入れ失踪を遂げた若い刑事の辿る北海道各所で次々と殺人が起こり、刑事は自然最有力の容疑者と目される。被害者達、刑事、十津川警部、そして見えない何者かが縺れ合う逃亡追跡劇の真の構図は何か?まして物語は複数視線(十津川と、もう一人の女)で煙幕は張られっぱなし!予想に反し変態チックな殺人現場に内心唖然としつつも垣間見える怨念激烈な過去への懐疑遡及に引かれサスペンスは濃厚機敏。外は真冬、読むなら今だ!
尚、若い刑事とは後の私立探偵橋本豊その人です。

そうそう、光文社文庫の巻末解説を鮎川哲也氏が共感豊かに書いておられます。これは萌えます。


No.422 7点 夜間飛行(ムーンライト)殺人事件
西村京太郎
(2015/12/04 02:32登録)
十津川警部四十路の新婚旅行先は北海道。同じ飛行機に乗り合わせた新婚カップルばかり三組もの失踪事件が旅先の海岸にて発生! 空の便を駆使したアリバイトリック破りってわけじゃあないが、手探りの奥行きある謎とサスペンスの牽引力で最後まで読者を引き摺り回す。意外と社会派。しかも國際。(あんまり書くとネタバレだ) しかし通俗っぽいタイトルとハードな内容と新婚警部のお茶目ぶりに三位一体の愉しいギャップを感じるなあ。

ちなみに本作で十津川警部と亀井さんの設定が年齢含み固定されます。サザエさんで喩えると磯野サザエがフグ田マス夫と結婚してフグ田姓になりタラ夫を出産、波平もめでたくツルッパゲになり(いや彼は最初からツルッパゲ)ノリスケおじさんもタイ人の美子さんと、いや美人のタイ子さんと結婚してハイーことイクラちゃんをもうける、旧単行本で言うと第十五巻あたりに相当しますかね。←当てずっぽう


No.421 6点 製材所の秘密
F・W・クロフツ
(2015/12/03 07:06登録)
むかし実家の近所に製材所があって、この題名には萌えたもんだ。
後年のフレンチもの「紫の鎌」にも通ずる”何をしているんでしょうか?”の謎を追うストーリー。やってる悪事の内容とトリックは蓋を開けてみると(文字通り?なんちゃって)単純至極だがなかなか強力なワンパンチ。しかし安易に推理クイズ市場に流れそうな超シンプルさ加減ではある。 探偵役が死んで次の人にバトンタッチしたり、なかなか命を賭けた展開。 みんな、ナンバープレートはむやみに付け替えないようにしようぜ! 


No.420 4点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2015/12/02 15:36登録)
「Y」をジュブナイル版で読んだばかりの小学生がたまたま親が持ってた角川文庫の「Z」に手を出し、「Y」とはうって変わった退屈と難解の壁に何度も払い落とされつつ辛くも読破(大人の文章が難しかったってのも大きい)。ただ、あの死刑囚の悲惨な有り様だけは子供心に強く残ったなあ。。 さて高校あたりで再読しましたが興味の薄さはさほど変わらず。 「X」「Y」同様”犯人が意外”と言われるらしいけど”はァ?”ってなもんです。でも物語の重厚さには一定の威厳と魅力を感じるわけで、点数付けるなら4くらいキープかなと。


No.419 8点 赤毛の男の妻
ビル・S・バリンジャー
(2015/12/02 11:25登録)
アメリカも先の大戦では大変だったんだ そういや、かの国は大昔からマイナンバーあったんだよな 探偵役の刑事が「ぼく」かよ まさか・・ 二州に跨(またが)った二つのカンサスシティがまさか何かの隠喩、またはトリックに使われたりしやしないか・・ 終結に近づくほど章カットのタイミングが絶妙に際どくなって行くじゃないか、いいぞ .. おい、ローハンがだんだんおかしくなって来た! マーシーも時々奇妙なことを言い始めた .. 何かの前振りか? 待てよ あのアクの強いターナーが本当にあれっきりでストーリーから消えてしまうのか? クリスマスが近づく。。その後はニュー・イヤーズ・デイだ。。 おっと、これほど意味深く玄妙な「結婚していなくて良かった」という台詞があるだろうか。。 テュペロと言えば、初めて聴いたジョン・リー・フッカーの曲だ。そしてエルヴィスの生まれた街じゃないか。。 「ぼく」がだんだん認められて、現場を仕切り始めたぞ! 徐々に 題名の暗示する重さがきりきりと 肩にのしかかってくる。 ローハンとマーシーは 結構 離れている時間も 長いんだよな いや 確かに そこに 最終反転の鍵の一つはあった 。。 エンディングを温かく感じてしうまうのは、どこかで 主人公が切り替わったからか。。 いやはや、良い物語でした。 ところでこの作品、原作に忠実に映像化する事は果たして可能だろうか?


No.418 6点 遠きに目ありて
天藤真
(2015/12/02 06:50登録)
脳性麻痺の少年が探偵役を務める、設定自体にちょっと社会派の風が吹く連作短篇集。。と来れば期待も高まったわけですが(何も「或る『小倉日記』伝」の重厚さを求めちゃいませんが)、最初の二話「多すぎる証人」「宙を飛ぶ死」の穏やかで誠実なムードに不似合いな、予想の斜め上から真下に沈む感じの、バカっぽい大味トリックばかりアンバランスに目立つのは何とも味気ない。。まさかの肩透かし。。。 と思いきや‘信ちゃん’が車椅子で現場訪問するようになる第三話から急に良くなった! 「出口のない街」の、熱い心理トリックに異様な裏切りの真犯人像! 「見えない白い手」ではフレンチ流儀のトリッキーな心理攻勢劇!心理面での意外性が黒光りする暗黒反転には掴まれた。。。 最後の第五話「完全な不在」、不可能興味ならぬ不可思議興味が横溢、そこへ来ておなじみの「××の××(と××)」トリックにまんまとやられるとは。。。!! ちょっと意味の通りにくい文が散見されるのは気になったが、許せます。


No.417 6点 高山殺人行1/2の女
島田荘司
(2015/12/01 12:28登録)
列車でも船でもなく自動車で動くトラベルミステリー。所謂アリバイ物とは違う。
良い意味でちょィと小味な、中篇の味がするサスペンス長篇。
重厚濃密な作品の間に、贅沢な息抜きが愉しめます。
運転するのは一人のハクいスケ。。


No.416 6点 秘密
東野圭吾
(2015/12/01 06:08登録)
過程を愉しむか、結末に泣くか。

最後の反転は。。 悔しさを感謝の涙がもっと覆い包むように終わらせて欲しかった、個人的に。

いつも思うんだけど、氏は近親相姦(或いはそれめいた事)を実にきれいにサラッと描くね。


No.415 7点 人質の朗読会
小川洋子
(2015/11/30 13:06登録)
思わず’日常のxx’とミステリめいた呼び名を付けたくなる雰囲気でいっぱい、だけどやっぱりそんな名付けはどこか無理があると感じさせてしまう。。 本作はミステリーと謳われておりませんし、実際ミステリーではありませんし、しかれども題名に含まれる「人質」なる語句に不穏な事件性を感じ、一種の犯罪小説として(本当は犯罪小説ですらありません、犯罪は発生しますが)何らかのミステリー要素をうっすら期待しながら(同時にやっぱりミステリーじゃなかったと軽く失望しながら)読むのがより趣き深いと思われる、読者によってじゅうぶん涙を誘うであろう絶妙にデリケートな文芸小説です。

南米某所で日本人観光客七名とツアーコンダクタ一名、計八名の乗ったバスが現地反政府ゲリラの人質に取られます(現地人の運転手は当局連絡のため解放)。八人みな見知らぬどうし。ツアコンを含む日本人八名で”未来がどうあろうと変わらない過去を確認し、今を生きるため”各々の半生に起きた忘れ得ぬ物語を文章に書き起こし、朗読し合うという企画が持ち上がります。この設定だけで泣く人はもう泣くでしょう。
【ここよりネタバレとします】
各人の物語が語られ、合間にゲリラ側や政府軍、日本政府の様子(時折ゲリラ達と心の交流も)が挟まれながら結末への緊張は静かに高まり。。。という構成かと思いきや! 八人は政府軍踏み込み時にゲリラの仕掛けていた爆弾で全員即死との顛末が物語冒頭でいきなり明かされます。 残酷な前提の上で始まる、それぞれの静かな物語の朗読。。

さて物語を朗読するのは八名のはずですが、目次を見ると何故か物語は九つあります。一つ多い物語の書き手、読み手はいったい誰か。。それは決して大それたどんでん返しでも意外な結末でもなく、物語の冒頭部に普通に登場する、九人目として容易に想像のつく人物に過ぎませんが、その人物の物語の存在が小説全体に深み、というより、もう一歩踏み込んだ彩りと救いを与えています。また、その人物の存在と行為こそがこの小説の設定の大前提のひとつである「或る事」をも可能としています。

こうして見ると、随分とまた、ミステリ小説として(又より派手に感動させるエンタメ作品として)成立させ得るチャンスを惜しげもなく逃し尽くしたものだなと感動すらおぼえます。それは小川さんがミステリ作家ではないから出来なかったのではなく、本作を淡い感動、あくまで前向きな感慨で包み込むため(或いは別の理由で)敢えてしなかったのでしょう。そんな心理の痕跡がいくつか見え隠れ。まあ清張さんの様に何を書いてもサスペンス、ミステリの影に覆われてしまう純文学作家、というタイプではないようですし。


【ネタバレはここまでとしましょう】
折角ですから細かなミステリ興味の要素をあげつらうと、それぞれの語り手の年齢や素性が、物語の終わる瞬間に明かされるという構成は結構なスリルと同時にしみじみとした哀感をも孕んでいます。ああ、こんな経験を持つ女性は今(思ったより年配の)こんな年齢で、こんな用件で南米の地に渡る事情があったんだ(そういえば文中に伏線があったなぁ)。。の様な。
それとやはり(上記ネタバレ部分でも触れましたが)朗読者は八人のはずなのに、目次には何故か九つの朗読が並んでいる、という不思議の点ですかね。(気付かない人もいるかも知れませんが)
そしてやはり、どの朗読物語にも何らかの死の匂いが漂っている事もミステリとの親和性という意味で見逃せません。
最後に余計な事を言いますが「B談話室」での催し物がいちいちタモリ倶楽部っぽくて笑えます(そのうち空耳アワーが出て来やせんかと心配になった)。本朗読だけはちょっとピュア・ファンタジィ(作り話)っぽいな。。

いや、やはり最後の最後は「各朗読」で心に残ったものを。
「やまびこビスケット」の、うらわびしさと仄明るい心の交流。「コンソメスープ名人」の、原初ミステリを彷彿とさせる”日常のサプライズ・エンディング”。「槍投げの青年」の、心の中の不思議な開放感。そしてとある作品で描かれる草の根國際交流の温かさ。いや、どれも良いストーリーばかりです。とても’素人が非常時に書いた文章’に見えないのが難点っちゃ玉に瑕ですが。。いや、これはやはり例のダイイング・メッセージ理論と同じく、特別な神々しい時間に書かれた文章だから、というわけでしょうか。


No.414 7点 フレンチ警部最大の事件
F・W・クロフツ
(2015/11/30 10:56登録)
存外ヒューモーミスタリィの手触り。フレンチ初登場シーンもそんな所。でもコンスタントにオモロなわけじゃなくて、時折思い出したようにくクスクス笑いを誘うほどの奥ゆかしさが心地よい。中盤に至り 読者としてもフレンチ警部としてもワクワクする展開大滑空。X夫人と来ますか。。冒険の果て、物語の思慮ある終わらせ方は心に残る。趣深く色褪せた古典名作だ。 【さてここからネタバレ】この小説、アリバイトリックめいたものはあくまでダミーなんですよね、それでも旅情たっぷりのアリバイ捜査劇が物語興味の重要な根幹を成しているという軽い騙し絵構造がニクいですよ。二人七役(という数え方でいいのか?)トリックもちょっとバタバタですが悪くありません。奇妙な帳簿に見せ掛けた暗号とその解読過程も興味津々です。


No.413 5点 血とバラ
赤川次郎
(2015/11/26 12:30登録)
忘れじの面影/血とバラ/自由を我等に/花嫁の父/冬のライオン
(角川文庫)

「セーラー服と機関銃」に物足りなさを感じ、映画つながりと言うわけでもないが何となく選んでみた二冊目の赤川本。
おお、こっちはなかなかだぞ! と当時ほくそえんだものです。「花嫁の父」の暖かなサスペンス感が記憶に残ります。

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