home

ミステリの祭典

login
最大の殺人
日本ペンクラブ編・佐野洋選

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1981年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2015/11/17 15:37登録)
反戦文学集、乃至戦争文学集の色彩も濃いが、基本的に探偵/推理小説のアンソロジー。但し全作とも「戦争」と必ずどこかで接点を持つ。小説としてよく書かれている作品ばかりで、読後の重みは心地よい。評者の好みでは冒頭の風太郎作品がなんと言っても暗黒心理トリックの極みでピカ一。アキミツ先生の突出したトボケっぷりには嬉苦笑(題材は笑い事じゃない)。中にはミステリ味の極薄いブツもあるが、どれもこれも読み物として悪くない。

山田風太郎「黒衣の聖母」 土屋隆夫「絆」 高木彬光「原子病患者」 日影丈吉「月あかり」 樹下太郎「泪ぐむ埴輪」 菊村到「ヒロシマで会った少女」 佐野洋「灰色の絆」 仁木悦子「山のふところに」 西東登「壺の中」 五木寛之「冥府への使者」 森村誠一「紺碧からの音信」 結城昌治「長かった夏」 山村美沙「骨の証言」

全篇読後、あらためてこの選集の題名を振り返れば、そこに不気味なほど頑健無比な戦車、いや選者・佐野氏の左翼魂が感じられてなりません。

1レコード表示中です 書評