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ミステリの祭典

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初秋
私立探偵スペンサー

作家 ロバート・B・パーカー
出版日1982年01月
平均点6.67点
書評数9人

No.9 7点 hades
(2018/05/29 10:56登録)
探偵が親失格な依頼人の子供を一人前の大人に育てる話。
王道だが後味も良く、成長物語が楽しめる良作
ただ、読者に複線を張ったりとかの展開はないので注意

No.8 7点 斎藤警部
(2015/11/14 23:27登録)
いいかげんお終い近くに至りやっと組織犯罪らしきものが露呈。しかしそれが主題ではない。まるで「日常のハードボイルド」の味わい。果たしてこれがミステリなのかは疑問だが、胸を熱くして読める(長篇の面を被った)短篇小説である事は確か。主人公と少年の関係が最初はまるでドラえもんとのび太の様だ。徐々に松岡修造とその教え子の様に変わって行き。。最後は泣ける。主人公の敵でもないがチャラい成人男子を「ディスコ」呼ばわりするのは笑った。スポーツ観戦や男の料理etc.の描写が適度にマニアライク且つ引き際も鮮やか。内容も文章も素敵だ。シリーズ異色作だろうがこれはいい本だ。読んだ方がいい。

No.7 5点 E-BANKER
(2013/04/01 00:02登録)
1981年発表。
ボストンを舞台とした私立探偵スペンサーシリーズの代表作という位置付けが本作。

~離婚した夫が連れ去った息子を取り戻して欲しい・・・スペンサーにとっては簡単な仕事だった。だが、問題の少年ポールは対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざし何事にも関心を示そうとしなかった。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。ボクシング、大工仕事・・・などなど。スペンサー流のトレーニングが始まる。ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に描く傑作~

確かにこれはいわゆるハードボイルドではない。
本作でスペンサーが立ち向かうのは巨悪や悲劇ではなく、固く心を閉ざしたままの少年の心なのだから・・・
途中、銃撃されたりというそれっぽい場面もあるにはあるが、あくまでも添え物的な扱いに過ぎない。
ということで、ハードボイルド好きにとっては、やはりちょっと物足りないというように映るのではないかと思う。

大工仕事やボクシングを通じて、ダメな少年を成長させていくというと・・・
個人的には、往年の映画「ベストキッド」を何となく思い出してしまった。
(最近ジャッキーチェンがリメイクした奴じゃなくて、最初に公開された妙な「空手」の奴ね)

スペンサーの尽力でついに「自我」を取り戻し、将来の「夢」を得た少年ポールの姿には心を打たれたが、ちょっと平板な感じは拭えないかな。
短めの作品だし、読んで損のない作品なのだとは思うが・・・
因みに、ポールが夢だったダンサーとなって登場する続編「晩秋」は手に取ってみるとしようか。
(日本でもアメリカでも、自分勝手な親ほどタチの悪いものはない・・・ってこと?)

No.6 6点
(2012/05/28 10:08登録)
ミステリー性、ハードボイルド性についてはほとんど期待していなかったので、それらの欠如については意に介さないのだが、少年ポールの大人への成長物語として読んでも、感動するほどではなく、全体として物足らなかった。
そして不満はもうひとつある。
主人公のスペンサーは一本筋の通ったハードボイルド的なタフな男ではあるのだけど、あまりにも健全で明るく、スーパーマン的であることが気に入らない。ハードボイルドや探偵小説の主人公としてはミスが少なすぎるし、性格にしても欠点がなさすぎる。これがネオ・ハードボイルドと呼ばれる理由だろうか。
世間に対し斜に構えるなど、もっと歪んだ性格であってほしいし、すこしは痛めつけられてもほしい。

文芸作品でもエンターテイメントでも、自分自身がそういったタイプの主人公を望む、たんなる嗜好の問題なのかもしれないけど、ポールをだしに使ってスペンサーの偉大さを描いただけの小説というふうにも見えてしまう。
まあでも、多くのファン、特に白黒をはっきりさせたい現地米国のファンは、非の打ち所のないスペンサーの雄姿に拍手喝采なんでしょうね。

以上、批判するところも多かったけど、後半の盛り上がりには興奮したし、前に読んだ「約束の地」よりも断然よかったので、点数はこんなところかな。

No.5 6点 isurrender
(2011/09/16 22:53登録)
普通の感動する話としては、ベタではあるが悪くはなかったです。
映画を見ているようです。
ただ、これはハードボイルドの範疇に入るのかな。
ハードボイルドの定義が難しいから違うとも言い切れないけれど。

No.4 7点 こう
(2010/07/21 23:22登録)
  高校生のころ書店で簡単に手に入る作家でした。確か「キャッツキルの鷲」くらいまでリアルタイムで数年読んだ記憶がありますが手に取ったきっかけは「初秋」でした。
 推理しない健康的な私立探偵小説でハードボイルドではなくて「ライフスタイル小説」だという書評も目にしましたが当時は軽妙な語り口も含めて楽しんでいました。中でも「初秋」はいわゆる「いい話」で満足した記憶があります。
 ただ今では2~3作しか覚えていませんし「キャッツキルの鷲」の前作くらいから嗜好とずれてその後どういう展開になったかはわかりません。
 今の読者にはスペンサーシリーズって売れているのでしょうか。

No.3 7点 kanamori
(2010/07/19 14:48登録)
私立探偵・スペンサーシリーズの代表作といわれる作品。
ひょんなことから預かった自閉症気味の無気力少年を、私立探偵がハードボイルドの心でもって自立させる物語。
シリーズとしては全くの異色作で、ハードボイルドを超越しているというより、逸脱しているようにも見える。しかし、最後はなかなかの感動ものでした。

No.2 7点 文生
(2010/04/27 09:19登録)
少年の成長物語を軸に非常にシャープにまとめられた
ハードボイル小説の佳作。

No.1 8点 あびびび
(2010/04/26 14:56登録)
ある日、魅力的な女性が、別居している夫の元にいる息子を取り戻して欲しいという依頼をする。その夫の愛人をマークし、難なく夫の家を探し当てた探偵・スペンサーは、絶妙な駆け引きで息子を取り戻すが、その息子は、夫婦間の意地だけで存在する無気力人間だった。

スペンサーはその少年を「誘拐?」し、双方のさまざまな妨害工作を切り抜け、その少年の生きがいを一緒に探す。感動的ハードボイルドで、なかなかの力作だ。

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