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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.230 9点 続巷説百物語
京極夏彦
(2012/12/19 21:05登録)
角川書店
 「野鉄砲」「狐者異(こわい」「飛縁魔(ひのえんま)」「船幽霊」「死神或いは七人みさき」「老人火(ろうじんのひ)」の6編。
 日常生活の埒外にいる小股くぐりの又市たちが、仕掛けをほどこして事件を妖怪仕立てにしていきます。又市たちが自分の住む世界の領域をきっちりと決め生きていくさまは、ストイックでかっこいいと言えます。
 連絡短編集で、ラストに向かって物語が収斂していくのは、さすが京極夏彦です。
 小説を読んで、久しぶりに心から面白いと感じました。


No.229 3点 セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴
島田荘司
(2012/12/19 20:55登録)
角川文庫
 占星術殺人事件直後で、横浜馬車道に石岡あともに住み始めた頃の話です。
 明治の元勲榎本武揚がロシア皇帝から贈られたというダイアモンドの靴が狂言回しです。しかし、トリックがイマイチで、かつその暴き方があざといので、面白いとは感じませんでした。
 


No.228 7点 水晶のピラミッド
島田荘司
(2012/12/19 20:51登録)
講談社文庫
 ハリウッドの有名日本人女優松崎レオナ登場の2作目です。
 ストーリーは、旧王朝時代のエジプト・ギザ、タイタニック号の処女航海で沈没するまで、現代のアメリカ、横浜と、時空を超えて展開します。
 ギザのクフ王のグレートピラミッドは、王の墓ではなく、〇〇装置だったと新説をかかげています。
 途中から登場する御手洗が、日本からエジプト、そしてハリウッドへと飛び、推理を展開します。彼が登場した途端に謎が解けるというのよりは面白く感じます。


No.227 7点 11枚のとらんぷ
泡坂妻夫
(2012/12/19 20:45登録)
創元推理文庫
 マジッククラブの会員の一人が書いた奇術のネタを題材にした連作短編小説が中に入っていて、その内容がトリック解明の鍵となる入れ子構造になっています。
 全編奇術だらけです。奇術には必ずトリックがあります。その巧妙さ、奇抜さと、演者の熟練したテクニックが不思議を演出します。
 演者と相対して見せてくれるテーブルマジックを見てみたくなりました。


No.226 6点 しゃばけ
畠中恵
(2012/12/19 20:40登録)
新潮文庫
 2001年ファンタジーノベル大賞受賞作。
 江戸の大店の若旦那は今にも死にそうなほど体が弱いが、彼の周りには妖怪だらけで、彼を守っている。
 江戸の雰囲気と、妖怪たちの愉快さが、ちょっぴりおどろおどろしい感じがして好きです。


No.225 6点 なみだ特捜班におまかせ!
鯨統一郎
(2012/12/19 20:37登録)
NON NOVELS
 前作では診療所の所長でしたが、今作ではその能力をかわれ警視庁の特捜班に臨時職員として加わり、迷宮入りしている難事件を解決します。
 ここで紹介される人間心理は類型的で幼稚なものだと思いますが、この作品の楽しさはキャラクターにあります。二十歳を超えているのに高校生にしか見えない容姿と、ぱっとしない性格。彼女のとぼけた感じと、それを取り巻く人々の思いが面白い作品です。


No.224 4点 接触
パトリシア・コーンウェル
(2012/12/19 20:32登録)
講談社文庫
 検屍官シリーズ8作目。
 絶滅したはずの天然痘と類似したウィルスが恐怖を起こします。前作では原子力発電所でしたが、だんだん敵が繰り出す恐怖がエスカレートしています。現実感がなく、シリーズも末期症状ではないでしょうか。主人公があまりに完璧で強すぎるゆえに、敵も強大でなければ釣り合わなくなっています。
 シリーズの最初の頃は、異常ではあるけれども身近に起こるかもしれない殺人事件を科学的手法により解決するというストーリーに親近感を覚えましたが、ここ2作のかの世の活躍はスーパーマンのようです。


No.223 4点 悪魔のラビリンス
二階堂黎人
(2012/12/19 20:26登録)
講談社NOVELS
 「寝台特急あさかぜの神秘」「ガラスの家の秘密」「解けゆく謎、深まる謎」の3編。
 魔術王事件の始まりで、魔王ラビリンスと名乗る怪盗兼殺人鬼が登場します。
 大時代的で、乱歩の世界のようですが、飽きました。


No.222 5点 魔術王事件
二階堂黎人
(2012/12/19 20:22登録)
講談社NOVELS
 昭和40年代なかばを舞台とする二階堂蘭子シリーズ。
 劇場型犯罪で、犯罪目的そのものよりも、世間への周知が優先しているのはないかと思いました。自分の手下であろうと恋人(?)であろうと、必要がなくなれば容赦なく殺します。
 乱歩の極彩色の世界と、ルパンの自意識過剰の世界を足して2で割ったような作品です。


No.221 4点 死因
パトリシア・コーンウェル
(2012/12/19 20:17登録)
講談社文庫
 検屍官シリーズ7作目。
 新興宗教団体が外国と結びつき、テロリストとして原子力発電所を襲い立てこもる。
 さすがに7作目でアイデアが枯渇したようです。話が大きく広がりすぎ、事態の進行がご都合主義と感じました。
 相変わらずドクター・スカーペッタはりりしく、己の信条に基づき生きていますが、これが少々鼻についてきました。
 ベントンとの不倫も必要ないと思います。


No.220 6点 今夜はパラシュート博物館へ
森博嗣
(2012/12/17 16:58登録)
講談社NOVELS
 「どちらが魔女」「双頭の鷲の旗の下に」「ぶるぶる人形にうってつけの夜」「ゲームの国」「私の崖はこの夏のアウトライン」「卒業文集」「恋之坂ナイトクラブ」「素敵な模型屋さん」の8編。
 日常の謎系の短編集です。


No.219 4点 月は幽咽のデバイス
森博嗣
(2012/12/17 16:53登録)
講談社NOVELS
 舞台は建設会社会長の豪邸。
 トリックは並だなあ。むしろそんなこと警察が分かるだろうという程度です。


No.218 5点 人形式モナリザ
森博嗣
(2012/12/17 16:51登録)
講談社NOVELS
 舞台は信州蓼科高原の人形博物館。
 この作品で、紅子の元夫「林」の部下であり愛人である祖父江七夏が登場し、紅子との間で微妙な関係となります。
 殺人のトリックよりも、キャラの面白さで読みました。


No.217 8点 信長の棺
加藤廣
(2012/12/17 16:48登録)
日本経済新聞社
 本能寺の変の後消えた信長の遺体の謎、光秀を本能寺へ向かわせたのは誰か、桶狭間の奇襲成功の謎について、歴史ミステリーとして第一級の謎解きをしてくれる作品です。
 序盤は文句なく10点、中盤9点、終盤のまとめは息切れして7点だと思います。
 信長、秀吉、光秀、本能寺の変といった話は、多くの作品が出されていて、今更物語化しても変わりばえのしない作品なのではと思いましたが、こういうアプローチの仕方も残っていたのかと感心しました。


No.216 7点 暗闇坂の人喰いの木
島田荘司
(2012/12/17 16:41登録)
講談社文庫
 まだ御手洗も石岡も横浜・馬車道に住んでいて、ほとんど無名だった頃の話です。事件の最初から最後まで御手洗が登場し、自分で調査してまわります。後の御手洗のように、事件の経過だけを聞いてズバリと犯人とトリック言い当てるというような白けるほどの超人的能力は披露されません。そこが気に入ってます。
 洋館の地下室の秘密というのはルール違反のような気もしますが、殺されていく一族の狂気というものに興味を惹かれました。
 松崎レオナの初登場作品です。


No.215 5点 夢・出逢い・魔性
森博嗣
(2012/12/17 16:35登録)
講談社NOVELS
 東京のテレビ局で起こった殺人事件です。
 人間は何かをかぶって生きたがる。そのほうが本当の自分を探したり現したりするよりも楽だから……。
 小鳥遊練無の女装の顛末が面白かったです。
 題名の英語が秀逸です。


No.214 6点 奇岩城
モーリス・ルブラン
(2012/12/17 16:31登録)
集英社文庫
 フランス王家の謎を軸としていて、歴史伝奇的です。
 最後は愛する女性のために怪盗生活から足を洗い普通の生活に入ろうとしていたルパンが、イギリスからやってきた名探偵ハーロック・ショルメス(ホームズ)の姦計にはまったことから、その女性が死んでしまうという、かなりセンチメンタルな話です。
 また、自己顕示欲が強いために、そんなぎりぎりまでしゃべらなくてもいいだろうと思うような場面で、とうとうと自分のことを語り、墓穴を掘るというのは2時間サスペンスのようなご愛嬌です。


No.213 5点 QED ~ventus~ 御霊将門
高田崇史
(2012/12/17 16:25登録)
講談社NOVELS
 東京では神田明神に祀られる平将門は、日本三大怨霊に数えられる。朝廷にとっては地位を脅かそうとした大敵ですが、東国の民衆にとっては過酷な仕打ちから解放した英雄です。
 成田山新勝寺は将門調伏のために建てられた寺ですが、実はその裏側において将門をたたえ祀っているということが証明されます。
 平将門の事績を大まかに得ましたが、相変わらず目からうろこが落ちるような奇抜な説得力には欠けます。
 ついつい読んでいしまいますが、読後感はそれほど満足したものではありません。


No.212 6点 続813
モーリス・ルブラン
(2012/12/17 16:15登録)
新潮文庫「ルパン傑作集(Ⅱ)」
 「813」の続編、解決篇です。


No.211 6点 813
モーリス・ルブラン
(2012/12/17 16:14登録)
新潮文庫「ルパン傑作集(Ⅰ)」
 抜群の体力・知力・実行力を兼ね備えている誇大妄想的な自信家で、ときには自分の内面に向かって落ち込み、そしてすぐまた実行へ向け気持ちを切り替えるという、ルパンのキャラが面白いです。
 訳が古いせいか、ルパンが手下を呼ぶときに「あんたは……」ちうような言い回しになっていることにはなじめませんでした。

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