home

ミステリの祭典

login
しゃばけ
しゃばけ

作家 畠中恵
出版日2001年12月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 猫サーカス
(2018/10/29 21:24登録)
主人公は廻船問屋の大店「長崎屋」のひとり息子、17歳の一太郎。薬種問屋を任されているが、外出もままならないほど病弱。両親からはいつも心配され、甘やかされている。この若旦那には、常に寄り添っている佐助と仁吉という手代がいる。実はこの2人、犬神と白沢というあやかしだ。他にも一太郎の周囲には妖怪がうじゃうじゃいる。物語は、一太郎が佐助たちの目を盗んで外出した夜に人殺しを目撃し、命からがら逃げるところから始まる。下手人が捕まらないまま数日が過ぎた後、一太郎のもとにその下手人が現れる。やがて薬種問屋ばかりを狙った殺人事件が次々と起きる。犯人はそれぞれ違うのだが奇妙な共通点がある。妖怪たちはみな個性的。犬神は顔がごつく手背が高い偉丈夫で、白沢は目が切れ長の色男。2人は主人を守るためなら何だってするし、一太郎本人も容赦なくしかる。鈴彦姫は臆病で、屏風のぞきはニヒルな皮肉屋。家の中からぞろぞろ出てくる鳴家はすねることもあるけれど、頭をなでてやると目を細める。キュートな妖怪たちの力を借りて一太郎は難局を乗り切り、事件を解決する。だが、いざという時本当に強いのは誰か。「自分が不運などと嘆いて、逃げていいはずがなかった」。そう決意する一太郎。体の弱さを気に病み、将来に不安を感じていた一太郎が、自身の存在をかけた勝負に出る。夜の闇が今よりずっと深かった江戸時代には妖怪も身近だったに違いない。この作品は、妖怪がわんさか登場する。時代小説でありファンタジーでもありミステリでもあるが、妖怪小説と呼ぶのが最もふさわしいかもしれない。

No.2 6点 TON2
(2012/12/19 20:40登録)
新潮文庫
 2001年ファンタジーノベル大賞受賞作。
 江戸の大店の若旦那は今にも死にそうなほど体が弱いが、彼の周りには妖怪だらけで、彼を守っている。
 江戸の雰囲気と、妖怪たちの愉快さが、ちょっぴりおどろおどろしい感じがして好きです。

No.1 5点 ボンボン
(2012/01/07 13:25登録)
漫画のように楽しく読める大好きなシリーズの1巻目。ミステリーとして読めるのか確かめるため久々に再読してみた。まあ、ファンタジーなので、ファンタジー目線で解決するのはしょうがないのかもしれないけれど、なぜ犯人が凶行に及んだのかの理屈の部分が、「読者は知らないけど、この世界ではそういうことになっているから」的な一言の台詞でスルーしてしまうところが弱いか。でも、そんなこと関係なく、キャラクターも事件も盛りだくさんで、きっちりワクワクできる。

3レコード表示中です 書評