ミステリ初心者さんの登録情報 | |
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平均点:6.20点 | 書評数:388件 |
No.348 | 8点 | 方舟 夕木春央 |
(2023/07/21 18:23登録) ネタバレをしております。 かなり評判がいい作品なので、読むのを楽しみにしておりました! 文庫化までとても我慢できませんでしたね! まずは解決編前までよみ、そこからは既読の方に少しずつヒントをもらっていろいろ考察する読み方をしました。難易度が高い作品であったため、これは大正解でしたw 隅から隅までこの作品を味わいました やや特殊な状況でのクローズドサークルです。謎の地下施設に、水位が上がってきて、タイムリミットがあります。一人を犠牲にしてそれ以外が助かるという人狼ゲームめいた趣向がありました。 クローズドサークルなので当然読みやすいですが、さらに極限まで無駄がないです。ほぼすべての文が犯人当てあるいはドンデン返しにつながっております。なんとも侘び寂びを感じますねw(ちょっと違うか…?)。その為、解決編前まで一気に読み終わることができました。 また、最近の推理小説によくある、漫画的な容姿と性格をした超人的能力の美少女が事件を解決!なんてこともなく、文章はあくまで純粋な推理小説です。ラブロマンス的な表現も最小限でした(これは、もうすこしあったほうがラストが映えたかもしれませんがw)。漫画的キャラクターやギャグっぽいのも嫌いではないですがw 推理小説的要素について。 有栖川有栖さんの帯の文の通り、論理的な犯人当てとドンデン返しが楽しめます。本来はあまり両立しない印象のあるこの二つですが、ドンデン返しが犯人当てを全く邪魔しておりません。どちらも高い水準であり、理想の推理小説と言えます。 私は、ヒントをもらいながらでしたが、犯人当てについては当てる事ができました。不満もあるのですが後記でw しかし、どれだけヒントをもらっても、ドンデン返しの展開だけは予想できませんでした;; 頭のどこかで、無意識に、地下三階を通って非常口までダイビングするのは不可能と思い込んでいたようです;; なんというアホでしょうか…;; 不満点について まず、論理的犯人当ては難易度が高すぎます! この本全体として、重要な部分はもっと重要らしくわかりやすく書いてほしかったですw 何でもないような一文が、のちにとても重要だったりしますね…。ウェスなんて、欠片がすこし扉に付着するヒントぐらいあってもいいのにw さやかが部屋変更しましたが、あれって小説的にははじめから別々の部屋で寝ていた方が良くないですか? 犯人はさやかの変更後の寝室を知っていたようですが、私は知らないのではないか?知っている人物のほうが犯行が楽なんじゃないかとめちゃくちゃ考えましたw あとはまあ、若干の胸糞というか、犯人だけが生き残る作品は心がもやもやしちゃいますねw 総じて、最近の質の高い推理小説のトレンド?の犯人当てとドンデン返しを両立した作品の中でもトップクラスに質の良い作品であり、かつ、無駄なキャラ付けや話がでてこない本格推理小説の正統進化系を見た気がしますw ドンデン返し~っときくと、安易でどこかでみたような叙述トリックがちょっとついているだけの作品もたたありますが、この作品はチープな叙述トリックに頼らずに真っ向から驚かせてくれました。叙述トリックは大好きですけどねw |
No.347 | 6点 | 狂人の部屋 ポール・アルテ |
(2023/06/30 18:27登録) ネタバレをしております。 本作は怪奇めいた出来事が多く登場し、初めから最後まで興味津々で読み終えられました! 100年前の謎の変死事件とその後の預言、開くと不幸になる開かずの間、ハリスの変死と何かを見た妻(何も見てなかったけどw)、甦る死者など…最後まで謎たっぷりのまるでトッポのような小説でした。 好みではなかった部分について。 一番大きくて魅力的な謎は、やはりハリスの死の謎でしょうね! 私は目撃されているハリスが声を出さないなどの点から、絶対に変装だと思っておりましたw もしブライアンの証言に嘘が無ければ(顔を見ていない、声を聴いていないので本当っぽいw)フランシスが大分怪しいですね。しかし、検視による死亡推定時刻により私の考えは頓挫しました。まさか、検視が間違っているとは…。どうしても納得がいきませんねw これは好みかもしれませんが、私は絶対に認めません。 また、セイラの殺人?については、犯人はあまりにもリスキーですねw もし、あそこで死ななかったらどうするのか? 死体を運んでいるところを見られたらどうするのか(実際見られていたしw)。魅力的な謎が多い作品ですが、同時にバカミスっぽさもありますねw 最後に、犯人以外の嘘つきがおおすぎますねw パトリックに関してはポーラとの恋があらかじめ書かれており、なにかやっているのは理解できますが、甦るハリスまでやっていた(実際は狂言させていた)のは読者からすると不要なミスリードに思えます。 総じて、カーっぽい魅力満点な怪奇な謎がちりばめられており、読み物としてはかなり面白かったです。まさにフランスのカー! ただ、ミステリとしてのフェアさや、読者に真相を当てさせようとする工夫が足りていないように思えました。雰囲気や読みやすさは8点クラスでしたが、6点としました。 |
No.346 | 5点 | 記号を喰う魔女 浦賀和宏 |
(2023/06/23 20:19登録) ネタバレをしております。 前評判をあまり調べずに、クローズドサークル的なミステリと思って買いましたw 確かにクローズドサークル的なのですが、ミステリというよりかはサスペンスやホラーの色合いが強く、ちょっと合いませんでしたw また、途中に膨大な衒学めいたカニバリズムに対しての蘊蓄が語られますが、これに興味がわかず、ちょっとななめよみしてしまいました;; この辺の蘊蓄との相性は人それぞれで、百鬼夜行シリーズのようなw 小林、織田、安藤…など、なぜか名前が書かれていない登場人物たちなので、絶対叙述トリックだ!と勘違いしてしまいましたw どちらかというと、シリーズもの特有の仕掛けからくるものだったのですかね? トリックらしいトリックというものはなく、あまりミステリに当てはめてこの本を読んではいけないかもしれません。 あと、なんで急にみんなカニバったんですかね?w 小林も、あんなにカニバりを狂っていると否定していたのに、安藤の突然のカニバりを当然のごとく受け止めているしw ラストは、うまく言えませんが、ファシズムをファシズムで返しているようで、なんとなく良かったですw なにが良かったのかわかんないのですがw |
No.345 | 7点 | ジェゼベルの死 クリスチアナ・ブランド |
(2023/06/14 20:01登録) ネタバレをしております。 最近、読みやすい国内作品を連続して読んでいたので、海外作品を挟むことにしました。 クリスチアナ・ブランドは、たしか初めて読む作家です。しかも、本サイトでも超高得点ッッ わくわくしながら読んだのですが、読みづらくてページが進まないw 国内作品を連続で読んでしまうと、ちょっと海外古典アレルギーがでてしまうのかもしれませんねw しかし、殺人が起こってからは割とスムーズでした。ページェント中に起こる、大衆が見ている中での密室殺人は魅力的でした。また、中盤~後半には容疑者たちが一斉に自白をして展開が二転三転じゃ効かないぐらいの五転六転しておりましたw 自白の内容もちゃんと反論ができる点があり、フェア度が高いです。また、自白のなかにも強力なヒントがあり(犯人が密室のトリックの答えを半分以上しゃべってしまっている!?)、その反論も見事ですがそれ自体ミスリードだったり、作者のテクニックが光ります。 ただ、舞台のスケッチだけではなく、厩の位置も含めた図は欲しかったところでしたw 推理小説部分について。 コックリル警部自身が白騎士の瞳を見ている→ブライアンは嘘の自白をしている→無罪という流れからの、鎧に生首をいれて瞳を見せていた真相は見事でした! 推理小説ファンならば、生首の使い道を考えなければならなかったのに、私はまるで気づかず、悔しい思いをしましたw 嘘自白大会と、その反論は、多重解決に通ずる楽しさが味わえます。 実は私は、途中の偽真相のブライアン・ポート・ベッチレイ三人共犯説を頭に思い浮かべていましたw 以下、難癖部分。 鎧だけ乗せて置き、そのまま馬のみでページェントを続行するのは、私にとっては全く想像できませんでしたw すごいトリックだ!と思うより、え?そんなことが可能なの??というのが正直な感想です。 また、ややリスキー過ぎるかなとも思いますし、犯人に有利な偶然も起こっている気がします。ちゃんと伏線が張られている素晴らしいミステリですが、すべてを推理するのは難しいのかなと感じました。 総じて、カーやクリスティに匹敵する作品だと思いました。これからちょくちょく、手に入る限りはブランド作品も読みたいです。 ※追記:ジョージの証言によると赤騎士は茶色い瞳だったけど、ブライアンは青。赤騎士ってだれだったの…? ぽ、ポート?? |
No.344 | 7点 | メーラーデーモンの戦慄 早坂吝 |
(2023/06/01 10:09登録) ネタバレをしております。 また、過去のシリーズのネタバレもしております。 本作は、過去作の登場人物達が勢ぞろいした感じがあり、総集編のような趣があります。過去作を読んでいなくても楽しめますが、ある程度ネタバレされるので読んでから本作を読んだほうがより楽しめると思います。 ユーモアミステリと言っていいほど軽くて面白く読みやすい文章であり、かつ読者の思考の裏を突くドンデン返しや叙述トリックが魅力のシリーズです。私が読んできたユーモアミステリのシリーズ中では、最高クラスに本格度が高く、作者の技術の高さがうかがえます! 本作もそうだったのですが、やや下ネタ度は控えめ(?)な感じで、より読みやすくなってましたね。 推理小説的要素について。 序盤、軽いジャブのような叙述トリックの密室殺人(?)がありました。このシリーズを読んできた読者なら、簡単に見破れる類でしたねw 中盤~終盤、事件の容疑者たちが同じ劇場で鑑賞している際に飛ばし携帯をゴミ箱に捨てたものがいる=事件の黒幕を推理する本格推理小説になりました。 らいちたちのツイッターの情報と、清掃の証言から一人に断定するのは論理的なのですが、藍川がツイッターの仕様がわからないところからくる叙述トリックのため推理が極めて難しかったですw ヒントは出ておりましたが、そもそも私もツイッターをやっていなくて…。つくづく、論理的犯人当てと叙述トリックの相性は悪いですね。劇場の内容をそのヒントにするのはオシャレでよかったですw ただ、ツイッターの情報の順番を正しく並び替えてさえ、私には到底推理できないほど難易度が高すぎましたw 携帯を捨てた人間は拭くものを持っておらず、ゴムが触れて、8番ホールに座っていて、…程度はわかりましたが、清掃員の清掃の順番や、回転型劇場ならびに劇場が舞台の意味までは分かりませんでした。 ちなみに、通風路に鳴ったバイブ音はなんとなくわかりましたw そういうシリーズなのでもしかしたらみたいなw 一方で、事件の黒幕の動機についてはめちゃくちゃで、理解できませんでしたw まあ、動機当てではないのですが。 シリーズ作品の登場人物があつまり、らいちももう藍川とは会っていないようで、もしかしてこれでらいちシリーズも終わりなのでしょうか;; とても悲しいですね…。 |
No.343 | 6点 | ブードゥー・チャイルド 歌野晶午 |
(2023/05/26 20:22登録) ネタバレをしております。 圧倒的な文章のうまさ…というか、読みやすい文章を書くことで(個人的に)定評のある歌野晶午さんの高評価作品! この作品も圧倒的な読みやすさですいすい読めました。そこそこのページ数があるにもかかわらず、読了までさほど時間がかかりませんでした。 本格色が強い作品を書くミステリ作家と思っておりますが、本作は他の歌野作品にくらべやや変わり種というか、本格推理小説というより2時間ドラマのような趣がありました。犯人当てやアリバイトリックや不可能犯罪とは違ったような。 とはいえ、前世を覚えている少年の謎や、それに関連した事件は魅力たっぷりで、ミステリの楽しさを存分に味わえました。 一方で、第一の事件で残されていた絵の真相についてはやや肩透かしを食らった感じでしたw また、ジュリアンの出生が明らかになった時、ボンクラの私も流石に真相に近いものを予想しました(逆に言うと、それまで全く思いつきませんでしたがw)。これは真相を予想するのに必須な知識であり、読者に提示されてなくてはならないデータだと思いますが、これを知るとネタがバレがちですねw 裏返せばフェアということでしょうね。 総じて、非常に読みやすく、かつ読後感も悪くない作品でした。このタイプであれば、最後にドカンと驚きの展開がもうひとひねり欲しくなってしまいますねw ただ、驚きが多すぎると、現実性が犠牲になったり、読者の予想が困難になりがちで、うまく作品として落とし込むなら本作のような塩梅がいいのかもしれません。 ちょっと辛めかもしれませんが6点とします! |
No.342 | 6点 | あなたがいない島 石崎幸二 |
(2023/05/18 19:35登録) ネタバレをしております。 前作に続き、石崎・ミリア・ユリの漫才っぽいものが魅力のユーモアミステリです。石崎が前作に比べ、ミステリマニア馬鹿感が強くなったのは気のせいですかねw 前作もそうでしたが、非常に読みやすいので買いました。 今作は無人島。クローズドサークルの緊張感やサスペンス性には欠けますが、やはり孤島はわくわくしますね! もともと読みやすい作風に、クローズドサークルが入れば、一瞬で読み終えられます。 推理小説部分については、前作よりも厚みを感じがありました。 犯人以外に嘘をついている人物もあり、物語最終盤に明かされる心理実験の真の目的もあり、真相を全て解き明かすのは難しいかと思います。またアリバイ検証もあまりなく、犯人当ても難しいかと思います。消えた凶器…というか、どうやって用意したかもわからない凶器の問題は魅力的に思えましたが、石崎の作中のセリフ通り「そんなことできるんだ」的な豆知識程度でしたねw 私は一瞬、黒曜石的なものを考えたのですが、スルーしてしまいましたw 犯人当てやどうやって殺したか問題よりも、禁止された持ち込み品や盗まれた物品から推理する心理実験の真の目的のほうが面白かったです。ストーリーに厚みがあった…ような気がしますw 推理小説的というよりも、普通の小説的な趣がありました(そうか?)。 ミリアがインディアンポーカーで犯人をハメるシーンはクールでしたねw 総じて、本格度よりも読みやすさを評価したいユーモアミステリでした! ミリアとユリのキャラクターが似ていて、もう少し書き分けできないかな~?とは思いましたがw |
No.341 | 6点 | 饗宴 ソクラテス最後の事件 柳広司 |
(2023/05/10 19:48登録) ネタバレをしております。 前に、同作者の偉人シリーズのはじまりの島(ダーウィンのやつ)を読んでいました。興味がわき、本作も買いましたw はじまりの島と同じく、通常のミステリとは異なり、主人公の時代、その人物の一風変わった感じが楽しめましたw 私はすこぶる無学なため、古代ギリシャやソクラテス、哲学者たちを全くと言っていいほど知りませんでした。しかし、本作はそんな自分でも読みやすく書かれており、古代ギリシャの風俗的なはなしなどは面白く読めました。 また、古代ギリシャ特有の文化が殺人の謎に絡んでおり、作者のミステリの手腕も高かったと思いました! 推理小説部分について。 物語全体的には、アリバイトリックとか犯人当てとかよりも、何が起こったか?がメインの謎となります。これは、物語の序盤に探偵役であるソクラテスが示唆したことでした。すべての推理は難しいと感じましたが、なるほどソクラテスの推理を聞いてみると細かなヒントがちりばめられております。 また、事件全体を操っていたかのような黒幕の存在は面白かったです。 ポロスの毒殺の謎も、散々書かれていた古代ギリシャ特有の事柄が絡んでおり、満足でした! 全体的に雰囲気もよく、哲学者が主人公の割に衒学めいたところもなく、読みやすく面白い作品でした。個人的には、アリバイトリックと犯人当てが好きなので6点としておきますがw |
No.340 | 5点 | ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 七尾与史 |
(2023/04/27 18:22登録) ネタバレをしております。 読みづらい翻訳作品の合間には軽くて読みやすい推理小説が読みたくなりますので、こちらの作品を読みました。半分は当たっていましたが、半分は当たっていませんでしたw 警察が主人公サイドの小説のため、連続殺人事件を追って少しずつ全容が明らかになっていくタイプです。私はこのタイプがあまり得意ではなく、鬼貫警部ものも若干の読みづらさを感じますw ただ、本作はキャラクターが漫画っぽいこともあり、割とすらすら読むことができました。 タイトルにもある通り、探偵役(?)の黒井マヤがドS刑事であり、面白かったです。ドSの定義はよくわかりませんが、ドSというよりクソガキ(ガキという年齢ではないが)やわがままお嬢様みたいですね(?)。猟奇的な物を好むようですが、それ=Sって訳でもないでしょうしね。急にデレたのは違和感がありましたw もう少しなにかイベントがあってもよかったのでは…? キャラクターはユーモアミステリの様であったのですが、事件の真相は結構暗いものでした。大量の人間が死にますし、どう考えても死ぬには可哀想な人間もいます(というかほぼほぼ全員)。なので、純粋なユーモアミステリを求めて読んだとしてもちょっと的外れかもしれません。 推理小説的な部分について。 犯人当てやトリックの類はなく、ミッシングリンクとも少し違うような感じですね。動機当てというか、事件全体のカラクリを当てるタイプなのでしょうか? あまり、当てる・当てないにこだわるよりも、ドラマのようにしてみたほうがいいかもしれません。 私は、西川が交通事故を起こした時点で、やっと全体像に近いものが見えました。事故をしているのに妙に冷静に腕組みをしている女性を見て、始めとつながった感じがありました…が、もちろん細かいところまではわからず。 がっつりした推理小説ではなく、息抜きに読む推理小説に向いていると思いました。 |
No.339 | 6点 | メインテーマは殺人 アンソニー・ホロヴィッツ |
(2023/04/19 20:11登録) ネタバレをしております。 前にカササギ殺人事件を読んだことがあり、評判も良さそうなのでこちらを買いました! 今回は、作者が作者役ででているというユニークさがありました。エラリー・クリーンも、法月綸太郎も、有栖川有栖も、二階堂黎人も、作者名=探偵役やワトスン役なのですが、小説用に用意された架空のキャラクターでした。しかし、メインテーマは殺人では、アンソニー・ホロヴィッツがアンソニー・ホロヴィッツとして出てくるようですw この作品に出てくる映画や小説の話も、一部本当のことっぽいですねw もちろん、おそらくホーソーンや事件については架空でしょうがw 一方で、アンソニー・ホロヴィッツ自身の話や、己を語らないホーソーンなど、少し読みづらさを感じてしまいました;; 犯人当てについてだけ言えば、不要と思えるシーンも多くありました。スピルバーグと仕事ができるチャンスをホーソーンによってぶち壊されたアンソニー・ホロヴィッツには笑いましたがw 推理小説部分について。 非常に細かくて丁寧な伏線とミスリードでした。ダイアナが自身の葬儀のために葬儀屋に行ってからすぐ殺され、過去に起こした交通事故との関連を調べる流れになりますが、ダイアナ自体が大きなミスリードと化しておりますねw しっかりと探偵役ホーソーンも事故が原因ではないと示唆しておりますが。 動機面で、ダイアナはダミアンを殺すためだけに殺された…という、Bを殺したいがためにAを殺す…といった展開は数作読んだことがありましたが、またもや引っかかってしまいましたw 難癖点を挙げるとすれば、ややミスリード過剰であり、犯人を示唆するいくつもの伏線があるものの犯人を一人に断定するような強力な証拠に欠けると思います。また、この本ならではの個性がもう少し欲しかったところです。葬儀のためという動機は他にもありましたしね。 総じて、作者自身が出演する珍しい展開が面白く、また丁寧に伏線とミスリードが張られた本格推理小説と思いました。利点や難点も、どこかアガサ・クリスティーに近いようなw このクオリティならば、他の作者の本も買っていきたいです。 |
No.338 | 5点 | 仔羊たちの聖夜 西澤保彦 |
(2023/04/04 19:57登録) ネタバレをしております。 なるべく前情報を調べずに買ったので、匠千暁シリーズとは知らずに買いましたw たしか、私は過去に解体諸因は読んだ…はずなのですが、今作の匠千暁という名前には見覚えがある程度であり、ほとんど覚えておりませんw 他のキャラクターはほぼ初見の感覚です。 本当は、シリーズ物は発行順で読んだ方が良いかもしれませんが、推理小説はよく調べてから買うとなにかしらのネタバレがありそうで怖いのですよねw さて本作ですが、こてこての推理小説(例えば犯人当てやアリバイ崩し)というよりかは、自殺と思われる人の背景を追ったり、同じ状況での自殺事件の関連性を調べたりすることが多かったです。ただ、ラストにはやはり驚きがありました。 第二の事件では、プレゼントを買った者の確認が取れていなかったのですね。最初、物語の始まりのきっかけとなったプレゼントでしたが、それが最後のキーになっているのですね。第一の事件とも関連づけられていて、構成も面白かったです。 物語全体的に重苦しく、やや盛り上がる場面が少なかったように思えます。個人的な好みの問題ですが。 ほぼ主人公のタカチですが、その他(第三の事件の関係者のカモさんやエリちゃんらを除き)の登場人物が空気と化していたような…。そのタカチですが、私にはあまりも恐ろしい、怖いキャラクターに感じてしまって、それをまるで神のように崇拝している(と、私が勝手に感じる)タックにもいまいち感情移入できませんでしたw 総じて、意外性のあるラストが良かったものの、ややイヤミス的な暗さを感じた作品でした。また、主要キャラクターはあまり好みではありませんでした。 私はやっぱり、犯人当てか、アリバイ崩しが好みなようですw |
No.337 | 6点 | はじまりの島 柳広司 |
(2023/03/27 23:18登録) ネタバレをしております。 進化論で有名なダーウィンが探偵役で、ガラパゴス諸島が舞台となるクローズドサークルという、かなり特殊な設定に惹かれて買いましたw 私は進化論についてはほとんど無知で、猿が進化して人間になったやつ…ぐらいしか知りませんでしたw 特殊な状況ではありますが、よくあるクローズドサークルのミステリの流れを踏襲しております。不可解な殺人事件が起きて、連続殺人事件になって、探偵役がいて、ワトソン役と事件を調べていって…。意外な犯人とどんでん返しがあります。 通常のクローズドサークルと違うのは、合間に進化論的な話や、宗教学、民俗学、生物学?やゲテモノグルメwみたいな話もありました。そのどれも衒学めいてなく、それほど本筋から離れないのでしつこくなく、テンポも悪くなかったです。 ダーウィンとアールの、伝説のスペイン人ドン・カルロス探し冒険もよかったですねw 推理小説部分について。 犯人当てよりも不可能犯罪やアリバイトリックの系統のミステリだと思うのですが、その部分はちょっといまいちでしたw 亀が死体を運ぶのは何となく予想できたのですが、都合よくちょうど泉まで運搬してもらえるかどうかは運が絡む気がしますし、ややバカミスのノリですねw また、紐が縮んで時間差で首を絞める…のは知識がいる問題かと思いますし。 総じて、推理小説としては微妙だったものの、それ以外の本としての魅力は高く、面白かったです。フエゴ人も初めて知りましたが、あんなにも奇怪な格好をする民族が実際にいたのですね。 |
No.336 | 6点 | 血染めのエッグ・コージイ事件 ジェームズ・アンダースン |
(2023/03/17 20:55登録) ネタバレをしております。 非常に濃厚な推理小説でしたw 500を超えるページ数に、多すぎる登場人物で、序盤は人物を覚えるのもストーリーを追うのも大変でしたw ただ、軽く読み返してみても、あまり無駄なページがないです。やや本題に入るのが遅くてテンポが悪い感じもありますが、すべての要素がストーリーに絡んでいます。 事件の夜が始めってから、一気にミステリ的になって楽しくなりました。あまりにも複雑すぎましたがw 大団円…とまで行かないまでも、ラストの展開は同情できる犯人に対しては救いがあるような気がするため、終わり方も爽やかであるのもいいところですね。 推理小説的には、やはりドンデン返しの真犯人が一番の魅力でした。途中で主観の文章がある人物が犯人だったため、自然と心理的に犯人から外しておりましたw のちのウィルキンズ警部の解説によると、自分の見逃していた伏線も多くあって感心しました。 あとは、カノン砲をつかった大胆(やや馬鹿ミスw)なトリックも魅力でしたね! ウィルキンズ警部はカノン砲から血痕を発見していたと後から言ってましたが、これはヒントとしてほしいところでしたね(書いたらバレてしまうのですがw)。 ドンデン返しが素晴らしい一方で、犯人当ては難易度が高すぎて私には無理なように感じました。館に泊まるほぼすべての人間が事件の夜に秘密の行動をしており、嘘つきが多すぎる点、二人の死体に二人の殺害犯、犯人に不幸な・幸運な偶然が起こりすぎている点、どこまで読んだらいいのかわからない本(挑戦状がない)点があります。ウィルキンズ警部が詩でヒントを出しますが、そこからデウルーが真相にたどり着いたようなのですが、あの時点では到底無理なように思えますw 私は警部の詩が登場した時点で先を読むのをやめ、時間を掛けて事件の夜のタイムテーブル的な物を作ってしまいましたw その時間があれば、今頃別の作品をもう一冊読み終えられたところですが;; 総じて、かなり良く練りこまれた本格推理小説ですが、犯人当ては楽しめませんでした。クイーン国名シリーズとしてではなく、クリスティーの小説だと思って読めばかなり楽しめる本でした。 |
No.335 | 6点 | 愚者のエンドロール 米澤穂信 |
(2023/03/12 20:15登録) ネタバレをしております。 まったく前情報なしで買ったため、シリーズものとは知りませんでしたw 氷菓は名前だけ知っていて、読んだことはありません。これを機に、シリーズを1から読んでいくのもいいですね。 高校が舞台の話だけあって、青春小説のような、ライトノベル?のような、さわやかな作品でした。ページ数も無駄に長くなく、テンポもよく、一気に読了できました。 アニメ化されている?のか、二重の表紙になっており、そちらはアニメの絵でした。文章からはアニメのような印象やキャラ付けも若干あるものの、そこまでしつこくないので、アニメ的な小説が嫌いな人でもそれほど抵抗なく読めるかと思います。 物語の流れは、脚本担当が病気で倒れて解決編がなく未完になっているミステリー映画の解決を試みるというもの。映画製作をしたクラスの人物たちが自説を披露するのですが、その矛盾点をさがして否定する流れです。我孫子武丸の探偵映画のような作中作の展開、バークリーの毒入りチョコレート事件のような多重解決を思い出しましたが、しっかりとあとがきに触れられておりましたw 私は、カメラマン犯人説はありそうなものだと思いました。それは、過去に似たような発想の推理小説を見たことがあるからでした。ただ、縄の件を失念しておりましたw 縄の件を除いても、「本郷にこの結末は書けない」というレベルでのヒントが多くあり、フェアさを感じました。 カメラマン犯人説はミステリ映画的には矛盾がないものの、違和感のようなものがのこり、隠された真相によってドンデン返しが起こる…という、多重解決の王道を征くラストなのはよかったです。ただ、隠された真相によるミステリ映画としての出来は悪く、本郷が倒れなくても女帝が動かざるを得ないのも納得ですねw ミステリ映画をこの小説の一番の謎としてとらえた場合、読者からしたらすこしガッカリ…だと思います。 総じて、非常に読みやすい小説であり、他の作品も読んでみたくなりました。一方で、作中作の映画の結末がどのような物であったとしても、オリジナリティもあまりなく、密室ものとしてもいまいちでした。 |
No.334 | 5点 | 日曜日の沈黙 石崎幸二 |
(2023/02/22 08:23登録) ネタバレをしております。 メフィスト賞受賞作品には、よく"究極"とか"天才"とかいう文字が出てきますねw 紹介文には、殺人劇や推理合戦などの文字が書いてあり、また表紙も黒を基調とした重苦しそうな印象のデザインだったため、本の内容の軽さというか明るさに驚きましたw 探偵役石崎と、それを振り回す女子校生ミリアとユリのキャラクターが漫画的であり、ほぼギャグミステリ(ユーモアミステリ?)のノリです。そのため、非常に読みやすく、ほぼ一瞬で読み終えられた気がします。 メフィスト賞受賞とのことですが、推理小説的にはやや薄味でした。 殺人劇による推理は楽しむことができません。自殺とのことですし、ミステリになっていませんでした。死んだ人物と死因と凶器による暗示もつまらないですし、それによる推理合戦もやっぱりつまんないです。 来人の死の真相、究極のトリック、幻の7作目の行方についてが本作品のメインの謎になりますが、これも読者が推理を楽しむ類ではありませんでした。 総じて、ほぼほぼミリアとユリのキャラクターを楽しむ本でしたw ギャグ(ユーモア)ミステリというと、東川篤哉さんの作品をいくつか思い浮かべますが、そちらはミステリとしてしっかりとしていた(私の読んだ作品においては)のですが、こちらはミステリとして薄味過ぎたのが良くありませんでした。 とはいえ、楽しく読められるシリーズものを見つけられてよかったです。何作か買って、ページ数の多いミステリや重いテーマのミステリを読んだ合間にこのシリーズを読みたいと思いますw 関係ない話ですが、ミリアとユリのキャラクターが似すぎていると思います。もうちょっと喋り方や性格に個性を持たせるか、なにかパーソナルデータが欲しいところでしたw |
No.333 | 5点 | クリムゾンの迷宮 貴志祐介 |
(2023/02/15 20:59登録) ネタバレをしております。 非常に読みやすい文書で、スリリングな展開のため、ほとんど一気に読了できました! 前半はサバイバル的な要素が強かったですが、参加者が一堂に会してから別れてから一気にゼロサムゲーム化?してホラーやサスペンス感が強まりました。 一方で、こういうタイプの王道ストーリーや流れを踏襲しすぎているというか、この作品ならではの個性に欠けるような印象がありました。大友藍は露骨に怪しく、主催者の息がかかっているのはありがちすぎますね。カメラ内蔵義眼は気づきませんでしたが…。 |
No.332 | 6点 | 悪魔はすぐそこに D・M・ディヴァイン |
(2023/02/07 21:01登録) ネタバレをしております。 大学内の過去のスキャンダルと、現在の2つの殺人事件が発生します。 主に4人の視点から書かれ、登場人物も多く、またストーリーの大部分は現在の事件よりも過去のスキャンダルに重点を置かれているため、なかなか読みづらさを感じました;; スキャンダルが犯人当てへの鍵になっていることはわかりますが、どうも興味がわかなくて;; 推理小説的要素について。 犯人当てのロジックはちゃんとしており、フェア度が高いです。ただ、長編にしてはささやかというか、淡泊というか、もうすこしほしかったところw この作者の作品は、犯人当てに対してのフェア度が高いがロジックは一点集中していることが多いですね。 犯人当てよりも、意外な犯人、ドンデン返しが持ち味だと感じました。私は頭ではピーターを容疑者から外しておりませんでした…が、やはり犯人が判るシーンでは驚いてしまいました。思えば、ピーターの述懐の「一度父に救ってもらった」や、ピーターの母が手紙を焼いたシーンは極めて重要なヒントでした。読了後、それに気づかず悔しかったですね! 総じて、読みづらさを感じてしまいましたが、本格度・フェア度の高い作品でした。伏線やミスリードがこまかく多くあり、高水準ではありましたが、欲を言えば犯人を断定するロジックが本全体にあるともっと好みでした。 |
No.331 | 6点 | 黒祠の島 小野不由美 |
(2023/01/28 13:05登録) ネタバレをしております。 ほぼ一つの島の中で物語が完結する推理小説です。クローズドサークルとは異なるかもしれませんが、ある程度の閉鎖空間っぽさが楽しめます。 現代の時間軸の小説ではありますが、舞台となる島では結構特殊な宗教や因習みたいなものがあり、民俗学ミステリーっぽいです。また主人公に対して排他的な態度をとる島の住民もいるため、雰囲気が異様で良いです。ただ、戦前・戦後を舞台とした民俗学ミステリーよりかはその辺の雰囲気がやや普通?というか、異様さやおどろおどろしい感じは欠けます。現代を舞台とした小説でそれをやるとリアリティがないせいでしょうかね? そのため、前半はやや退屈なページもありました。 推理小説的要素について。 まず、麻里と志保が本土の時点で入れ替わっていたという、大きな驚き要素がありました。叙述トリックと呼べるのかどうかはわかりませんが、それに近いような仕掛けでした。 また、入れ替わりのドンデン返しを考慮した論理的な犯人当てがありました。たいがいの小説は叙述トリックと論理的な犯人当てが両立されていませんが、この作品はそれができていて貴重です。 私は、麻里と志保の入れ替わりは察することができましたが、そこから犯人を当てることはできませんでした。浅緋の推理はなるほど説得力がありましたが、それは犯人のミスが偶然の不幸も絡んでいるので、読者が推理するには難易度が高いと思います(負け惜しみですがw)。 総じて、小説の雰囲気がよく、かつ本格度の高い良い推理小説でした。ただ、犯人を当てるには難易度が高すぎると思う点、登場人物紹介がなくアリバイ検証もメモが必須クラスに複雑な点(事件も3~4回は起こっているし)、個人的に序盤が退屈だった点がマイナスでした。 すごい個人的なことですが、式部と葛木の再開シーンを書いてほしかったのですがw いや、恋人というわけでもないし、ないほうがいいのかな…。葛木についてもう少し描いてほしいですねw |
No.330 | 6点 | レーン最後の事件 エラリイ・クイーン |
(2023/01/12 18:36登録) ネタバレをしております。 これまで、レーン4部作を読んできませんでしたが、このたび遂に読破しました! 気合を入れて読み始めましたが、なかなか殺人が起こらず、読み進めるのに苦労しました;; シェイスクピア関連の話は、あまり興味がわきませんでした…。犯人当てに関してだけ言えば、300ページぐらいがほぼ無駄なページとなっており、前半のシェイクスピア関連のトレジャーハント(?)のような歴史ミステリのようなものが楽しめるか否かがこの本の評価につながりそうですw 私はイマイチ楽しめませんでした。 推理小説的要素について。 まず、なんといっても、これまで名探偵として君臨してきたレーンが犯人であるというのは、この本だけでなく、4部作を巻き込んだ大ドンデン返しでしたねw 今では探偵役犯人系統の推理小説もよく見るので珍しくはなくなったのですが、当時はみんな騙されたのではないでしょうか? 実は私は、レーン最後の事件というタイトルから、ある程度メタ的な予想をしてしまいましたw ただ、それは事前にいくつかの探偵役犯人系統の本を読んだからです。 また、探偵役犯人だけにとどまらずに論理的にそれにたどり着けるようになっているのが、エラリー・クイーンが並みの小説家ではない証拠ですね! 国名シリーズ並み…とは言いすぎかもしれませんが、ちゃんと論理的に犯人にたどり着けるようになっております。私はメタ的にレーン犯人の可能性に気づきましたので、アラーム時計のロジックには気づきました。細かい点は少々逃してしまいましたがw 難癖をつけるとするならば、手斧で暴れまわるレーンがあまりにもドワーフで、名探偵にそぐわない気がするということですw 壊された時計の時間を狂わせておくぐらいはしそうなものですが…。レーンのセリフである、犯罪者は本質的にみんな愚鈍…みたいなセリフは自己に向けたものかもしれませんが。 総じて。 探偵が犯人であるようなドンデン返し系統の小説は論理性が犠牲になるか、叙述トリック一本釣りな作品が多いです。しかしクイーンの作品はちゃんと論理的に犯人を指摘できるつくりになっており、ドンデン返しと犯人当てが両立した良い作品と思います。ドンデン返しと犯人当ては相性が悪く、両立する作品は少ないと思います。 ただ、もう少し小説全編にわたって犯人当てのヒントがちりばめられていたらもっと高評価でした。前半は好みではなく、やや退屈でした。 ちょっと厳しめかな?と思いますが6点で! |
No.329 | 5点 | 鍵のかかった部屋 貴志祐介 |
(2022/12/29 06:12登録) ネタバレをしております。 読みやすくい密室がテーマの短編集です。驚きが大きい物理トリックが多いです。また、最後の1編を除いて、犯人が狙った通りの(偶然の余地がない)密室なのでフェア度が高いです。ヒントも適度に出ています。 ただ、総じて、密室の謎が明らかになった時の感想は、「それって本当にできるの?」という感じです。物理法則的な話ではなく、私がいまいち想像できないような感じでした。 ・佇む男 なかなか強固な密室です。男の子の目撃者のカーネルサンダース発言から、死後硬直が利用されたことはわかりましたが、私の死後硬直に対しての知識が浅くて本当にできるのか疑問でした。また、寝かせた状態し死んだ人が、死後硬直が解けて座ると、検死でわからないのか?とも思いました。 ・鍵のかかった部屋 これも、部屋内部の気圧を高めたことだけはわかりましたw なぜ気圧が高まったのか、またガムテープを静電気で張り付けたか…などは一切わからなかったのですが。 ・歪んだ箱 やや、トリックのために用意した家といった感じですが、欠陥住宅にしたことはなるほどと思いました。ちょっとバカミスっぽいですね。 ・密室劇場 全体的にユーモアミステリのノリがあります。すこし毛色がちがう作品ですが、榎本と純子のあらたな一面が見られたようで良かったです。純子はその前の歪んだ箱で、大分アホっぽくなりましたがw |