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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.67点 書評数:541件

プロフィール| 書評

No.401 6点 D機関情報
西村京太郎
(2018/12/07 20:16登録)
作品の主題を考えれば、やや冗長さも感じるところだが、リーダビリティの高さも加味すれば、これまで読了した著者の作品の中ではベストの評価


No.400 5点 巷説百物語
京極夏彦
(2018/12/07 20:15登録)
短編であることを差し引いても、作品に奥行き・重厚感・リアリティが不足しており、この評価


No.399 6点 片桐大三郎とXYZの悲劇
倉知淳
(2018/12/07 20:14登録)
各短編によって出来・不出来の差はあるものの、推理の説得力の欠如・アンフェア、犯行のフィージビリティの低さ、捜査の不合理性等、全体として明らかに穴が多い。
プロットの面白さを評価し、それと相殺してこの評価


No.398 6点 ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
(2018/11/20 15:01登録)
toukoさんの書評に同感。
使い古されたネタかもしれないが、それらを活用して、よい意味でも悪い意味でもハリウッド的なサスペンス・スリラーにまとめ上げた手腕は一定程度評価。
一方で1個のミステリとしては竜頭蛇尾と言わざるを得ない


No.397 7点 恋と禁忌の述語論理
井上真偽
(2018/11/05 20:40登録)
数理論理学という斬新な視点を採用し、その本格ミステリとの親和性を示したうえで、既存の本格ミステリにおける論理的な瑕疵を示した。
その一事だけでも、本格ミステリにおける新たな達成と評価できるのではあるまいか。
その視点の独自性や、本格ミステリとしての甘さゆえに、毀誉褒貶の激しい作品であろうが、著者のチャレンジを肯定的に評価したい


No.396 4点 占い師はお昼寝中
倉知淳
(2018/10/11 20:35登録)
端的に言えば「幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」とほぼ同様の評価となる。
著者の日常の謎系作品は、真相が飛躍する衝撃とリアリティの絶妙なバランス、それを解明するプロセスの論理性の高さが大きな優点。
しかし、本作は後者を半ば放棄しており、それでいて前者も真相を容易に察することができる点で、全く水準に達していないと言わざるを得ない。
4点の下位


No.395 6点 眼の壁
松本清張
(2018/10/11 20:34登録)
サスペンスとしては佳作以上と評価できるのだが、この長尺を締めくくる肝心の結末、黒幕の呆気なさすぎる最期が大きな難。
ミステリとしては、犯人の目立ちすぎる行動が大量の目撃者を生み出し、捜査を攪乱するためのあざとすぎる小細工等で、少なくない減点。
以上を相殺して6点の上位


No.394 6点 五匹の子豚
アガサ・クリスティー
(2018/09/19 15:10登録)
一番底の真相があまりにも容易に推測できることが、却って二番底を深くしている非常に巧妙なプロット。
ただ惜しむらくは、二番底の前提となっている「被害者と容疑者の会話」に仕掛けられた罠がもたらす衝撃が、翻訳によって相当に弱められていると推察されることであるが、これは当然著者に帰責する訳ではない。
一方、本作のプロットを事後的に俯瞰すれば、真犯人はどうしても一定の条件を満たす人物に絞り込まれてしまう点で、傑作とまでの評価は難しい


No.393 4点 ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾
(2018/09/19 15:08登録)
相談者が過去を生きる、しかも総じて将来有名人になる人物であるから、未来に生きる回答者は、相談者の将来や未来の社会を知ったうえで、妥当なアドバイスができる、という至ってイージーな設定。
このご都合主義の極致のような設定こそ「奇跡」だろうという想いは拭えないが、この点は著者もミステリのスコープで捉えず、ファンタジーに棚上げしているので追求しない。
問題は、上記設定が各エピソードを予定調和させる圧力として強く作用している点。
各登場人物を造形するにあたって、掘り下げが圧倒的に足りず、魅力に欠けている点。
各相談者の相談内容と回答が非常に陳腐である点。
本作に込められた著者のメッセージがいま一つ読み取れないのだが、それがもし仮に「結局人生は本人が決めるもの」というものだとしたら、あまりにも安っぽい印象が拭えない点などにある。
これだけの頻度で作品を発表しながらもなお、本作が娯楽小説として一定水準以上のクオリティを維持しているのは事実。
この著者の傑出した力量を評価するがゆえに、SFの世界における古典的な題材を適当に料理したジャンクフード的な本作に対し、批判的なスタンスにならざるを得ない


No.392 6点 出雲伝説7/8の殺人
島田荘司
(2018/09/05 09:32登録)
提示された謎の不可解性、(フーダニットの要素は皆無なので)ハウダニットの意外性、その論理的な解明プロセス等、著者の本格ミステリの基本がしっかり抑えられた作品。
一方、犯行計画自体は非常に綱渡りで難易度が高く、そのフィージビリティは大いに疑問。
真相解明の決定打となった鉄道運行に関する犯人の不知も、これほど緻密な計画を策定した犯人像に照らして違和感が拭えず、現地警察の捜査で判明しなかったというのも無理筋に近い印象。
また、最終盤の犯人への罠も、あれほど鮮やかに犯人が騙されるかというと疑問が残る。
以上、骨格は堅牢であるが、細部の甘さを減算してこの評価


No.391 6点 レベル7
宮部みゆき
(2018/09/03 20:54登録)
冒頭に提示される謎の不可解性と、その後のスリリングな展開から、傑作を予感させる序盤だっただけに、非常に残念と言わざるを得ない。
精神病院の内情はじめ舞台設定にリアリティが皆無で、犯行計画と登場人物の行動に合理性が感じられない。
全般に人物描写の甘さから登場人物に魅力がなく、とりわけ敵役の人物像は至ってチープであり、最重要人物が何の伏線もなく最終盤に登場。
これだけの長尺の末に明かされた真相は極めて平凡。
序盤の大きな貯金にもかかわらず、これらの要素と相殺され、水準をやや下回るサスペンス作品に落ち着いた


No.390 5点 モルグ街の殺人・黄金虫 -ポー短編集Ⅱ ミステリ編-
エドガー・アラン・ポー
(2018/08/23 15:56登録)
表題作「モルグ街の殺人」は、毀誉褒貶はあっても真犯人の意外性において突き抜けた作品であり、高く評価したい。
それ以外の作品は、全体として古さを感じさせ、短編集全体としてはこの評価


No.389 2点 アインシュタイン・ゲーム
佐飛通俊
(2018/08/23 15:55登録)
ミステリとしても、1個の読物としても、何ら評価すべき点がなく、これまで読了した作品の中で最低クラスと評価せざるを得ない


No.388 6点 百器徒然袋 風
京極夏彦
(2018/08/10 13:11登録)
前作の雨と全く同じ性格の作品。
プロットの完成度・堅牢度、コメディとしての面白さは増しているが、本格度はやや低下している。
同じく6点の上位


No.387 4点 セーラー服とシャーロキエンヌ 穴井戸栄子の華麗なる事件簿
古野まほろ
(2018/08/01 16:18登録)
本作の狙い・趣向は理解できるのだが、本格ミステリとしての骨格が脆弱であり、作品の面白さにつながっていない


No.386 6点 オリンピックの身代金
奥田英朗
(2018/07/27 08:43登録)
客観的事実が一部先行し、その後に各登場人物の行動・心理が叙述される、倒叙的な構成を取っており、その時間軸の間隔が短縮する作品後半においては、サスペンスが大きく減退する構成となっている。
その点において、本作の構成は全体として非常に緻密であるものの、長尺すぎるという評価にならざるを得ない。
また、本作の主題、つまり日本社会が敗戦から立ち直っていく高度経済成長時代、とりわけその象徴的な存在である東京オリンピックの背景にある、理不尽な格差社会に対する課題認識は評価する。
しかし、その課題認識に対する主人公のアクションが、テロリズムという形態を取ることに違和感が拭えないのである。
確かに、日本の富の多くがオリンピックの開催地たる東京に落ちるのであろうが、主人公の仲間たちをはじめ、各地方もその恩恵に多少なりとも浴するのは間違いない。
にもかかわらず、それに対する反発がテロリズム、しかもそのエネルギーが政治ではなく警察に向かうのが不可解と言わざるを得ない。
主人公による麻薬の常習が、そうした行動原理の不可解さに対するエクスキューズであるように感じられる点は非常に残念


No.385 3点 名探偵の証明
市川哲也
(2018/07/09 17:08登録)
まず叙述の拙劣さは、これまで私が読んできたミステリ作家の中でも1・2を争う、商業出版としていかがなものかというレベル。
作中で発生する事件と、その推理プロセスは、それが本作の主題ではないことを差し引いても、何ら評価できるものがない。
それでいて、名探偵の存在意義を問う本作のメインテーマからも、印象に残るものが何もない。
当然厳しい評価にならざるを得ない


No.384 3点 終着駅殺人事件
西村京太郎
(2018/07/02 18:37登録)
作品の底流をなす抒情性等、全体としてのテイストは決して嫌いではない。
ただ、全登場人物が殺されることによって真犯人が判明するプロットとはよいとして、その間実証的な捜査を全く行なわず、情緒的な言動に終始する捜査陣の無能ぶりはいかがなものか。
その他、犯行プロセス全体の合理性・フィージビリティの低さ、トリックのレベルの低さなど、本格ミステリとして評価できる点がない


No.383 7点 天空の蜂
東野圭吾
(2018/06/27 11:22登録)
みなさんが指摘しているとおり、著者の抜きんでた先見性を立証する作品。
執筆当初から映画化を意識したかのようなキャッチーなプロットもお見事。
人物描写、とりわけ犯人の背景にある人間関係と犯行動機の作り込みには甘さも感じるが、良質なサスペンスであり、ギリギリ7点の評価


No.382 5点 火刑法廷
ジョン・ディクスン・カー
(2018/06/19 16:09登録)
提示された謎の不可解性は強烈だが、その真相は数々のご都合主義的な偶然と小粒なトリックによるもので、拍子抜けと言わざるを得ない。
にもかかわらず、非常に長尺の作品であり、それでいて読者への伏線も不十分であることから、本格ミステリとして評価することは難しい。
そうした性格から、本作は最終盤のどんでん返しによって完結するサスペンスと解したいが、その視点からは意外性が不十分な印象

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