聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた |
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作家 | 井上真偽 |
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出版日 | 2016年07月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 12人 |
No.12 | 5点 | ボナンザ | |
(2021/05/30 18:47登録) シリーズ化すると流石にややマンネリか。真相もややしょぼい。 |
No.11 | 6点 | ミステリ初心者 | |
(2021/02/24 00:36登録) ネタバレをしています。 バカミストリックと、ロジカルな否定、多重解決もののような楽しみ方ができるシリーズです。今回は割とスタンダードな物語の入りで、前作よりも抵抗なく話に入っていけました。 今回は毒殺ものであり、男(と1匹の雌)だけが死ぬという、なんとも不可解な状況で興味を惹かれます。図やアリバイ時間など、八ツ星聯君のおかげで丁寧に知ることができるし、容疑者たちの仮説もそれによって難なく理解できて大変読みやすいです。 私はかねがね、いかに毒をいれられたか?が問題の推理小説が読みたかったのですが、かなりの量の毒殺方法が書かれており、その点で大変満足しました(笑)。そして、どの仮説も私の考えつかなかったものであり、そしてどの仮説にもちゃんと矛盾点を残しているあたりが素晴らしいです。アリバイトリック系と、ロジカルなフーダニットを合わせたような作風です。一番面白かったのは、フーリンの銚子に仕掛けのあるものでしたが、やや成功率に難がありそうでしたね。 以下、難癖ポイント。 ・ケチなのに高級な和服を着せるわけがない…という反証は結構弱いと思います。 ・私には難易度が高すぎました(涙)。負け惜しみではないのですが、各仮説の反証と結末をすべて推理するのは不可能に思えました。 私は論理もへったくれもなく、なんとなく小説の結末を予想し、花嫁の父が犯人なのではないかと思いました(笑)。どうやって花嫁をヒ素を入手したか?が突破できずに、すぐ諦めましたが(笑)。 シリーズキャラクターが活躍し、さらにパワーアップした感じがあります。もっとシリーズが続いてほしいですね。 |
No.10 | 5点 | いいちこ | |
(2019/10/19 11:39登録) 前作より「多重解決」における仮説の数を増やそうとしたことによる副作用が強すぎる。 犯行の機会が限定されにくい毒殺を採用した結果、奇蹟の証明と言えるような、前作ほどの強烈な不可能状況ではなくなってしまった。 常識的には考えられない証拠隠滅が平然と行なわれている点は非常にいただけない。 多くの仮説を成立させるために、大量の伏線を配さなければならず、作品として不自然さが否めない。 以上、構想時点での大きな失敗が強く印象に残る作品 |
No.9 | 6点 | E-BANKER | |
(2019/07/20 16:40登録) デビュー長編「その可能性はすでに考えた」に続いて発表された第二長編。 今回もサブタイトルには同じく「その可能性はすでに考えた」が使われているとおり、『奇蹟』の存在を証明する探偵=上苙丞を主役とするシリーズ。 2016年の発表。 ~聖女伝説が伝わる里で行われた婚礼の場で、同じ盃を回し飲みした出席者のうち、毒殺された者と何事もなく助かった者が交互に出る『飛び石殺人』が発生。不可解な毒殺は祟り神として祀られた聖女による奇蹟なのか? 探偵・上苙丞は人の手による犯行可能性を数多の推理と論理で否定し、「奇蹟の存在」証明に挑む~ しかしまアーよく考えるよなぁー 前作を凌駕するほどの選択肢の多さ。その全ての選択肢が探偵・上苙の頭脳で否定されていく。 そもそもの謎が強烈。 何しろ、婚礼の儀で居並ぶ出席者が飛び石で毒殺されてしまうのだから・・・ こんな非現実的な事象をロジックを効かせて解決しようとすること自体が斬新といえば斬新。 作者の狙いはやっぱり「多重解決」なんだろうか? すべての選択肢を挙げていくことに喜びを感じているように映る。 もちろん突っ込みどころはそれこそ枚挙に暇はない。 ただ単に「矛盾している」として否定された仮説が多いけど、どう考えても弱いし、反証は十分可能なパターンも多い。 要は、作者の匙加減次第ということ。 でも、これこそが「多重解決」プロットの軸だし、ある意味アンチミステリーとしての見方もできる。 最終的に「奇蹟」が否定されることとなった真相。この貧弱な真相で、それまで付き合わされてきた数々の仮説がひっくり返るんだからなぁー でも決して嫌いではない。こんなミステリーを書けること自体稀有な才能だと思う。 できれば、本当の「ド本格」ミステリーにも挑んでもらいたいと思うのは私だけだろうか。 (選択肢の多さ=伏線の多さ、が宿命になっている分、小説としてのぎこちなさに繋がるんだろうね・・・) |
No.8 | 7点 | 青い車 | |
(2018/12/09 14:42登録) 前作から更に複雑化した論理展開が面白いです。トリックの提示と破棄を長い一覧表にして説明するなど、凝りに凝った推理が楽しめます。残念なのは、毒殺の方法をこれだけ考えておきながら、最後あっけなく小ぢんまりと着地してしまった点です。前作の好き放題にトリックを連発した豪快さと比べ、明らかにスケールダウンしています。題材的に仕方ないとはいえ、もう少し派手さを期待していました。 |
No.7 | 4点 | 名探偵ジャパン | |
(2018/10/30 09:01登録) こういう作品に対する評価って、とても難しいのではないかと思います。(これを絶賛しないとバカだと思われるのでは……)そんな感情を抜きに(特にプロの作家は)本作を批評できるでしょうか。 前作に引き続き、とてもよく考えられています。まことに理路整然としていて、お見事という他はありません。でも、それがミステリ、さらには「小説」としての面白さに繋がってくるかというと……。 当然作者はそこのところの問題など「すでに考え」ていて、それを緩和するためのエキセントリックなキャラクターたちと、彼ら、彼女らのやりとりです。前作からこのスタンスが一切変わっていないということは、「このシリーズはこれで行くんだ」という作者の意思表明に他なりません。作者は二作目にして早くも読者をふるいに掛けたといってもいいでしょう。「ついてこられるやつだけついてこい!」と。 毒殺のトリック(捨てトリックも含めて)には、「これは」と思わせるものもあるため、作者はもっと、まっとうな(?)ミステリを書いても十分通用するのではないかと思います。 |
No.6 | 5点 | 虫暮部 | |
(2018/10/01 11:05登録) ここまでやられるとごちゃごちゃして疲れる。ダミーとして使うには勿体無いようなトリックもあるのだから、謎解きに対する奇矯なスタンスを看板にせずに、仮説を2~3個だけピックアップしてもっとスッキリした話に仕立てたほうが、題材を生かせたような気もする。とはいえ、色々と盛ってある設定やキャラクターが面白いのも確かで悩ましいところ。 |
No.5 | 4点 | makomako | |
(2018/03/04 18:16登録) 前作が面白かったのですが、今回は私にとっては外れでした。 前作と同じ傾向ではあるのですが、出てくる仮説がくだらないので、それをどうのこうのといっても屁理屈の繰り返し。 こういった作品はもうたくさんで、最後のほうは退屈してしまいました。 本格推理というべきかもしれませんが、くだらない理屈遊びに突き合せれたといった印象でした。 |
No.4 | 6点 | ia | |
(2017/11/22 20:49登録) 複雑な論戦の行きつく先はシンプルさ、インパクトが求められるけど 〇がああして〇をこうして・・・という作業的で地味なトリックで終わった 運任せの部分も大きいし 少年とフーリンのキャラは立ってたので、2人を軸にした推理の応酬は感情移入して読みやすかった 逆に探偵の推理場面はほとんどお勉強会で目が滑る |
No.3 | 6点 | まさむね | |
(2017/05/05 21:34登録) 話題作となった「その可能性はすでに考えた」の続編。 今回の事件は「毒殺」ということで、前作に比して事件のスケールは相当にダウンしています。(まぁ、前作の謎が集団自殺や首なし状態で歩いた少年とかでしたからねぇ。) とはいえ、「飛び石毒殺」という設定、その中での推理合戦(かなり強引すぎる嫌いはあるが)、中盤以降の急展開、終盤での連続捻り技等々、全体のプロットとしては前作に引けを取らないように思います。むしろ前作より引き締まっているようにも感じます。 正直7点とも思ったのですが、前述のように推理合戦にあまりにも強引な点が散見された点、それとラノベ・テイストが何とも肌がゆく感じた点(完全に個人的な好みの話で恐縮ですが)、この2点がちょっと興覚めだったことは事実なので、1点減点とします。 |
No.2 | 6点 | メルカトル | |
(2016/09/01 22:16登録) 雰囲気は前作とあまり変わらないが、今回はウエオロの代わりに弟子の八ツ星が終盤まで頑張っている。そのため主役の影がやや薄くなっているような気がしないでもない。さらに謎のスケールが格段に小さくなっている。どうしても毒殺というのは地味な印象が拭えないので、こうした派手ななぞかけの応酬を描こうとすると、重箱の隅をつつくような感じになってしまうよね。 まあしかし、その場で思いついた推理を次々と否定していく様は、ある種の推理合戦と言えなくもない。そのようなパズラーを所望している方にはむいているだろう。ただ、あれこれケチをつけようと思えばいくらでもできるとは言える。 |
No.1 | 6点 | yoshi | |
(2016/07/16 22:53登録) 「全ての可能性を否定して奇蹟の存在を証明する」がウリのシリーズ二作目です。 ちょっと考えてもわかることですが、奇蹟の存在なんて証明できるわけがありません。 よって奇蹟を証明したかのように見せかけて、実は・・・という流れになることは予想がつきます。 しかしそんな窮屈な設定の中、作者は最大限の健闘をしたと思います。 しかし花嫁の足袋が濡れていたことから、家政婦がカスミ様の祠まで往復したという論理は、かなり強引(他に可能性はいくらでも考えられるはず)。それに誰もツッコまないのは不自然……等々、細かいことが気になりました。まあそれを言ったらキリがないですが。 ただこの作者、キャラクターを作るのは巧いですね。少々ラノベ的ですが。フーリンは前作から際立っていましたが、今回は少年探偵のキャラが好きになりました。 |