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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.68点 書評数:574件

プロフィール| 書評

No.474 5点 我が家のヒミツ
奥田英朗
(2022/07/13 19:07登録)
同様の作風の他作と比べ、各短編の核を成す課題認識が共感性に乏しい。
それゆえに相変わらず達者ではあるものの、軽量コンパクトな印象が強く、見劣りすると言わざるを得ない


No.473 5点 ファミ・コン!
鏑矢竜
(2022/07/01 17:37登録)
アイデアは抜群に独創的であり、筋も悪くないので、読後感は悪くない。
したがって、批判的なスタンスをとるつもりはないのだが、最終盤のサプライズ以外に何かをもたらす作品ではないだけに、1個のミステリとして、作品としては、この程度の評価としたい


No.472 7点 パラサイト・イヴ
瀬名秀明
(2022/05/06 20:34登録)
現在となっては既視感も感じるが、執筆当時の世相を考えれば、非常に斬新な発想・アイデアではなかろうか。
最終盤・クライマックスに向かって加速する疾走感の演出も見事な佳作


No.471 6点 チーム・バチスタの栄光
海堂尊
(2022/05/06 20:34登録)
日本語は決してうまくないが、簡潔な叙述は平明で、ユニークなキャラクター造形と相まって読ませる力はもっている。
一方で、犯人は意外性に乏しく、トリック・動機も平凡。
平均的な水準の作品


No.470 5点 神の拳
フレデリック・フォーサイス
(2022/01/04 18:20登録)
意欲的な作品ではあるのだが、登場人物とサイド・ストーリーの多さから、前半部分のリーダビリティは非常に低い。
最終盤に至って、それらが一点に収斂していくのだが、読後にやや疲労感も感じるところ


No.469 3点 幽霊刑事
有栖川有栖
(2021/11/29 20:23登録)
見るべきところがなく、これほど特殊な設定を導入している点を勘案すれば、さらに厳しい評価にならざるを得ない


No.468 6点 透明人間の納屋
島田荘司
(2021/11/16 20:16登録)
これはテーマの選定と、プロットの構築力の勝利だろう。
本格ミステリとしては至ってチープであるにもかかわらず、サプライズを演出している。
こども向けミステリーとして執筆していること自体が、一種のレッドへリングとして機能している点に至っては、見事と言わざるを得ない。
これだけ内角高めのストレートを投げられると、外角低めに切れるスライダーを打つのは難しい。
小品であるがゆえに、これ以上の評価は難しいが、著者の類まれな力量が光る、一読の価値がある佳作


No.467 5点 理由
宮部みゆき
(2021/11/16 20:14登録)
本作は、当時社会問題化していた住宅ローンによる破綻と占有屋を主題に、それにまつわる人々の生き様を掘り下げつつ、1個の殺人事件に収斂させていく構成をとっている。
視点人物が刻々と変化するものの、そのプロットは単純で、骨格は一本道であり、そして何より真相がチープすぎるがゆえに、そうしたエピソードの数々が夾雑物と映り、読後に強く冗長さを感じさせるのである。
この内容で、この長尺をもたせ切る筆力はさすがだが、よく比較される「火車」には遠く及ばないと言わざるを得ない


No.466 5点 呪われた町
スティーヴン・キング
(2021/10/13 10:01登録)
1970年代におけるアメリカの社会・風俗の描写には見どころがあるものの、ホラー作品としては小品と言わなければならない。
5点の最下層


No.465 6点 消えた巨人軍
西村京太郎
(2021/09/16 10:42登録)
「冒頭の掴みは最高だが、ディテールの検証が甘く、かつ末尾に至ってテンションが顕著に低下する」という本著者の全盛期に典型的に見られるタイプの作品。
本作も冒頭から不可能興味が否応なく募るのだが、捜査プロセスと、それに伴う時間の進行が物理的に破綻している点、知能犯として描かれている犯人の、考えられないような不用意な行動によって、半ば自供するような形で、真犯人と特定されている点等は、決定的な欠陥と指摘せざるを得ない。
アイデアの面白さ・奇抜さの貯金だけで何とか逃げ切った作品であり、6点の最下層


No.464 5点 教場
長岡弘樹
(2021/09/16 10:41登録)
警察学校を舞台として設定した弊害かもしれないが、各編の事件が如何にも稚拙でスケールが小さく、登場人物の造形や作風との関係で違和感が強い。
また、作品全体を通じて教官のスーパーマンぶりが浮き彫りになるだけで、本作の主題・意図が見えてこない点でも高く評価することはできない。
一定の水準に達していることは事実だが、世評ほどの傑作と評価することはできず、5点の最下層


No.463 5点 人魚の眠る家
東野圭吾
(2021/09/16 10:40登録)
本作の主題は今日的であり、その課題認識の鋭さ・妥当性は認める。
ただ、他の作品にも強く見られる傾向であるが、読者に平易に伝えようと意識しすぎて、ストーリー、登場人物の造形・言動等を極端に紋切型に、ステレオタイプに描いている。
それが違和感となって読者の共感を削ぎ、作品の格調を毀損している点は減点せざるを得ない


No.462 6点 死ねばいいのに
京極夏彦
(2021/08/18 19:54登録)
本作に底流する著者の問題認識は有無を言わさぬ鋭さがあり、プロットも非常によくできているが、6人の登場人物は如何にも多すぎた。
プロットのオリジナリティがもたらす衝撃・緊迫感が徐々に薄れていくなか、想定の範囲を出ないエンディングを迎える竜頭蛇尾の作品であり、その点で減点。
もっとコンパクトに作って、エッジを利かせるべきであった点で、もったいない作品


No.461 6点 中途の家
エラリイ・クイーン
(2021/08/18 19:52登録)
犯人特定のプロセスにおける論理性の高さは、相変わらず出色のデキであり、それだけなら7~8点に相当する。
ただし、こうしたプロットを成立させている舞台設定は異様であり、それに何らの説明も付けられていない点を重く見て、大きく減点


No.460 5点 ララピポ
奥田英朗
(2021/08/18 19:51登録)
全体として軽量コンパクトな作品であるうえ、ミステリとしての性格も至って弱く、この程度の評価にならざるを得ない。
本作は、エロ描写まみれの内容や、格差社会の現実を下世話に、赤裸々に描き出しているだけで、何の主張もなく、解決も与えていないとの批判もあるようだが、人間の弱さに真正面から向き合った、著者の王道を往く作品であり、それほど批判的なスタンスに立つべき作品であるとは考えていない


No.459 5点 狐火の家
貴志祐介
(2021/07/30 21:02登録)
表題作のみが及第点のデキ。
「黒い牙」のフィージビリティは相当に疑問であり、強く不満が残る。
「盤端の迷宮」「犬のみぞ知る」は平凡な作品


No.458 4点 ソロモンの犬
道尾秀介
(2021/07/30 21:00登録)
著者らしからぬ凡作であり、読後の印象も薄い


No.457 5点 華麗なる誘拐
西村京太郎
(2021/07/30 20:59登録)
アイデアの独創性は抜群であり、その点は高く評価する。
しかしながら、プロットは平凡で、かつ著者の作品は総じてそのような傾向が強いが、実証的な検討を経ておらず、フィージビリティがまるでない。
その点を大きく減点してこの評価としたが、もったいない作品


No.456 5点 寝台特急「出雲」+-の交叉
深谷忠記
(2021/07/30 20:55登録)
真相の骨格はよくできているにもかかわらず、トラベルミステリというプロットを選択した結果、そのよさが半減。
そのうえ、アリバイ崩しとしては標準的な水準を脱しておらず、もったいない作品


No.455 6点 柳生忍法帖(上・下)
山田風太郎
(2021/05/26 11:33登録)
プロットの完成度は高く、冒頭・前半部分で読者を引き込んでいく力はさすが。
ただ後半に至って、幾何級数的に、ドラゴンボール的に風呂敷が拡げられた結果、面白さが半減しており、竜頭蛇尾の作品

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