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ミステリの祭典

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寝台特急(ブルートレイン)殺人事件
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1978年10月
平均点5.29点
書評数7人

No.7 6点 まさむね
(2023/08/12 20:56登録)
 所謂トラベルミステリーの第一作と言われる作品。それまで多彩な作品を発表しつつもベストセラーには恵まれなかった作者の名を、全国に広く浸透させた作品と言えましょう。その後の作者のトラベル偏重路線に関しては、様々なご意見はありましょうが、本作が作者にとって大きな意味を持つ作品であることは間違いないと思います。
 あらためて読んでみたのですが、出だしからの興味深い謎の提示、そこから引っ張っていく力は流石だなと思います。後半のサスペンス要素も作者らしい。勿論、突っ込みたくなる点も種々あるのだけれど、それもまたお楽しみポイント、ということで。

No.6 3点 いいちこ
(2021/01/04 10:49登録)
これは厳しい。
正直に言って好意的に評価できる点がない。
特に犯人がこれほどに大掛かり、かつリスキーな犯行計画を策定してまで、寝台特急での犯行にこだわる合理的な理由が見当たらない点は最大の問題。
本作プロットの根本的な欠陥と言わざるを得ない。
犯人が初手から半ば特定されているにもかかわらず、犯人が唐突に自供を開始して真相が解明するというプロセスもいただけない。
3点の最下層

No.5 6点 mediocrity
(2019/08/09 23:52登録)
『北帰行殺人事件』の解説で鮎川哲也氏が興味深いことを書いていた。
鮎川氏が鉄道物のアンソロジーを組もうと思って西村氏の作品も入れようとした。ところが片っ端から西村氏の短編を読んだが鉄道物が一編たりともない。本人にその旨を伝えたら数年後、本作を皮切りに怒涛の如く量産し始めた。だから西村氏の著作が鉄道物ばかりになったのは自分が煽ったせいかもしれない、みたいな内容であった。

ということで鉄道物の記念すべき1作目である。
序盤は非常に面白い。こういう通常起こりえないような事態を設定するのがうまいですね、この方。中盤で一応の謎解きがなされるが、これもなかなかいい。ただ溺死の時間差の謎なんかはもっと面白く書けたんじゃないかとは思う。トリックのキモなのにあっさりしすぎな気がした。
終盤はまさにサスペンス、事件が起こるまでの臨場感はすばらしい。西明石駅に駅員を立たせて、犯人の数を知らせる所なんかは映像が目に浮かぶ。ただ事件が起こった後、急激に話がつまらなくなってしまったのは残念。中盤で謎を解明しすぎたのと、事件の動機が社会派のベタな政治ネタだったのが原因だろうか。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2019/03/14 15:36登録)
著者の自薦トラベルミステリーは、推理作家協会賞を受賞した「終着駅殺人事件」ではなく、本作「寝台特急殺人事件」となっています。プロットもいいしサスペンスフルで、うなずけるところです。トラベルミステリーは、時刻表とにらめっこのイメージが強く敬遠気味でしたけれど、今のところそのようなことはありません(まだ4冊目ですが・・・)。

No.3 7点 斎藤警部
(2015/07/16 13:41登録)
京太郎さん鉄道ミステリ第一号。 ちょっとホームズを思わせる冒頭の謎の畳み掛けがやはり光っています。 駅で撮影したフィルムが盗まれ(被写体はちょっと気になった若い女性!)、列車内で盗難に気付いた雑誌カメラマンは睡眠薬で眠らされ、気が付きゃ別の列車に! そういや最初乗った列車の食堂車で正体不明の男と知り合ったが、あいつはいったい誰だ? 翌日、盗まれたフィルムに映した若い女性と思われる屍体が見つかった、が。。 続く謎と事件の展開、捜査途上の描写は濃密。背後に、数年間の大物政治家名刺を利用した巨額詐欺事件が見え隠れ。果たして今回の殺人事件との連関は!? トラベル・ミステリーに食指の動かない人にこそ読んで欲しい、魅力満載の一冊です。

No.2 5点 E-BANKER
(2009/10/14 22:13登録)
光文社文庫の「西村京太郎アニバーサリーフェアー」として最近復刻版が発売されたため再読しました。
トラベルミステリーの隆盛(主にテレビの2時間ドラマでですが・・・)のきっかけとなった記念碑的作品。
再読してみて時代の流れを感じました。十津川警部は最近の作品に比べて若々しく(37歳という設定ですから)、JRがまだ国鉄と呼ばれていた時代です。
トラベルミステリーに付き物のアリバイトリックも単純なものですし、バックに政治家が・・・という氏お決まりのネタも入っていて、正直レベルは低いと言わざるを得ません。
ただ、やっぱり一つの歴史的作品ですし、鉄道好きとしては「はやぶさ」と「富士」が西鹿児島まで走っていた時代がなんともなつかしくてうらやましいです。

No.1 4点 測量ボ-イ
(2009/10/13 21:07登録)
今を思えば氏がトラベルミステリの第一人者と世間で
いわれるようになった記念碑的作品。僕が読んだのも
もう20年以上前です。
当時はこんなものかと思っていましたが、後年鮎川氏
らの作品を知るに伴い、不満点が徐々に明らかになっ
てきました。
この作品もそうですが、氏の作品は読者が真相を推理
するデ-タを与えていないことが多い(但し鉄道マニ
アや関係者なら推理できる?)のが評価を落とさざる
を得ないポイントです。

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